2022/11/18(金) - 09:52
富士山に次ぐ、日本で2番目に広大な山裾の高原地帯を有する赤城山。その周りを巡る赤城山一周ライド最大の難所を攻略した先で迎えてくれるのは、心づくしのグルメと絶景ポイント。それでは前編に続き、実走レポートをお届けしよう。
第2エイドの水沼駅からスタートした私たちを待っていたのは、激坂だった。渡良瀬川が削った谷底からいったん高台に上がるための区間はかなりの斜度でついつい頑張ってしまいそうになる。しかし、実際のところこの先もまだまだ長いのでここはぐっとガマンして。
出来るだけ脚を温存しつつ登っていくと、「AKAGIサイクルスタンプラリー」のチェックポイントにもなっている赤城豆腐すみれ屋が見えてくる。ここでいったんピークを迎えたかのように見えるが、実際は1/3くらいの地点。もう少し先、大きな橋を通り過ぎた先にある楡橋トンネルを抜けたあたりからが後半戦だ。
段々と峠感が増してきて、九十九折れも姿を見せ始めてくると、ピークまではあと少し。登り切った先には「チャージステーション」として、ドリンクやお菓子を補給できるプチエイドが登場。ちなみにその先には東京電力の変電所があることも相まって、PHEVを家庭用電化製品の電源として使えるインバーターの実演も行われており、休憩中にスマホやサイコンの充電も出来るのだ。なるほど、確かにチャージステーションである。
さて、人間も機械も充電したら、ここから先は長めのダウンヒル区間となる。ところどころ斜面から水が染み出してきている箇所もあるので、下りは慎重に。ヒルクライムで火照った体が完全にクールダウンして、そろそろ寒さを感じ始めた頃合いで見えてくるのが沼田市のエイドステーション「南郷の曲屋」だ。
旧鈴木家住宅として、古民家を保存・利用している施設だが、この日は補修工事が行われており足場に覆われた姿に。少し前に厳島神社、宮島の大鳥居が足場に覆われた状態で写生大会が開催され、超高難易度となったという話題を思い出し、少しクスリとしてしまう。
昔ながらの土間や囲炉裏が残された曲屋では、特産のすいとんとおにぎりのセットを頂くことに。野菜と豚肉がたっぷり入ったすいとんを炭火で温かい囲炉裏端で頂くのは、まさに至福のひと時。ダウンヒルで冷えた体を内側から温めてくれ、再び走り出す元気が湧いてくる。ただ、饅頭、チャーハンときてボリュームたっぷりのすいとんとおにぎりというグルメ攻勢に、だんだん胃袋も悲鳴を上げ始めている(笑)。
囲炉裏端の居心地の良さについついながっちりになってしまいそうだが、ここまでくれば残すは半周。今度は赤城山の西側を南下していく区間となる。
片品川を渡り、利根沼田望郷ラインへ入っていく。丘の上への2kmほどの登りをこなせば、一気に景観が開けてくるこの望郷ライン。いったん登ってしまえばほぼ平坦か下りというご褒美のような区間となっており、俄然スピードも上がっていく。
ただ、このエリアは名産のこんにゃくをはじめ畑が多く、農作業のトラクターなども出てきたりするので、注意は必要。地元のみなさまのお邪魔にならないようにしつつ走っていくと、エイドステーションの道の駅、あぐりーむ昭和が見えてくる。
こちらの道の駅には、足湯や「焼き芋テラス」なんてコーナーも。地元の様々な産品が集まっているようで、お昼時ということもあり多くのお客さんで混雑する道の駅だった。
その一角で、玉こんにゃくやとうもろこしを頂くことに。しっかり味の沁みたこんにゃくは最高、とくにここまでカロリーオーバー気味だったので、そういった意味でも嬉しい(笑)。
ここまでくれば残すエイドステーションはあと一つ。前橋とならぶもう一つのスタート/フィニッシュ地点でもある渋川だ。あぐりーむ昭和まで、だいぶ下ってきた分を取り戻すように、もう一度赤城山の山腹へ向けて登っていく。
