2022/11/07(月) - 07:18
JCXシリーズ第2戦である幕張クロスが開催され、ME1ではホールショットから終始独走を続けた織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が大会4連覇を達成。WE1では渡部春雅(明治大学)が2位以下に1分もの大差をつけ優勝した。
11月6日、今年も千葉県千葉市の幕張メッセに隣接する幕張海浜公園にて幕張クロスがJCXシリーズの第2戦として開催された。10月に行われたJCXシリーズの開幕戦となった「茨城シクロクロス第2戦土浦ステージ」から約1か月。毎週末レースが繰り広げられる11月、いよいよCXシーズンの本格始動となる。
最高気温18度、11月ながら暖かな好天の中開催された幕張クロス。アクセスの良い都市型CXレースとあり、エントリー総数は500名を超えるビッグイベントだ。なお至近の千葉公園でMTB全日本選手権XCC、埼玉県でツール・ド・フランスさいたまクリテリウムなど、多数のサイクルイベントが目白押しとなったこの日。幕張も負けず劣らず、トップカテゴリーのエリートレースが開始される頃には、多くの観客が観戦に訪れていた。
コースは例年同様"忍者返し"と呼ばれるテクニカルセクションやシケインに、芝生のハイスピードエリアを組み合わせた、テクニックもパワーも要求されるコース。カラカラに乾いたコースは砂煙舞うドライコンディションとなり、14時のエリートレースではボトルを装着して挑むライダーの姿が目立った。
メインレースのME1には74名がエントリーリストに名を連ねた。同日、千葉公園にてMTB XCCの全日本選手権が開催され、沢田時(チームブリヂストンサイクリング)らMTB勢の姿はなかったものの、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や小坂光(宇都宮ブリッツェン)といったトップライダー達が最前列に並ぶ。シーズン開幕以降負け知らずの織田に、ライバル達がどこまで渡り合えるかに注目が集まった。
「今日の目標はホールショットを獲ること」とレース後に語った織田。その言葉通り、先頭で第1コーナーへ飛び込んだ織田は1周目から猛然とプッシュ。その背後には、JCX前戦の土浦ステージでも表彰台を射止めた副島達海(大阪産業大学)が追従、織田と同様にシケインをバニーホップでクリアしリードを重ねる。さらに後方では小坂と斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)がパックを組み、表彰台をかけた追走を開始する。
2周目にして盤石のリードを築いた織田は、一度スリップしたものの最後まで崩れることはなかった。一方、副島はメカトラによるバイク交換を機に少しづつ後退、小坂がじわじわと差を詰め始め、熟練の走りで逆転に成功。小坂、副島のリードに対して斎藤が4位、懸命に追走をしかける中でラストラップのジャンが鳴る。
織田は最後までペースを緩めることなく、スタートからゴールまでトップを守り続ける圧巻の走りを披露。JCXシリーズ2連勝、そして大会4連覇を飾った。中盤にかけ勢いを増した小坂が37秒差で2位、副島が49秒差で3位を確保。織田の刻むハイペースを前に、フルラップ完走はわずか16名にとどまった。
JCX2連勝を挙げた織田は「ホールショットを取れたの、そのまま踏み続けたら後ろとのギャップが生まれました。全日本選手権優勝を目指しているので、今日は踏み止めることもなく最後まで走り切りました。この後は野辺山や烏丸やワイルドネイチャーなど続くので、一戦一戦大事に取り組みたいです」と振り返る
後半に追い上げて全日本チャンピオンジャージの強さを見せた小坂は、「スタートで4番手くらいまで順位を落としてしまいましたが、今日の(織田)聖はペースが早くて徐々にタイム差が開いてしまいました。今回のコースはコーナー間の距離が短く、ギャップを詰めようにも詰められる場所もありませんでした」とレース後に語った。
さらに「今日の序盤はペースを上げられなくて、徐々にいいペースで走れるようになってきたタイミングで副島逹海を捉えられたので再びスイッチが入りましたが、追いつくぞと言うタイミングで落車してしまって、ロスしてしまいましたがなんとか2番手に入れました。前回の土浦のレースより感触が良かったので、これからに向けていいレースができたと思います」と言う。
対して序盤は好レースを見せた副島だったが「中盤に木の根にリムをヒットさせたのでパンクしたかなと思いバイクを交換しました。その後もメカトラブルが発生してしまい、上手くレース運びできませんでした」と語る。さらに「序盤は良い走りをできたのですが、疲れてきた時にミスしてしまったので、次戦のワイルドネイチャーでは先頭に食らいつきたいです」と意欲を見せた。
3位の副島の背中を捉え、表彰台まで迫った4位の斉藤は「自分が得意としているインフィールドでリズムが掴めなかったのですが、体調が良くてパワーが要求される芝生区間でよく踏めました。付かず離れずの位置で走っていた小坂選手から徐々に離された時に足が攣り始めてしまいました。副島選手までもう少しの距離になったところで、踏み直したら、全く別の場所が攣ってしまい、追いつくことはできませんでした。3年連続で4位なので次こそは表彰台を狙いたいです」と語った。
全日本チャンピオンの力を見たWE1 渡部春雅(明治大学)がJCX2連勝
ヒューマンパワードヘルスに所属する與那嶺恵理も参戦した女子のトップカテゴリーWE1。半袖でも過ごしやすい気温の中、号砲と共に先頭に躍り出たのは昨年JCXポイント首位の小川咲絵(AXシクロクロスチーム)。小川と全日本チャンピオンの渡部春雅(明治大学)のマッチアップとなるかと思われたが、小刻みにアップダウンを繰り返すコース前半を終えて忍者返しに単独で現れたのは渡部だった。
「スタートが苦手なので後手に回りましたが、直線で落ち着いて前に出ることができました」という渡部と小川の差は10秒ほどでレースが進んでいくが、「今年のシクロクロスは全日本選手権優勝を目標としているので、レースでは踏み続けました」と言う渡部はハイペースで突き進み、中盤から徐々にタイム差は拡大傾向に。
ボトルを用意する選手が現れるほどの高い気温で体力が削られるシチュエーションだったものの、渡部はペースを落とすことなく一人淡々と7周回のレースを先頭で走り切り、JCXの前戦・土浦大会に次ぐ2連勝。全日本チャンピオンジャージを着用する大学生は、全日本の連覇も目指してシクロクロスレースを走ると言う。
16名出走のうち最終完走者4名となったサバイバルレースで、渡部、小川とそれぞれ単独でレースを展開する前方を追ったのは、2年ぶりのシクロクロスレースとなった與那嶺。心拍が上がりきらなかったとレース後の表彰台で語った與那嶺だったがハイペース区間では持ち前の速さでレースを展開した。
棈木亮二氏:「良い大会だった。ここからはシクロクロス東京に向けての準備」
幕張クロスのタイトルスポンサーとして長年、大会を支えてきたチャンピオンシステム代表の棈木亮二氏。「今年は天気に恵まれ、いい雰囲気の大会になりました。ここからはシクロクロス東京に向けての準備が始まります。公式にはまだアナウンスをしていないのですが、各所から問い合わせがすでに多数届いており今から皆様の期待を受感じています。今大会のエントリーはクリック合戦になるかもしれません。カテゴリーレースだけではなくエンデューロも行う予定です。エントリーはもう少し先ですのでで、アナウンスをお待ちください」とコメント。
レーサーだけではなく、シクロクロスに興味がある方でも参戦しやすいシクロクロス東京。お台場の砂浜で開催されるビッグイベントは5年ぶりの開催となり、復活を心待ちにしていたシクロクロッサーたちで盛り上がるだろう。種目やエントリーの情報が届くのを心待ちにしたい。
なおシクロクロスの公式レースの予定は、翌週11月12日および13日に、JCXシリーズ3/4戦目となるRaphaスーパークロス野辺山が開催を控える。2日目のレースはUCIクラス2として開催され、東西のトップレーサーが集う激闘となるだろう。11月以降、毎週末ヒートアップしていくシリーズランキングにも注目したい。
11月6日、今年も千葉県千葉市の幕張メッセに隣接する幕張海浜公園にて幕張クロスがJCXシリーズの第2戦として開催された。10月に行われたJCXシリーズの開幕戦となった「茨城シクロクロス第2戦土浦ステージ」から約1か月。毎週末レースが繰り広げられる11月、いよいよCXシーズンの本格始動となる。
最高気温18度、11月ながら暖かな好天の中開催された幕張クロス。アクセスの良い都市型CXレースとあり、エントリー総数は500名を超えるビッグイベントだ。なお至近の千葉公園でMTB全日本選手権XCC、埼玉県でツール・ド・フランスさいたまクリテリウムなど、多数のサイクルイベントが目白押しとなったこの日。幕張も負けず劣らず、トップカテゴリーのエリートレースが開始される頃には、多くの観客が観戦に訪れていた。
コースは例年同様"忍者返し"と呼ばれるテクニカルセクションやシケインに、芝生のハイスピードエリアを組み合わせた、テクニックもパワーも要求されるコース。カラカラに乾いたコースは砂煙舞うドライコンディションとなり、14時のエリートレースではボトルを装着して挑むライダーの姿が目立った。
