2022/09/13(火) - 14:43
3年ぶりに開催されたツール・ド・北海道は、門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)の総合優勝で幕を降ろした。最終ステージ終了後の各賞ジャージ獲得選手をはじめ、各選手のコメントを紹介する。
個人総合優勝 門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)
(総合優勝のトロフィーを受け取って)3日間の疲労もあるが、とても重いトロフィー。今回のツール・ド・北海道はステージ優勝出来ればと思っていたが、総合優勝出来てとても嬉しい。チームとしては集団をコントロールしてタイム差を維持してフィニッシュし、総合首位を守ることが目標だったが、レースは僕たちが予想した通りの展開となった。
NIPPOのチームは北海道で勝ち続けているが、僕としてはそこはプレッシャーに感じることもなく、意識することもなくいつも通り走ったレース。ステージレースはフランスのアマチュアで走っていた頃に総合優勝して以来で、エリートのレースでは始めての総合優勝。自分にとって良い成功体験になったと思うので、この自信をもってまたヨーロッパで走りたい。
ポイント賞、第1ステージ、第3ステージ優勝 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
ポイント賞は狙っていたが、最終日もステージ優勝を目指してスタートした。逃げに乗ることを考えていて、長い登りに入る前に行きたいと思っていたところ、マルコス(・ガルシア)選手と一緒に飛び出した。途中ホットスポットが2回あって、(山本)大喜選手が取りに行ったが、終盤の登りとフィニッシュに備えて脚を溜めることにした。大喜選手と金子(宗平)選手が飛び出した時は、マルコス選手の動きにも注意しなければならなかったし、余力を残しつつ登ってその後の下りと平坦で詰められる差を維持するようにした。
フィニッシュ前は緩く登っていて、早めにかけてしまうと後ろにつかれて差されると思った。ホセ(・ビセンテ・トリビオ)選手が最終コーナーに入ったので、車間をあけつつ続いて、誰かが反応したところに続いてスプリントを始めた。横山(航太)選手とラインがかぶってしまい、最後はギリギリ残った感じ。でもその瞬間は中井(唯晶)選手に差されたと思ったけれど、スタッフから勝ったと聞かされた。10月のトラック世界選手権に向けて良いトレーニングを積めていると実感出来たし、今回のステージ2勝は自信になった。
山岳賞 留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)
第3ステージの登りで先行した4名の誰もが山岳賞ジャージを取れるという状況で、誰かがアタックしたらみんなそれについて行くという繰り返し。最後は自分からうまく抜け出すことが出来て、後ろを見ずに全力で踏み切ることだけを考えていた。個人総合で門田選手がリーダージャージを取ってあとは守るだけだったので、山岳賞を取れたらチームのために走ると決めていた。結果が実って良かったと思う。
世界選手権でロードとタイムトライアルを走る予定なので、出させてもらうからには良い成績を残したい。
第2ステージ優勝 谷順成(那須ブラーゼン)
那須ブラーゼンは今年10周年なのでUCIレースで優勝出来たのは大きいし、自分も憧れていたツール・ド・北海道に始めて出場して勝てたのは嬉しい。
ひらふ坂の登りフィニッシュが自分に向いていると、いろんな人に言われていた。チャンスが巡ってきたら勝ちを狙いたいとチームとも話し合っていて、最後までチームメイトが自分の近くに集まってくれてアシストしてくれたおかげで最後まで脚を溜められていた。
僕も西尾憲人選手も単独で後ろから追いかけて合流出来たので、その判断が良かったと思う。その後がまだ長かったからどうなるか分からなかったが、残り25kmを切って後ろとのタイム差が開いたので、前での勝負になると思ったそこからは西尾選手とフィニッシュまでどう連携するのかを話して、準備した。
朝、(ひらふ坂の)下から登ってみて残り300mを切ってからが勝負と考えていたので、それまでは誰が行っても見送るつもりだった。自分自信、1分から2分の強度のスプリントが得意なので、焦らずにちゃんとフィニッシュの前で先頭の選手を捕まえる射程距離がなんとなくわかっていたので、そこに入るまでは我慢だった。
第2ステージでは総合上位3名が揃って後方集団に取り残されるハプニングがあった。その時のことを山本大喜(キナンレーシングチーム)、今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)に話を聞いた。
山本大喜「どうしようもなかった」
もったいない、と言うか、どうしようも無かった。
チームは山岳で登れる選手で行ければと考えていたが、チームブリヂストンサイクリングのコントロールがしっかりしていたのと、思ったよりも登りの勾配がキツくなかったので、攻撃しても有利にならないと判断し、ブリヂストンのコントロールを乱して脚を使わせるようにして次の展開に備えていた。
