2022/06/24(金) - 20:49
全日本選手権個人タイムトライアル、注目の男子エリートを制したのは金子宗平(群馬グリフィン)。昨年優勝の増田成幸ら、並み居る優勝候補が上回ることが出来ないタイムを出して初優勝した。優勝の金子、増田、3位新城幸也のコメントとあわせてレポートする。
3日間に渡り開催される今年の全日本選手権ロードレース。初日は男子エリート、女子エリート+U23、男子U23、パラサイクリングの個人タイムトライアルが行われた。
コースは広島県中央森林公園のサイクリングコース。タイムトライアルに限って通常の周回とは逆方向の周回となり、1周の距離は12kmとなる。とは言えアップダウンとカーブが繰り返され、直線区間が少ないのは通常の周回と同じ。加えてこの日は隣接する広島空港に着陸する飛行機が着陸やり直しをするほどの強風が吹き続ける1日。ペース配分とスピードの維持がさらに難しくなるコンディションとなった。
男子エリートは3周・36km。エントリーした20名を10名ずつ2つのグループに分け、前半のウェーブ1と後半のウェーブ2に分けて1分間隔でスタート。前年大会の上位勢はウェーブ2でのスタートとなる。
ウェーブ1の6番手でスタートした金子宗平(群馬グリフィン)は1周目のラップタイム16分11秒をマーク。2周目以降も16分台維持し、前年優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のタイムを20秒上回る49分5秒で暫定トップに立つ。
第2ウェーブがスタートすると、小石祐馬(チーム右京)が金子に迫るタイムを出して周回。後半にペースを上げるものの、約20秒足りずに2位。仮のワンピースジャージでスタートした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も1周16分台のラップタイムで周回するものの、金子のタイムには及ばない。
前年優勝の増田や、U23優勝の松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)も走りに精彩を欠く結果となり、ウェーブ2はトップタイムの更新がないまま終了。この瞬間、金子の全日本初優勝が確定した。
昨年の全日本選手権ロードレースで7位に入り注目された金子。2022年は群馬グリフィンレーシングチームでJプロツアーを走る一方、東京大学大学院に在学。6月はじめに行われた大学選手権のチームタイムトライアルでは、東京大学初優勝の原動力となった。
金子宗平「待っている間はドキドキ緊張していた」
初の全日本タイトル。このために去年から練習を重ねてきました。一番の目標を達成できてとても嬉しいですね。TTならSTRAVAデータを見ていていけるんじゃないかな、と。それを見て目標にしていたんです。
速度出ているところで踏むのは効率が良くありませんし、登り返しなど踏まなければならない場所で踏んだり、メリハリをつけるように。下りは苦手でしたが、イメージトレーニングと試走を経て全て暗記。ブラインドコーナーや、ハンドルを持ち替える場所、全てイメージを作っていました。
試走は前日に5周。その中で16分40秒くらいで周回できたので、どのくらいのペースで走ればどのくらいのタイムが出るということも把握していました。
(直前にU23で優勝した)留目(夕陽)に走行データをすぐSTRAVAにアップさせて、自分のレース前に試走タイムと比較した上で風向きを読んだり解析していました。留目をいい形で使えましたね(笑)。後半にペースアップしたのは狙い通り。最後は踏めていたし調子も良かった。今思えば余裕もあったのかなと思います。
今後の目標はTT連覇。大学院2年なので来年は卒業して一般企業に就職しますが、それでも競技は続けていきたいです。
3位 新城幸也「タイムトライアルに出場しないという選択肢は無かった」
今日できることは全てやりました。少し風が強かったのが予想外でしたが、最後の登り区間で思うようにペースを上げられませんでした。調子自体は良くもなく悪くもなく、中の上くらい。好調と言える範囲だったとは思います。
広島は4回目で、2009年の全日本選手権以来でした。僕自身全然知らないコースですし、自分にとっては初めてと言える状況だったので昨日は試走でコーナーのひとつひとつまで念入りにチェックをしました。
実はTTも狙っていたんですよ(笑)。せっかく帰るんだから、獲れるものは全部獲る。出ないという選択肢はありませんでした。たった30kmで疲れることもないし。でもジャージが届いたのも今朝だったり、いろいろ難しかったですね。(補足:スキンスーツは特別措置でJCFが許可。東京で合うものを探してもらい、朝6時の飛行機で運び、朝8時にきたものに袖を通した。)
全日本選手権は日本一を決めるレースですから、その時一番強い人が勝つレースになればいいし、そういうレースを願っている。「待ち」のレースではなく、みんなが積極的にオフェンスに回る攻撃的な展開にしたいですね。
曲がりくねったコースで全ては覚えられない。前にいた方がいいのか、後ろにいた方がいいのか。集団内の快適な場所を探して留まり、動くときはどこでどう動けば効果的かを判断する必要がありますね。みんなは三段坂が勝負所と言いますが、そのほかにも仕掛けところはたくさんあります。走りながら見ていきたいですね。
10位 増田成幸「僕の日ではなかった」
暑さにやられてしまいましたね。バセドウ病に罹ると暑さに対するコントロールが弱くなってしまうんです。病気自体は落ち着いていますが、甲状腺が働かなくなっている。オリンピックの時もそうでしたが、この暑さだとかなり厳しい戦いになるだろうな、と感じていました。その通りになってしまいましたね。
同じコースといえど昨年とは全く違った。本当に踏めなくなってしまう。この程度の暑さで熱中症のような感じですが、それも含めてレース。僕の日ではありませんでした。これから夏本番なので不安な面がありますが...。明後日も晴れれば厳しくなると思いますが、チームとして勝ちを狙いたいと思います。
3日間に渡り開催される今年の全日本選手権ロードレース。初日は男子エリート、女子エリート+U23、男子U23、パラサイクリングの個人タイムトライアルが行われた。
コースは広島県中央森林公園のサイクリングコース。タイムトライアルに限って通常の周回とは逆方向の周回となり、1周の距離は12kmとなる。とは言えアップダウンとカーブが繰り返され、直線区間が少ないのは通常の周回と同じ。加えてこの日は隣接する広島空港に着陸する飛行機が着陸やり直しをするほどの強風が吹き続ける1日。ペース配分とスピードの維持がさらに難しくなるコンディションとなった。
男子エリートは3周・36km。エントリーした20名を10名ずつ2つのグループに分け、前半のウェーブ1と後半のウェーブ2に分けて1分間隔でスタート。前年大会の上位勢はウェーブ2でのスタートとなる。
ウェーブ1の6番手でスタートした金子宗平(群馬グリフィン)は1周目のラップタイム16分11秒をマーク。2周目以降も16分台維持し、前年優勝した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)のタイムを20秒上回る49分5秒で暫定トップに立つ。
第2ウェーブがスタートすると、小石祐馬(チーム右京)が金子に迫るタイムを出して周回。後半にペースを上げるものの、約20秒足りずに2位。仮のワンピースジャージでスタートした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も1周16分台のラップタイムで周回するものの、金子のタイムには及ばない。
前年優勝の増田や、U23優勝の松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)も走りに精彩を欠く結果となり、ウェーブ2はトップタイムの更新がないまま終了。この瞬間、金子の全日本初優勝が確定した。
昨年の全日本選手権ロードレースで7位に入り注目された金子。2022年は群馬グリフィンレーシングチームでJプロツアーを走る一方、東京大学大学院に在学。6月はじめに行われた大学選手権のチームタイムトライアルでは、東京大学初優勝の原動力となった。
金子宗平「待っている間はドキドキ緊張していた」
初の全日本タイトル。このために去年から練習を重ねてきました。一番の目標を達成できてとても嬉しいですね。TTならSTRAVAデータを見ていていけるんじゃないかな、と。それを見て目標にしていたんです。
速度出ているところで踏むのは効率が良くありませんし、登り返しなど踏まなければならない場所で踏んだり、メリハリをつけるように。下りは苦手でしたが、イメージトレーニングと試走を経て全て暗記。ブラインドコーナーや、ハンドルを持ち替える場所、全てイメージを作っていました。
試走は前日に5周。その中で16分40秒くらいで周回できたので、どのくらいのペースで走ればどのくらいのタイムが出るということも把握していました。
(直前にU23で優勝した)留目(夕陽)に走行データをすぐSTRAVAにアップさせて、自分のレース前に試走タイムと比較した上で風向きを読んだり解析していました。留目をいい形で使えましたね(笑)。後半にペースアップしたのは狙い通り。最後は踏めていたし調子も良かった。今思えば余裕もあったのかなと思います。
今後の目標はTT連覇。大学院2年なので来年は卒業して一般企業に就職しますが、それでも競技は続けていきたいです。
3位 新城幸也「タイムトライアルに出場しないという選択肢は無かった」
今日できることは全てやりました。少し風が強かったのが予想外でしたが、最後の登り区間で思うようにペースを上げられませんでした。調子自体は良くもなく悪くもなく、中の上くらい。好調と言える範囲だったとは思います。
広島は4回目で、2009年の全日本選手権以来でした。僕自身全然知らないコースですし、自分にとっては初めてと言える状況だったので昨日は試走でコーナーのひとつひとつまで念入りにチェックをしました。
実はTTも狙っていたんですよ(笑)。せっかく帰るんだから、獲れるものは全部獲る。出ないという選択肢はありませんでした。たった30kmで疲れることもないし。でもジャージが届いたのも今朝だったり、いろいろ難しかったですね。(補足:スキンスーツは特別措置でJCFが許可。東京で合うものを探してもらい、朝6時の飛行機で運び、朝8時にきたものに袖を通した。)
全日本選手権は日本一を決めるレースですから、その時一番強い人が勝つレースになればいいし、そういうレースを願っている。「待ち」のレースではなく、みんなが積極的にオフェンスに回る攻撃的な展開にしたいですね。
曲がりくねったコースで全ては覚えられない。前にいた方がいいのか、後ろにいた方がいいのか。集団内の快適な場所を探して留まり、動くときはどこでどう動けば効果的かを判断する必要がありますね。みんなは三段坂が勝負所と言いますが、そのほかにも仕掛けところはたくさんあります。走りながら見ていきたいですね。
10位 増田成幸「僕の日ではなかった」
暑さにやられてしまいましたね。バセドウ病に罹ると暑さに対するコントロールが弱くなってしまうんです。病気自体は落ち着いていますが、甲状腺が働かなくなっている。オリンピックの時もそうでしたが、この暑さだとかなり厳しい戦いになるだろうな、と感じていました。その通りになってしまいましたね。
同じコースといえど昨年とは全く違った。本当に踏めなくなってしまう。この程度の暑さで熱中症のような感じですが、それも含めてレース。僕の日ではありませんでした。これから夏本番なので不安な面がありますが...。明後日も晴れれば厳しくなると思いますが、チームとして勝ちを狙いたいと思います。
全日本選手権ロードレース個人タイムトライアル 男子エリート結果(36km)
text:Satoru Kato, So Isobe
photo:Satoru Kato
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