10月27日に2023年ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションが行われ、バスクのビルバオで開幕する第110回大会のコース全貌が明らかになった。僅か22kmの個人タイムトライアル1つに対し、合計8つの山岳ステージが含まれる、クライマー向きのレイアウトだ。



コース全貌を明らかにするレースディレクターのクリスティアン・プリュドム氏コース全貌を明らかにするレースディレクターのクリスティアン・プリュドム氏 photo:A.S.O.
ツール・ド・フランス2022コース全体図ツール・ド・フランス2022コース全体図 image:A.S.O.今年1月に発表された通り、グランデパール(開幕地)はバスク最大の都市であるビルバオ。そこからフランスに入国してピレネー山脈を越え、中央山塊からジュラ山脈、アルプス山脈とフランスを西から東へ横断するように進む110回ツール・ド・フランス。7月1日(土)から23日(日)の日程で行われる大会を締めくくるのはもちろんパリ・シャンゼリゼ。合計距離は2022年大会より76km長い3,404kmだ。

ステージカテゴリー内訳
平坦ステージ:8
丘陵ステージ:4
山岳ステージ:8(山頂フィニッシュ:4)
個人タイムトライアル:1

2023年大会で特筆すべきは全21ステージを通して個人タイムトライアルが1度しか登場しないこと。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が初制覇した2020年も個人TTは1つ(36.2km)だったが、本大会は22kmと更に短い。そのためTT能力を武器とするレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)は個人TTが3つ登場する(合計距離70.6km)ジロ・デ・イタリアに照準を定める可能性が高い。

第1ステージは短くも急勾配な坂の多いバスクを象徴するような丘陵ステージ。最後は5%登坂の頂上にフィニッシュするため、パンチャーやスピードに長けたクライマー、軽量スプリンターにマイヨジョーヌ獲得にチャンスがありそうだ。その後2日間のバスクでの戦いを経て、フランス入国後の第6ステージに、ピレネー山脈を舞台とした大会最初の山岳フィニッシュが訪れる。

ツール・ド・フランス2023第16ステージ コースプロフィールツール・ド・フランス2023第16ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
ツール・ド・フランス2023第17ステージ コースプロフィールツール・ド・フランス2023第17ステージ コースプロフィール image:A.S.O.ツール・ド・フランス2023第20ステージ コースプロフィールツール・ド・フランス2023第20ステージ コースプロフィール image:A.S.O.

大会1週目のクライマックスは中央山塊に移動して行われる第9ステージだ。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)の祖父レイモン・プリドールが亡くなった地であるサン・レオナール・ド・ノブラを出発し、数々の名勝負を生み、1988年以来の登場となるピュイ・ド・ドーム(距離13.3km/平均7.7%)を登り詰める184kmの山岳ステージだ。

クレルモン・フェランで迎える1度目の休息日を経て、山岳ばかりの第2週にスプリンターの出番は少ない。丘陵、平坦、丘陵ステージの後はジュラ山脈の超級山岳グランコロンビエ峠(距離17.4km/平均7.1%)を含む山岳ステージが3日連続(第13、14、15ステージ)で登場。ここでマイヨジョーヌの争いが本格的に動き出す。

クイーンステージと目されているのは、今大会最高標高地点であるコル・デ・ラ・ロズ(2,304m)が登場する第17ステージだ。コース序盤から中盤にかけて3つのカテゴリー山岳をクリアして、フィニッシュ地点は最大勾配24%のロズ峠(距離28.4km/平均6%)を越えた先。山頂フィニッシュには分類されていないものの、最後のクールシュヴェルも最大18%を登坂する過酷なステージとなる。

コースプレゼンテーションに出席したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)コースプレゼンテーションに出席したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.
来季の所属チームが未定ながらも出場への意欲を語ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)来季の所属チームが未定ながらも出場への意欲を語ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:A.S.O.2022年大会では区間1勝を挙げたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)2022年大会では区間1勝を挙げたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.

第3週目は前述した大会唯一の個人タイムトライアル(22km)で幕を開ける。コース終盤にはベルナール・イノーが1980年の世界選手権で優勝アタックを決めたコート・ド・ドマンシー(距離2.5km/平均9.4%)が待ち受けるため、独走力に加え登坂力も求められる。そして5つのカテゴリー山岳を超える第20ステージの最終山岳決戦でマイヨジョーヌの行方が決定する。400kmと比較的距離の短い移動後に迎える最終日は、例年通りパリ・シャンゼリゼ通りにフィニッシュするスプリンター向きの平坦ステージだ。

近年稀に見る短さのタイムトライアルに加え、3週間満遍なく山岳ステージが散りばめられた本大会は正真正銘「クライマー向き」のツールとなった。

コースプレゼンテーションに出席したポガチャルやマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)ら有力選手のコメントは別途紹介予定。

ツール・ド・フランス2023ステージリスト
ステージ 日時 スタート〜フィニッシュ 距離
第1ステージ 7月1日(土) ビルバオ〜ビルバオ 182km(丘陵)
第2ステージ 7月2日(日) ビトリア・ガステイス〜サン・セバスティアン 209km(丘陵)
第3ステージ 7月3日(月) アモレビエタ・エチャノ〜バイヨンヌ 185km(平坦)
第4ステージ 7月4日(火) ダクス〜ノガロ 182km(平坦)
第5ステージ 7月5日(水) ポー〜ラランス 165km(山岳)
第6ステージ 7月6日(木) タルブ〜コテレ・カムバスク 145km(山岳/山頂)
第7ステージ 7月7日(金) モン・ド・マルサン〜ボルドー 170km(平坦)
第8ステージ 7月8日(土) リブルヌ〜リモージュ 201km(丘陵)
第9ステージ 7月9日(日) サン・レオナール・ド・ノブラ〜ピュイ・ド・ドーム 184km(山岳/山頂)
休息日 7月10日(月) クレルモン・フェラン
第10ステージ 7月11日(火) ビュルカニア〜イソワール 167km(丘陵)
第11ステージ 7月12日(水) クレルモン・フェラン〜ムーラン 180km(平坦)
第12ステージ 7月13日(木) ロアンヌ〜ベルビル・アン・ボジョレー 169km(丘陵)
第13ステージ 7月14日(金) シャティオン・シュル・シャロンヌ〜グランコロンビエ 138km(山岳/山頂)
第14ステージ 7月15日(土) アンヌマス〜モルジンヌ 152km(山岳)
第15ステージ 7月16日(日) レ・ゲット・レ・ポート・デュ・ソレイユ〜サンジェルベ・モンブラン 180km(山岳/山頂)
休息日 7月17日(月) サンジェルベ・モンブラン
第16ステージ 7月18日(火) パッシー〜コンブルー 22km(個人TT)
第17ステージ 7月19日(水) サンジェルベ・モンブラン〜クールシュヴェル 166km(山岳)
第18ステージ 7月20日(木) ムティエ〜ブールカン・ブレス 186km(丘陵)
第19ステージ 7月21日(金) モワラン・アン・モンターニュ〜ポリニー 173km(平坦)
第20ステージ 7月22日(土) ベルフォール〜ル・マルクシュタイン 133km(山岳)
第21ステージ 7月23日(日) サンカンタン・アン・イヴリーヌ〜パリ・シャンゼリゼ 115km(平坦)
text:Sotaro.Arakawa

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