メインレースのME1には74名がエントリーリストに名を連ねた。同日、千葉公園にてMTB XCCの全日本選手権が開催され、沢田時(チームブリヂストンサイクリング)らMTB勢の姿はなかったものの、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や小坂光(宇都宮ブリッツェン)といったトップライダー達が最前列に並ぶ。シーズン開幕以降負け知らずの織田に、ライバル達がどこまで渡り合えるかに注目が集まった。
「今日の目標はホールショットを獲ること」とレース後に語った織田。その言葉通り、先頭で第1コーナーへ飛び込んだ織田は1周目から猛然とプッシュ。その背後には、JCX前戦の土浦ステージでも表彰台を射止めた副島達海(大阪産業大学)が追従、織田と同様にシケインをバニーホップでクリアしリードを重ねる。さらに後方では小坂と斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)がパックを組み、表彰台をかけた追走を開始する。
2周目にして盤石のリードを築いた織田は、一度スリップしたものの最後まで崩れることはなかった。一方、副島はメカトラによるバイク交換を機に少しづつ後退、小坂がじわじわと差を詰め始め、熟練の走りで逆転に成功。小坂、副島のリードに対して斎藤が4位、懸命に追走をしかける中でラストラップのジャンが鳴る。
織田は最後までペースを緩めることなく、スタートからゴールまでトップを守り続ける圧巻の走りを披露。JCXシリーズ2連勝、そして大会4連覇を飾った。中盤にかけ勢いを増した小坂が37秒差で2位、副島が49秒差で3位を確保。織田の刻むハイペースを前に、フルラップ完走はわずか16名にとどまった。
JCX2連勝を挙げた織田は「ホールショットを取れたの、そのまま踏み続けたら後ろとのギャップが生まれました。全日本選手権優勝を目指しているので、今日は踏み止めることもなく最後まで走り切りました。この後は野辺山や烏丸やワイルドネイチャーなど続くので、一戦一戦大事に取り組みたいです」と振り返る
後半に追い上げて全日本チャンピオンジャージの強さを見せた小坂は、「スタートで4番手くらいまで順位を落としてしまいましたが、今日の(織田)聖はペースが早くて徐々にタイム差が開いてしまいました。今回のコースはコーナー間の距離が短く、ギャップを詰めようにも詰められる場所もありませんでした」とレース後に語った。
さらに「今日の序盤はペースを上げられなくて、徐々にいいペースで走れるようになってきたタイミングで副島逹海を捉えられたので再びスイッチが入りましたが、追いつくぞと言うタイミングで落車してしまって、ロスしてしまいましたがなんとか2番手に入れました。前回の土浦のレースより感触が良かったので、これからに向けていいレースができたと思います」と言う。
対して序盤は好レースを見せた副島だったが「中盤に木の根にリムをヒットさせたのでパンクしたかなと思いバイクを交換しました。その後もメカトラブルが発生してしまい、上手くレース運びできませんでした」と語る。さらに「序盤は良い走りをできたのですが、疲れてきた時にミスしてしまったので、次戦のワイルドネイチャーでは先頭に食らいつきたいです」と意欲を見せた。
3位の副島の背中を捉え、表彰台まで迫った4位の斉藤は「自分が得意としているインフィールドでリズムが掴めなかったのですが、体調が良くてパワーが要求される芝生区間でよく踏めました。付かず離れずの位置で走っていた小坂選手から徐々に離された時に足が攣り始めてしまいました。副島選手までもう少しの距離になったところで、踏み直したら、全く別の場所が攣ってしまい、追いつくことはできませんでした。3年連続で4位なので次こそは表彰台を狙いたいです」と語った。
全日本チャンピオンの力を見たWE1 渡部春雅(明治大学)がJCX2連勝
ヒューマンパワードヘルスに所属する與那嶺恵理も参戦した女子のトップカテゴリーWE1。半袖でも過ごしやすい気温の中、号砲と共に先頭に躍り出たのは昨年JCXポイント首位の小川咲絵(AXシクロクロスチーム)。小川と全日本チャンピオンの渡部春雅(明治大学)のマッチアップとなるかと思われたが、小刻みにアップダウンを繰り返すコース前半を終えて忍者返しに単独で現れたのは渡部だった。
「スタートが苦手なので後手に回りましたが、直線で落ち着いて前に出ることができました」という渡部と小川の差は10秒ほどでレースが進んでいくが、「今年のシクロクロスは全日本選手権優勝を目標としているので、レースでは踏み続けました」と言う渡部はハイペースで突き進み、中盤から徐々にタイム差は拡大傾向に。
ボトルを用意する選手が現れるほどの高い気温で体力が削られるシチュエーションだったものの、渡部はペースを落とすことなく一人淡々と7周回のレースを先頭で走り切り、JCXの前戦・土浦大会に次ぐ2連勝。全日本チャンピオンジャージを着用する大学生は、全日本の連覇も目指してシクロクロスレースを走ると言う。
16名出走のうち最終完走者4名となったサバイバルレースで、渡部、小川とそれぞれ単独でレースを展開する前方を追ったのは、2年ぶりのシクロクロスレースとなった與那嶺。心拍が上がりきらなかったとレース後の表彰台で語った與那嶺だったがハイペース区間では持ち前の速さでレースを展開した。
棈木亮二氏:「良い大会だった。ここからはシクロクロス東京に向けての準備」
幕張クロスのタイトルスポンサーとして長年、大会を支えてきたチャンピオンシステム代表の棈木亮二氏。「今年は天気に恵まれ、いい雰囲気の大会になりました。ここからはシクロクロス東京に向けての準備が始まります。公式にはまだアナウンスをしていないのですが、各所から問い合わせがすでに多数届いており今から皆様の期待を受感じています。今大会のエントリーはクリック合戦になるかもしれません。カテゴリーレースだけではなくエンデューロも行う予定です。エントリーはもう少し先ですのでで、アナウンスをお待ちください」とコメント。
レーサーだけではなく、シクロクロスに興味がある方でも参戦しやすいシクロクロス東京。お台場の砂浜で開催されるビッグイベントは5年ぶりの開催となり、復活を心待ちにしていたシクロクロッサーたちで盛り上がるだろう。種目やエントリーの情報が届くのを心待ちにしたい。
なおシクロクロスの公式レースの予定は、翌週11月12日および13日に、JCXシリーズ3/4戦目となるRaphaスーパークロス野辺山が開催を控える。2日目のレースはUCIクラス2として開催され、東西のトップレーサーが集う激闘となるだろう。11月以降、毎週末ヒートアップしていくシリーズランキングにも注目したい。
幕張クロス2022 ME1リザルト
1位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1:01:44 |
2位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) | +0:37 |
3位 | 副島達海(大阪産業大学) | +0:49 |
4位 | 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) | +0:55 |
5位 | 鈴木来人 | +1:50 |
6位 | 加藤健悟(臼杵レーシング) | +2:02 |
7位 | 舟山祥弘(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | +2:27 |
8位 | 松田賢太郎 | +2:52 |
9位 | 比護任(イナーメ信濃山形) | +3:21 |
10位 | 山田誉史輝(PAXPROJECT) | +3:31 |
幕張クロス2022 WE1リザルト
1位 | 渡部春雅(明治大学) | 48:03 |
2位 | 小川咲絵(AX cyclocross team) | +1:00 |
3位 | 與那嶺 恵理(Human Powered Health) | +3:20 |
4位 | 川崎 路子(PAXPROJECT) | +5:14 |
5位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | LAP |
幕張クロス2022 その他クラスの優勝者
ME2 | 今井大悟(YAGI-TAI?) |
ME3 | 和田拓海(TEAM DMC) |
ME4-A | 宮崎久志 |
ME4-B | 山本率輝(Equipe mistral) |
MJ | 澤井千洋(SNEL) |
MU17 | 山田駿太郎(Team GRM) |
MU15 | 三上将醐(アスリチューン・CORRAGIO KAWANISHI U19) |
CM1 | 生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス) |
MM35 | 植田圭一郎(SUBARU・C・C) |
MM40 | 細田素弘(FAST LANE Racing) |
MM50 | 余語賢司(NCFR) |
MM60 | 佐野修司(cycleclub.3UP) |
WE2+3 | 阿部花梨(インドカレーサーラ) |
WU17 | 石川七海(SBC Dirt Union) |
WM | 綾野桂子(cycleclub.3UP) |
CK3 | 郷津輝(Dream Seeker Jr.Racing Team) |
CK2 | 阿部咲太朗(石神井らいだーず(仮)) |
CK1 | 宮崎暖大(イオンバイクJr.レーシング) |
text and photo : Ryota Nakatani / Gakuto Fujiwara
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