灼熱の南米アルゼンチンを舞台にしたブエルタ・ア・サンフアン第2ステージ。アルカンシエルのリードアウトを得たファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)が、移籍後初勝利を狙うフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)を下した。



前日コースの危険性をレース主催者に訴えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

世界王者レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)、エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) などトップ選手が多数集結したブエルタ・ア・サンフアン(UCI2.Pro)。3年振りに戻ってきた南米アルゼンチン最大のレースはサン・フアン州ビージャ・サン・アグスティンからサン・ホセ・デ・ハチャルに向かう201.1kmの第2ステージを迎えた。

選手たちはスタート直後から28.3kmに及ぶ1級山岳ルタを登るが、平均勾配は僅か0.9%、かつその後も平坦基調がフィニッシュまで続くため、フィニッシュ地点では前日同様スプリンターによるスピード勝負が繰り広げられることになる。

2001年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位など数々のステージレースで活躍した46歳のオスカル・セビリャ(スペイン、メデリンEPM)ら13名が逃げたこの日、メイン集団はリーダーチームのボーラ・ハンスグローエに加えスーダル・クイックステップがコントロールした。逃げグループは1級山岳ルタを越え、残り10kmまで粘りを見せたものの、スプリントに向け位置取り争いが始まりスピードの上がったプロトンに吸収された。

オスカル・セビリャ(スペイン、メデリンEPM)を含む13名が逃げグループ photo:CorVos

ボトル運びをするフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

サン・フアン州の丘陵地帯を走るプロトン photo:CorVos

終盤にマヌエーレ・トロッツィ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)が単独アタックを見せたものの、実ることはなく、アルカンシエルを着るエヴェネプールの牽引が終わったタイミングでスプリントが幕開けた。ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトからサム・ベネット(アイルランド)が腰を上げ、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)と同時に先頭に出たファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)が、ハンドルの投げ合いを制した。

ヨーロッパ王者の意地を見せたヤコブセンは、「今日勝つことができて本当に嬉しい。危険だった昨日のステージ後、レース主催者と話し”安全を確保する”と約束してくれた。その通り今日は安全なレースだった。僕はいま雪が降るオランダの出身なので暑さは得意ではない。だが1時間毎に1.5Lの水を飲んでコンディションを整えた。また、今日の勝利は過去最強とも言えるチームメイトのおかげだ」とシーズン初勝利を喜んだ。

ハンドルを投げるフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)とファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

接戦スプリントを制したファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

3位にはジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)が入り、完璧なリードアウトを得ながらも4位に沈んだサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)は総合リーダージャージのキープに成功している。

翌日の第3ステージはモータースポーツのサーキット場であるオートドローモ・デ・ビリカムを発着点とする170.9kmのレース。フィニッシュ手前14kmから9kmほどの緩斜面の登り以外は、真っ平らのスプリントステージだ。

ブエルタ・ア・サンフアン2023第2ステージ表彰台 photo:CorVos
ブエルタ・ア・サンフアン2023第2ステージ結果
1位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ) 4:22:22
2位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)
3位 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)
4位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ヘルマン・ティバニ(アルゼンチン、コラテック)
6位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
7位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、チームDSM)
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)
9位 ペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)
10位 ニクラス・メルクル(ドイツ、チームDSM)
個人総合成績
1位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 7:41:28
2位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)
3位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) +0:04
4位 ミケル・モルコフ(デンマーク、スーダル・クイックステップ)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) +0:06
6位 ジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)
7位 オスカル・セビーリャ(コロンビア、メデリンEPM)
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) +0:10
9位 ペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)
10位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
その他の特別賞
山岳賞 トマス・コンテ(アルゼンチンナショナルチーム)
ヤングライダー賞 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、チームDSM)
チーム総合成績 ボーラ・ハンスグローエ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos