2022/11/04(金) - 12:00
とんでもないプロジェクトが始まった。すでに「サイクリングの聖地」として国内外で認知されている「しまなみ海道」。その聖地を中心に、周辺地域のサイクリングルートを共通のコンセプトで一本化しようというプロジェクト「Setouchi Vélo(セトウチヴェロ)」が、2022年10月29日、Setouchi Vélo来島海峡会議で正式に発表された。
これがどれほど壮大な企画か、まずはSetouchi Vélo来島海峡会議の出席メンバーを見てみれば、その本気度がわかる。議長は中村時広愛媛県知事。自身も熱心なサイクリストとして有名な知事だ。そして、しまなみ海道を共に盛り上げてきた湯崎英彦広島県知事。さらに、四国経済連合会会長佐伯勇人氏、岡山、徳島、山口、香川県の代表、しまなみ海道に掛かる橋や高速道路を管理する本州四国連絡高速道路(株)代表取締役社長後藤正郎氏、四国地方整備局、中国地方整備局、四国運輸局、中国運輸局…等々。
官民のそうそうたる顔ぶれが、来島海峡SAのオープンテラスに集った。正面にはしまなみ海道のルートラインにも採用されている鮮やかなブルーのバックボードに「Setouchi Vélo one setouchi,each story.」の文字。「ひとつの瀬戸内、それぞれのストーリー。」と訳されるキャッチフレーズに、このプロジェクトへの期待が膨らむ。
会議ではまず、Setouchi Vélo「愛媛宣言」が採択された(宣言内容の詳細は下部参照)。これまでバラバラに広がっていたサイクリングルートを「Setouchi Véloルート」としてネットワーク化し、ルートラインやピクトサインなどを統一。安全性、利便性を全体で底上げし、e-bikeの活用で幅広い層が楽しめるよう、サイクリングの普及を目指す。
会議終了後は、出席者がさっそく、e-bikeに乗って来島海峡大橋のサイクリングに出発。中村愛媛県知事は日ごろから、サイクリングプロジェクト担当に就いた職員には、「まず自転車に乗ること」を促していると聞く。この上ない秋晴れの青空の下、数名に分かれて来島海峡大橋を馬島までライド。馬島は来島海峡大橋の中間に位置し、船で行くか、陸からはエレベーターでしか入島できない無人島だ。
しかし今回は、エレベーターを下に進めるのではなく、なんと上へ。普段は立つことのできない主塔頂上に登るという、スペシャル体験が用意されていた。長く、自転車関連の企画に携わっていた湯崎広島県知事は「とにかく素晴らしいライドと体験だった。自転車のプロジェクトに関わり、ひとつ困ることがあるんですよ。自転車に乗っている写真や映像が出ますよね。遊んでいると思われるんですよ(笑) これは仕事です。いや、今日は本当に素晴らしかった」と感嘆する。
ライドのあとは、場所を今治国際ホテルに移し「Setouchi Vélo協議会設立総会」が開かれた。先の会議で採択されたことを踏まえ、今後も継続的な協議を重ねるべく設立された会で、毎年各地持ち回りで協議会を開く。次回開催は香川県で、協議会設立を記念した鏡開きには池田豊人香川県知事もかけつけ、中村愛媛県知事、湯崎広島県知事と肩を並べて記念撮影に応じた。
中村愛媛県知事にはひとつの信念がある。
「自転車は人々に“健康”と“生きがい”と“友情”をプレゼントする」
世界最大の自転車メーカー、ジャイアント社の劉金標会長がもたらした金言だ。各地ではサイクリングルートの整備やイベントが開催される昨今ではあるが、「地域活性をしたいから自転車を活用する」という考えではなく、「自転車を純粋に楽しんでいたら地域が活性化していた」というのが正しい姿と劉氏に教えられた中村愛媛県知事。自転車がもたらす様々な贈り物を受け取り、各地の自転車施策を「磨き込みたい」という言葉を強調していた。
考えてみれば、サイクリストにとって道は一本。そこには県境はない。自治体の枠を超えた壮大な「Setouchi Vélo」というプロジェクト。磨き込まれ、輝くサイクリング体験を我々にプレゼントしてくれることだろう。
Setouchi Vélo 愛媛宣言
瀬戸内地域及びその周辺地域を、環境に配慮した、安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」に育てることにより、本地域のブランド価値の向上を図り、持続的な地域振興を実現することを目的とし、相互に連携、協力することをここに宣言します。
一、サイクリングルートのネットワーク化
本地域それぞれに存する多数のサイクリングルートを「Setouchi Véloルート」として行政境界を越えてネットワーク化し、本地域全体が広域に連携したサイクリングエリアとなることを目指す。
一、サイクリングの推進エリア化
本地域を「日本屈指のサイクリングの推進エリア」として国内外にアピールできるよう、歩行者・自転車・自動車等が互いに安全に道路を利用できる快適性の高い自転車文化の構築を目指す。また、老若男女を問わず幅広い層がサイクリングを楽しめるよう、e-bike の普及・促進を推進する。
一、国内外への情報発信
世界に誇るサイクリングルートを有する本地域を国内外に向けて発信するため、マップ、ホームページの活用やメディア、DMO等との連携、新たなSetouchi VéloルートをPRするためのキャラバンの実施など、各種活動を展開する。
Setouchi Véloの詳細については追記事でも紹介していく。
text&photo:Shiho DOHI
これがどれほど壮大な企画か、まずはSetouchi Vélo来島海峡会議の出席メンバーを見てみれば、その本気度がわかる。議長は中村時広愛媛県知事。自身も熱心なサイクリストとして有名な知事だ。そして、しまなみ海道を共に盛り上げてきた湯崎英彦広島県知事。さらに、四国経済連合会会長佐伯勇人氏、岡山、徳島、山口、香川県の代表、しまなみ海道に掛かる橋や高速道路を管理する本州四国連絡高速道路(株)代表取締役社長後藤正郎氏、四国地方整備局、中国地方整備局、四国運輸局、中国運輸局…等々。
官民のそうそうたる顔ぶれが、来島海峡SAのオープンテラスに集った。正面にはしまなみ海道のルートラインにも採用されている鮮やかなブルーのバックボードに「Setouchi Vélo one setouchi,each story.」の文字。「ひとつの瀬戸内、それぞれのストーリー。」と訳されるキャッチフレーズに、このプロジェクトへの期待が膨らむ。
会議ではまず、Setouchi Vélo「愛媛宣言」が採択された(宣言内容の詳細は下部参照)。これまでバラバラに広がっていたサイクリングルートを「Setouchi Véloルート」としてネットワーク化し、ルートラインやピクトサインなどを統一。安全性、利便性を全体で底上げし、e-bikeの活用で幅広い層が楽しめるよう、サイクリングの普及を目指す。
会議終了後は、出席者がさっそく、e-bikeに乗って来島海峡大橋のサイクリングに出発。中村愛媛県知事は日ごろから、サイクリングプロジェクト担当に就いた職員には、「まず自転車に乗ること」を促していると聞く。この上ない秋晴れの青空の下、数名に分かれて来島海峡大橋を馬島までライド。馬島は来島海峡大橋の中間に位置し、船で行くか、陸からはエレベーターでしか入島できない無人島だ。
しかし今回は、エレベーターを下に進めるのではなく、なんと上へ。普段は立つことのできない主塔頂上に登るという、スペシャル体験が用意されていた。長く、自転車関連の企画に携わっていた湯崎広島県知事は「とにかく素晴らしいライドと体験だった。自転車のプロジェクトに関わり、ひとつ困ることがあるんですよ。自転車に乗っている写真や映像が出ますよね。遊んでいると思われるんですよ(笑) これは仕事です。いや、今日は本当に素晴らしかった」と感嘆する。
ライドのあとは、場所を今治国際ホテルに移し「Setouchi Vélo協議会設立総会」が開かれた。先の会議で採択されたことを踏まえ、今後も継続的な協議を重ねるべく設立された会で、毎年各地持ち回りで協議会を開く。次回開催は香川県で、協議会設立を記念した鏡開きには池田豊人香川県知事もかけつけ、中村愛媛県知事、湯崎広島県知事と肩を並べて記念撮影に応じた。
中村愛媛県知事にはひとつの信念がある。
「自転車は人々に“健康”と“生きがい”と“友情”をプレゼントする」
世界最大の自転車メーカー、ジャイアント社の劉金標会長がもたらした金言だ。各地ではサイクリングルートの整備やイベントが開催される昨今ではあるが、「地域活性をしたいから自転車を活用する」という考えではなく、「自転車を純粋に楽しんでいたら地域が活性化していた」というのが正しい姿と劉氏に教えられた中村愛媛県知事。自転車がもたらす様々な贈り物を受け取り、各地の自転車施策を「磨き込みたい」という言葉を強調していた。
考えてみれば、サイクリストにとって道は一本。そこには県境はない。自治体の枠を超えた壮大な「Setouchi Vélo」というプロジェクト。磨き込まれ、輝くサイクリング体験を我々にプレゼントしてくれることだろう。
Setouchi Vélo 愛媛宣言
瀬戸内地域及びその周辺地域を、環境に配慮した、安全で快適な、世界にも認められる「サイクリングの推進エリア」に育てることにより、本地域のブランド価値の向上を図り、持続的な地域振興を実現することを目的とし、相互に連携、協力することをここに宣言します。
一、サイクリングルートのネットワーク化
本地域それぞれに存する多数のサイクリングルートを「Setouchi Véloルート」として行政境界を越えてネットワーク化し、本地域全体が広域に連携したサイクリングエリアとなることを目指す。
一、サイクリングの推進エリア化
本地域を「日本屈指のサイクリングの推進エリア」として国内外にアピールできるよう、歩行者・自転車・自動車等が互いに安全に道路を利用できる快適性の高い自転車文化の構築を目指す。また、老若男女を問わず幅広い層がサイクリングを楽しめるよう、e-bike の普及・促進を推進する。
一、国内外への情報発信
世界に誇るサイクリングルートを有する本地域を国内外に向けて発信するため、マップ、ホームページの活用やメディア、DMO等との連携、新たなSetouchi VéloルートをPRするためのキャラバンの実施など、各種活動を展開する。
Setouchi Véloの詳細については追記事でも紹介していく。
text&photo:Shiho DOHI
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