2022/08/29(月) - 10:02
激坂で逃げ切り勝利を決めたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)は「急勾配の山岳をタイムトライアルだと思い踏み続けた」と勝因を語った。総合リードを拡げたエヴェネプールなど、ブエルタ9日目を選手のコメントで振り返ります。
区間優勝 ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
特別なこの勝利が現実だと理解するまで暫く時間が必要だよ。実はチーム総合を除き、ワールドツアーレースで表彰台に立ったことがなかったんだ。だから引退するまでの目標の1つを叶えることができた。
ここ数日間の山岳ステージで総合勢についていくスピードがなかったので、逃げに乗るしか勝利の方法はないと思ったんだ。レース序盤からチームが展開をコントロールしてくれ、1度目の飛び出しが逃げに繋がるラッキーがあった。
ー逃げ集団の中で自分が最も強いクライマーだという自覚はあったか?
そんなことはなかった。厳しいステージだったし逃げ集団ではアタックを潰す役割を担わされていたので、他の選手よりも脚を使っていた。登りは得意であるものの、勝利に足る脚があるかは分からなかった。(最後の2.5kmからは)厳しい勾配だったので他の選手は関係なく、フィニッシュまでのタイムトライアルだと思っていた。
繰り返しになるが、この勝利が現実と理解するのに時間がかかるだろう。それほどこの勝利は特別なんだ。
区間2位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)
最後の山岳で僕よりもメインチェスの方が速いと分かっていた。だからこそ早めに仕掛けたのだが、捉えられてしまった。抜かれた後も無理して彼についていくのは無意味と思い、自分のペースを守ってフィニッシュを目指した。その結果が2位。(第7ステージに続き)再びの2位だ。この3日間で2度の2位。この結果自体は嬉しいものの、ものすごく嬉しいわけではない。いまは文句のつけようのないほど調子が良いので、この後も勝利を狙っていく。
区間4位&マイヨロホ&新人賞ジャージ レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
僕が登りで遅れた時のことを考え、逃げ集団にボーナスタイムを取ってもらおうと逃げ切りを容認するのが計画だった。ピーター(セリー)がコロナ陽性という不運があったなかでもチームは完璧な走りをした。僕たちはリーダーチームのような振る舞いを見せ、互いにコミュニケーションを密に取りながらレースを進めた。
例えばドリス(デヴェナインス)の体調が芳しくなかったので序盤の牽引役を務め、ジュリアン(アラフィリップ)とイラン(ファンウィルデル)、僕の3人でこの山岳に臨む計画だった。特にジュリアンの走りは素晴らしく、感動すら覚えたよ。この結果はスーパーハッピー。皆のあんな走りを見せられたら感情的になってしまう。
最終山岳では既に疲れ切っていた。ただ僕が脚に疲れを感じるということは、他の皆も同じだということ。特にこのような(急勾配の)登りでは空気抵抗などではなく単純なパワー勝負になる。ようやくチームカーに戻ってきた(監督の)クラース・ロデヴィックが無線で「後続から1分差ほどついている」と言われモチベーションが高まった。彼の言葉は常に僕をやる気にさせてくれるんだ。
ここまでの人生で僕は様々なことを経験した。特に2年前の出来事(大怪我)によって僕は生まれ変わったんだ。そのおかげでいまも僕は戦い続け、苦しみ続けているのだよ。
(第10ステージの)個人タイムトライアルを前に、これほどのリードを築くことができるとは思っていなかった。まだ正確なタイム差は把握していないものの、いまこの結果にとても感動しているよ。なぜならチームの皆が僕のために一生懸命走ってくれるのだからね。彼らの走りには言葉を失うほど感動している。このチームは世界一だ。間違いない。心の底からそう思う。
区間6位&総合5位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
今日は昨日よりも感覚が良かった。最後の山岳が僕に向いているか分からなかったが、全てが上手くいった。しかしあのレベルでの山頂フィニッシュは未体験だったよ。このブエルタでは一日一日を大切に過ごし、経験するすべてに感謝しようと思っている。明日の休息日が今から楽しみだよ。
区間8位&総合2位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
レムコ(エヴェネプール)に食らいつこうと力を使いすぎた。自分のペースで踏めばタイム差を最小限のままフィニッシュできたはず。この失敗を次に活かしたい。いまの彼(エヴェネプール)は誰にも止めることはできない。だがブエルタは3週間の戦いであり、今日は僕よりも彼が強かっただけ。ブエルタが始まってから言い続けているように、毎ステージを集中して臨むだけだ。
総合2位の僕がこの後何か大きなことをできるかは分からない。だがブエルタは長く、レムコが何度目のグランツールかは知らないが僕は27歳だ。この経験の差をアドバンテージに変えていきたい。
ユンボ・ヴィスマのマールテン・ワイナンツ監督
セップ(クス)のリタイアは大きな痛手だ。彼は最終山岳でプリモシュ(ログリッチ)の最終アシストを担うはずだった。だが昨日の彼は調子が悪く、昨夜熱が出た。とても悲しいものの、我々にはプリモシュをサポートする良い選手たちが揃っている。
ユンボ・ヴィスマのグリシャ・ニールマン監督
いまのプリモシュはまだ100%の状態にはないものの、総合上位につけている。今日プリモシュがライバルに対して優位に立てるとは思っておらず、目標はそのダメージを最小限に食い止めることだった。エヴェネプールは大きいがブエルタはあと2週間も残っている。総合3位という順位は悪くなく、我々は決して諦めない。
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
区間優勝 ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
特別なこの勝利が現実だと理解するまで暫く時間が必要だよ。実はチーム総合を除き、ワールドツアーレースで表彰台に立ったことがなかったんだ。だから引退するまでの目標の1つを叶えることができた。
ここ数日間の山岳ステージで総合勢についていくスピードがなかったので、逃げに乗るしか勝利の方法はないと思ったんだ。レース序盤からチームが展開をコントロールしてくれ、1度目の飛び出しが逃げに繋がるラッキーがあった。
ー逃げ集団の中で自分が最も強いクライマーだという自覚はあったか?
そんなことはなかった。厳しいステージだったし逃げ集団ではアタックを潰す役割を担わされていたので、他の選手よりも脚を使っていた。登りは得意であるものの、勝利に足る脚があるかは分からなかった。(最後の2.5kmからは)厳しい勾配だったので他の選手は関係なく、フィニッシュまでのタイムトライアルだと思っていた。
繰り返しになるが、この勝利が現実と理解するのに時間がかかるだろう。それほどこの勝利は特別なんだ。
区間2位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)
最後の山岳で僕よりもメインチェスの方が速いと分かっていた。だからこそ早めに仕掛けたのだが、捉えられてしまった。抜かれた後も無理して彼についていくのは無意味と思い、自分のペースを守ってフィニッシュを目指した。その結果が2位。(第7ステージに続き)再びの2位だ。この3日間で2度の2位。この結果自体は嬉しいものの、ものすごく嬉しいわけではない。いまは文句のつけようのないほど調子が良いので、この後も勝利を狙っていく。
区間4位&マイヨロホ&新人賞ジャージ レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
僕が登りで遅れた時のことを考え、逃げ集団にボーナスタイムを取ってもらおうと逃げ切りを容認するのが計画だった。ピーター(セリー)がコロナ陽性という不運があったなかでもチームは完璧な走りをした。僕たちはリーダーチームのような振る舞いを見せ、互いにコミュニケーションを密に取りながらレースを進めた。
例えばドリス(デヴェナインス)の体調が芳しくなかったので序盤の牽引役を務め、ジュリアン(アラフィリップ)とイラン(ファンウィルデル)、僕の3人でこの山岳に臨む計画だった。特にジュリアンの走りは素晴らしく、感動すら覚えたよ。この結果はスーパーハッピー。皆のあんな走りを見せられたら感情的になってしまう。
最終山岳では既に疲れ切っていた。ただ僕が脚に疲れを感じるということは、他の皆も同じだということ。特にこのような(急勾配の)登りでは空気抵抗などではなく単純なパワー勝負になる。ようやくチームカーに戻ってきた(監督の)クラース・ロデヴィックが無線で「後続から1分差ほどついている」と言われモチベーションが高まった。彼の言葉は常に僕をやる気にさせてくれるんだ。
ここまでの人生で僕は様々なことを経験した。特に2年前の出来事(大怪我)によって僕は生まれ変わったんだ。そのおかげでいまも僕は戦い続け、苦しみ続けているのだよ。
(第10ステージの)個人タイムトライアルを前に、これほどのリードを築くことができるとは思っていなかった。まだ正確なタイム差は把握していないものの、いまこの結果にとても感動しているよ。なぜならチームの皆が僕のために一生懸命走ってくれるのだからね。彼らの走りには言葉を失うほど感動している。このチームは世界一だ。間違いない。心の底からそう思う。
区間6位&総合5位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
今日は昨日よりも感覚が良かった。最後の山岳が僕に向いているか分からなかったが、全てが上手くいった。しかしあのレベルでの山頂フィニッシュは未体験だったよ。このブエルタでは一日一日を大切に過ごし、経験するすべてに感謝しようと思っている。明日の休息日が今から楽しみだよ。
区間8位&総合2位 エンリク・マス(スペイン、モビスター)
レムコ(エヴェネプール)に食らいつこうと力を使いすぎた。自分のペースで踏めばタイム差を最小限のままフィニッシュできたはず。この失敗を次に活かしたい。いまの彼(エヴェネプール)は誰にも止めることはできない。だがブエルタは3週間の戦いであり、今日は僕よりも彼が強かっただけ。ブエルタが始まってから言い続けているように、毎ステージを集中して臨むだけだ。
総合2位の僕がこの後何か大きなことをできるかは分からない。だがブエルタは長く、レムコが何度目のグランツールかは知らないが僕は27歳だ。この経験の差をアドバンテージに変えていきたい。
ユンボ・ヴィスマのマールテン・ワイナンツ監督
セップ(クス)のリタイアは大きな痛手だ。彼は最終山岳でプリモシュ(ログリッチ)の最終アシストを担うはずだった。だが昨日の彼は調子が悪く、昨夜熱が出た。とても悲しいものの、我々にはプリモシュをサポートする良い選手たちが揃っている。
ユンボ・ヴィスマのグリシャ・ニールマン監督
いまのプリモシュはまだ100%の状態にはないものの、総合上位につけている。今日プリモシュがライバルに対して優位に立てるとは思っておらず、目標はそのダメージを最小限に食い止めることだった。エヴェネプールは大きいがブエルタはあと2週間も残っている。総合3位という順位は悪くなく、我々は決して諦めない。
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
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