とはいえ、ここが最後の登りらしい登り。直登で心が折れそうになるが、裏を返せば終わりも見えているということだ。いったん登り返せば、また細かなアップダウンを刻みつつ、渋川のエイドステーションへ。
ここで待っていたのは、渋川のB級グルメチャンピオンである「丸福ホルモン」。ホルモンやレバーなどさまざまな部位が一度に味わえる味付けミックスホルモンがどんどん鉄板で焼かれていく。焼きたてのホルモンの濃い味が、疲労の溜まってきた体に心地よくしみわたっていく。やはり肉、肉は正義だ。
フィニッシュまでの最終区間。前橋の街並みを見下ろす道を東へ向けて走っていく。朝には吹いていなかった山からの風が強く吹き付けてくるので、ディープリムの方は要注意。いわゆる赤城おろし、からっ風と呼ばれる季節風なので、おそらくこの時期には遭遇する確率は高いはず。ちなみに、走っている道の名も「からっ風街道」というのだから、間違いない。
そして、最後は赤城南面千本桜へフィニッシュ。園路を下り、スタート会場へ戻ってきた皆さんを待っていたのは、ブルーベリークリームの入ったパリブレスト。長距離ライドに魂を焦がすブルベライダーの方々の憧れでもあるPBPこと、パリ~ブレスト~パリに着想を得たフランス菓子が最後に迎えてくれるあたり、このイベントの「サイクリストわかってる度」は100点満点である(笑)。
気づけば脚もパンパン、お腹もパンパンということで、とにかく満足度の高い110kmとなった赤城一周ライド。そう書くと、初心者お断りの敷居の高めなライドイベントと思われがちだが、さにあらず。
先述したハーフコースも用意されているし、元オリンピアンの飯島誠さんがガイドしてくれるE-BIKEツアーも開催されている。ブリヂストンのE-BIKEをレンタルでき、なんなら予備バッテリーを積んだサポートカーも随伴してくれるライドなので、体力に自信のない人、スポーツサイクリングが初めてという人でも完走できる至れり尽くせりの企画だ。
どんなレベルの人もでも楽しめる赤城一周ライド、ぜひ来年は仲間を誘って参加してみては?
text&photo:Naoki Yasuoka
第2エイドの水沼駅からスタートした私たちを待っていたのは、激坂だった。渡良瀬川が削った谷底からいったん高台に上がるための区間はかなりの斜度でついつい頑張ってしまいそうになる。しかし、実際のところこの先もまだまだ長いのでここはぐっとガマンして。
出来るだけ脚を温存しつつ登っていくと、「AKAGIサイクルスタンプラリー」のチェックポイントにもなっている赤城豆腐すみれ屋が見えてくる。ここでいったんピークを迎えたかのように見えるが、実際は1/3くらいの地点。もう少し先、大きな橋を通り過ぎた先にある楡橋トンネルを抜けたあたりからが後半戦だ。
段々と峠感が増してきて、九十九折れも姿を見せ始めてくると、ピークまではあと少し。登り切った先には「チャージステーション」として、ドリンクやお菓子を補給できるプチエイドが登場。ちなみにその先には東京電力の変電所があることも相まって、PHEVを家庭用電化製品の電源として使えるインバーターの実演も行われており、休憩中にスマホやサイコンの充電も出来るのだ。なるほど、確かにチャージステーションである。
さて、人間も機械も充電したら、ここから先は長めのダウンヒル区間となる。ところどころ斜面から水が染み出してきている箇所もあるので、下りは慎重に。ヒルクライムで火照った体が完全にクールダウンして、そろそろ寒さを感じ始めた頃合いで見えてくるのが沼田市のエイドステーション「南郷の曲屋」だ。
旧鈴木家住宅として、古民家を保存・利用している施設だが、この日は補修工事が行われており足場に覆われた姿に。少し前に厳島神社、宮島の大鳥居が足場に覆われた状態で写生大会が開催され、超高難易度となったという話題を思い出し、少しクスリとしてしまう。
