ボーナスタイムが総合優勝の行方を左右したウィメンズツアー最終日。混戦となった集団スプリントをロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が制し、区間3位に入ったエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)が第8代ウィメンズツアー総合優勝者に輝いた。



チッピング・ノートンを出発するウィメンズツアー最終日チッピング・ノートンを出発するウィメンズツアー最終日 photo:CorVos
ウィメンズツアー2022第6ステージ コースプロフィールウィメンズツアー2022第6ステージ コースプロフィール image:The Women's Tour
最終第6ステージを迎えた第8回ウィメンズツアー(UCIウィメンズワールドツアー)。舞台は再びイングランドに戻り、チッピング・ノートンからオックスフォードまでの142.9kmで争われた。序盤に低難易度のカテゴリー山岳を2つ越え、その後はフィニッシュまで平坦路が続くスプリントステージだ。

今大会区間2勝を挙げているロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)の3勝目なるか。そして僅か2秒差にひしめく総合上位3名による中間スプリントでのボーナスタイム争いがどう決するか。現地時間午前11時15分にスタートが切られると、リーダージャージのバイクエクスチェンジ・ジェイコが逃げを許さないハイスピード牽引を始める。そして51km地点に設定された1つ目の中間スプリントで総合上位3名によるスプリント争いが繰り広げられた。

トップ通過でボーナスタイム-3秒を獲得したグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)トップ通過でボーナスタイム-3秒を獲得したグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) photo:CorVos
中間ポイントを前に主導権を握ったのはタイム差なしで総合2位につけるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)を擁するトレック・セガフレード。しかし初日のスプリントを制したクララ・コッポニ(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)が抜群のリードアウトを見せ、伸び悩むロンゴボルギーニを抜きグレース・ブラウン(オーストラリア)の先頭通過をお膳立て。

これにより総合首位のブラウンは-3秒を獲得してリードを拡大。ロンゴボルギーニに対し3秒差を付けた一方で、総合3位(2秒遅れ)のカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が2位通過で-2秒を加算したため、1秒差の総合2位に順位を上げた。

第1中間スプリント通過時でのバーチャル総合順位
1位:グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
2位:タジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)+ 1秒
3位:エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)+3秒

逃げ集団を形成したアネ・イヴェルセン(ノルウェー、コープ・ハイテックプロダクツ)ら3名逃げ集団を形成したアネ・イヴェルセン(ノルウェー、コープ・ハイテックプロダクツ)ら3名 photo:CorVos
オックスフォードの市街地に入ったプロトンオックスフォードの市街地に入ったプロトン photo:CorVos
白熱の中間ポイント争いが終わり、ペースが緩んだプロトンからはアネ・イヴェルセン(ノルウェー、コープ・ハイテックプロダクツ)の飛び出しをきっかけに3名の逃げグループが形成される。これをメイン集団が容認したため、ボーナスタイムが付与されるこの日2つ目のスプリントポイントはこの3名が獲得した。

集団スプリントに持ち込みたいチームDSMがコントロールしたメイン集団は、残り5km地点で逃げ選手たちを吸収。再びひと塊となった集団がオックスフォードの市街地に突入し、緩斜面と連続コーナーの難レイアウトを走る中ニエウィアドマとブラウンが遅れ、一方で総合3位に甘んじていたロンゴボルギーニはスプリンターたちに追従。ウィーベスがコッポニを抜き去り勝利したすぐ後方で、ステージ3位に食い込んだ。

ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が混沌のスプリントを制すロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)が混沌のスプリントを制す photo:CorVos
逆転での総合優勝に頭を抱えるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)逆転での総合優勝に頭を抱えるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVos
今大会3勝目を挙げたウィーベスは「今日はシャーロッテ(コール)で勝負する予定だったが、テクニカルなコーナーにより見失ってしまい自分で勝負することにした。なので勝利は嬉しいものの、少し残念でもある。3勝を挙げることのできた良い大会になった」とコメント。これで今季10勝目と絶好調のウィーベスはポイント賞も獲得している。

区間3位に食い込んだロンゴボルギーニはボーナスタイム-4秒を獲得し、ブラウンを僅か1秒差で逆転して総合優勝に輝くことに。今年パリ〜ルーベ・ファムを制した30歳のイタリア王者が、ワールドツアーで自身2度目となるステージレース制覇を成し遂げた。

また、連日クリスティーヌ・マジュラス(ルクセンブルク、SDワークス)と熾烈な争いを繰り広げたエリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)が2年連続で山岳賞に輝いている。

区間3勝とポイント賞を獲得したロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)区間3勝とポイント賞を獲得したロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) photo:CorVos
総合表彰台:2位グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)、1位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)、3位カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)総合表彰台:2位グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)、1位エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)、3位カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) photo:CorVos
ウィメンズツアー2022 第6ステージ結果
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM) 3:38:15
2位 クララ・コッポニ(フランス、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ)
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 テレザ・ネウマノバ(チェコ、リブレーシング・エクストラ)
5位 バルバラ・グアリスキ(イタリア、モビスター)
個人総合成績
1位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 19:19:07
2位 グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJヌーヴェルアキテーヌ・フチュロスコープ) 0:01
3位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) 0:05
4位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 0:24
5位 アシュリー・モールマン(南アフリカ、SDワークス) 0:32
その他の特別賞
ポイント賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、チームDSM)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 キャニオン・スラム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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