ブリヂストンがコントロールをやめたところでアタック合戦が始まってしまって、フォローしようと思ったけれど、今村(駿介)選手と、その時後ろに下がっていた増田(成幸)選手の代わりに小野寺(玲)選手にチェックされていたので動けなかった。総合で30秒以上離れていた選手は前に行きたい放題だったが、自分と今村選手は確実に行けない雰囲気だった。
追うにしてもチームからはトマ(・ルバ)さんが前に入っていたし、考えているうちに差が開いてしまった。それよりも、増田さんと(フランシスコ・)マンセボさんが力勝負出来なくなってしまったのは可哀想だったと思う。
(第3ステージスタート前にコメント)
今村駿介「一瞬ためらっていたら・・・」
アシストをだいぶ疲弊させていたので、逃げと5分以内に収めていれば引かなくても良いかなと。そうすればキナンレーシングチームなど他のチームが引き始めるだろうと考えていた。最後までコントロールすると僕1人になってしまうので、それは避けたかった。でも総合首位に固執していたわけではなく、タイム差だけは気にしてコントロールしていた。
松田(祥位)選手と窪木(一茂)選手が前に行って、トマ・ルバ選手も一緒だったので、僕も(山本)大喜さんが行けばついて行くつもりだった。でもリーダージャージを着ていて前日にある程度登れることを証明してしまったから、僕について行けばチャンスになると思って他の選手がみんなついて来る。それで集団がひとつにまとまってしまったらまたキツいし、と思って一瞬ためらっていたら「あぁ」って展開になってしまった。
(第3ステージスタート前にコメント)
増田成幸「ニッポの選手や大門さんとも話し合った」
個人的にもチーム的にもほろ苦いツール・ド・北海道だった。第1ステージの2位が一番のハイライトになってしまった。その日の夜はこれからどうやって総合優勝を手繰り寄せようかというモチベーションでいたが、僕のミスでチームに迷惑かけた上に、阿部嵩之選手の地元レースだったにも関わらず後ろに下がってもらったり、それぞれのチームにそれぞれのドラマがあるんだなと噛み締めて走った大会だった。
第2ステージが終わった時は気が立っていたけれど、冷静になってニッポ(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)の選手と話し合って、大門さんとも話し合った。レースだからみんな真剣だし、悪意は無かったしアクシデントだったと思うし、自分にも足りない部分があったと思う。
(第3ステージ終了後にコメント)
text&photo:Satoru Kato
個人総合優勝 門田祐輔(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)
(総合優勝のトロフィーを受け取って)3日間の疲労もあるが、とても重いトロフィー。今回のツール・ド・北海道はステージ優勝出来ればと思っていたが、総合優勝出来てとても嬉しい。チームとしては集団をコントロールしてタイム差を維持してフィニッシュし、総合首位を守ることが目標だったが、レースは僕たちが予想した通りの展開となった。
NIPPOのチームは北海道で勝ち続けているが、僕としてはそこはプレッシャーに感じることもなく、意識することもなくいつも通り走ったレース。ステージレースはフランスのアマチュアで走っていた頃に総合優勝して以来で、エリートのレースでは始めての総合優勝。自分にとって良い成功体験になったと思うので、この自信をもってまたヨーロッパで走りたい。
ポイント賞、第1ステージ、第3ステージ優勝 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
ポイント賞は狙っていたが、最終日もステージ優勝を目指してスタートした。逃げに乗ることを考えていて、長い登りに入る前に行きたいと思っていたところ、マルコス(・ガルシア)選手と一緒に飛び出した。途中ホットスポットが2回あって、(山本)大喜選手が取りに行ったが、終盤の登りとフィニッシュに備えて脚を溜めることにした。大喜選手と金子(宗平)選手が飛び出した時は、マルコス選手の動きにも注意しなければならなかったし、余力を残しつつ登ってその後の下りと平坦で詰められる差を維持するようにした。
フィニッシュ前は緩く登っていて、早めにかけてしまうと後ろにつかれて差されると思った。ホセ(・ビセンテ・トリビオ)選手が最終コーナーに入ったので、車間をあけつつ続いて、誰かが反応したところに続いてスプリントを始めた。横山(航太)選手とラインがかぶってしまい、最後はギリギリ残った感じ。でもその瞬間は中井(唯晶)選手に差されたと思ったけれど、スタッフから勝ったと聞かされた。10月のトラック世界選手権に向けて良いトレーニングを積めていると実感出来たし、今回のステージ2勝は自信になった。
山岳賞 留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)
