2022/08/01(月) - 09:17
ツール・ド・フランス ファム最終日の「ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ」でアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が飛翔。ダメ押しのステージ優勝でリードを上積みし、大会の初代女王に輝いた。
ステージレースとして33年ぶりに復活開催されたツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト(UCIワールドツアー)最終日は、2010年代以降男子ツールの名物峠として欠かせない存在となった1級山岳「ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ(距離7km/平均8.7%)」にフィニッシュする。
終盤に未舗装路を通過し、最後は24%まで勾配が上がるベルフィーユ。コースレイアウトは今年の男子ツール第7ステージに登場したものと同じで、その前にも2級と1級山岳を通過する。前日に圧倒的な登坂力でマイヨジョーヌを獲得したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が、この難関ステージでどう動くかが最大の争点となった。
最終日まで生き残った109名がリュールの街を出発。スタートから1時間を経ても逃げらしい逃げは決まらず、52.5k地点で頂上を迎える2級山岳コート・デスムリエール通過後に総合9位のマビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)や総合10位エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)などを含む10名逃げが生まれた。
一方のメイン集団では下りに入ってファンフルーテンがパンクに見舞われ、チームメイトのバイクに乗り換えて集団復帰を試みた。SDワークス勢と、加担したトレック・セガフレードが集団ペースアップを試みて追走を拒んだものの、ファンフルーテンは下りと平坦でチームメイト2人の力を借り、続く1級山岳「バロン・ダルザス(登坂距離9.0km/平均6.9%)」で追いついてから自分のバイクにチェンジ。さらに数km先でもう一台のバイクにチェンジ。その度に総合2位デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)がペースを上げたものの、ニュートラル走行時の交換も含めれば、合計4回もバイク交換を強いられたファンフルーテンが遅れを取ることはなかった。
マイヨアポワを着るフォレリングが断続的に攻撃したものの、ファンフルーテンはその度に余裕の表情で封じ込める。逃げグループ、メイン集団は共に慌ただしく動きながら、20秒差で1級山岳「ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ」の登坂区間へと突入。すると、逃げグループから降りてきたチームメイトを味方につけ、ファンフルーテンが猛烈なペースアップを繰り出した。
残り5.5km地点でアシストを切り離したファンフルーテンは一気にフォレリングを突き放し、先頭グループ内で最後まで粘り続けていたガルシアをも軽々と追い抜いてしまう。「無理に食らいつかず、マイペースでいかなければ崩れてしまう」と振り返るフォレリングを置き去りにし、前日敢闘賞の証である赤ゼッケンをつけたマイヨジョーヌが、ダメ押しのアタックで総合優勝に向けて突き進んだ。
勾配が20%に達する激坂区間でもファンフルーテンの勢いは崩れず、むしろ水を得た魚のようにその走りは輝きを増し続けた。フラムルージュ(残り1km地点)をくぐった先の未舗装路区間も、フィニッシュ手前の24%区間も危なげなくクリア。今大会の山岳ステージ2連勝を挙げると共に、ツール・ド・フランス ファムの総合優勝を決めた。
追い込み続けたフォレリングを30秒引き離し、総合リードを実に3分48秒、3位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)に対して6分35秒も積み上げたファンフルーテンは「マイヨジョーヌを着て、それもベルフィーユで総合優勝を決めるだなんて、試走の時に思い描いていた最高のシナリオだった。最高の形で締めくくることができて最高の気分」と話す。
来シーズン末、2023年限りでの引退を表明している39歳の大ベテランが、束になって挑んだ若手選手をなぎ倒して総合優勝。2017年の世界選手権個人タイムトライアル制覇を皮切りに、キャリア終盤に入って強さを増し続けるファンフルーテンにとっては、先のジロ・デ・イタリア・ドンネに続くビッグレース2連続制覇となった。
8日間の戦い、そして歴史的な開催となったツール・ド・フランス ファムが終了した。マイヨジョーヌはファンフルーテンの手に渡り、逆転を目指して挑み続けたフォレリングはマイヨアポワを獲得。区間2勝を筆頭に最終山岳2連戦以外の全ステージでトップ5入りした女王マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は目標通りマイヨヴェールを獲得。23歳以下を対象としたマイヨブランは、シクロクロスと兼業するシリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード)の手に渡った。
選手コメントは別記事で紹介します。
ステージレースとして33年ぶりに復活開催されたツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト(UCIワールドツアー)最終日は、2010年代以降男子ツールの名物峠として欠かせない存在となった1級山岳「ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ(距離7km/平均8.7%)」にフィニッシュする。
終盤に未舗装路を通過し、最後は24%まで勾配が上がるベルフィーユ。コースレイアウトは今年の男子ツール第7ステージに登場したものと同じで、その前にも2級と1級山岳を通過する。前日に圧倒的な登坂力でマイヨジョーヌを獲得したアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)が、この難関ステージでどう動くかが最大の争点となった。
最終日まで生き残った109名がリュールの街を出発。スタートから1時間を経ても逃げらしい逃げは決まらず、52.5k地点で頂上を迎える2級山岳コート・デスムリエール通過後に総合9位のマビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ)や総合10位エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)などを含む10名逃げが生まれた。
一方のメイン集団では下りに入ってファンフルーテンがパンクに見舞われ、チームメイトのバイクに乗り換えて集団復帰を試みた。SDワークス勢と、加担したトレック・セガフレードが集団ペースアップを試みて追走を拒んだものの、ファンフルーテンは下りと平坦でチームメイト2人の力を借り、続く1級山岳「バロン・ダルザス(登坂距離9.0km/平均6.9%)」で追いついてから自分のバイクにチェンジ。さらに数km先でもう一台のバイクにチェンジ。その度に総合2位デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)がペースを上げたものの、ニュートラル走行時の交換も含めれば、合計4回もバイク交換を強いられたファンフルーテンが遅れを取ることはなかった。
マイヨアポワを着るフォレリングが断続的に攻撃したものの、ファンフルーテンはその度に余裕の表情で封じ込める。逃げグループ、メイン集団は共に慌ただしく動きながら、20秒差で1級山岳「ラ・シュペール・プランシュ・デ・ベルフィーユ」の登坂区間へと突入。すると、逃げグループから降りてきたチームメイトを味方につけ、ファンフルーテンが猛烈なペースアップを繰り出した。
残り5.5km地点でアシストを切り離したファンフルーテンは一気にフォレリングを突き放し、先頭グループ内で最後まで粘り続けていたガルシアをも軽々と追い抜いてしまう。「無理に食らいつかず、マイペースでいかなければ崩れてしまう」と振り返るフォレリングを置き去りにし、前日敢闘賞の証である赤ゼッケンをつけたマイヨジョーヌが、ダメ押しのアタックで総合優勝に向けて突き進んだ。
勾配が20%に達する激坂区間でもファンフルーテンの勢いは崩れず、むしろ水を得た魚のようにその走りは輝きを増し続けた。フラムルージュ(残り1km地点)をくぐった先の未舗装路区間も、フィニッシュ手前の24%区間も危なげなくクリア。今大会の山岳ステージ2連勝を挙げると共に、ツール・ド・フランス ファムの総合優勝を決めた。
追い込み続けたフォレリングを30秒引き離し、総合リードを実に3分48秒、3位カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)に対して6分35秒も積み上げたファンフルーテンは「マイヨジョーヌを着て、それもベルフィーユで総合優勝を決めるだなんて、試走の時に思い描いていた最高のシナリオだった。最高の形で締めくくることができて最高の気分」と話す。
来シーズン末、2023年限りでの引退を表明している39歳の大ベテランが、束になって挑んだ若手選手をなぎ倒して総合優勝。2017年の世界選手権個人タイムトライアル制覇を皮切りに、キャリア終盤に入って強さを増し続けるファンフルーテンにとっては、先のジロ・デ・イタリア・ドンネに続くビッグレース2連続制覇となった。
8日間の戦い、そして歴史的な開催となったツール・ド・フランス ファムが終了した。マイヨジョーヌはファンフルーテンの手に渡り、逆転を目指して挑み続けたフォレリングはマイヨアポワを獲得。区間2勝を筆頭に最終山岳2連戦以外の全ステージでトップ5入りした女王マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)は目標通りマイヨヴェールを獲得。23歳以下を対象としたマイヨブランは、シクロクロスと兼業するシリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード)の手に渡った。
選手コメントは別記事で紹介します。
ツール・ド・フランス ファム アベック ズイフト2022第8ステージ結果
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | 3:37:23 |
2位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | +30 |
3位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | +1:43 |
4位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | +1:52 |
5位 | ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) | +1:56 |
6位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | +2:01 |
7位 | ベロニカ・エヴァース(アメリカ、EFエデュケーション・ティブコSVB) | +2:13 |
8位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +2:50 |
9位 | マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ) | +2:59 |
10位 | リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM) | +3:01 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | 26:55:44 |
2位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | +3:48 |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | +6:35 |
4位 | ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) | +7:28 |
5位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) | +8:00 |
6位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) | +8:26 |
7位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +8:59 |
8位 | エヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ・フチュロスコープ) | +13:54 |
9位 | ベロニカ・エヴァース(アメリカ、EFエデュケーション・ティブコSVB) | +15:05 |
10位 | マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ) | +15:15 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 272pts |
2位 | ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | 174pts |
3位 | マリアジュリア・コンファロニエーリ(イタリア、セラティツィットWNTローター) | 127pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | 42pts |
2位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) | 38pts |
3位 | カタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | 15pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード) | 27:21:34 |
2位 | ミーシャ・ブレッドウォルド(オランダ、パークホテル・ファルケンブルク) | +5:41 |
3位 | ジュリア・ボルグストローム(スウェーデン、AGインシュランス・NXTGチーム) | +16:43 |
チーム総合成績
1位 | キャニオン・スラム | 81:27:09 |
2位 | FDJ・スエズ・フチュロスコープ | +14:19 |
3位 | トレック・セガフレード | +24:34 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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