2022/10/22(土) - 14:55
韓国、順天市で開催中のアジアマウンテンバイク選手権。大会3日目にはクロスカントリー競技が始まり、日本勢は女子U23で小林あかりと男子ジュニアで高橋翔が金メダル。女子ジュニアにて中島瞳が銅メダルを獲得している。また大会初日に行われたチームリレーでも日本は銀メダルを獲得している。
韓国の順天市を舞台に開催されているMTBアジア選手権。JCFのテクニカルアドバイザーを務める山本幸平氏によれば、コースは「とにかく登りも下りもハードなコース。コース内に無数にロックセクションが設置されている上に、ダスティーな路面で、正確なバイクコントロールを持ってしても運に頼らざるを得ない『アジア感』が特徴的な少々危険なコース」だという。
日本代表団監督の黒江氏は今回の代表派遣について「東京五輪以降、新たな競技体制を模索、チャレンジ、日本の位置付けを再認識すると言う位置付けのレース。開催国が韓国と言う事情を鑑み、ジュニア・アンダーには幅広い選手にチャンスを与え、経験豊富なスタッフ陣から多くを学んでもらいたい。」と語っており、育成と承継を念頭に置いたチームビルドを行ったとのこと。
日本勢はXCOに向けてのコンディションチェックと、ライバルの様子を探る目的も兼ねて初日のチームリレーに出場。メンバーは北林力、宮津旭、小林あか里、村上功太郎、高橋翔で、4走目まで大リードを築きながら最終周回でのパンクトラブルと言う不運があったものの銀メダルを獲得。選手それぞれ手応えを持って大会3日目のクロスカントリー競技に臨んだ。
女子U23では小林あか里がスタートから独走で後続に4分以上の大差をつけての優勝。登坂区間での冷静なペースコントロールとダウンヒルセクションでの安定感のあるバイクコントロールが光った。
女子U23と時差スタートで実施された女子ジュニアには中島瞳が出走。スタートではトラックレースで磨いたスピードを発揮しホールショットを獲得するも、登坂能力に優れるカザフスタンの2名の選手に登りで遅れを取ってしまい、その後は得意な下りで遅れを回収すると言う展開でのレース進行。最終周回にイランの選手に追い抜かれるも、下りの難関セクションで観客を唸らすオーバーテイクを披露し、3位表彰台を死守した。
男子U23には村上功太郎と鈴木来人が出走。村上は序盤から前方でレースを展開するも、狭いコースでの他国選手との競り合いに自身のペース配分が出来ず、ミスをすればすぐにパンクするリスクが高いコースを前に苦しいレース展開を強いられ、5位でのフィニッシュ。鈴木はコンディションの良さを感じさせるキレのある走りを見せるが、レース序盤と後半にパンクを喫し、9位完走となった。
男子ジュニアには高橋翔、遠藤紘介、嶋崎亮我、古江昂太という4名が出走。高橋はスタートから先頭を維持し、登坂・ダウンヒル共に安定的なパフォーマンスを発揮し、後続に2分以上のタイム差をつけ磐石の走りで優勝。3人はスタートで高橋に次いで日本チームとしてまとまった走りをしたものの、各選手パンクや後半に掛けての他国のペースアップに食らい付くことが出来ず、遠藤7位、島崎8位、古江11位でレースを終えている。
下記に選手・スタッフのコメントを紹介する。
女子ジュニア銅メダル獲得 中島瞳
夏から10月までトラックレースをメインに活動していたため、自分の中でアジア選手権に臨むにあたりテクニック面が課題と感じていましたが、レース直前にDHコースで集中特訓したことと代表メンバーと一緒に試走で感覚を研ぎ澄ます事ができ、他国の選手に対してテクニック面でのアドバンテージを持ってレースを進めることができました。
この銅メダルはサポートしてくださった皆さんのおかげです。今後は競輪学校を受験し、競輪選手としての活動もしたいのですが、このレースをきっかけにMTBも真剣に取り組みたいと考えています。まだ「競輪とMTBの二刀流」は誰もやっていませんが、その第一人者になりたい。今後も応援よろしくお願いします。
男子ジュニア金メダル 高橋翔
スタートから独走で先頭を譲ることなくレースを進めることができ、とても気持ちよく走れました。コースの難易度が高く、パンクトラブルも多い危険なコースだった事から、リードを築いてからは安全マージンをとって走った事で、危険なレースでもなんとかゴールまで辿り着けたと言う感じ。最後はホッとしたと言うのが正直な感想です。
今後は全日本選手権での優勝が目標です。来年もアジア選、世界選手権とジュニアカテゴリで走りますが、今年の世界選ではDNFで悔しい思いをしたので、40位を目標に頑張っていきたい。将来的には世界トップレベルで戦うことが夢なので、長い目で見て応援して頂けると嬉しいです。
テクニカルコーチ 山本幸平氏
今回は若いメンバーそれぞれが、国外に出た時の課題点などを確認する良い機会となったと感じます。今回メダルを獲得した選手については、非常に安定した走りができていたと感じるし、良い勝利だった。一方で女子で言えば、エリートの中国の優勝者と比較すると時速1km弱のギャップがあります。女子も男子も世界を目指す選手がアジアで勝つのは最低限の結果。自分を奮い立たせてこれからも頑張って欲しい。
思うような結果が残せなかったジュニア選手も、落ち込んだりせず、この経験を心の栄養にして今後の活動に繋げて欲しいと思います。U23男子は、厳しい事を言えば全く勝負に絡めていない状態。この状態で世界に出ても結果は容易に想像できるところだと思う。何を目標にどこまでやり切るか。改めて、自分がすべき事を見つめ直して集中して取り組んでもらいたい。
ジュニア担当コーチ 松本駿氏
ジュニア担当のコーチとして昨年12月から育成支援と体制整備を担い、ナショナルチームとしての活動の在り方を模索しつつ、合宿、ワールドカップ、世界選手権遠征を経験してきました。過去の若年層の代表というのはスポット遠征だけでしたが、連続的な育成支援を行ってきたまとめとして、今回のアジア選手権では『チーム』としての環境面の整備と、先輩選手からの経験の伝承・承継というのが機能してきたと感じられます。この環境を活かして選手個々にはより高いステップに向けて多くを学んで欲しいと思うし、代表メンバー以外の選手もこの環境を目指して頑張って欲しい。選手の想いに応え、選手の成長を促す環境作りに今後も注力していきたい。
韓国の順天市を舞台に開催されているMTBアジア選手権。JCFのテクニカルアドバイザーを務める山本幸平氏によれば、コースは「とにかく登りも下りもハードなコース。コース内に無数にロックセクションが設置されている上に、ダスティーな路面で、正確なバイクコントロールを持ってしても運に頼らざるを得ない『アジア感』が特徴的な少々危険なコース」だという。
日本代表団監督の黒江氏は今回の代表派遣について「東京五輪以降、新たな競技体制を模索、チャレンジ、日本の位置付けを再認識すると言う位置付けのレース。開催国が韓国と言う事情を鑑み、ジュニア・アンダーには幅広い選手にチャンスを与え、経験豊富なスタッフ陣から多くを学んでもらいたい。」と語っており、育成と承継を念頭に置いたチームビルドを行ったとのこと。
日本勢はXCOに向けてのコンディションチェックと、ライバルの様子を探る目的も兼ねて初日のチームリレーに出場。メンバーは北林力、宮津旭、小林あか里、村上功太郎、高橋翔で、4走目まで大リードを築きながら最終周回でのパンクトラブルと言う不運があったものの銀メダルを獲得。選手それぞれ手応えを持って大会3日目のクロスカントリー競技に臨んだ。
女子U23では小林あか里がスタートから独走で後続に4分以上の大差をつけての優勝。登坂区間での冷静なペースコントロールとダウンヒルセクションでの安定感のあるバイクコントロールが光った。
女子U23と時差スタートで実施された女子ジュニアには中島瞳が出走。スタートではトラックレースで磨いたスピードを発揮しホールショットを獲得するも、登坂能力に優れるカザフスタンの2名の選手に登りで遅れを取ってしまい、その後は得意な下りで遅れを回収すると言う展開でのレース進行。最終周回にイランの選手に追い抜かれるも、下りの難関セクションで観客を唸らすオーバーテイクを披露し、3位表彰台を死守した。
男子U23には村上功太郎と鈴木来人が出走。村上は序盤から前方でレースを展開するも、狭いコースでの他国選手との競り合いに自身のペース配分が出来ず、ミスをすればすぐにパンクするリスクが高いコースを前に苦しいレース展開を強いられ、5位でのフィニッシュ。鈴木はコンディションの良さを感じさせるキレのある走りを見せるが、レース序盤と後半にパンクを喫し、9位完走となった。
男子ジュニアには高橋翔、遠藤紘介、嶋崎亮我、古江昂太という4名が出走。高橋はスタートから先頭を維持し、登坂・ダウンヒル共に安定的なパフォーマンスを発揮し、後続に2分以上のタイム差をつけ磐石の走りで優勝。3人はスタートで高橋に次いで日本チームとしてまとまった走りをしたものの、各選手パンクや後半に掛けての他国のペースアップに食らい付くことが出来ず、遠藤7位、島崎8位、古江11位でレースを終えている。
下記に選手・スタッフのコメントを紹介する。
女子ジュニア銅メダル獲得 中島瞳
