2010/07/10(土) - 14:31
2010年7月9日、ツール・ド・フランス第6ステージが今大会最長の227.5kmコースで行なわれ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)が圧巻の2連勝を飾った。新城幸也(Bboxブイグテレコム)はこの日もテュルゴーのアシストに回り、ステージ19位に。
第6ステージはモンタルジからグーニョンまで227.5kmかけて南下する今大会最長の平坦ステージ。カテゴリー山岳が4つ設定されており、前日よりも起伏は多い。しかしどれもカテゴリーは4級で、スプリンターの脚を止めるほどの難易度ではない。
翌日からアルプス山脈に突入するため、この第6ステージがスプリンターにとって前半戦最後の活躍のチャンス。午前中に雨が降る蒸し暑いコンディションの中、188名がスタートを切った。
開始直後にアタックを成功させたのはセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)、ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、マチュー・ペルジェ(フランス、ケースデパーニュ)の3名。メイン集団はすぐにこの逃げを容認し、タイム差が最大8分に広がるまで静観した。
メイン集団はこの日もマイヨジョーヌ擁するサクソバンクとスプリント狙いのチームHTC・コロンビアによる合同戦線で、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)とベアト・グラブシュ(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が献身的に集団を牽引。逃げグループとのタイム差を徐々に詰めた。
レース後半に入ると太陽が顔を出し、気温はグングン上昇。走りながらアンダーウェアを脱ぐ選手が続出した。
逃げグループではラングがスプリントポイントを、ペルジェが山岳ポイントを連取。ペルジェは4つの4級山岳全てを先頭で通過し、合計12ポイント獲得で山岳賞2位に浮上した。山岳賞1位のジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)との差はわずかに1ポイント。
ラスト30km地点でユキヤを含む落車が発生したが、大きな影響が無いまま集団は逃げグループを追撃。怪我を免れたユキヤは単独で集団に復帰し、終盤のゴールスプリント勝負に備えた。
やがてこの日最後の4級山岳ラ・クロワ・ド・ラルブルでメイン集団からディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)とアントニー・シャルトー(フランス、Bboxブイグテレコム)がアタック。この2人のカウンターアタッカーはすぐさま先頭グループに追いつき、懸命にスピードを上げてエスケープ。
しかしチームHTC・コロンビアやランプレ、サーヴェロ・テストチームが率いるメイン集団の力は圧倒的で、ゴールまで10kmを残して逃げは全て吸収。集団は大きな塊のまま人口8000人ほどの小さな街グーニョンに突っ込んだ。
集団先頭でポジション争いを繰り広げたのはチームHTC・コロンビアとガーミン・トランジションズ。ラスト1kmからガーミン・トランジションズが主導権を握ったが、レンショー&カヴェンディッシュのHTCコンビが番手をキープ。ガーミンのエーススプリンターであるファラーはカヴェンディッシュのリアホイールに食らいついた。
最終ストレートに入り、失速するガーミントレインを抜きさってレンショーが先頭に。その勢いのままカヴェンディッシュが発射されると、もう誰も対抗出来なかった。
後方からファラーやアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)が追撃したが届かず、カヴェンディッシュが勝利。前日の感極まるガッツポーズとは異なり、堂々とした雰囲気のガッツポーズを炸裂させた。
文句無しのステージ2連勝を飾ったカヴェンディッシュ。勢いのあるマン島の超特急が帰って来た。これがツール通算12勝目(2008年4勝・2009年6勝)で、出場4回目にして早くもマリオ・チポッリーニ(イタリア)らに並んだ。
カヴェンディッシュはチームメイトへの感謝を忘れない。レース後のインタビューでカヴは「今日もいつも通りマーク(レンショー)に付いていっただけ。チームメイトたちの素晴らしい働きを勝利で締めくくりたかった。これはチームワークの賜物であり、僕の仕事はゴールラインで両手を挙げるだけ(レース公式サイトより)」とコメント。この連勝で完全復活を宣言したと言っていいだろう。
カヴェンディッシュはポイント賞5位まで浮上し、ステージ10位に沈んだトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)との差を33ポイントまで詰めた。まだまだポイント賞争いの行方は分からない。フースホフトはマイヨヴェールキープのために山岳ステージでもポイントを狙ってくるだろう。
ユキヤは連日テュルゴーのアシストに徹し、この日19位でフィニッシュ。終盤にはテュルゴーを集団前方に引き上げ、ポジションを守る走りを見せた。Bboxブイグテレコムのエーススプリンターに抜擢されたテュルゴーは3日連続ステージ6位と、安定した走りを見せている。
また、暑さの影響もあり、ゴール後にトラブルが続出。終盤のポジション取りを巡ってルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)とカルロス・バレード(スペイン、クイックステップ)が殴り合いの喧嘩を繰り広げ、ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)がプレスと接触して転倒するシーンも。コスタとバレードには400スイスフランの罰金が科せられた。
マイヨジョーヌはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がキープ。いよいよ総合争いは翌日から加熱して行く。
第7ステージはカテゴリー山岳が6つ設定された中級山岳ステージ。後半にかけて山岳の難易度が上がり、ゴールの4km手前で2級山岳の頂上をクリア。上りでの遅れを挽回する区間が短いため、実質的に頂上ゴールに近い。アルプスやピレネーの本格山岳に向けて、有力選手たちの動きに注目だ。
ツール・ド・フランス2010第6ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) 5h37'42"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
4位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
5位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)
6位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
10位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
19位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +03"
第6ステージ敢闘賞
マチュー・ペルジェ(フランス、ケースデパーニュ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 28h37'30"
2位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +20"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +39"
4位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +46"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) +1'01"
6位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'09"
7位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) +1'16"
8位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'31"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'40"
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+1'42"
70位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +3'47"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ) 118pts
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ) 114pts
3位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ) 105pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ) 13pts
2位 マチュー・ペルジェ(フランス、ケースデパーニュ) 12pts
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) 8pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 28h37'50"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +49"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +2'04"
チーム総合成績
1位 サクソバンク 85h56'25"
2位 ガーミン・トランジションズ +05"
3位 チームスカイ +19"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
第6ステージはモンタルジからグーニョンまで227.5kmかけて南下する今大会最長の平坦ステージ。カテゴリー山岳が4つ設定されており、前日よりも起伏は多い。しかしどれもカテゴリーは4級で、スプリンターの脚を止めるほどの難易度ではない。
翌日からアルプス山脈に突入するため、この第6ステージがスプリンターにとって前半戦最後の活躍のチャンス。午前中に雨が降る蒸し暑いコンディションの中、188名がスタートを切った。
開始直後にアタックを成功させたのはセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)、ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)、マチュー・ペルジェ(フランス、ケースデパーニュ)の3名。メイン集団はすぐにこの逃げを容認し、タイム差が最大8分に広がるまで静観した。
メイン集団はこの日もマイヨジョーヌ擁するサクソバンクとスプリント狙いのチームHTC・コロンビアによる合同戦線で、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)とベアト・グラブシュ(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が献身的に集団を牽引。逃げグループとのタイム差を徐々に詰めた。
レース後半に入ると太陽が顔を出し、気温はグングン上昇。走りながらアンダーウェアを脱ぐ選手が続出した。
逃げグループではラングがスプリントポイントを、ペルジェが山岳ポイントを連取。ペルジェは4つの4級山岳全てを先頭で通過し、合計12ポイント獲得で山岳賞2位に浮上した。山岳賞1位のジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ)との差はわずかに1ポイント。
ラスト30km地点でユキヤを含む落車が発生したが、大きな影響が無いまま集団は逃げグループを追撃。怪我を免れたユキヤは単独で集団に復帰し、終盤のゴールスプリント勝負に備えた。
やがてこの日最後の4級山岳ラ・クロワ・ド・ラルブルでメイン集団からディミトリ・シャンピオン(フランス、アージェードゥーゼル)とアントニー・シャルトー(フランス、Bboxブイグテレコム)がアタック。この2人のカウンターアタッカーはすぐさま先頭グループに追いつき、懸命にスピードを上げてエスケープ。
しかしチームHTC・コロンビアやランプレ、サーヴェロ・テストチームが率いるメイン集団の力は圧倒的で、ゴールまで10kmを残して逃げは全て吸収。集団は大きな塊のまま人口8000人ほどの小さな街グーニョンに突っ込んだ。
集団先頭でポジション争いを繰り広げたのはチームHTC・コロンビアとガーミン・トランジションズ。ラスト1kmからガーミン・トランジションズが主導権を握ったが、レンショー&カヴェンディッシュのHTCコンビが番手をキープ。ガーミンのエーススプリンターであるファラーはカヴェンディッシュのリアホイールに食らいついた。
最終ストレートに入り、失速するガーミントレインを抜きさってレンショーが先頭に。その勢いのままカヴェンディッシュが発射されると、もう誰も対抗出来なかった。
後方からファラーやアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)が追撃したが届かず、カヴェンディッシュが勝利。前日の感極まるガッツポーズとは異なり、堂々とした雰囲気のガッツポーズを炸裂させた。