第3ステージの登りで先行した4名の誰もが山岳賞ジャージを取れるという状況で、誰かがアタックしたらみんなそれについて行くという繰り返し。最後は自分からうまく抜け出すことが出来て、後ろを見ずに全力で踏み切ることだけを考えていた。個人総合で門田選手がリーダージャージを取ってあとは守るだけだったので、山岳賞を取れたらチームのために走ると決めていた。結果が実って良かったと思う。
世界選手権でロードとタイムトライアルを走る予定なので、出させてもらうからには良い成績を残したい。
第2ステージ優勝 谷順成(那須ブラーゼン)
那須ブラーゼンは今年10周年なのでUCIレースで優勝出来たのは大きいし、自分も憧れていたツール・ド・北海道に始めて出場して勝てたのは嬉しい。
ひらふ坂の登りフィニッシュが自分に向いていると、いろんな人に言われていた。チャンスが巡ってきたら勝ちを狙いたいとチームとも話し合っていて、最後までチームメイトが自分の近くに集まってくれてアシストしてくれたおかげで最後まで脚を溜められていた。
僕も西尾憲人選手も単独で後ろから追いかけて合流出来たので、その判断が良かったと思う。その後がまだ長かったからどうなるか分からなかったが、残り25kmを切って後ろとのタイム差が開いたので、前での勝負になると思ったそこからは西尾選手とフィニッシュまでどう連携するのかを話して、準備した。
朝、(ひらふ坂の)下から登ってみて残り300mを切ってからが勝負と考えていたので、それまでは誰が行っても見送るつもりだった。自分自信、1分から2分の強度のスプリントが得意なので、焦らずにちゃんとフィニッシュの前で先頭の選手を捕まえる射程距離がなんとなくわかっていたので、そこに入るまでは我慢だった。
第2ステージでは総合上位3名が揃って後方集団に取り残されるハプニングがあった。その時のことを山本大喜(キナンレーシングチーム)、今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)に話を聞いた。
山本大喜「どうしようもなかった」
もったいない、と言うか、どうしようも無かった。
チームは山岳で登れる選手で行ければと考えていたが、チームブリヂストンサイクリングのコントロールがしっかりしていたのと、思ったよりも登りの勾配がキツくなかったので、攻撃しても有利にならないと判断し、ブリヂストンのコントロールを乱して脚を使わせるようにして次の展開に備えていた。
ブリヂストンがコントロールをやめたところでアタック合戦が始まってしまって、フォローしようと思ったけれど、今村(駿介)選手と、その時後ろに下がっていた増田(成幸)選手の代わりに小野寺(玲)選手にチェックされていたので動けなかった。総合で30秒以上離れていた選手は前に行きたい放題だったが、自分と今村選手は確実に行けない雰囲気だった。
追うにしてもチームからはトマ(・ルバ)さんが前に入っていたし、考えているうちに差が開いてしまった。それよりも、増田さんと(フランシスコ・)マンセボさんが力勝負出来なくなってしまったのは可哀想だったと思う。
(第3ステージスタート前にコメント)
今村駿介「一瞬ためらっていたら・・・」
アシストをだいぶ疲弊させていたので、逃げと5分以内に収めていれば引かなくても良いかなと。そうすればキナンレーシングチームなど他のチームが引き始めるだろうと考えていた。最後までコントロールすると僕1人になってしまうので、それは避けたかった。でも総合首位に固執していたわけではなく、タイム差だけは気にしてコントロールしていた。
松田(祥位)選手と窪木(一茂)選手が前に行って、トマ・ルバ選手も一緒だったので、僕も(山本)大喜さんが行けばついて行くつもりだった。でもリーダージャージを着ていて前日にある程度登れることを証明してしまったから、僕について行けばチャンスになると思って他の選手がみんなついて来る。それで集団がひとつにまとまってしまったらまたキツいし、と思って一瞬ためらっていたら「あぁ」って展開になってしまった。
(第3ステージスタート前にコメント)
増田成幸「ニッポの選手や大門さんとも話し合った」
個人的にもチーム的にもほろ苦いツール・ド・北海道だった。第1ステージの2位が一番のハイライトになってしまった。その日の夜はこれからどうやって総合優勝を手繰り寄せようかというモチベーションでいたが、僕のミスでチームに迷惑かけた上に、阿部嵩之選手の地元レースだったにも関わらず後ろに下がってもらったり、それぞれのチームにそれぞれのドラマがあるんだなと噛み締めて走った大会だった。
第2ステージが終わった時は気が立っていたけれど、冷静になってニッポ(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)の選手と話し合って、大門さんとも話し合った。レースだからみんな真剣だし、悪意は無かったしアクシデントだったと思うし、自分にも足りない部分があったと思う。
(第3ステージ終了後にコメント)
text&photo:Satoru Kato
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