2023/02/13(月) - 08:29
シクロクロス東京2日目の男女エリートレース。C1は5年前の前回大会覇者・竹之内悠(Cinelli - Vision)が鮮やかな砂捌きテクニックで5年越しの連覇を達成。CL1は全日本ジャージ姿のお披露目となった小川咲絵が圧勝し、JCX総合優勝も手にした。お台場のビーチで繰り広げられた熱戦をレポート。
今年いちばんの暖かさになった東京都立お台場海浜公園。観客で賑わうなか女子CL1は13時のスタート。陽光にまぶしい砂浜に21人が飛び込んでいく。
ホールショットをとり先頭で砂浜に飛び込んだ小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)がミスして足を着くが、全日本チャンピオンジャージを着る小川咲絵(AX cyclocross team)、世界選手権U23代表の石田唯(早稲田大学)の2名が抜け出し、リカバリーした小林がすぐに追いつき、3人がパックとなってレースを展開した。
小川に対して積極的に仕掛け、前に出る石田。しかし2周目に入ると小川が先行し、石田と小林が追うかたちに。砂場で乗れている石田に対し、林間のテクニカル区間で差をつける小林。2名のバトルは順位を入れ替えながら4周目まで続いた。
優れたフィジカルでパワフルな走りを披露する小川は危なげなく独走を続け、2位小林に17秒の差をもってフィニッシュ。ゲートをくぐるとバイクを高々と持ち上げ、観客たちに礼をするポーズで締めくくった。小川は今季国内レースではオープン参加を除くと18レースを走って15勝と、圧倒的な力を見せつけたシーズンとなり、JCXシリーズ総合優勝も手にした。
小川咲絵のコメント
こんなにもたくさんの観客の前で応援を浴びながら走れて最高の気分でした。砂は正直得意じゃないけど、後半はフィジカル勝負になると思っていました。チャンピオンジャージを着て走って、チャンピオンらしい走りができたと思います。今年の目標4つ、全日本選手権優勝、JCXシリーズ総合優勝、JCFシリーズ総合優勝、世界選手権完走の4つをいずれも達成できたし、最後に優勝してシーズンを終えられたので嬉しいです。先週のオランダ世界選手権前から準備に忙しく、帰国後も次の日から仕事があり、時差ボケもあって疲労が抜けないままでしたが、昨日はしっかりと寝て今ある力は出し切れたかな、と思います。
2位の小林あか里
砂のセクションでは石田さんが速かったので、最後は意地でも前に出て砂セクションを前で抜けると意識して、その差をキープして勝負しました。今シーズン小川選手はすごく強くてバトルするというところまで届かなかったので、来年は最終盤まで絡んで勝負できるように頑張りたいと思います。
3位の石田唯
初めて走るお台場で試走も少ししかできなかったんですがパワーコースではないから小川さんとも戦えると思っていました。砂はうまく走れて2周目まではいい感じだったんですが徐々に力尽きてしまって。砂よりも林間で小林さんに離されてしまった。きついなかでも集中してラインをトレースする能力が必要だなと感じました。
C1男子エリート 竹之内悠が5年越しの連覇
スタート時の気温は14℃、しかしその後最高気温16.9℃にまで上昇した春日になった最終レースのC1エリート男子は9500人の観客に見守られるなか、14時にスタート。昨日のC1レース上位3人が加わるJCXランキングTOP35人が出走の有資格者で、このレースでJCXシリーズ最終ランキングも決する、ポイント上も重要なレースだ。
30人が砂浜に飛び込むホールショットは沢田時(宇都宮ブリッツェン)が奪ったが、全日本チャンピオンジャージを着た織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が轍にタイヤをとられて足を着くミスで後退。転倒は免れ、そのまま強引に押し切ったが大きく順位を下げてしまい、追走に足を使うことに。織田もわずか1週間前にオランダで行なわれたシクロクロス世界選手権に日本代表として出場しており、疲れや時差ボケが懸念された。
沢田に追いつくように小坂光(宇都宮ブリッツェン)が並び、赤いジャージの2名が先行。しかし猛追する黒いジャージの竹之内悠(Cinelli - Vision)が2人に迫る。砂の捌きテクニックに秀でた竹之内は滑らかなペダリングで2人に割って入ると、ミスをした小坂を引き離す。
LAPは11となり、5周目には沢田と竹之内のランデブーとなる。小坂が順位を下げるなか、上がってきたのが竹内遼(GHISALLO RACING)。竹内もJCX第9戦の愛知牧場で優勝して調子をあげており、砂を得意とする選手。
6周目に竹之内が沢田を突き放しに掛かり、7周目にはベストラップを記録。独走を始める。竹内も後半に向けて順調に順位を上げ、沢田をパスするが、9周目にシケインのバニーホップ越えで失敗し、転倒。外したチェーンの復旧に手間取り、追撃の勢いを失ってしまった。疲労が見え精細を欠く織田も得意のシケインで失敗して転倒してしまい、6位まで順位を落とした。
独走してもシケインはバニホで飛び越え、観客が息を呑む美しい走りでペースを刻む竹之内は、
2位沢田に51秒の差をつけて独走勝利。5年の間隔が空いた前回大会のディフェンディングチャンピオンが、再びシクロクロス東京という最高の舞台で歓喜のフィニッシュを飾り、遠ざかっていたビッグタイトルを手にした。
竹之内悠のコメント
5年ぶり開催のこのお台場で、5年前と同じく優勝させてもらいました。最高です。2018年は海外のすごい選手が居たけど、そのときの良いイメージで走ることができた。何回か仕掛けても(沢田)時がトレースしてきていた。僕もたくさんレースをこなしてきていなかったので掛かりが悪くて。(竹内)遼が上がってきていたから警戒していたんです。砂場に岩が隠れていて、ぶつけた拍子にハンドルが下がってしまった。林間でも木の根っこが多いし、リム打ちしてパンクしないかヒヤヒヤでした。
マージン取りながら後半はペースを抑えて走りました。持っているものは出し切れたと思います。コロナが落ち着いたら海外にもまた行きたいと思っています。海外に若い選手を連れていきたいし、僕自身あと1、2シーズンぐらいは闘えると思うので、資金集めもして準備したいですね。脚に抱える問題はまだ残っていて、ランニングのトレーニングもできないままなんです。この5年間で色々と変わったけど、シクロクロス東京は変わらず最高の空間でした。たくさんの温かい応援、ありがとうございました。
2位の沢田時
差を詰めれると思って落ち着いて行ってたんですが、詰められなかったですね。力負けでした。フィジカルとテクニック、両方組み合わせてうまくやられたなと感じます。
4位の小坂光
序盤ペースが上がってからは耐えられなかった。コンディションはだいぶ上がっては来ているんですが、まだまだ本調子ではないですね。きつかったです。
6位の織田聖
ロードのほうではもうオフ期に入っていて休まなくてはいけなくて、今日のレースはジャージを見せるという感じで走りました。シケインではペダルが外れて転倒してしまった。今季はずっと勝ち続けてきて、最後に勝てなかったのでいい形でシーズンを締めくくれなかったけれど、また来シーズンこのジャージをしっかり魅せれる走りをしたい。
3位の竹内遼
後半バイクの扱いが雑になって転倒してしまった。もしトラブルなくジャンプアップできても今日の悠さんには勝てなかったと思う。来年は総合的にレベルを上げてリベンジしたい。シクロクロス東京を5年ぶりに走れて最高に良かった。この場所は本当に最高で選手にとって価値があるレース。ここで勝つということはそういうことだと思います。
今年いちばんの暖かさになった東京都立お台場海浜公園。観客で賑わうなか女子CL1は13時のスタート。陽光にまぶしい砂浜に21人が飛び込んでいく。
ホールショットをとり先頭で砂浜に飛び込んだ小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)がミスして足を着くが、全日本チャンピオンジャージを着る小川咲絵(AX cyclocross team)、世界選手権U23代表の石田唯(早稲田大学)の2名が抜け出し、リカバリーした小林がすぐに追いつき、3人がパックとなってレースを展開した。
小川に対して積極的に仕掛け、前に出る石田。しかし2周目に入ると小川が先行し、石田と小林が追うかたちに。砂場で乗れている石田に対し、林間のテクニカル区間で差をつける小林。2名のバトルは順位を入れ替えながら4周目まで続いた。
優れたフィジカルでパワフルな走りを披露する小川は危なげなく独走を続け、2位小林に17秒の差をもってフィニッシュ。ゲートをくぐるとバイクを高々と持ち上げ、観客たちに礼をするポーズで締めくくった。小川は今季国内レースではオープン参加を除くと18レースを走って15勝と、圧倒的な力を見せつけたシーズンとなり、JCXシリーズ総合優勝も手にした。
小川咲絵のコメント
こんなにもたくさんの観客の前で応援を浴びながら走れて最高の気分でした。砂は正直得意じゃないけど、後半はフィジカル勝負になると思っていました。チャンピオンジャージを着て走って、チャンピオンらしい走りができたと思います。今年の目標4つ、全日本選手権優勝、JCXシリーズ総合優勝、JCFシリーズ総合優勝、世界選手権完走の4つをいずれも達成できたし、最後に優勝してシーズンを終えられたので嬉しいです。先週のオランダ世界選手権前から準備に忙しく、帰国後も次の日から仕事があり、時差ボケもあって疲労が抜けないままでしたが、昨日はしっかりと寝て今ある力は出し切れたかな、と思います。
2位の小林あか里
砂のセクションでは石田さんが速かったので、最後は意地でも前に出て砂セクションを前で抜けると意識して、その差をキープして勝負しました。今シーズン小川選手はすごく強くてバトルするというところまで届かなかったので、来年は最終盤まで絡んで勝負できるように頑張りたいと思います。
3位の石田唯
初めて走るお台場で試走も少ししかできなかったんですがパワーコースではないから小川さんとも戦えると思っていました。砂はうまく走れて2周目まではいい感じだったんですが徐々に力尽きてしまって。砂よりも林間で小林さんに離されてしまった。きついなかでも集中してラインをトレースする能力が必要だなと感じました。
C1男子エリート 竹之内悠が5年越しの連覇
スタート時の気温は14℃、しかしその後最高気温16.9℃にまで上昇した春日になった最終レースのC1エリート男子は9500人の観客に見守られるなか、14時にスタート。昨日のC1レース上位3人が加わるJCXランキングTOP35人が出走の有資格者で、このレースでJCXシリーズ最終ランキングも決する、ポイント上も重要なレースだ。
30人が砂浜に飛び込むホールショットは沢田時(宇都宮ブリッツェン)が奪ったが、全日本チャンピオンジャージを着た織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が轍にタイヤをとられて足を着くミスで後退。転倒は免れ、そのまま強引に押し切ったが大きく順位を下げてしまい、追走に足を使うことに。織田もわずか1週間前にオランダで行なわれたシクロクロス世界選手権に日本代表として出場しており、疲れや時差ボケが懸念された。
沢田に追いつくように小坂光(宇都宮ブリッツェン)が並び、赤いジャージの2名が先行。しかし猛追する黒いジャージの竹之内悠(Cinelli - Vision)が2人に迫る。砂の捌きテクニックに秀でた竹之内は滑らかなペダリングで2人に割って入ると、ミスをした小坂を引き離す。
LAPは11となり、5周目には沢田と竹之内のランデブーとなる。小坂が順位を下げるなか、上がってきたのが竹内遼(GHISALLO RACING)。竹内もJCX第9戦の愛知牧場で優勝して調子をあげており、砂を得意とする選手。
6周目に竹之内が沢田を突き放しに掛かり、7周目にはベストラップを記録。独走を始める。竹内も後半に向けて順調に順位を上げ、沢田をパスするが、9周目にシケインのバニーホップ越えで失敗し、転倒。外したチェーンの復旧に手間取り、追撃の勢いを失ってしまった。疲労が見え精細を欠く織田も得意のシケインで失敗して転倒してしまい、6位まで順位を落とした。
独走してもシケインはバニホで飛び越え、観客が息を呑む美しい走りでペースを刻む竹之内は、
2位沢田に51秒の差をつけて独走勝利。5年の間隔が空いた前回大会のディフェンディングチャンピオンが、再びシクロクロス東京という最高の舞台で歓喜のフィニッシュを飾り、遠ざかっていたビッグタイトルを手にした。
竹之内悠のコメント
