「長い道のりを経て掴んだ勝利は特別」と涙を流したヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)。仲間2人が棄権する事態に見舞われたヴィンゲゴーなど、ツール15日目を選手たちの言葉で振り返ります。



区間優勝 ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

スプリントで競り合うワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)、ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)スプリントで競り合うワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)、ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Kei Tsuji
レース直後インタビュー

信じられない勝利だ。ツールで競り負ける無念を何度も経験し、今日遂に勝つことが出来た。まだこれが現実だと信じられていない。

最終コーナーからフィニッシュラインまでそんなに距離がないことを、昨年大会からよく知っていた。だからこそ良い位置で最終ストレートに入らないければならなかった。最後はピーダスンを追い抜くことができてよかったよ。

勝利した瞬間、この現実を理解するのに頭が追いつかなかった。この勝利までの道のりは長く、チームとしてここまで努力を積み重ねてきた。厳しいツールを経てようやく掴んだ勝利だ。第15ステージまで仲間たちは僕を信じてくれた。心から感謝しているし、本当に嬉しい。

待望の表彰台に上がるヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)	待望の表彰台に上がるヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:Makoto AYANO
表彰式後の記者会見

もちろんキャリア最大の勝利。スプリンターにとってツール・ド・フランスは最高峰の戦いだ。その舞台で勝利できて本当に嬉しい。決して忘れない記憶になるだろう。いまは初勝利を楽しみ、すぐに最終週に向けて切り替える。これでチーム全員がプレッシャーから解放された。マチュー(ファンデルプール)が去るなど決して順調なツールではなかったが、今日の勝利で僕たちチームの強さを示すことができた。

今日は沢山の氷と水が必要だった。身体を冷やすことに努め、それが良い走りに繋がった。バイクに乗るにはクレイジーな気温だったね。

今日のフィニッシュは僕向きだったことが幸いしたよ。また(昨年ここで勝利した)カヴェンディッシュの不在はそれを上回る幸運だったね(笑)。2つある次なるチャンスに向けてモチベーションは高い。

区間2位&マイヨヴェール ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

ファンアールトとヴィンゲゴーがスプリントを振り返るファンアールトとヴィンゲゴーがスプリントを振り返る photo:CorVos
最終コーナーでイン側を取ったヤスパー(フィリプセン)に少し驚いたが、賢い動きだったと言える。位置取りは完璧だったものの、今日の彼は強すぎた。ただそれだけだ。

今日はコース上にデモがいたみたいだね。その影響かどうかはわからないが、プロトンが混沌とした雰囲気になった。ステフェン(クライスヴァイク)が落車した瞬間はなんとか避けることができ、彼を待ったのだが状態が良さそうには見えなかった。カオスと呼べる時間帯だった。明日の休息日に今日の損害を見定め、回復に努めたい。

区間3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

今大会2勝目を逃したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)今大会2勝目を逃したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) photo:CorVos
1日を通してチームの全員が完璧な走りを見せてくれ、最後はヤスパー(ストゥイヴェ)による完璧なリードアウト。しかし彼ら(ファンアールトとフィリプセン)に抜かれてしまった。スプリント開始をあれ以上遅らせることはできなかったので、この結果には満足と言えるだろう。だがこの厳しい暑さの中、僕らはチームの強さを示すことができた。

区間4位 ペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)

まずは最終盤で素晴らしい走りを見せてくれたチームメイトに感謝したい。残り500〜300mでの位置取りは上手くいったものの、単純にスピードが足りなかった。タフなコースに加え、暑さがレースを更に厳しいものにした。明日の休息日を経て、良い第3週目にするべく集中したい。

残り450mで捉えられたバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)

地元のバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)とアレクシー・グジャール(フランス、B&Bホテルズ KTM)が飛び出す地元のバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)とアレクシー・グジャール(フランス、B&Bホテルズ KTM)が飛び出す photo:CorVos
僕自身が山岳ポイントを獲得してシモン(ゲシュケ)のマイヨアポワを守るべく飛び出した。するとアレクシー・グジャールがついてきたので「自分の運を試してみよう」と思い2人で逃げたんだ。沿道の観客は僕に声援を送ってくれた。とても力になったので感謝したい。

しかしプロトンが背後から迫ってきたのを見た瞬間、全てが終わりだと悟ったよ。今日は勝利に届かなかったものの、第3週目もチャンスがあればトライしたい。

マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

肩に落車の痕を残すヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)もフィニッシュ肩に落車の痕を残すヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)もフィニッシュ photo:Makoto AYANO
僕らにとって完璧な日ではなかった。ステフェンがレースを去り、ティシュ(ベノート)と僕が落車した。僕は大丈夫だし、ティシュの無事を願っている。チームにとってバッドデイになってしまったがこういう日もあるさ。

(落車したシーンは)何が起こったのかよく分からない。僕の前にいたティシュが落車し、それに巻き込まれた。できることは何もなかったしこれが自転車レースだ。怪我は身体の左側に擦過傷を負った程度だよ。

マイヨブラン&総合2位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の勝利を祝うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)ヤスパー・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の勝利を祝うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
とても暑く、またいくつか落車も発生する混沌とした1日だった。今日も無事フィニッシュすることができてよかった。明日の休息日を楽しみたい。

クリストファー・フルーム(イギリス、イスラエル・プレミアテック)

本当に暑かった。みんな溶けるんじゃないかとすら思うほどね。僕含めみんな常に水や氷を使い、何とか身体を冷まそうとしていた。ラスト60kmは混沌とした展開となり、トレック・セガフレードはスプリンターをふるい落とそうと最終山岳でハイスピードで牽引した。混沌とした休息日前日のこのステージを無事に走り切ることができてよかったよ。

今朝の朝食を説明するルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

ハムとチーズの入ったオムレツと、アボカドを載せたトースト。それに(低脂肪等ではない)普通の牛乳を入れたたっぷりの(ケロッグ)ココポップス。もちろん最後のチョコレートミルクシェイクになった牛乳も飲み干すよ。

一緒に飲むのはミルクをたっぷり入れた紅茶。砂糖なし。チームメイトは皆コーヒーが大好きでこだわっているが、僕はネスカフェゴールド(インスタントコーヒー)でも満足するぐらい興味がないんだ。

カプチーノは飲むが、不器用なのでいつも誰かに作ってもらっている。今日は(アダム)イェーツに作ってもらったよ。しかもラテアートまでしてくれた。彼はバリスタ並みに上手いからね。

text:Sotaro.Arakawa

最新ニュース(全ジャンル)