2022/10/23(日) - 18:58
韓国で行われているアジアマウンテンバイク選手権クロスカントリー、男子エリートカテゴリーで北林力がアジア王者に。通算10回のアジア選手権での優勝を誇る山本幸平からの襷を引き継いだ。
既報のU23/ジュニアのレースでお伝えした通り、今回のアジア選のコースは急な登坂とテクニカルなダウンヒルセクションで構成されており、パンクや落車の危険度がかなり高いリスキーなコース。コンディションは完全にドライで、最終レースとなった男子エリートの時間帯では路面が削られ、砂の深い轍が発生しており、ラインの見極めが難しい状況となった。男子エリートには日本から北林力、竹内遼、宮津旭の3名がエントリー。レースは1周4kmのコースをスタートループ+5周回で実施された。
14時のスタートでは日本チームの3人はほぼ完璧なタイミングでスタートを切り、北林はホールショット獲得、竹内は5番手と良い形でレースインしたが、スタートイン側に位置した宮津はコーナリング時に他国の選手に後方から追突され、その弾みで落車、メカトラブルを負う。最後尾からレースを続行し、登坂区間で一気に先頭集団圏内まで復活を見せる力強い登坂で巻き返しを図るも最終的に機材破損の為、DNSに甘んじた。
北林は1周目の後半のダウンヒルセクションをプッシュし、後続集団から30秒から40秒程度のリードを奪う事に成功。「オーバーペースで爆発しないように集中した」との本人のコメントの通り、淡々と厳しい登坂区間を走破し、終始タイム差を冷静にコントロールしながらレースを進めた。竹内は周回路に入りダウンヒルセクションでクラッシュを喫し、先頭集団から脱落。レース中盤時点で逃げる北林、韓国のキム・ミノ、インドネシアのファナーニ・ザエナルの2名が登坂区間でのハードプッシュでタイムギャップを詰めにいくというメダル争いが展開された。
北林は登坂区間単体で十数秒タイムを埋められながらも、テクニカルセクションでのプッシュとリスクコントロールを丁寧に使い分け、スタートからゴールまで首位をキープしたまま最終的に2位キム・ミノとの35秒を維持して勝利。エリート初年度でのアジアチャンピオンを獲得した。レース中盤にパンクを喫し、我慢のレースを強いられた竹内は代表チームメンバーからの声援に応えるかのように必死の形相で力走。最終完走者として10位でレースを終えた。
全選手が20代以下、経験豊富なスタッフと代表初派遣メンバーも多数と言った新たな布陣で臨んだMTB日本ナショナルチームは、個人種目で金メダル3個、銅メダル1個、チームリレーで銀メダルという結果で大会を終えた。
以下は代表選手団からのコメント。
男子エリート優勝 北林力
今日のレースはかなりリスキーなコースで神経を使ったが、序盤のダウンヒルセクションで得た数十秒のリードのおかげで、優位にレースを進めることが出来た。今年欧州遠征に長期で行っていた事から、テクニック水準を高められたことが、結果に繋がったと感じる。
これまでジュニア、アンダーで取り逃がしていたアジアチャンピオンのタイトルをエリートで獲得できて素直に嬉しいと感じる一方で、世界を目標とする自分にとってはあくまで通過点。これからはチャンピオンとして追われる立場になることと、今回の勝利で来年のワールドカップでのスタート位置がかなり改善されるので、高いポジションに応じたレベルアップをしていかないとならない。
そう思うとチャンピオンになった瞬間から、次のステップに向けてやるべき事を一つずつクリアしていく必要がある。世界もアジアもほんの少しの取組の差で天と地がひっくり返るし、まず世界で通用する為にはまずアジアでNo.1であり続けること。これを強く心に持ち続け、五輪の大陸枠争いとなる来年のアジア選に向けて緊張感を持って、残るレースに臨みたい。
男子エリート10位 竹内遼
「最初の周回のダウンヒルセクションで転倒してしまい、そこから自分を奮い立たせてなんとか持ち直したが、中盤でパンクを喫してしまい、そこからはリズムが崩れ、苦しい走りとなってしまった。今回は最低でもメダルを持って帰るのが自分の仕事と考えていたが、自分の仕事を果たせず悔しい思いが強い。言葉以上に重い複雑な現在の心境ではあるが、続くレースと来年に向けてやるべきことを淡々とこなしていきたい。
自分自身の走りに満足できるものでは無かったが、ナショナルチームとしては各メンバーの優勝を含め、明るい兆し、新しい風を感じる遠征となった。これまで何度も代表としての活動してきたが、今回は経験してきた中でも最も集中できる環境を用意して頂いた。
黒江監督と山本テクニカルコーチの指揮の下、各スタッフの完璧な仕事のおかげで恵まれた環境でレースをする事が出来ている。チームとして行動する中で北林選手が優勝できたことは自分としては非常に嬉しく思うし、こんなチームワークを感じたことは無かった。チームメートとサポートスタッフの全員に感謝したい。このチームの中で自身を高めていきたいし、チームに貢献したい。
男子エリートDNF 宮津旭
スタートで後続選手に突っ込まれてしまい、落車・機材トラブルで代表としてのレースを一周も走らずに終えてしまった事が悔しい。ただレースを走る中で身体のコンディションの良さは感じられた部分があるので、今後の国内UCIレースや全日本での活躍に繋げていきたい。初のナショナルチームでの代表派遣を後押ししてくれた職場である王滝村と所属チームの皆さんに御礼をこの場をお借りして申し上げたい。北林選手の優勝はとても嬉しく、自身もまだまだ選手として挑戦したいという思いを駆り立てられた。この経験を糧に成長したい。
代表テクニカルコーチ山本幸平氏
東京五輪後、初めての体制で挑んだアジア選となったが、スタッフと選手がうまく噛み合い、3個の金メダルを獲得でき、良い流れで新たな活動を始められたと感じている。ただしアジア内での争いは激しい。10年前に比べて他国が陣容を整えてきており、日本ナショナルチームとしての動き方、チームビルディングを本気で考えて取り組んで行かなくてはならない。
短期的には来年の9月に実施される予定のアジア選手権で五輪枠獲得が大きな目標で、世界を目指すのであればその後も4年、8年と言った中長期スパンで色々な施策を進めていく必要がある。世界でもアジアでも、気を抜けば一気に地位が低下するという緊張感を持って、世界の歩みに取り残されない様に進み続けなければならない。
既報のU23/ジュニアのレースでお伝えした通り、今回のアジア選のコースは急な登坂とテクニカルなダウンヒルセクションで構成されており、パンクや落車の危険度がかなり高いリスキーなコース。コンディションは完全にドライで、最終レースとなった男子エリートの時間帯では路面が削られ、砂の深い轍が発生しており、ラインの見極めが難しい状況となった。男子エリートには日本から北林力、竹内遼、宮津旭の3名がエントリー。レースは1周4kmのコースをスタートループ+5周回で実施された。
14時のスタートでは日本チームの3人はほぼ完璧なタイミングでスタートを切り、北林はホールショット獲得、竹内は5番手と良い形でレースインしたが、スタートイン側に位置した宮津はコーナリング時に他国の選手に後方から追突され、その弾みで落車、メカトラブルを負う。最後尾からレースを続行し、登坂区間で一気に先頭集団圏内まで復活を見せる力強い登坂で巻き返しを図るも最終的に機材破損の為、DNSに甘んじた。
北林は1周目の後半のダウンヒルセクションをプッシュし、後続集団から30秒から40秒程度のリードを奪う事に成功。「オーバーペースで爆発しないように集中した」との本人のコメントの通り、淡々と厳しい登坂区間を走破し、終始タイム差を冷静にコントロールしながらレースを進めた。竹内は周回路に入りダウンヒルセクションでクラッシュを喫し、先頭集団から脱落。レース中盤時点で逃げる北林、韓国のキム・ミノ、インドネシアのファナーニ・ザエナルの2名が登坂区間でのハードプッシュでタイムギャップを詰めにいくというメダル争いが展開された。
北林は登坂区間単体で十数秒タイムを埋められながらも、テクニカルセクションでのプッシュとリスクコントロールを丁寧に使い分け、スタートからゴールまで首位をキープしたまま最終的に2位キム・ミノとの35秒を維持して勝利。エリート初年度でのアジアチャンピオンを獲得した。レース中盤にパンクを喫し、我慢のレースを強いられた竹内は代表チームメンバーからの声援に応えるかのように必死の形相で力走。最終完走者として10位でレースを終えた。
全選手が20代以下、経験豊富なスタッフと代表初派遣メンバーも多数と言った新たな布陣で臨んだMTB日本ナショナルチームは、個人種目で金メダル3個、銅メダル1個、チームリレーで銀メダルという結果で大会を終えた。
以下は代表選手団からのコメント。
男子エリート優勝 北林力
今日のレースはかなりリスキーなコースで神経を使ったが、序盤のダウンヒルセクションで得た数十秒のリードのおかげで、優位にレースを進めることが出来た。今年欧州遠征に長期で行っていた事から、テクニック水準を高められたことが、結果に繋がったと感じる。
これまでジュニア、アンダーで取り逃がしていたアジアチャンピオンのタイトルをエリートで獲得できて素直に嬉しいと感じる一方で、世界を目標とする自分にとってはあくまで通過点。これからはチャンピオンとして追われる立場になることと、今回の勝利で来年のワールドカップでのスタート位置がかなり改善されるので、高いポジションに応じたレベルアップをしていかないとならない。
そう思うとチャンピオンになった瞬間から、次のステップに向けてやるべき事を一つずつクリアしていく必要がある。世界もアジアもほんの少しの取組の差で天と地がひっくり返るし、まず世界で通用する為にはまずアジアでNo.1であり続けること。これを強く心に持ち続け、五輪の大陸枠争いとなる来年のアジア選に向けて緊張感を持って、残るレースに臨みたい。
男子エリート10位 竹内遼
「最初の周回のダウンヒルセクションで転倒してしまい、そこから自分を奮い立たせてなんとか持ち直したが、中盤でパンクを喫してしまい、そこからはリズムが崩れ、苦しい走りとなってしまった。今回は最低でもメダルを持って帰るのが自分の仕事と考えていたが、自分の仕事を果たせず悔しい思いが強い。言葉以上に重い複雑な現在の心境ではあるが、続くレースと来年に向けてやるべきことを淡々とこなしていきたい。
自分自身の走りに満足できるものでは無かったが、ナショナルチームとしては各メンバーの優勝を含め、明るい兆し、新しい風を感じる遠征となった。これまで何度も代表としての活動してきたが、今回は経験してきた中でも最も集中できる環境を用意して頂いた。
黒江監督と山本テクニカルコーチの指揮の下、各スタッフの完璧な仕事のおかげで恵まれた環境でレースをする事が出来ている。チームとして行動する中で北林選手が優勝できたことは自分としては非常に嬉しく思うし、こんなチームワークを感じたことは無かった。チームメートとサポートスタッフの全員に感謝したい。このチームの中で自身を高めていきたいし、チームに貢献したい。
男子エリートDNF 宮津旭
スタートで後続選手に突っ込まれてしまい、落車・機材トラブルで代表としてのレースを一周も走らずに終えてしまった事が悔しい。ただレースを走る中で身体のコンディションの良さは感じられた部分があるので、今後の国内UCIレースや全日本での活躍に繋げていきたい。初のナショナルチームでの代表派遣を後押ししてくれた職場である王滝村と所属チームの皆さんに御礼をこの場をお借りして申し上げたい。北林選手の優勝はとても嬉しく、自身もまだまだ選手として挑戦したいという思いを駆り立てられた。この経験を糧に成長したい。
代表テクニカルコーチ山本幸平氏
東京五輪後、初めての体制で挑んだアジア選となったが、スタッフと選手がうまく噛み合い、3個の金メダルを獲得でき、良い流れで新たな活動を始められたと感じている。ただしアジア内での争いは激しい。10年前に比べて他国が陣容を整えてきており、日本ナショナルチームとしての動き方、チームビルディングを本気で考えて取り組んで行かなくてはならない。
短期的には来年の9月に実施される予定のアジア選手権で五輪枠獲得が大きな目標で、世界を目指すのであればその後も4年、8年と言った中長期スパンで色々な施策を進めていく必要がある。世界でもアジアでも、気を抜けば一気に地位が低下するという緊張感を持って、世界の歩みに取り残されない様に進み続けなければならない。
XCO男子エリート結果
1位 | 北林力(日本) | 1:29:30 |
2位 | KIM Mino(韓国) | 1:30:05 |
3位 | FANANI Zaenal(インドネシア) | 1:30:31 |
10位 | 竹内遼(日本) | 1:39:18 |
DNF | 宮津旭(日本) |
text&photo:Yoshinori Suzuki
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