2022/12/12(月) - 12:30
アイルランドの首都ダブリンで開催されたUCIシクロクロスワールドカップ第10戦。パワー勝負の泥コースで、トラブルに見舞われつつもワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)とフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が勝利を飾った。
12月に入り、UCIシクロクロスワールドカップもフルスロットルでスケジュールを消化中。ベルギー・オランダを飛び出し、第9戦はアイルランドの首都ダブリンで開催された。中心街から10kmほど北にある郊外に用意された特設コースにトップスター選手が顔を揃えた。
ただでさえパワーが問われる緩傾斜/平坦基調のコースには折からの低温で凍結し、気温上昇と選手たちの走行によって一面泥コンディションに変貌。バイク交換必須のマッドコンディションでレースが行われた。
女子エリート:不調を抱えつつファンエンペル勝利 今季10勝目達成
女子エリートレースではバロワーズ・トレック・ライオンズのシリン・ファンアンローイと前世界女王ルシンダ・ブラント(共にオランダ)らが不出場。スタートダッシュを決めたマリー・シュライバー(ルクセンブルク、トルマンスCXチーム)が逃げる後ろで、今季プロトンを牛耳っているフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)は共に前を走る選手がバランスを崩した弾みでブレーキ。ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)らと共に5番手以降から先頭を伺った。
しかし1周目のシケインで、ピーテルスは得意のバニーホップを披露したものの、デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と交錯して落車。さらにチェーン落ちにも見舞われ20秒以上のビハインドを背負うことに。
先頭ではファンエンペルが独走に持ち込み、ピーテルスも長い追走の末にベッツェマたちを追い抜き、2周目後半に先頭に合流。こうしてワールドカップランキングリーダージャージを着る2人(エリート:ファンエンペル/U23:ピーテルス)による先頭パック形成という、今季何度も繰り返されている光景が出来上がった。
ピーテルスは追いつきざまにアタックしたものの、「胃の調子が悪かった」と不安材料を抱えるファンエンペルは、マイペースで追走して再びその背中をキャッチ。互いにペースアップすれどライバルを振り切れず、接近戦のまま最終ラップの最終区間へ。ピーテルスのアタックに被せ、さらに加速したファンエンペルがフィニッシュラインまで逃げ切った。
本調子ではないながらも、ファンエンペルが今シーズン10回目の勝利を達成。ピーテルスは2連続今季4度目の2位となり、3位は前半戦積極的にペースを上げたベッツェマだった。
男子エリート:メカトラブルに見舞われたファンアールトが追い上げ勝利
男子エリートレースはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)こそ不出場を選んだものの、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を筆頭にトップ選手が集結。気温低下によって路面が再び凍り始めるコンディションの中、序盤からエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がハイペースを刻み続けた。
誰かが抜け出すでもなく、大人数の先頭グループが一丸となってハイペースを刻む。全7周回のうち3周目に入るとローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)が最速ラップを叩き出してふるいにかけ始め、このペースアップを引き継いだピドコックとファンアールトが徐々に抜け出しを図る。しかし5周目にピット横を通過するタイミングで、他チームメカニックが落としたボロ布が、ファンアールトのバイクの駆動系に絡まった。
すぐ立ち止まり、走らなくなったバイクを担いでコースを逆走し、ピットでバイク交換作業を行ったファンアールト。しかし世界王者返り咲きを狙うベルギー王者は大きく遅れたものの、「ライバル勢はあらゆる方法で僕を止めようとしたけれど、そうはさせなかった(笑)」と、ここから圧巻の追い上げを披露することとなった。
20秒ほどあったビハインドを見る間に返上し、半周回も要さず先頭グループに合流。暫く集団後方で様子を観察していたファンアールトは「"ビッグエンジン"が求められるコース」にも関わらずするすると加速し、あっさりと独走に持ち込んだ。
ライバル勢のアタックや、ボロ布からの攻撃もファンアールトを止めるには至らない。1人追走したスウェークも置き去りにして今季シクロクロスレース初優勝を掴み取った。スウェークから遅れをとったピドコックは3位。
「特に精神的にとても難しいレースだったね。調子が戻ってきた瞬間メカトラに見舞われた。でも幸い上手く対処することができたんだ。アイルランドのレースで負けなしを維持できたし、誇りに思っているよ」とファンアールト。「メカトラはすぐに気づいた。ピットゾーンで起こったのはラッキー。だからレースを続けることにした」と加えている。
12月に入り、UCIシクロクロスワールドカップもフルスロットルでスケジュールを消化中。ベルギー・オランダを飛び出し、第9戦はアイルランドの首都ダブリンで開催された。中心街から10kmほど北にある郊外に用意された特設コースにトップスター選手が顔を揃えた。
ただでさえパワーが問われる緩傾斜/平坦基調のコースには折からの低温で凍結し、気温上昇と選手たちの走行によって一面泥コンディションに変貌。バイク交換必須のマッドコンディションでレースが行われた。
女子エリート:不調を抱えつつファンエンペル勝利 今季10勝目達成
女子エリートレースではバロワーズ・トレック・ライオンズのシリン・ファンアンローイと前世界女王ルシンダ・ブラント(共にオランダ)らが不出場。スタートダッシュを決めたマリー・シュライバー(ルクセンブルク、トルマンスCXチーム)が逃げる後ろで、今季プロトンを牛耳っているフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)は共に前を走る選手がバランスを崩した弾みでブレーキ。ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)らと共に5番手以降から先頭を伺った。
