トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が三度アタックしたツアー・オブ・ブリテン第4ステージ。追従したゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター)がスプリントでピドコックを下し、リーダージャージを獲得している。



イングランドのレッドカーを出発するツアー・オブ・ブリテン第4ステージイングランドのレッドカーを出発するツアー・オブ・ブリテン第4ステージ photo:AJ Bell Tour of Britain
ツアー・オブ・ブリテン2022第4ステージ コースプロフィールツアー・オブ・ブリテン2022第4ステージ コースプロフィール image:AJ Bell Tour of Britainグレートブリテン島を南下しながら全8ステージで開催中のツアー・オブ・ブリテン(2.Pro)。4日目の舞台はイングランドのレッドカーからダンクーム・パークまでの149.5km。共に2km未満だが平均勾配が10%以上と険しい2つの1級山岳が登場したレイアウトで、総合優勝目指す有力選手たちが激しいアタック合戦を繰り広げた。

この日はイギリス籍ワールドチームであるイネオス・グレナディアーズが積極的に動いた。まずはマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)がマウンテンバイクでも活躍するハリー・バーチル(イギリス、セイント・ピラン)と逃げを打つと、最初の1級山岳(残り96km地点)でトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が早くも飛び出した。

序盤に逃げたマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)とハリー・バーチル(イギリス、セイント・ピラン)序盤に逃げたマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)とハリー・バーチル(イギリス、セイント・ピラン) photo:AJ Bell Tour of Britain
レース中盤はウノエックス・プロサイクリングチームがプロトンをコントロールしたレース中盤はウノエックス・プロサイクリングチームがプロトンをコントロールした photo:AJ Bell Tour of Britain
しかしこのアタックは引き戻され、更にシェフィールドたちも残り70km地点で吸収される。ウノエックス・プロサイクリングチームにコントロールした集団が順調に距離を消化するなか、2つ目の1級山岳(残り26.5km地点)でピドコックが再び飛び出す。これにディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)とオスカー・オンレー(イギリス、チームDSM)が追従し、3名の先頭集団がイングランドの丘陵地帯を突き進んだ。

ジェイク・スチュワート(イギリス、グレートブリテン)の懸命な追走でこのアタックも引き戻されるものの、中間スプリントが設定された丘でオマール・フライレ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)と共にピドコックがこの日3度目のアタック。それに再度トゥーンスと、今度はゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター)が反応し、4名はそのままプロトンを引き離しフィニッシュへ。そして緩斜面のスプリントに持ち込まれた勝負を脚がフレッシュなセラーノがピドコックを下し、第4ステージの勝者に輝いた。

スプリント勝負を制したゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター)スプリント勝負を制したゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター) photo:AJ Bell Tour of Britain
リーダージャージに袖を通したゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター)リーダージャージに袖を通したゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター) photo:Movistar Team
「ピドコックとトゥーンスという2人を下しての勝利だ。ただの勝利よりもその価値は大きい。スプリントするタイミングを見定め、全力で踏み込んだ」と喜んだのは、28歳にしてキャリア最大の勝利を掴んだセラーノ。また総合でも首位に浮上したセラーノは「このリーダージャージを最後まで守り切ることは困難だと思うし、僕らはエースであるマッテオ(ヨルゲンソン)を体調不良で失ってしまったんだ。だが総合優勝を目指し全力を尽くすよ」と語った。
ツアー・オブ・ブリテン2022第4ステージ結果
1位 ゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター) 3:40:38
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
3位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)
4位 オマール・フライレ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) 0:01
5位 マティス・パースヘンス(オランダ、ビンゴール・パウェルスソースWB) 0:13
個人総合成績
1位 ゴンサロ・セラーノ(スペイン、モビスター) 16:31:15
2位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:07
3位 オマール・フライレ(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ベンジャミン・ペリー(カナダ、WiVサンゴッド)
5位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) 0:10
その他の特別賞
ポイント賞 コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)
山岳賞 マティス・パースヘンス(オランダ、ビンゴール・パウェルスソースWB)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos