2022/08/22(月) - 02:33
8月21日、三重県の鈴鹿サーキットにて行われたシマノ鈴鹿ロードレースクラシック。世界最高峰のサーキットを舞台に国内のトップ選手らが争った。激しいアタックの応酬の末のゴールスプリント勝負は小野寺玲が僅差で勝利。前日のチームTTも宇都宮ブリッツェンが大会新記録のタイムで制した。
2019年以来3年ぶりの開催となったシマノ鈴鹿ロードレース。コロナ渦前には2日間でのべ1万人以上が集う、世界最大の参加人数を誇るロードレースイベントだ。その大トリをつとめるレースが「シマノ鈴鹿ロード・クラシック」。シマノスズカの最高峰クラスに国内トップレーサーたちが集った。
日曜の午後3時。招待チームの選手たちがパレードランするセレモニーで始まるのが恒例だが、今回は2つのミニセレモニーが追加された。中島康晴(キナンレーシングチーム)と吉田隼人(マトリックス・パワータグ)の引退セレモニーだ。
今はバルバレーシングでホビーレーサーとして活躍する井上和郎が、かつて同チームで走った仲間である中島に花束を手渡す。眼鏡キャラで愛される「ナカジ」は年内は残されたレースを全力を尽くして走るという。
そして吉田隼人は2人の子供と安原監督に花束を手渡され、涙に言葉をつまらせた。チームメイトにさえこの日の朝に引退を告げたという吉田は、このレースが最後のレース。子供の頃からこのシマノ鈴鹿とともに競技人生を歩んできたという隼人にとって、やはりこの地で区切りたいとのこと。
吉田の子供が鳴らす号砲で10周・58.1kmの超ハイスピードレースがスタート。直後から絶え間なきアタック合戦が始まる。1周目に優勝候補のひとり、岡本隼人(愛三工業レーシング)が前輪のパンクに見舞われ、ニュートラルサポートのホイールに交換することに。独走を強いられた岡本は終盤まで諦めずに集団を追いかけたが、追いつくことはなかった。
細かいアタックの続くレースをコントロールしたのは吉田隼人の引退レース有終の美を飾りたいマトリックス・パワータグ。前回2019年の優勝者でもある吉田のために鉄壁のアシストを続ける。しかしようやく逃げらしい逃げが決まったのが6周目。増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の強力な引きに同調したシマノレーシングの風間翔眞と天野壮悠、花田聖誠(キナンレーシングチーム)、そしてチェックに入った小林海(マトリックス・パワータグ)の5人が集団を引き離すことに成功。
7周目で50秒差まで開いた逃げだが、メイン集団はマトリックスに加えてチーム右京や愛三レーシングも追走に加勢したことで残り2周で20秒差にまで縮まる。そして最終周回を迎える前に5人の逃げは吸収された。
代わりに飛び出したのはU23全日本チャンピオンジャージを着る仮屋和駿(キナンレーシングチーム)。逃げることでメイン集団のチームメイトたちを有利にする。しかし集団スプリントに持ち込みたい意思のあるチームが多かったことで集団はひとつに。ダンロップカーブからS字カーブへの長い下りで阿部嵩之が先頭でハイペースをつくり、小野寺のスプリントへ一枚上手の牽引を見せた。
そのまま勝負は大集団スプリントへ。阿部から発射された小野寺が先行したが、後方からキレ良く迫る
吉田隼人、そしてレイモン・クレーダー(Team UKYO)が伸びる。フィニッシュライン上でハンドルを投げ合う3人。息を呑む勝負は目視では判断のつかない僅差に。誰も勝利のポーズをした選手はいなかった。
映像を確認したチームメイトから勝利を告げられた小野寺玲が第37回シマノ鈴鹿ロードのチャンピオンとなった。
小野寺のコメント
「今日のチームのプランはフリーでした。チームメイト同士で潰しあいしない程度に自由に動け、ということで、とくに皆でプランを組まずに走ったんです。後半もとくに僕で勝負しようとは決めていなかったんですが、最終的に残ったメンバーで暗黙の了解で、かつアベタカ(阿部)さんの判断で皆がローテーションしてくれて、運良く噛み合った感じです(笑)。
自分の経験値も上がってきたのかなと思います。今日は残りの距離と(メンバーの)枚数的に最後は誰かにまくられるんだろうなぁ、と思いながらもがいていたんですが、まさか自分が勝つとは思っていなかったんです。ヤラレちゃったかな、と思って勝利のポーズはできなかったんです。勝った確信はありませんでした。聞いて初めて勝ったことが分かったんです。ここ鈴鹿で勝つのは初めて。楽しかったですし、後半戦に向けていい弾みになります」。
前日のチームTT登録者の部も宇都宮ブリッツェンが史上最高記録で圧勝し、2日間連続の勝利となった小野寺とブリッツェン。そのことについては?
「僕は本当にいいチームで走らせてもらっているんだなぁと感じます。後半戦に向けて、大きな大事なレースが続くので、コンディションを落とすことなく、チームでベストな走りができるようにしたいと思います」。
チームTTもブリッツェンが史上最速タイムで優勝
なお前日のチームTT登録者の部は宇都宮ブリッツェンが優勝した。記録したのは史上最速タイムの26分34秒38・平均時速52.25km/h。2位にシマノレーシング、3位にヴィクトワール広島。
2019年以来3年ぶりの開催となったシマノ鈴鹿ロードレース。コロナ渦前には2日間でのべ1万人以上が集う、世界最大の参加人数を誇るロードレースイベントだ。その大トリをつとめるレースが「シマノ鈴鹿ロード・クラシック」。シマノスズカの最高峰クラスに国内トップレーサーたちが集った。
日曜の午後3時。招待チームの選手たちがパレードランするセレモニーで始まるのが恒例だが、今回は2つのミニセレモニーが追加された。中島康晴(キナンレーシングチーム)と吉田隼人(マトリックス・パワータグ)の引退セレモニーだ。
今はバルバレーシングでホビーレーサーとして活躍する井上和郎が、かつて同チームで走った仲間である中島に花束を手渡す。眼鏡キャラで愛される「ナカジ」は年内は残されたレースを全力を尽くして走るという。
そして吉田隼人は2人の子供と安原監督に花束を手渡され、涙に言葉をつまらせた。チームメイトにさえこの日の朝に引退を告げたという吉田は、このレースが最後のレース。子供の頃からこのシマノ鈴鹿とともに競技人生を歩んできたという隼人にとって、やはりこの地で区切りたいとのこと。
吉田の子供が鳴らす号砲で10周・58.1kmの超ハイスピードレースがスタート。直後から絶え間なきアタック合戦が始まる。1周目に優勝候補のひとり、岡本隼人(愛三工業レーシング)が前輪のパンクに見舞われ、ニュートラルサポートのホイールに交換することに。独走を強いられた岡本は終盤まで諦めずに集団を追いかけたが、追いつくことはなかった。
細かいアタックの続くレースをコントロールしたのは吉田隼人の引退レース有終の美を飾りたいマトリックス・パワータグ。前回2019年の優勝者でもある吉田のために鉄壁のアシストを続ける。しかしようやく逃げらしい逃げが決まったのが6周目。増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の強力な引きに同調したシマノレーシングの風間翔眞と天野壮悠、花田聖誠(キナンレーシングチーム)、そしてチェックに入った小林海(マトリックス・パワータグ)の5人が集団を引き離すことに成功。
7周目で50秒差まで開いた逃げだが、メイン集団はマトリックスに加えてチーム右京や愛三レーシングも追走に加勢したことで残り2周で20秒差にまで縮まる。そして最終周回を迎える前に5人の逃げは吸収された。
代わりに飛び出したのはU23全日本チャンピオンジャージを着る仮屋和駿(キナンレーシングチーム)。逃げることでメイン集団のチームメイトたちを有利にする。しかし集団スプリントに持ち込みたい意思のあるチームが多かったことで集団はひとつに。ダンロップカーブからS字カーブへの長い下りで阿部嵩之が先頭でハイペースをつくり、小野寺のスプリントへ一枚上手の牽引を見せた。
そのまま勝負は大集団スプリントへ。阿部から発射された小野寺が先行したが、後方からキレ良く迫る
吉田隼人、そしてレイモン・クレーダー(Team UKYO)が伸びる。フィニッシュライン上でハンドルを投げ合う3人。息を呑む勝負は目視では判断のつかない僅差に。誰も勝利のポーズをした選手はいなかった。
映像を確認したチームメイトから勝利を告げられた小野寺玲が第37回シマノ鈴鹿ロードのチャンピオンとなった。
小野寺のコメント
「今日のチームのプランはフリーでした。チームメイト同士で潰しあいしない程度に自由に動け、ということで、とくに皆でプランを組まずに走ったんです。後半もとくに僕で勝負しようとは決めていなかったんですが、最終的に残ったメンバーで暗黙の了解で、かつアベタカ(阿部)さんの判断で皆がローテーションしてくれて、運良く噛み合った感じです(笑)。
自分の経験値も上がってきたのかなと思います。今日は残りの距離と(メンバーの)枚数的に最後は誰かにまくられるんだろうなぁ、と思いながらもがいていたんですが、まさか自分が勝つとは思っていなかったんです。ヤラレちゃったかな、と思って勝利のポーズはできなかったんです。勝った確信はありませんでした。聞いて初めて勝ったことが分かったんです。ここ鈴鹿で勝つのは初めて。楽しかったですし、後半戦に向けていい弾みになります」。
前日のチームTT登録者の部も宇都宮ブリッツェンが史上最高記録で圧勝し、2日間連続の勝利となった小野寺とブリッツェン。そのことについては?
「僕は本当にいいチームで走らせてもらっているんだなぁと感じます。後半戦に向けて、大きな大事なレースが続くので、コンディションを落とすことなく、チームでベストな走りができるようにしたいと思います」。
チームTTもブリッツェンが史上最速タイムで優勝
なお前日のチームTT登録者の部は宇都宮ブリッツェンが優勝した。記録したのは史上最速タイムの26分34秒38・平均時速52.25km/h。2位にシマノレーシング、3位にヴィクトワール広島。
シマノ鈴鹿ロードレースクラシック 男子10周(58.1km)リザルト
1位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | 1:13:10.97 |
2位 | レイモン・クレーダー(Team UKYO) | |
3位 | 吉田隼人(マトリックス・パワータグ) | |
4位 | 中島康晴(キナンレーシングチーム) | |
5位 | 貝原涼太(宇都宮ブリッツェン) | |
6位 | 横山航太(シマノレーシング) | |
7位 | 山本大喜(キナンレーシングチーム) | |
8位 | 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) | |
9位 | 中川拳(愛三工業レーシングチーム) | |
10位 | 中村圭佑(ヴィクトワール広島) |
text&photo:Makoto.AYANO
photo:Masanao TOMITA
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