夏から10月までトラックレースをメインに活動していたため、自分の中でアジア選手権に臨むにあたりテクニック面が課題と感じていましたが、レース直前にDHコースで集中特訓したことと代表メンバーと一緒に試走で感覚を研ぎ澄ます事ができ、他国の選手に対してテクニック面でのアドバンテージを持ってレースを進めることができました。
この銅メダルはサポートしてくださった皆さんのおかげです。今後は競輪学校を受験し、競輪選手としての活動もしたいのですが、このレースをきっかけにMTBも真剣に取り組みたいと考えています。まだ「競輪とMTBの二刀流」は誰もやっていませんが、その第一人者になりたい。今後も応援よろしくお願いします。
男子ジュニア金メダル 高橋翔
スタートから独走で先頭を譲ることなくレースを進めることができ、とても気持ちよく走れました。コースの難易度が高く、パンクトラブルも多い危険なコースだった事から、リードを築いてからは安全マージンをとって走った事で、危険なレースでもなんとかゴールまで辿り着けたと言う感じ。最後はホッとしたと言うのが正直な感想です。
今後は全日本選手権での優勝が目標です。来年もアジア選、世界選手権とジュニアカテゴリで走りますが、今年の世界選ではDNFで悔しい思いをしたので、40位を目標に頑張っていきたい。将来的には世界トップレベルで戦うことが夢なので、長い目で見て応援して頂けると嬉しいです。
テクニカルコーチ 山本幸平氏
今回は若いメンバーそれぞれが、国外に出た時の課題点などを確認する良い機会となったと感じます。今回メダルを獲得した選手については、非常に安定した走りができていたと感じるし、良い勝利だった。一方で女子で言えば、エリートの中国の優勝者と比較すると時速1km弱のギャップがあります。女子も男子も世界を目指す選手がアジアで勝つのは最低限の結果。自分を奮い立たせてこれからも頑張って欲しい。
思うような結果が残せなかったジュニア選手も、落ち込んだりせず、この経験を心の栄養にして今後の活動に繋げて欲しいと思います。U23男子は、厳しい事を言えば全く勝負に絡めていない状態。この状態で世界に出ても結果は容易に想像できるところだと思う。何を目標にどこまでやり切るか。改めて、自分がすべき事を見つめ直して集中して取り組んでもらいたい。
ジュニア担当コーチ 松本駿氏
ジュニア担当のコーチとして昨年12月から育成支援と体制整備を担い、ナショナルチームとしての活動の在り方を模索しつつ、合宿、ワールドカップ、世界選手権遠征を経験してきました。過去の若年層の代表というのはスポット遠征だけでしたが、連続的な育成支援を行ってきたまとめとして、今回のアジア選手権では『チーム』としての環境面の整備と、先輩選手からの経験の伝承・承継というのが機能してきたと感じられます。この環境を活かして選手個々にはより高いステップに向けて多くを学んで欲しいと思うし、代表メンバー以外の選手もこの環境を目指して頑張って欲しい。選手の想いに応え、選手の成長を促す環境作りに今後も注力していきたい。
XCO女子ジュニア結果
1位 | SPIRINA Alina(カザフスタン) | 0:50:57 |
2位 | KAZAKOVA Violetta カザフスタン | 0:51:27 |
3位 | 中島瞳(日本) | 0:52:21 |
XCO女子U23結果
1位 | 小林あか里(日本) | 1:09:10 |
2位 | DEWI Sayu Bella Sukma(インドネシア) | 1:13:15 |
3位 | KWAN Tsz Kwan(香港) | 1:14:56 |
XCO男子ジュニア結果
1位 | 高橋翔(日本) | 0:54:14 |
2位 | YUDOYONO Feri (インドネシア) | 0:56:25 |
3位 | MAZLIN Muhanmad Syawal (マレーシア) | 0:56:57 |
7位 | 遠藤紘介(日本) | 1:01:10 |
8位 | 嶋崎亮我(日本) | 1:10:12 |
11位 | 古江昂太(日本) | 1:01:45 |
XCO男子U23結果
1位 | CHUN Seonghun(韓国) | 1:08:48 |
2位 | SERGIYENKO Denis(カザフスタン) | 1:09:23 |
3位 | HEO Seung Soo(韓国) | 1:12:25 |
5位 | 村上功太郎(日本) | 1:15:19 |
9位 | 鈴木来人(日本) | 1:17:50 |
text&photo:Yoshinori Suzuki
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