文句無しのステージ2連勝を飾ったカヴェンディッシュ。勢いのあるマン島の超特急が帰って来た。これがツール通算12勝目(2008年4勝・2009年6勝)で、出場4回目にして早くもマリオ・チポッリーニ(イタリア)らに並んだ。
カヴェンディッシュはチームメイトへの感謝を忘れない。レース後のインタビューでカヴは「今日もいつも通りマーク(レンショー)に付いていっただけ。チームメイトたちの素晴らしい働きを勝利で締めくくりたかった。これはチームワークの賜物であり、僕の仕事はゴールラインで両手を挙げるだけ(レース公式サイトより)」とコメント。この連勝で完全復活を宣言したと言っていいだろう。
カヴェンディッシュはポイント賞5位まで浮上し、ステージ10位に沈んだトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)との差を33ポイントまで詰めた。まだまだポイント賞争いの行方は分からない。フースホフトはマイヨヴェールキープのために山岳ステージでもポイントを狙ってくるだろう。
ユキヤは連日テュルゴーのアシストに徹し、この日19位でフィニッシュ。終盤にはテュルゴーを集団前方に引き上げ、ポジションを守る走りを見せた。Bboxブイグテレコムのエーススプリンターに抜擢されたテュルゴーは3日連続ステージ6位と、安定した走りを見せている。
また、暑さの影響もあり、ゴール後にトラブルが続出。終盤のポジション取りを巡ってルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)とカルロス・バレード(スペイン、クイックステップ)が殴り合いの喧嘩を繰り広げ、ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)がプレスと接触して転倒するシーンも。コスタとバレードには400スイスフランの罰金が科せられた。
マイヨジョーヌはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)がキープ。いよいよ総合争いは翌日から加熱して行く。
第7ステージはカテゴリー山岳が6つ設定された中級山岳ステージ。後半にかけて山岳の難易度が上がり、ゴールの4km手前で2級山岳の頂上をクリア。上りでの遅れを挽回する区間が短いため、実質的に頂上ゴールに近い。アルプスやピレネーの本格山岳に向けて、有力選手たちの動きに注目だ。
ツール・ド・フランス2010第6ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) 5h37'42"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
4位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)
5位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)
6位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、Bboxブイグテレコム)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
10位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)
19位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +03"
第6ステージ敢闘賞
マチュー・ペルジェ(フランス、ケースデパーニュ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 28h37'30"
2位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +20"
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +39"
4位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) +46"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) +1'01"
6位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'09"
7位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム) +1'16"
8位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'31"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +1'40"
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)+1'42"
70位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +3'47"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ) 118pts
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ) 114pts
3位 ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ) 105pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ジェローム・ピノー(フランス、クイックステップ) 13pts
2位 マチュー・ペルジェ(フランス、ケースデパーニュ) 12pts
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) 8pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 28h37'50"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +49"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス) +2'04"
チーム総合成績
1位 サクソバンク 85h56'25"
2位 ガーミン・トランジションズ +05"
3位 チームスカイ +19"
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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