JCL TEAM UKYOの初陣となった第3回サウジツアーが開幕。盤石のリードアウトを受けたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)が初日スプリントを制した。



スタート前日に行われた絢爛豪華なチームプレゼンテーション photo:CorVos

スタートを待つジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
1月30日、中東の国サウジアラビアにて第3回サウジツアー(UCI.2.1)が開幕した。ツール・ド・フランスと同じA.S.O.が主催する本大会は、2020年に本格始動したアラビア半島を巡る5日間のステージレース。レースカテゴリーこそ1クラス(上から3番目)に属するものの、ワールドツアーに引けを取らない規模と豪華なメンバーが魅力のレースだ。

舞台となるのはサウジアラビア北西部に位置するアルウラー。今年からオーストラリア籍のワールドチーム「ジェイコ・アルウラー」のタイトルスポンサーになり、また遺跡と近代的なビル群が目を引くアルウラーを全5ステージに渡り巡っていく。

前日の豪華なチームプレゼンテーションを経て、初日のスタート地点であるアルウラー国際空港に集ったのは7つのワールドチームを含む全16チーム、総勢111名の選手たち。第5ステージを除き平坦/丘陵ステージが占めることから、ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)、アスタナ・カザフスタンに移籍したケース・ボル(オランダ)など豪華スプリンターが集結。また日本からはJCL TEAM UKYOが出場し、小石祐馬や岡篤志に加えレイモンド・クレダー(オランダ)とベンジャミ・プラデス(スペイン)が結成後初レースとして臨んだ。

プロトンはジェイコ・アルウラーとチームDSMがコントロール photo:CorVos

JCL TEAM UKYOの初陣レースに出場した小石祐馬 photo:CorVos

砂漠地帯を進む選手たち photo:CorVos

第1ステージはアルウラー国際空港からハイバルに向かう180.5kmの平坦ステージ。JCL TEAM UKYOからは武山晃輔が積極的に動き、6名の逃げグループに入ることに成功。しかし残り70kmを過ぎる頃に先頭は2名まで絞られ、残り30km地点でこれがプロデビューレースである22歳マルクス・サンダーハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング)ただ一人となった。

メイン集団ではオーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダーやカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースに続き、勝利が至上命題のジェイコ・アルウラーがペースをコントロールする。アッカーマンが胃腸のトラブルで脱落する一方で、パンクに見舞われたフルーネウェーヘンはチーム総出の牽引により無事に集団に復帰。ジェイコがメイン集団の先頭で再びペースメイクをはじめた残り13kmでサンダーハンセンを捉え、勝負は大方の予想通り集団スプリントに持ち込まれた。

残り2kmで発生した落車は有力勢への影響はなく、重要なリードアウトであるジョン・デゲンコルプ(ドイツ)をパンクで失ったチームDSMが先頭へ。そしてチーム新加入ゼネク・スティバル(チェコ)からルカ・メズゲッツ(スロベニア)というベテラン2人によるジェイコトレインがフルーネウェーヘンを発射。追うドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、バーレーン・ヴィクトリアス)らを一切寄せ付けなかったフルーネウェーヘンが、タイトルスポンサーの前で勝利を掴んだ。

今季初勝利を飾ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

タイトルスポンサーかつ開催地であるアルウラーを指差すディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

「混沌とした展開のなかでチームの役割は多く、チームDSMしか逃げの追走に協力してくれなかった。途中パンクもあったがチームのおかげで集団復帰することができた。ジャージに刻まれたアルウラーのためにも第1ステージを勝ちたかった。良い滑り出しとなった」と、フルーネウェーヘンは初日勝利をそう振り返った。

JCL TEAM UKYOでは山本大喜が先頭集団内の31位でフィニッシュ。また序盤から逃げに乗った武山は「スタート直後のアタックに乗り、120kmほどを逃げで過ごしました。吸収後はグルペットでゴールまで。まだレースは始まったばかり。明日以降も頑張りますので、応援宜しくお願いします!!」とレース後、自身のSNSに綴っている。

翌第2ステージはアルウラーにあるウィンター・パークをスタートする184km。初日同様の平坦ステージのため、再びジェイコやチームDSMのスプリントトレインがぶつかり合うか。

サウジツアー2023第1ステージ結果
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) 4:08:09
2位 ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
3位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス)
4位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング)
5位 マックス・カンター(ドイツ、モビスター)
31位 山本大喜(JCL TEAM UKYO)
個人総合成績
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) 4:07:59
2位 ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:04
3位 マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、コフィディス) +0:06
4位 マルクス・サンダーハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング) +0:07
5位 ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング) +0:10
その他の特別賞
ポイント賞 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
ヤングライダー賞 マルクス・サンダーハンセン(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング)
チーム総合成績 モビスター
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos