終始アタックが繰り広げられたルクセンブルク3日目で、アーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング) が勝利。バンジャマン・トマのアーリーアタックに追従したコモンウェルスゲーム覇者がワールドチームを抑え、驚きの勝利を挙げた。



ロスポールからディーキルヒの丘陵地帯で争われた第3ステージロスポールからディーキルヒの丘陵地帯で争われた第3ステージ (c)skodatour.lu
スタート会場に姿を見せたアンディ・シュレックスタート会場に姿を見せたアンディ・シュレック (c)skodatour.lu大会3日目を迎えたツール・ド・ルクセンブルク(UCI2.Pro)はロスポールを出発してディーキルヒを目指す188.4kmで争われた。序盤に1級山岳を越え、中盤に1つ、終盤に2つの超級山岳が待ち受けるクイーンステージ。しかし超級山岳と言ってもいずれも登坂距離は2km以下と難易度は低い。

初日勝者でリーダージャージを着用するヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)を先頭にスタートが切られ、即座にピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)を含む9名が逃げ集団を形成する。最初2つのカテゴリー山岳をジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)がトップ通過して山岳賞ジャージを獲得。またロランは途中に設定された2つ中間スプリントを連続で先頭通過し、合計で−6秒の獲得して総合順位を37位まで上げている。

逃げを形成したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)を含む9名逃げを形成したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)を含む9名 photo:CorVos
序盤からプロトンはリーダーチームであるグルパマFDJがコントロール序盤からプロトンはリーダーチームであるグルパマFDJがコントロール (c)skodatour.lu
メイン集団はグルパマFDJやUAEチームエミレーツがコントロールを担い、終盤に入るとトレック・セガフレードらワールドチームも牽引に加わったことで一気にペースアップ。超級山岳2連続の直前(残り17km地点)で逃げを吸収し、登りでのアタック合戦から元ルクセンブルク王者ケヴィン・ゲニエッツ(グルパマ・エフデジ)がヴァランタン・マドゥアス(フランス)を含む5名が先行した。

最後の超級山岳(残り10km地点)に入り、先頭5名の中に入ったマティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)が猛然と飛び出す。「本能に従って飛び出した」とレース後に振り返った21歳のスケルモースは先行集団に10秒、メイン集団に30秒差をつけて突き進んだ。

しかしグルパマFDJがスケルモースを引き戻し、フラムルージュ(残り1km)からバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)がアーリーアタックを仕掛ける。その動きにアーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング)が追従し、残り100mでトマを抜き先頭へ。そしてニュージーランドのコンチネンタルチームに所属するゲイトが、ワールドチームを出し抜き大金星を挙げた。

プロトン先頭で2連続の超級山岳に突入するグルパマFDJプロトン先頭で2連続の超級山岳に突入するグルパマFDJ (c)skodatour.lu
アーリーアタックを成功させ、勝利を挙げたアーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング)アーリーアタックを成功させ、勝利を挙げたアーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング) photo:CorVos
「このレースで両腕を上げることができるとは思っていなかった。僕の国から遠くが離れた美しいルクセンブルクでの勝利。トラック競技でのライバルであるバンジャマン・トマが残り1kmでアタックし、それを利用して最終コーナーめがけて突っ込んだ。先頭に立ったときは何が起きたのか信じられなかったよ。その後は全力でフィニッシュまで踏み続けるだけだった」とゲイトは勝利を喜んだ。

ゲイトはロードと共にトラック競技でも活躍する31歳。UCIワールドカップでは過去にチームパシュートやマディソン、オムニアムで金メダルを獲得し、今年8月に開催されたコモンウェルスゲームでは3つの金メダルに輝いた。またロードレースでも2017年にブエルタ・ア・エスパーニャに出場。そしてコンチネンタルチームに所属しながらも、コモンウェルスゲームのロードレースでは得意のロングスプリントでダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)を下している。

金星を挙げたアーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング)金星を挙げたアーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング) photo:CorVos
リーダージャージを守ったヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)リーダージャージを守ったヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

第4ステージの翌日は26.1kmの個人タイムトライアル。序盤に距離1.6km/平均8.8%の急勾配な登りが登場し、コース真ん中にも距離2.1km/平均5%を駆け上がるレイアウトとなっており、本格山岳ステージのない今大会では総合優勝の行方が決まる重要なステージとなる。
ツール・ド・ルクセンブルク2022第3ステージ結果
1位 アーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング) 4:40:58
2位 バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)
3位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)
4位 マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)
個人総合成績
1位 ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) 12:33:04
2位 バックス・シュールト(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:07
3位 マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ) +0:08
4位 アーロン・ゲイト(ニュージーランド、ボルトンエクウイティーズ・ブラックスポーク・プロサイクリング)
5位 バスティアン・トロンション(フランス、AG2Rシトロエン) +0:09
その他の特別賞
山岳賞 セバスティアン・モラ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)
ポイント賞 マッテオ・トレンティン(イタリア、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 バスティアン・トロンション(フランス、AG2Rシトロエン)
チーム総合成績 アルペシン・ドゥクーニンク

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