2023/02/16(木) - 18:23
東京五輪の準備とコロナによる中断を経て、5年ぶりの開催にこぎつけたシクロクロス東京。動員数16,500人で成功裏に終わった大会を主催者であるチャンピオンシステムジャパン・棈木亮二氏が総括する。またステージで実施されたシクロクロス世界選手権に出場した日本代表メンバーによるトークショーの模様もお届けする。
澄んだ青空が広がり、最高気温は17℃と自転車日和となった「Champion System × 弱虫ペダル シクロクロス東京」の2日目。ステージではシクロクロス東京招待選手のプレゼンテーションが行われ、C1 TOP35には織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と沢田時(宇都宮ブリッツェン)、竹之内悠(Cinelli - Vision)が、CL1には小川咲絵(AX cyclocross team)と小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、石田唯(早稲田大学)が招待された。
海外トップ選手の招待がなかった今年の大会。その代わりわずか1週間前にオランダ、ホーヘルハイデで開催された世界選手権帰りの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や小川咲絵(AXシクロクロスチーム)、石田唯(早稲田大学)、大蔵こころ (早稲田大学)の日本代表メンバーによるトークショーが開催された。観客たちの暖かな視線を集めるなか、各選手が世界選手権を振り返りつつ今後の目標を語った。
期待されながらも転倒とサブバイクのメカトラに見舞われ、望んだ結果を残せなかった織田聖。「悔しいとしか言い表すことができないレースになってしまったが、これもまた自分の実力。もっと強ければ前のパックに追いつくことができた」と悔しさを語った。そして「ヨーロッパのCX先進国じゃない国のナショナルチームにもジュニア世代などにディベロップメント(育成)チームがあるので、日本が本当に世界を目指すんだったらそういうところから改革していかないと、と思いました」と提言した。
フルラップ完走の23位と、目標は達した小川咲絵は「準備段階では確実に準備できたと思いますし、完走の目標を達成できてよかったです。今できることはできた。ただ、世界選の上位で戦うためにはもっとテクニックを身に付けていかないといけない」と語ってくれた。
2020年のスイス大会(ジュニア31位)に続く2度目の世界選手権出場で、U23で27位完走の石田唯は「あまり公言していなかったけれど20位を目標にしていました。スタートが上手くいって20位ぐらいでコースに入れたけれど、でもパワーが足りなくて1周目から集団から遅れてしまった。パワーを付けること、そして今回はそれほど要求されなかったけれどテクニック。路面状況に応じたタイヤ選択も難しく、自分の課題が見えました。もっともっと強くなりたい。ロードやトラックでも結果を残せるようにがんばります」。
32位と出場選手の最下位に終わった大蔵こころは、初めての体験だった世界選手権をこう振り返った。「本当にただただ悔しくて、体調不良だけが原因だけじゃなく、本当に自分の実力の不足を感じました。またもう1回チャレンジして自分の納得の行く走りをしたいなと強く思いました。だからもう一度シクロクロスの世界選に行くことが今年の大きな目標になります。今年できなかった走りを絶対に来年したい。」強い言葉を話しながら目には涙が浮かび、真剣度が受け取れた。
シクロクロス東京主催者 棈木亮二さん インタビュー
CW:5年ぶりの開催となりましたが、いかがでしたか?
多くの参加者の皆さんから「開催してくれて、本当にありがとうございます」と言われましたし、出展社の皆さんも本当に喜んでくれているので、5年ぶりに開催できて本当に良かったなと思います。
ただ、コロナの影響で2022年後半に稲城クロスや筑波のライドイベントなどいろんなイベントが集中しすぎて、忙しすぎたんです。12月後半の稲城クロスが終わってから、2か月でシクロクロス東京の開催準備をしてきました。復活というだけで十分にトピックになることだと思っています。
実は社内で過去の開催データが無くなる事件(サーバー故障)がありまして。4~5年前に開催した2017年と2018年のデータがありませんでした。データ探しをしたりして見つかったものもあったのですが、ほとんどが最初から作り直さないといけないものが多くて、とても苦労しました。開催できるのか?と悩むくらいで、めげそうでした。
久しぶりに開催することになり、自治体となる東京都の組織団体なんですけど、皆さんが「帰ってきてくれたんだ」と言ってくれました。もちろん、シクロクロスを愛するシクロクロッサーや観戦される皆さんと会うたびに「今年はシクロクロス東京を開催するんですか?」と言われていました(笑)。
CW:皆さんがシクロクロス東京を待ちに待っていたんですね?
そうですね。皆さんが待ち望んでいたイベントでした。応援票が多すぎて、それが開催に取り組む力になりました。これはやりきらないとまずいなという感じになってきました。金曜日に都心で雪が降った日が設営日だったですが、寒さや悪天候で14時くらいに一度引き上げました。ただ、昨日・今日と風もほとんどなく晴れていて、天候にも恵まれました。シクロクロスの開催に慣れている方々が集まってきてくれて、順調に開催できました。楽しいイベントがつくれたと思っています。
CW:久しぶりに開催されたシクロクロス東京の会場を見てどのように感じますか?
やっぱり達成できていないこともたくさんあったんです。金銭的なところで、海外招待選手を呼べないとか、参加される皆さんのためのテントエリアがなかったことなど、お金がかかることじゃないですか。UCI化のために動けているかというと動けていないですし、まだまだできていないことがたくさんあります。
ただ、観客や関係者の皆さんも選手の走りを見て感動したんじゃないかなと思います。私のテーマは"感動を作る"こと。このテーマを持って仕事をしていて、どれだけ皆さんに感動してもらえるかを考えて、企画や内容をセッティングしています。自転車に乗る、見る、聞くでもいいですし、何かしら自転車に関わってもらえるようになれば、自転車というスポーツがメジャー化に近づくんじゃないかなと僕は考えています。
これからロードシーズンが始まっていきますが、ロードバイクにも興味を持ってもらって、走って、サイクリングをしてもらえたらなと思っています。最後に、若い選手がどんどん出てきて、僕は最近楽しみになっています。自転車を子供たちが憧れるようなスポーツにしていきたいと思っているので、これからも応援よろしくお願いします!
text&photo:Michinari TAKAGI
澄んだ青空が広がり、最高気温は17℃と自転車日和となった「Champion System × 弱虫ペダル シクロクロス東京」の2日目。ステージではシクロクロス東京招待選手のプレゼンテーションが行われ、C1 TOP35には織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)と沢田時(宇都宮ブリッツェン)、竹之内悠(Cinelli - Vision)が、CL1には小川咲絵(AX cyclocross team)と小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、石田唯(早稲田大学)が招待された。
海外トップ選手の招待がなかった今年の大会。その代わりわずか1週間前にオランダ、ホーヘルハイデで開催された世界選手権帰りの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や小川咲絵(AXシクロクロスチーム)、石田唯(早稲田大学)、大蔵こころ (早稲田大学)の日本代表メンバーによるトークショーが開催された。観客たちの暖かな視線を集めるなか、各選手が世界選手権を振り返りつつ今後の目標を語った。
期待されながらも転倒とサブバイクのメカトラに見舞われ、望んだ結果を残せなかった織田聖。「悔しいとしか言い表すことができないレースになってしまったが、これもまた自分の実力。もっと強ければ前のパックに追いつくことができた」と悔しさを語った。そして「ヨーロッパのCX先進国じゃない国のナショナルチームにもジュニア世代などにディベロップメント(育成)チームがあるので、日本が本当に世界を目指すんだったらそういうところから改革していかないと、と思いました」と提言した。
フルラップ完走の23位と、目標は達した小川咲絵は「準備段階では確実に準備できたと思いますし、完走の目標を達成できてよかったです。今できることはできた。ただ、世界選の上位で戦うためにはもっとテクニックを身に付けていかないといけない」と語ってくれた。
2020年のスイス大会(ジュニア31位)に続く2度目の世界選手権出場で、U23で27位完走の石田唯は「あまり公言していなかったけれど20位を目標にしていました。スタートが上手くいって20位ぐらいでコースに入れたけれど、でもパワーが足りなくて1周目から集団から遅れてしまった。パワーを付けること、そして今回はそれほど要求されなかったけれどテクニック。路面状況に応じたタイヤ選択も難しく、自分の課題が見えました。もっともっと強くなりたい。ロードやトラックでも結果を残せるようにがんばります」。
32位と出場選手の最下位に終わった大蔵こころは、初めての体験だった世界選手権をこう振り返った。「本当にただただ悔しくて、体調不良だけが原因だけじゃなく、本当に自分の実力の不足を感じました。またもう1回チャレンジして自分の納得の行く走りをしたいなと強く思いました。だからもう一度シクロクロスの世界選に行くことが今年の大きな目標になります。今年できなかった走りを絶対に来年したい。」強い言葉を話しながら目には涙が浮かび、真剣度が受け取れた。
シクロクロス東京主催者 棈木亮二さん インタビュー
CW:5年ぶりの開催となりましたが、いかがでしたか?
多くの参加者の皆さんから「開催してくれて、本当にありがとうございます」と言われましたし、出展社の皆さんも本当に喜んでくれているので、5年ぶりに開催できて本当に良かったなと思います。
ただ、コロナの影響で2022年後半に稲城クロスや筑波のライドイベントなどいろんなイベントが集中しすぎて、忙しすぎたんです。12月後半の稲城クロスが終わってから、2か月でシクロクロス東京の開催準備をしてきました。復活というだけで十分にトピックになることだと思っています。
実は社内で過去の開催データが無くなる事件(サーバー故障)がありまして。4~5年前に開催した2017年と2018年のデータがありませんでした。データ探しをしたりして見つかったものもあったのですが、ほとんどが最初から作り直さないといけないものが多くて、とても苦労しました。開催できるのか?と悩むくらいで、めげそうでした。
久しぶりに開催することになり、自治体となる東京都の組織団体なんですけど、皆さんが「帰ってきてくれたんだ」と言ってくれました。もちろん、シクロクロスを愛するシクロクロッサーや観戦される皆さんと会うたびに「今年はシクロクロス東京を開催するんですか?」と言われていました(笑)。
CW:皆さんがシクロクロス東京を待ちに待っていたんですね?
そうですね。皆さんが待ち望んでいたイベントでした。応援票が多すぎて、それが開催に取り組む力になりました。これはやりきらないとまずいなという感じになってきました。金曜日に都心で雪が降った日が設営日だったですが、寒さや悪天候で14時くらいに一度引き上げました。ただ、昨日・今日と風もほとんどなく晴れていて、天候にも恵まれました。シクロクロスの開催に慣れている方々が集まってきてくれて、順調に開催できました。楽しいイベントがつくれたと思っています。
CW:久しぶりに開催されたシクロクロス東京の会場を見てどのように感じますか?
やっぱり達成できていないこともたくさんあったんです。金銭的なところで、海外招待選手を呼べないとか、参加される皆さんのためのテントエリアがなかったことなど、お金がかかることじゃないですか。UCI化のために動けているかというと動けていないですし、まだまだできていないことがたくさんあります。
ただ、観客や関係者の皆さんも選手の走りを見て感動したんじゃないかなと思います。私のテーマは"感動を作る"こと。このテーマを持って仕事をしていて、どれだけ皆さんに感動してもらえるかを考えて、企画や内容をセッティングしています。自転車に乗る、見る、聞くでもいいですし、何かしら自転車に関わってもらえるようになれば、自転車というスポーツがメジャー化に近づくんじゃないかなと僕は考えています。
これからロードシーズンが始まっていきますが、ロードバイクにも興味を持ってもらって、走って、サイクリングをしてもらえたらなと思っています。最後に、若い選手がどんどん出てきて、僕は最近楽しみになっています。自転車を子供たちが憧れるようなスポーツにしていきたいと思っているので、これからも応援よろしくお願いします!
text&photo:Michinari TAKAGI
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