2023/03/12(日) - 14:10
アタックの機会を冷静に見計らう老獪な走りを見せたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が、ティレーノ〜アドリアティコで3日連続勝利。総合リードを拡大し、最終日を前に総合優勝に王手をかけた。
最終日を翌日に控えたティレーノ〜アドリアティコ第6ステージは、オージモ・スタツィオーネからオージモに至る193kmで争われた。長い距離の登りはないものの、延々とアップダウンが続くコースの総獲得標高差は3,600mを越え、終盤は最大勾配20%の「壁」と称されるオージモの登り(距離1.7km/平均5.7%)&石畳坂が登場する34.2kmコースを3周する。
序盤のアタックを成功させたのはクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)やアンテルマルシェ・サーカス・ワンティのマイク・トゥーニッセン(オランダ)とゲオルク・ツィマーマン(ドイツ)を含む11名。逃げグループはローテーションを回しながらハイペースで駆けたものの、リーダーチームのユンボ・ヴィスマは最大3分12秒のリードしか許さなかった。
この日2度目のオージモの登りでメイン集団からサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出し、逃げ集団から下がったニキアス・アルント(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)の牽引を受け先頭に合流する。途中シモンズのアタックなど活性化した逃げグループだったが、最終周回を前にユンボの牽引するプロトンに飲み込まれた。
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を単独落車で失ったユンボ・ヴィスマは、ワウト・ファンアールト(ベルギー)が先頭で牽引を始める。その後ろにはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)ら総合上位陣はもちろん、これから本格化するクラシックレースで相対するジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が続いた。
ファンアールトからティシュ・ベノート (ベルギー)に牽引が引き継がれると、ペースの落ち着いたプロトンからギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が飛び出す。この動きにアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)とモビスターのアレクサンデル・アランブルとカルロス・ベローナ(共にスペイン)が追従し、4名は一気に20秒差を作り出した。
前日も高速牽引を披露したダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)からイネオス・グレナディアーズに追走集団の主導権が渡り、急激に差が縮まった先頭集団は残り5km地点で吸収。再びひと塊となった集団から急勾配の石畳坂でミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が加速し、ヤングライダー賞ジャージを着るジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やログリッチらが反応した。
ログリッチらの他にもテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やエンリク・マス(スペイン、モビスター)など強豪クライマーによって8名の先頭集団が形成される。するとフィニッシュラインの待つ最大勾配20%の「壁」を前に、激坂を得意とするマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)が飛び出した。
追走集団では各チームのアシストが遅れ、単騎の総合上位陣が牽制するなか、アルメイダが積極的にブリッジを掛けに行く。その背後についたログリッチが先頭に出るとウッズを捉え、勝負は8名による登坂スプリントへ。マスが先んじて腰を上げ、その動きを冷静に見たログリッチがシッティングのままフィニッシュに飛び込んだ。
昨年10月に左肩の手術を受け、復帰レースとして臨んだログリッチ。ティレーノ~アドリアティコでは2005年のオスカル・フライレ(スペイン)以来となる3連続勝利を、「すばらしい勝利だ。レース復帰を楽しむことが目的であるこの大会で、僕は勝利すら望んでいなかった。今日はアタックが繰り返されるタフなレースで、チームが完璧に展開をコントロールしてくれた。レース前にはあらゆる戦略を立てられるものの、畢竟最後は脚の勝負となる。幸運にも今日の僕には強い脚があった」とログリッチは喜んだ。
区間優勝したログリッチはボーナスタイム-10秒を加算したため、総合2位アルメイダとの差を18秒に拡大。翌日の大会最終日は後半の80kmが平坦路のため、ログリッチが総合優勝をほぼ手中に収めたことになった。
最終日を翌日に控えたティレーノ〜アドリアティコ第6ステージは、オージモ・スタツィオーネからオージモに至る193kmで争われた。長い距離の登りはないものの、延々とアップダウンが続くコースの総獲得標高差は3,600mを越え、終盤は最大勾配20%の「壁」と称されるオージモの登り(距離1.7km/平均5.7%)&石畳坂が登場する34.2kmコースを3周する。
序盤のアタックを成功させたのはクイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード)やアンテルマルシェ・サーカス・ワンティのマイク・トゥーニッセン(オランダ)とゲオルク・ツィマーマン(ドイツ)を含む11名。逃げグループはローテーションを回しながらハイペースで駆けたものの、リーダーチームのユンボ・ヴィスマは最大3分12秒のリードしか許さなかった。
この日2度目のオージモの登りでメイン集団からサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出し、逃げ集団から下がったニキアス・アルント(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)の牽引を受け先頭に合流する。途中シモンズのアタックなど活性化した逃げグループだったが、最終周回を前にユンボの牽引するプロトンに飲み込まれた。
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を単独落車で失ったユンボ・ヴィスマは、ワウト・ファンアールト(ベルギー)が先頭で牽引を始める。その後ろにはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)ら総合上位陣はもちろん、これから本格化するクラシックレースで相対するジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が続いた。
ファンアールトからティシュ・ベノート (ベルギー)に牽引が引き継がれると、ペースの落ち着いたプロトンからギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)が飛び出す。この動きにアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)とモビスターのアレクサンデル・アランブルとカルロス・ベローナ(共にスペイン)が追従し、4名は一気に20秒差を作り出した。
前日も高速牽引を披露したダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)からイネオス・グレナディアーズに追走集団の主導権が渡り、急激に差が縮まった先頭集団は残り5km地点で吸収。再びひと塊となった集団から急勾配の石畳坂でミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が加速し、ヤングライダー賞ジャージを着るジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)やログリッチらが反応した。
ログリッチらの他にもテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やエンリク・マス(スペイン、モビスター)など強豪クライマーによって8名の先頭集団が形成される。するとフィニッシュラインの待つ最大勾配20%の「壁」を前に、激坂を得意とするマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)が飛び出した。
追走集団では各チームのアシストが遅れ、単騎の総合上位陣が牽制するなか、アルメイダが積極的にブリッジを掛けに行く。その背後についたログリッチが先頭に出るとウッズを捉え、勝負は8名による登坂スプリントへ。マスが先んじて腰を上げ、その動きを冷静に見たログリッチがシッティングのままフィニッシュに飛び込んだ。
昨年10月に左肩の手術を受け、復帰レースとして臨んだログリッチ。ティレーノ~アドリアティコでは2005年のオスカル・フライレ(スペイン)以来となる3連続勝利を、「すばらしい勝利だ。レース復帰を楽しむことが目的であるこの大会で、僕は勝利すら望んでいなかった。今日はアタックが繰り返されるタフなレースで、チームが完璧に展開をコントロールしてくれた。レース前にはあらゆる戦略を立てられるものの、畢竟最後は脚の勝負となる。幸運にも今日の僕には強い脚があった」とログリッチは喜んだ。
区間優勝したログリッチはボーナスタイム-10秒を加算したため、総合2位アルメイダとの差を18秒に拡大。翌日の大会最終日は後半の80kmが平坦路のため、ログリッチが総合優勝をほぼ手中に収めたことになった。
ティレーノ〜アドリアティコ2023第6ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 4:49:17 |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
6位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | +0:03 |
7位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:09 |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | |
9位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:20 |
10位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 25:06:21 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:18 |
3位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:23 |
4位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:34 |
5位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | +0:37 |
6位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:41 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:56 |
8位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:57 |
9位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:10 |
10位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | +1:11 |
その他の特別賞
ポイント賞 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) |
ヤングライダー賞 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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