昔ながらの土間や囲炉裏が残された曲屋では、特産のすいとんとおにぎりのセットを頂くことに。野菜と豚肉がたっぷり入ったすいとんを炭火で温かい囲炉裏端で頂くのは、まさに至福のひと時。ダウンヒルで冷えた体を内側から温めてくれ、再び走り出す元気が湧いてくる。ただ、饅頭、チャーハンときてボリュームたっぷりのすいとんとおにぎりというグルメ攻勢に、だんだん胃袋も悲鳴を上げ始めている(笑)。
囲炉裏端の居心地の良さについついながっちりになってしまいそうだが、ここまでくれば残すは半周。今度は赤城山の西側を南下していく区間となる。
片品川を渡り、利根沼田望郷ラインへ入っていく。丘の上への2kmほどの登りをこなせば、一気に景観が開けてくるこの望郷ライン。いったん登ってしまえばほぼ平坦か下りというご褒美のような区間となっており、俄然スピードも上がっていく。
ただ、このエリアは名産のこんにゃくをはじめ畑が多く、農作業のトラクターなども出てきたりするので、注意は必要。地元のみなさまのお邪魔にならないようにしつつ走っていくと、エイドステーションの道の駅、あぐりーむ昭和が見えてくる。
こちらの道の駅には、足湯や「焼き芋テラス」なんてコーナーも。地元の様々な産品が集まっているようで、お昼時ということもあり多くのお客さんで混雑する道の駅だった。
その一角で、玉こんにゃくやとうもろこしを頂くことに。しっかり味の沁みたこんにゃくは最高、とくにここまでカロリーオーバー気味だったので、そういった意味でも嬉しい(笑)。
ここまでくれば残すエイドステーションはあと一つ。前橋とならぶもう一つのスタート/フィニッシュ地点でもある渋川だ。あぐりーむ昭和まで、だいぶ下ってきた分を取り戻すように、もう一度赤城山の山腹へ向けて登っていく。
とはいえ、ここが最後の登りらしい登り。直登で心が折れそうになるが、裏を返せば終わりも見えているということだ。いったん登り返せば、また細かなアップダウンを刻みつつ、渋川のエイドステーションへ。
ここで待っていたのは、渋川のB級グルメチャンピオンである「丸福ホルモン」。ホルモンやレバーなどさまざまな部位が一度に味わえる味付けミックスホルモンがどんどん鉄板で焼かれていく。焼きたてのホルモンの濃い味が、疲労の溜まってきた体に心地よくしみわたっていく。やはり肉、肉は正義だ。
フィニッシュまでの最終区間。前橋の街並みを見下ろす道を東へ向けて走っていく。朝には吹いていなかった山からの風が強く吹き付けてくるので、ディープリムの方は要注意。いわゆる赤城おろし、からっ風と呼ばれる季節風なので、おそらくこの時期には遭遇する確率は高いはず。ちなみに、走っている道の名も「からっ風街道」というのだから、間違いない。
そして、最後は赤城南面千本桜へフィニッシュ。園路を下り、スタート会場へ戻ってきた皆さんを待っていたのは、ブルーベリークリームの入ったパリブレスト。長距離ライドに魂を焦がすブルベライダーの方々の憧れでもあるPBPこと、パリ~ブレスト~パリに着想を得たフランス菓子が最後に迎えてくれるあたり、このイベントの「サイクリストわかってる度」は100点満点である(笑)。
気づけば脚もパンパン、お腹もパンパンということで、とにかく満足度の高い110kmとなった赤城一周ライド。そう書くと、初心者お断りの敷居の高めなライドイベントと思われがちだが、さにあらず。
先述したハーフコースも用意されているし、元オリンピアンの飯島誠さんがガイドしてくれるE-BIKEツアーも開催されている。ブリヂストンのE-BIKEをレンタルでき、なんなら予備バッテリーを積んだサポートカーも随伴してくれるライドなので、体力に自信のない人、スポーツサイクリングが初めてという人でも完走できる至れり尽くせりの企画だ。
どんなレベルの人もでも楽しめる赤城一周ライド、ぜひ来年は仲間を誘って参加してみては?
text&photo:Naoki Yasuoka
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