2022/06/16(木) - 08:15
大怪我を乗り越えたダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)がスイス4日目に勝利。マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)を破り、キャリア通算勝利数を30に伸ばした。
スイスの牧歌的な山村風景の中を走る photo:CorVos
前日のフィニッシュ地点、グレンヘンからルツェルン湖のほとりにあるブルネンを目指すツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第4ステージ。序盤に3級山岳を越えて以降は平坦基調のコースが続くが、スプリント勝負を目指すならば終盤に一つだけ設定された2級山岳を耐えなければならない。
前日落車で負傷したカスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)を含む4名がこの日は未出走。短いアタック合戦を経て、3級山岳手前でマシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)とマルクス・フールゴー(ノルウェー、トレック・セガフレード)、そしてジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・フェニックス)という3名が飛び出した。
逃げグループを形成したマシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル) photo:CorVos
雪解け水を湛える湖水地方を駆け抜ける photo:CorVos
ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が2級山岳で牽引 photo:CorVos
「これぞスイス」という牧歌的風景の中を、逃げグループが3〜4分のリードを得て、メイン集団では新城幸也率いるバーレーン・ヴィクトリアスが牽く状態で駆け抜ける。レース後半に入ると暑さ順応できなかったというテイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)がリタイアを選ぶシーンも。
この日逃げグループにステージ優勝のチャンスは無く、終盤の2級山岳「サッテル」序盤であえなく吸収。コンスタントに8.5%勾配をマークする3km登坂でアルペシン・フェニックスがハイペースを刻むと、集団後方では総合首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)が脱落。しかしチームメイトのアシストを得て頂上通過前に辛くも復帰に成功している。
フィニッシュ地点を目指す平坦区間を引っ張ったのはEFエデュケーション・イージーポストだった。リゴベルト・ウラン(コロンビア)やヒュー・カーシー(イギリス)といったクライマーをフル動員してアルベルト・ベッティオル(イタリア)を牽引。登坂区間で約半分サイズに縮小したメイン集団が、ブルネンのフィニッシュラインを目指してなだれ込んだ。
リードアウトを得たベッティオルがスプリントを開始したものの、その左横をダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)が追い抜いていく。「ポジションを失ってしまい400~500mをもがき続けた」と振り返るマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がインピーを目指してぐいぐい追い上げたものの、追い抜くには僅かに勢いが足りなかった。
もがくダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
マシューズを抑えて勝利したダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
復活勝利したインピーをフィリップ・ジルベール(ベルギー、ロット・スーダル)が祝福 photo:CorVos
37歳になったインピーが、実に2019年8月以来(個人TTでは2020年南アフリカ選手権勝利)となる久々の勝利を挙げる。昨年の骨盤骨折から復活したベテランスプリンターが未だワールドツアーで勝てる実力を維持していることを強くアピールした。
「最後はベッティオルの後ろについていたけれど、最後のコーナーで数人に追い抜かれて勝負圏外にいると思ったんだ。でも長いストレートだったので挽回するチャンスがあった。残り300mで左側のラインが空いているのを見てそのチャンスに賭けた。最後まで踏み切る脚が今日の僕にはあった」と話すインピーにとって、今回が嬉しいキャリア30勝目。「とても大きな勝利であり、なぜなら昨年骨盤骨折して以降はたくさんのことに悩まされてきたから。ここ数日間のスプリントでは囲まれてブレーキをせざるを得ず勝負にも絡めなかった」とも。
表彰台に上がるダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos
「これが僕には必要だった。僕は歳をとったけどまだまだやれる」と笑うインピー。「左側に青いジャージが目に入ったので腕を上げるべきではないと思ったんだ。僕の最後の勝利はずっと前のことだったように思う。イスラエルは今年病気に悩まされていて少しアップダウンのあるシーズンを送っている。ポイントを重ねるためにもいい勝利になったし、価値あるレースでの勝利だけにモチベーションにもつながる。これをきっかけに良い波に乗れたら良いなと思っているよ」と加えている。
なおワールドチーム残留圏外にいるイスラエルは、今回貴重なUCIポイント34ポイントをゲット。現在残留圏内最下位(18位)のバイクエクスチェンジと19位ロット・スーダル、20位イスラエルは僅差の争いとなっている。
最終山岳で遅れかけたウィリアムズはリーダージャージを辛くもキープ。明日はよりパンチャー向けのアップダウンが厳しいステージとなるため、登坂を得意とするパンチャー勢がステージ優勝を狙いにくるはずだ。
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前日のフィニッシュ地点、グレンヘンからルツェルン湖のほとりにあるブルネンを目指すツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第4ステージ。序盤に3級山岳を越えて以降は平坦基調のコースが続くが、スプリント勝負を目指すならば終盤に一つだけ設定された2級山岳を耐えなければならない。
前日落車で負傷したカスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)を含む4名がこの日は未出走。短いアタック合戦を経て、3級山岳手前でマシュー・ホームズ(イギリス、ロット・スーダル)とマルクス・フールゴー(ノルウェー、トレック・セガフレード)、そしてジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・フェニックス)という3名が飛び出した。
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「これぞスイス」という牧歌的風景の中を、逃げグループが3〜4分のリードを得て、メイン集団では新城幸也率いるバーレーン・ヴィクトリアスが牽く状態で駆け抜ける。レース後半に入ると暑さ順応できなかったというテイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)がリタイアを選ぶシーンも。
この日逃げグループにステージ優勝のチャンスは無く、終盤の2級山岳「サッテル」序盤であえなく吸収。コンスタントに8.5%勾配をマークする3km登坂でアルペシン・フェニックスがハイペースを刻むと、集団後方では総合首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)が脱落。しかしチームメイトのアシストを得て頂上通過前に辛くも復帰に成功している。
フィニッシュ地点を目指す平坦区間を引っ張ったのはEFエデュケーション・イージーポストだった。リゴベルト・ウラン(コロンビア)やヒュー・カーシー(イギリス)といったクライマーをフル動員してアルベルト・ベッティオル(イタリア)を牽引。登坂区間で約半分サイズに縮小したメイン集団が、ブルネンのフィニッシュラインを目指してなだれ込んだ。
リードアウトを得たベッティオルがスプリントを開始したものの、その左横をダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)が追い抜いていく。「ポジションを失ってしまい400~500mをもがき続けた」と振り返るマイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がインピーを目指してぐいぐい追い上げたものの、追い抜くには僅かに勢いが足りなかった。
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37歳になったインピーが、実に2019年8月以来(個人TTでは2020年南アフリカ選手権勝利)となる久々の勝利を挙げる。昨年の骨盤骨折から復活したベテランスプリンターが未だワールドツアーで勝てる実力を維持していることを強くアピールした。
「最後はベッティオルの後ろについていたけれど、最後のコーナーで数人に追い抜かれて勝負圏外にいると思ったんだ。でも長いストレートだったので挽回するチャンスがあった。残り300mで左側のラインが空いているのを見てそのチャンスに賭けた。最後まで踏み切る脚が今日の僕にはあった」と話すインピーにとって、今回が嬉しいキャリア30勝目。「とても大きな勝利であり、なぜなら昨年骨盤骨折して以降はたくさんのことに悩まされてきたから。ここ数日間のスプリントでは囲まれてブレーキをせざるを得ず勝負にも絡めなかった」とも。
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「これが僕には必要だった。僕は歳をとったけどまだまだやれる」と笑うインピー。「左側に青いジャージが目に入ったので腕を上げるべきではないと思ったんだ。僕の最後の勝利はずっと前のことだったように思う。イスラエルは今年病気に悩まされていて少しアップダウンのあるシーズンを送っている。ポイントを重ねるためにもいい勝利になったし、価値あるレースでの勝利だけにモチベーションにもつながる。これをきっかけに良い波に乗れたら良いなと思っているよ」と加えている。
なおワールドチーム残留圏外にいるイスラエルは、今回貴重なUCIポイント34ポイントをゲット。現在残留圏内最下位(18位)のバイクエクスチェンジと19位ロット・スーダル、20位イスラエルは僅差の争いとなっている。
最終山岳で遅れかけたウィリアムズはリーダージャージを辛くもキープ。明日はよりパンチャー向けのアップダウンが厳しいステージとなるため、登坂を得意とするパンチャー勢がステージ優勝を狙いにくるはずだ。
ツール・ド・スイス2022第4ステージ結果
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック) | 4:14:09 |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
3位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM) | |
4位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
5位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
6位 | アレックス・アランブル(スペイン、モビスター) | |
7位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
9位 | マチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー) | |
10位 | シュテファン・キュング(フランス、グルパマFDJ) |
個人総合成績
1位 | スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 17:46:28 |
2位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) | +0:06 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:07 |
4位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | |
5位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマ・エフデジ) | +0:10 |
6位 | マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | |
8位 | ヤコブ・フルサン(デンマーク、イスラエル・プレミアテック) | |
9位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) |
その他の特別賞
ポイント賞 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) |
山岳賞 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) |
チーム総合成績 | ボーラ・ハンスグローエ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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