しかし1周目のシケインで、ピーテルスは得意のバニーホップを披露したものの、デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と交錯して落車。さらにチェーン落ちにも見舞われ20秒以上のビハインドを背負うことに。
先頭ではファンエンペルが独走に持ち込み、ピーテルスも長い追走の末にベッツェマたちを追い抜き、2周目後半に先頭に合流。こうしてワールドカップランキングリーダージャージを着る2人(エリート:ファンエンペル/U23:ピーテルス)による先頭パック形成という、今季何度も繰り返されている光景が出来上がった。
ピーテルスは追いつきざまにアタックしたものの、「胃の調子が悪かった」と不安材料を抱えるファンエンペルは、マイペースで追走して再びその背中をキャッチ。互いにペースアップすれどライバルを振り切れず、接近戦のまま最終ラップの最終区間へ。ピーテルスのアタックに被せ、さらに加速したファンエンペルがフィニッシュラインまで逃げ切った。
本調子ではないながらも、ファンエンペルが今シーズン10回目の勝利を達成。ピーテルスは2連続今季4度目の2位となり、3位は前半戦積極的にペースを上げたベッツェマだった。
男子エリート:メカトラブルに見舞われたファンアールトが追い上げ勝利
男子エリートレースはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)こそ不出場を選んだものの、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)と世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を筆頭にトップ選手が集結。気温低下によって路面が再び凍り始めるコンディションの中、序盤からエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がハイペースを刻み続けた。
誰かが抜け出すでもなく、大人数の先頭グループが一丸となってハイペースを刻む。全7周回のうち3周目に入るとローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)が最速ラップを叩き出してふるいにかけ始め、このペースアップを引き継いだピドコックとファンアールトが徐々に抜け出しを図る。しかし5周目にピット横を通過するタイミングで、他チームメカニックが落としたボロ布が、ファンアールトのバイクの駆動系に絡まった。
すぐ立ち止まり、走らなくなったバイクを担いでコースを逆走し、ピットでバイク交換作業を行ったファンアールト。しかし世界王者返り咲きを狙うベルギー王者は大きく遅れたものの、「ライバル勢はあらゆる方法で僕を止めようとしたけれど、そうはさせなかった(笑)」と、ここから圧巻の追い上げを披露することとなった。
20秒ほどあったビハインドを見る間に返上し、半周回も要さず先頭グループに合流。暫く集団後方で様子を観察していたファンアールトは「"ビッグエンジン"が求められるコース」にも関わらずするすると加速し、あっさりと独走に持ち込んだ。
ライバル勢のアタックや、ボロ布からの攻撃もファンアールトを止めるには至らない。1人追走したスウェークも置き去りにして今季シクロクロスレース初優勝を掴み取った。スウェークから遅れをとったピドコックは3位。
「特に精神的にとても難しいレースだったね。調子が戻ってきた瞬間メカトラに見舞われた。でも幸い上手く対処することができたんだ。アイルランドのレースで負けなしを維持できたし、誇りに思っているよ」とファンアールト。「メカトラはすぐに気づいた。ピットゾーンで起こったのはラッキー。だからレースを続けることにした」と加えている。
UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第9戦 女子エリート結果
1位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 47:13 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:02 |
3位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:37 |
4位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) | +2:26 |
5位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、トルマンスCXチーム) | +2:27 |
6位 | マノン・バッカー(オランダ、クレラン・フリスタッズ) | +3:39 |
7位 | ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ) | +4:39 |
8位 | シドニー・マッギル(カナダ) | +4:50 |
9位 | ミリー・カズンズ(イギリス、クレラン・フリスタッズ) | +4:53 |
10位 | フロール・ムーア(ベルギー) | +5:22 |
UCIシクロクロスワールドカップ2022-2023第9戦 男子エリート結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 59:36 |
2位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) | +0:14 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:17 |
4位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 0:19 |
5位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 0:22 |
6位 | イェンス・アダムス(ベルギー) | 0:33 |
7位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 0:35 |
8位 | ピム・ロンハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 0:37 |
9位 | コルネ・ファンケッセル(オランダ、トルマンスCXチーム) | 0:46 |
10位 | キャメロン・メイソン(イギリス、トリニティレーシング)) | 0:58 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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