2023/01/30(月) - 10:45
アタック合戦の末、スプリント決着となったカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。3年振りに開催されたレースでマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)が強豪勢を抑え、プロ初勝利をマークした。
1月29日、女子レースの翌日に開催された男子のカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。オーストラリア人初のツール・ド・フランス制覇を成し遂げたカデル・エヴァンスの功績を称え、2015年に始まったワンデーレースは3年ぶりの開催となった。
第8回大会には1週間前に閉幕したツアー・ダウンアンダーを終えた各チームが、真夏のオーストラリアでのトレーニングキャンプを経てそのまま出場するのが通例。2010年ロード世界選手権の舞台であるジーロングには11のワールドチームと、今年からプロチームに降格したイスラエル・プレミアテックと昇格したボルトンエクイティース・ブラックスポークプロサイクリング、そしてカレブ・ユアン擁するオーストラリアナショナルチームを加えた合計14チームが集った。
コースはジーロングの市街地をスタートし、内陸を抜けてベルス・ビーチを通過。再び出発地点のジーロングに戻ってから例年のコースを逆走するようにチャランブラクレセント(距離1.3km/平均7.2%/最大22%)を含む16.6kmコースを4周する176.5kmだ。歴代勝者に多様な脚質の選手が並ぶことからわかるように、スプリンターやパンチャーなどあらゆる選手に勝機があるレイアウトとなっている。
レースは逃げの名手タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)のアタックで幕開ける。最大4分差のリードを積み上げたファンデルホールンに対し、ツアー・ダウンアンダーが未勝利だったマイケル・マシューズ(オーストラリア)擁するジェイコ・アルウラーがメイン集団を率いて距離を消化していった。
ジーロングの周回コースに入り、この日1度目のチャランブラクレセントをファンデルホールンがトップ通過。この時点であった2分差は、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)らアタックにより活性化したプロトンが一気に詰め、やがてファンデルホールンの130kmに渡る単独走が終わった。
大集団のまま突入した最後のチャランブラクレセントではUAEチームエミレーツが高速牽引を実行したものの、マルク・ヒルシ(スイス)の牽制によってペースが落ち着く。硬直状態を崩すように、前回大会(2020年)覇者で出場選手の中で最年長39歳のドリース・デヴェナインス(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が急勾配区間で加速した。
頂上手前でスヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出し、下りで合流したジェームス・ノックス(イギリス、スーダル・クイックステップ)と共に後続に10秒の差をつける。しかしプロトンからアーリーアタックを仕掛けたルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が残り300mで2人を捉える一方で、後方集団ではデヴェナインスやドリアン・ゴドン(フランス、AG2Rシトロエン)、イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車。そしてプラップを飲み込んだ集団による混沌のプリントが幕開けた。
先にマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)が腰を上げ、その後ろにユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が追従。その脇からサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)とマシューズが迫ったものの、切れ味よく加速したマイヤーホーファーには届かなかった。
「プロでの勝利をずっと夢に見てきた。この事実が信じられない」と涙を流したマイヤーホーファーは「4度の厳しい登りもチームがアタックを潰し、僕は集団に食らいついて力を温存することができた。だからこれはチームで掴んだ勝利だ」とチームへの感謝を語った。
ワールドツアーでプロ初勝利を掴んだマイヤーホーファーは、チームDSMの下部チームから2022年に昇格した22歳。2017年のドイツナショナル選手権ロードレースの男子ジュニアを制した期待の若手スプリンターだ。また母国最大のワンデーレースで勝利を逃したマシューズは4位、ユアンは6位だった。
1月29日、女子レースの翌日に開催された男子のカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース。オーストラリア人初のツール・ド・フランス制覇を成し遂げたカデル・エヴァンスの功績を称え、2015年に始まったワンデーレースは3年ぶりの開催となった。
第8回大会には1週間前に閉幕したツアー・ダウンアンダーを終えた各チームが、真夏のオーストラリアでのトレーニングキャンプを経てそのまま出場するのが通例。2010年ロード世界選手権の舞台であるジーロングには11のワールドチームと、今年からプロチームに降格したイスラエル・プレミアテックと昇格したボルトンエクイティース・ブラックスポークプロサイクリング、そしてカレブ・ユアン擁するオーストラリアナショナルチームを加えた合計14チームが集った。
コースはジーロングの市街地をスタートし、内陸を抜けてベルス・ビーチを通過。再び出発地点のジーロングに戻ってから例年のコースを逆走するようにチャランブラクレセント(距離1.3km/平均7.2%/最大22%)を含む16.6kmコースを4周する176.5kmだ。歴代勝者に多様な脚質の選手が並ぶことからわかるように、スプリンターやパンチャーなどあらゆる選手に勝機があるレイアウトとなっている。
レースは逃げの名手タコ・ファンデルホールン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)のアタックで幕開ける。最大4分差のリードを積み上げたファンデルホールンに対し、ツアー・ダウンアンダーが未勝利だったマイケル・マシューズ(オーストラリア)擁するジェイコ・アルウラーがメイン集団を率いて距離を消化していった。
ジーロングの周回コースに入り、この日1度目のチャランブラクレセントをファンデルホールンがトップ通過。この時点であった2分差は、ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)らアタックにより活性化したプロトンが一気に詰め、やがてファンデルホールンの130kmに渡る単独走が終わった。
大集団のまま突入した最後のチャランブラクレセントではUAEチームエミレーツが高速牽引を実行したものの、マルク・ヒルシ(スイス)の牽制によってペースが落ち着く。硬直状態を崩すように、前回大会(2020年)覇者で出場選手の中で最年長39歳のドリース・デヴェナインス(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が急勾配区間で加速した。
頂上手前でスヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出し、下りで合流したジェームス・ノックス(イギリス、スーダル・クイックステップ)と共に後続に10秒の差をつける。しかしプロトンからアーリーアタックを仕掛けたルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が残り300mで2人を捉える一方で、後方集団ではデヴェナインスやドリアン・ゴドン(フランス、AG2Rシトロエン)、イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車。そしてプラップを飲み込んだ集団による混沌のプリントが幕開けた。
先にマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)が腰を上げ、その後ろにユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が追従。その脇からサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)とマシューズが迫ったものの、切れ味よく加速したマイヤーホーファーには届かなかった。
「プロでの勝利をずっと夢に見てきた。この事実が信じられない」と涙を流したマイヤーホーファーは「4度の厳しい登りもチームがアタックを潰し、僕は集団に食らいついて力を温存することができた。だからこれはチームで掴んだ勝利だ」とチームへの感謝を語った。
ワールドツアーでプロ初勝利を掴んだマイヤーホーファーは、チームDSMの下部チームから2022年に昇格した22歳。2017年のドイツナショナル選手権ロードレースの男子ジュニアを制した期待の若手スプリンターだ。また母国最大のワンデーレースで勝利を逃したマシューズは4位、ユアンは6位だった。
カデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース2023結果
1位 | マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM) | 4:15:11 |
2位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
3位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック) | |
4位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
5位 | コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | |
6位 | カレブ・ユアン(オーストラリアナショナルチーム) | |
7位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
8位 | マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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