大会唯一の山頂フィニッシュで争われたドイツ・ツアー第3ステージ。雨が降り注いだ最終1級山岳でアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がアタックを成功させ、区間優勝と共に総合リーダージャージを手に入れた。



この日のスタート地点には悪魔おじさんが登場この日のスタート地点には悪魔おじさんが登場 photo:CorVos
レース会場には昨年限りで引退したアンドレ・グライペルの姿もレース会場には昨年限りで引退したアンドレ・グライペルの姿も photo:CorVosドイツ・ツアー2022第3ステージ コースプロフィールドイツ・ツアー2022第3ステージ コースプロフィール image:Deutschland Tour

ドイツ南西部のフライブルクを出発地点とするドイツ・ツアー(UCIプロツアー)第3ステージは、1級山岳シャウインスラントに登り詰めるクイーンステージ。レース序盤に1級、2級山岳が登場するものの難易度は低く、その後は平坦路を進み、1級山岳ルイゼンホと1級山岳シャウインスラント(距離11.6km/平均6.5%)を連続して登坂する。

アクチュアルスタートの直後に形成されたのは6名による逃げ集団。地元ドイツのコンチネンタルチームの選手らと共に、この日はワールドチームのハルム・ファンハウケ(ベルギー、ロット・スーダル)がエスケープした。

残り10km地点から雨が選手たちに降り注いだ残り10km地点から雨が選手たちに降り注いだ photo:Deutschland Tour
山岳賞ジャージを着るヤコブ・ゲスナー(ドイツ、チームロット・ケルンハウス)が順調にポイントを加算するなか、プロトンの牽引はリーダーチームであるEFエデュケーション・イージーポストとボーラ・ハンスグローエが担当した。逃げ集団は一時7分に届くアドバンテージを築くものの、最後に現れる2つの1級が近づくにつれ徐々にタイム差は縮小していった。

逃げ集団から最後まで粘ったファンハウケが1級山岳ルイゼンホを越えると、メイン集団からはアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がアントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター)と共にアタックを決める。そして急に降り出した雨が選手と路面を濡らすなか、ファンハウケに追いついたイェーツが加速してペドレロを引き離した。

残り6.5kmで単独になったイェーツに対し、ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)やゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ら5名が追走。しかし淡々と踏み続けるイェーツのスピードに、追走集団はもちろんそこから1人飛び出したビルバオも追いつかない。そして後続とのタイム差を20秒まで拡げたイェーツが勝利と共にリーダージャージを獲得した。

雄叫びを上げ勝利を喜ぶアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)雄叫びを上げ勝利を喜ぶアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
最終日を前にリーダージャージに袖を通したアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)最終日を前にリーダージャージに袖を通したアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
「久々の勝利は本当に嬉しい。1年を通してずっと体調が悪く、そのまま突入したツール・ド・フランスを終え、こうやって勝利できて最高の気分だよ。総合2位に対し30秒差は総合優勝に十分かどうかは分からないものの、明日はタフな戦いになるだろう」とイェーツは語った。

イネオス・グレナディアーズに移籍して2年目のイェーツにとって、昨年3月のボルタ・ア・カタルーニャ(UCIワールドツアー)以来となる勝利。リーダージャージの行方が決まる翌日は、スタート直後に1級山岳を越え、最後は2級山岳(距離1.3km/平均7.8%)を含むコースを3周する丘陵ステージ。そこで第37回大会の総合優勝者が決定する。
ドイツ・ツアー2022第3ステージ結果
1位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 3:41:19
2位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:19
3位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:28
4位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)
5位 ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:29
6位 ジェームス・ノックス(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:31
7位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) 0:33
8位 ローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:34
9位 イバン・ソーサ(コロンビア、モビスター) 0:35
10位 シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル) 0:36
個人総合成績
1位 アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 12:43:39
2位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) 0:30
3位 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:48
4位 マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)
5位 ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:49
6位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト) 0:51
7位 ジェームス・ノックス(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:56
8位 シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・スーダル)
9位 ローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 1:02
10位 イバン・ソーサ(コロンビア、モビスター) 1:06
その他の特別賞
ポイント賞 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
山岳賞 ヤコブ・ゲスナー(ドイツ、チームロット・ケルンハウス)
ヤングライダー賞 マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 モビスター
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos