北欧スウェーデンを舞台にした女子ワールドツアーレース「ポストノルド・ヴォーゴーダウェストスウェーデン」が閉幕。チームTTをトレック・セガフレードが制し、ロードレースでは先着したフォスが失格となりオードリー・コードンラゴ(フランス、トレック・セガフレード)が優勝した。



8月6日:ポストノルド・ヴォーゴーダウェストスウェーデンチーム2022 チームタイムトライアル

ステージ優勝:トレック・セガフレードステージ優勝:トレック・セガフレード photo:CorVos
ツール・ド・フランス ファムの興奮も冷めやらぬ1週間後の8月6日と7日に、北欧スウェーデンで「ポストノルド・ヴォーゴーダウェストスウェーデン(UCIワールドツアー)」が開催された。北欧三国に跨り行われるツアー・オブ・スカンジナビアの前哨戦でもあるこの大会は、初日のチームタイムトライアルと2日目のロードレースと2日間日程。

初日のチームTTの舞台となったのはスウェーデンの中心に位置するヴォーゴーダを巡る35.6kmのコース。ツール・ファムを沸かせたユンボ・ヴィスマや、デミ・フォレリング(オランダ)を擁するSDワークスやマリアンヌ・フォス(オランダ)が率いるユンボ・ヴィスマを含む12のチームが出走した。

トップタイムである44分56秒でフィニッシュしたのはTT世界選手権王者のエレン・ファンダイク(オランダ)が中心となったトレック・セガフレード。出場チームの中で唯一平均時速47kmを超えるスピードで駆け抜け、2位のSDワークスに38秒差、3位のチームDSMに49秒差をつけるタイムで優勝した。

ステージ2位:チームDSMステージ2位:チームDSM photo:CorVos
ステージ3位:SDワークスステージ3位:SDワークス photo:CorVos
表彰台の上で勝利を喜ぶトレック・セガフレード表彰台の上で勝利を喜ぶトレック・セガフレード photo:CorVos



8月7日:ポストノルド・ヴォーゴーダウェストスウェーデン2022ロードレース

笑顔でスタートを待つマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)笑顔でスタートを待つマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
翌日のロードレースはヴォーゴーダに設定された125.7kmコースで争われた。スタートから3ヶ所の未舗装路区間を含む37,7kmを経て、11kmコースを8周する平坦のスプリンター向きのレイアウト。ツール・ファムでマイヨヴェールを獲得したフォスと、落車の怪我から復帰したロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)のスプリントバトルが期待された。

激しいアタック合戦がレース序盤から続いたこの日、一時はシリン・ファンアンローイ(トレック・セガフレード)を含むオランダ人選手5名で先行集団を形成した。しかし各スプリントチームが代わる代わる先頭に出て引き戻すと、デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)やフォスらが仕掛けるものの、決定的な動きには繋がらない。

コース序盤に設定されたグラベル区間でアタックが勃発コース序盤に設定されたグラベル区間でアタックが勃発 photo:CorVos
4名による先行集団を走るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)4名による先行集団を走るマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
散発的なアタックがレース中盤〜終盤になっても続き、ファンダイクのペースアップによりメイン集団が分断。その直後に訪れた牽制状態の隙をついたフランス王者のオードリー・コードンラゴ(トレック・セガフレード)の飛び出すと、フォスとヴァレリー・デメイ(ベルギー、リブレーシング・エクストラ)、ファイファー・ジョルジ(イギリス、チームDSM)が追従した。

フィニッシュまで14kmを残して先行した4名は、メイン集団にいるウィーベスのために抑え役に徹するジョルジを除き順調にローテーションを回す。残り1km地点でメイン集団が合流することはないと悟ったジョルジがアーリーアタックを繰り出すが決まらず、勝負は4名によるスプリントへ。

追走を強いられたロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)追走を強いられたロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
小集団スプリントはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が先着小集団スプリントはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)が先着 photo:CorVos
先行集団のきっかけを作ったコードンラゴが先んじて腰を上げたものの、そのスリップストリームから飛び出したフォスが先着。フォスにとってツール・ファム第6ステージ以来となる今季5勝目、となるはずだった。

2位コードンラゴと3位ジョルジと共に表彰式のために待機していたフォスに対し、UCIコミッセール(審判員)がやってくると、失格処分を言い渡した。失格の対象となったのはフォスがハンドルバーに腕を置き、禁止されているエアロポジションを取ったため。レース映像ではそれに気づいたフォスが慌ててハンドルを握り直すシーンが確認できるものの、コミッセールはフォスにレース除外の判断を下した。

コミッセールから失格を言い渡されるマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)コミッセールから失格を言い渡されるマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
フォスの降格で優勝となったオードリー・コードンラゴ(フランス、トレック・セガフレード)フォスの降格で優勝となったオードリー・コードンラゴ(フランス、トレック・セガフレード) photo:CorVos
「正直、とても複雑な感情がある」と語ったのは繰り上がりで優勝したコードンラゴ。「私たちチームが見せつけた走りには満足しているものの、同時にとても奇妙な気持ちがする。プロトン最強の選手(であるフォス)に負け、恥じることのない2位に満足していた」とコードンラゴはレース直後の気持ちを素直に話した。

「マリアンヌ(フォス)には脱帽する。なぜなら彼女は”ルールなのだから仕方がない”とすぐさま処分を受け入れたのだからね。勝っていてもいなくても、今日自分が見せた走りには満足している」とも。

一方でフォスはその後のインタビューで「自分が禁じられている”パピーパウ・ポジション”をしていること気づき、すぐさまハンドルを握り直した。しかしUCIコミッセールが失格を下すには十分だったようだ」とコメント。「普段はあのポジションをすることはない。残念な結果ではあるが、ルールには従わないといけない」と語っている。
8月6日:ポストノルド・ヴォーゴーダウェストスウェーデンチーム2022チームタイムトライアル
1位 トレック・セガフレード 44:56
2位 SDワークス 0:38
3位 チームDSM 0:49
4位 ユンボ・ヴィスマ 1:15
5位 FDJ・スエズ・フチュロスコープ 1:41
8月7日:ポストノルド・ヴォーゴーダウェストスウェーデン2022ロードレース
1位 オードリー・コードンラゴ(フランス、トレック・セガフレード) 3:10:47
2位 ファイファー・ジョルジ(イギリス、チームDSM)
3位 ヴァレリー・デメイ(ベルギー、リブレーシング・エクストラ) 0:06
4位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) 0:10
5位 バルバラ・グアリスキ(イタリア、モビスター) 0:12
DSQ マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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