5年ぶり開催のこのお台場で、5年前と同じく優勝させてもらいました。最高です。2018年は海外のすごい選手が居たけど、そのときの良いイメージで走ることができた。何回か仕掛けても(沢田)時がトレースしてきていた。僕もたくさんレースをこなしてきていなかったので掛かりが悪くて。(竹内)遼が上がってきていたから警戒していたんです。砂場に岩が隠れていて、ぶつけた拍子にハンドルが下がってしまった。林間でも木の根っこが多いし、リム打ちしてパンクしないかヒヤヒヤでした。
マージン取りながら後半はペースを抑えて走りました。持っているものは出し切れたと思います。コロナが落ち着いたら海外にもまた行きたいと思っています。海外に若い選手を連れていきたいし、僕自身あと1、2シーズンぐらいは闘えると思うので、資金集めもして準備したいですね。脚に抱える問題はまだ残っていて、ランニングのトレーニングもできないままなんです。この5年間で色々と変わったけど、シクロクロス東京は変わらず最高の空間でした。たくさんの温かい応援、ありがとうございました。
2位の沢田時
差を詰めれると思って落ち着いて行ってたんですが、詰められなかったですね。力負けでした。フィジカルとテクニック、両方組み合わせてうまくやられたなと感じます。
4位の小坂光
序盤ペースが上がってからは耐えられなかった。コンディションはだいぶ上がっては来ているんですが、まだまだ本調子ではないですね。きつかったです。
6位の織田聖
ロードのほうではもうオフ期に入っていて休まなくてはいけなくて、今日のレースはジャージを見せるという感じで走りました。シケインではペダルが外れて転倒してしまった。今季はずっと勝ち続けてきて、最後に勝てなかったのでいい形でシーズンを締めくくれなかったけれど、また来シーズンこのジャージをしっかり魅せれる走りをしたい。
3位の竹内遼
後半バイクの扱いが雑になって転倒してしまった。もしトラブルなくジャンプアップできても今日の悠さんには勝てなかったと思う。来年は総合的にレベルを上げてリベンジしたい。シクロクロス東京を5年ぶりに走れて最高に良かった。この場所は本当に最高で選手にとって価値があるレース。ここで勝つということはそういうことだと思います。
シクロクロス東京2日目 男女エリートレース結果
CL1 | ||
1位 | 小川咲絵(AX cyclocross team) | 34:22 |
2位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +17 |
3位 | 石田唯(早稲田大学) | +59 |
4位 | 鵜飼千春(and more) | +4:35 |
5位 | 西方舞(TRC PANAMA REDS) | +5:19 |
6位 | 阿部花梨(チームBMインドカレーサーラF(t)麒麟山 | +6:10 |
7位 | 川崎路子(PAX PROJECT) | +6:10 |
8位 | 須藤むつみ | +6:58 |
9位 | 安藤紗弥 | -Lap |
10位 | 竹村舞葉(SHIDO-WORKS) | -Lap |
C1 TOP35 | ||
1位 | 竹之内悠(Cinelli - Vision) | 51:35 |
2位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | +0:52 |
3位 | 竹内遼(GHISALLO RACING) | +1:17 |
4位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) | +1:53 |
5位 | 鈴木来人 | +2:23 |
6位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +3:21 |
7位 | 積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | +4:13 |
8位 | 加藤健悟(臼杵レーシング) | +4:22 |
9位 | 千田尚孝(自転車村R_HANGOUT) | +4:54 |
10位 | 比護任(イナーメ信濃山形) | -1Lap |
text&photo:Makoto AYANO
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