ようやくスプリンターに出番が回ってきたボルタ・ア・カタルーニャ4日目。集団スプリントでカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がコカールらを退け、移籍後初勝利を飾った。



総合4位につけるミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

初日から3連続で総合勢による争いとなったボルタ・ア・カタルーニャは、第4ステージにしてようやくスプリンターに出番が回ってきた。リビアから真南のサバデルまで道のりは188.2kmで、序盤に前日のフィニッシュ地点である1級山岳ラ・モリーナを越えてからは徐々に標高を下げていく。そしてフィニッシュまで30kmは平坦路のため集団スプリントが目されるステージとなった。

獲得標高差が約2,500mと逃げ切りの可能性も考えられるこの日は、スタート直後からアタックと吸収が繰り返されながら集団のまま最初の1級山岳を通過する。前日に逃げたギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が3位で通過したため、山岳ポイントを6点獲得して山岳賞ジャージの獲得に成功した。

1級山岳通過後に形成された、5名による強力な逃げグループ photo:CorVos

その後ダビ・デラクルス(スペイン、アスタナ・カザフスタン)や大会2日目にも逃げたクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ジェイコ・アルウラー)が飛び出して逃げ集団が成立。そこに遅れてナンス・ペテルス(フランス、AG2Rシトロエン)が合流し、強力な面子を揃える逃げグループは5名となった。

一方、3分程度のリードしか許さないプロトンはイーサン・ヘイター(イギリス)で勝負したいイネオス・グレナディアーズがタイトにコントロール。そこにブライアン・コカール(フランス)を擁するコフィディスや、新加入のスプリンターであるカーデン・グローブス(オーストラリア)がいるアルペシン・ドゥクーニンクが牽引に加わった。

日本王者ジャージを纏い、プロトンを走る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

膝の怪我から復帰したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)も先頭でペースを作ったプロトンは、サバデルの市街地が近づくとスーダル・クイックステップが集団先頭で主導権を握る。そして逃げを飲み込んだプロトンは、残り2kmで新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭に出るシーンもありながら、集団スプリントが幕開けた。

総合系チームとスプリンターチームの両方が集団先頭で入り乱れるなか、イスラエル・プレミアテックのトレインから残り150mでコービン・ストロング(ニュージーランド)がスプリントを開始する。ほぼ同時にブライアン・コカール(フランス、コフィディス)が腰を上げ、ストロングからコカールの背後に乗り換えたカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)も一拍遅れて加速する。

そして残り25mから踏み込んだグローブスが一瞬でストロングとコカールを抜き、先行した2人から勝利を奪い取った。

コカールを抜き、先頭に出るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

移籍後初勝利を掴んだカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

表彰台で勝利を喜ぶカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

「誤魔化しのきかないシンプルな最終盤だった。だが同時にハイペースで厳しくもあったため、限られた数名しか勝利を争うことができなかった。適切なタイミングでスプリントを開始しなければ勝利はないと思っており、コカールを先に行かせ、最後に追い抜く思惑が上手く行った」とグローブスは勝利を振り返る。

ティム・メルリール(ベルギー)が退団したアルペシンに今年加入し、ようやくの初勝利をもたらした24歳のグローブス。「ここまで結果の出ないチームに勝利を届けることができ、最高の気分だ。特にチームメイトがハードワークしてくれた。だからこれは全員で掴んだ勝利だ」と語った。

総合上位陣は皆先頭と同着フィニッシュしたため、順位に変動はなし。そして翌日の第5ステージは、ほぼ平坦路のコースから超級山岳ロ・ポルト(距離8.5km/平均8.7%)の頂上にフィニッシュする山岳ステージ。総合首位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)と同タイムの2位につけるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)による、大会4度目の登坂バトルが注目される。

ケヴィン・コッレオーニ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)と笑顔でフィニッシュする新城幸也 photo:CorVos

ボルタ・ア・カタルーニャ2023第4ステージ
1位 カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) 4:19:37
2位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
3位 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
4位 イーデ・スヘリング(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン)
6位 フレデリク・ワンダール(デンマーク、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)
8位 ミラン・メンテン(ベルギー、ロット・デスティニー)
9位 アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
10位 シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) 17:01:54
2位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
3位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) +0:19
4位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:44
5位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
6位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) +0:48
7位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)
9位 キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) +0:58
10位 マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) +1:12
その他の特別賞
ポイント賞 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)
山岳賞 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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