2022/06/11(土) - 10:02
メイン集団の追走は届かず、共に逃げたメンバーをロングスパートで置き去りにしたヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー)が勝利。山岳ステージ前のチャンス掴み、キャリア最大の勝利を射止めた。
快晴の下で行われたプレゼンテーション photo:A.S.O.
第74回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)の第6ステージは、総合争いの山岳ステージ前最後の逃げ/スプリンター向けコース。
何度もツール・ド・フランスのスタート/フィニッシュ地点となってきたギャップの街を目指す196kmコースの中間地点を挟んで2級山岳が2ヶ所設定されているものの、残り50km地点からは緩やかな登り基調。終盤にはノンカテゴリーの登坂を越える必要があるが、距離3.2kmで平均勾配2.8%とピュアスプリンター(=フルーネウェーヘン)でも耐えられる難易度だ。
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が膝痛によって、19歳のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が発熱と胃腸炎でリタイアを選んだこの日は、ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)が今大会3度目のエスケープ。2つ目の山岳ポイント「コート・ド・グランググール」を先頭通過したロランは山岳賞ランキングのリードを積み重ねることに成功した。追従したワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)を含め、この日は7名が逃げを決めることとなる。
メイン集団を引き離して逃げるアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)たち photo:CorVos
岩山の峠道を駆け抜ける photo:CorVos
7名中6名がフランス人選手という、いかにもドーフィネらしいエスケープは、ユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団から4分台のリードを得て山岳コースを逃げ続ける。結局ロランは逃げて以降全ての山岳地点を先頭通過し、山岳ポイントを17ptsから29ptsまで上積みした。
残り50km地点を過ぎて、メイン集団の牽引役に加わったのはトレック・セガフレードとアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ。特にヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)で勝利を狙うトレックはフルメンバー体制でメイン集団先頭に立ってペースを上げる。先頭グループを引き戻すべく加速する中でディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が一時遅れかけたものの、チームメイトの介抱を得て辛くも集団復帰に成功している。
タイム差は残り40km地点で2分45秒まで縮まったものの、ギアを切り替えて逃げる先頭グループは残り30km地点でも、残り20km地点でもタイム差をそのままキープ。山岳ステージに向けて体力温存を図るユンボ・ヴィスマはワウト・ファンアールト(ベルギー)が逃げ吸収を考えなかったこともリードを維持する要因となった。
メイン集団のコントロールするユンボ・ヴィスマに逃げ吸収の意志はなかった photo:CorVos
トレック・セガフレードとアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオがメイン集団を引くもタイム差は縮まらない photo:CorVos
逃げグループを牽引するヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー) photo:CorVos
UAEチームエミレーツやバイクエクスチェンジ・ジェイコなども逃げ吸収を目指してアシスト勢を送り込んだが断続的なものに終わり、結局足並みが揃わないまま先頭グループの逃げ切りを許してしまう。ファンアールトはこの時の状況を「他チームが追いかけ始めたものの時すでに遅し。ただし僕たちはプリモシュとヨナスの山岳に集中しているので、ステージ優勝のチャンスを逃したことに後悔はしていない」と振り返っている。
6名となっていた逃げグループは、リードを失いながらも最後の登坂区間をクリアし、軽い牽制状態のままフラムルージュを通過する。すると隊列最後尾からタイミングを伺っていたヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー)が「スプリントでは分が悪く、牽制状態を見てチャンスだと思った」と一気に加速した。
フィニッシュまで700mを残してのロングスパート。勢いよく逃げるフェロンに対し、まだ距離を残していたことも重なって他メンバーは追走を躊躇してしまう。前に出される形となったアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)の追走も、フェロンを引き戻すまでには至らなかった。
後続を引き離してフィニッシュを目指すヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー) photo:A.S.O.
700mに及ぶロングスパートを決めたヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー) photo:A.S.O.
ブラケットポジションでもがき続けたフェロンは、みすみす勝利を取りこぼすことになった他メンバーを引き離して勝利。2019年にトタル入りした24歳がキャリア通算2度目の勝利となる大金星を掴み取った。
「とてつもなく大きな勝利だ。たくさんの努力が報われた。毎日勝利を目指して走っているけれど、滅多にないワールドツアーの勝利。やり遂げることができてすごく満足しているよ」とキャリア最大の勝利を掴んだフェロンは言う。「今年のチームの流れはとても良く、多くの選手がその流れに乗っている」とも。フェロンは復調を目指すペテル・サガン(スロバキア)らと共に、今年は人生初のツール・ド・フランス出場を見据えている。トタルにとっては第2ステージのアレクシー・ヴィエルモ(フランス)に続く今大会2度目の逃げ切り勝利となった。
キャリア最大の勝利を飾ったヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー) photo:CorVos
メイン集団はエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)を先頭に32秒遅れでフィニッシュ。翌日はコース後半の超級山岳を下ってから2級山岳山頂に登り返す総合優勝争いの予選会とも言えるレイアウト。ここまで息を潜めてきたクライマー勢の戦いに注目だ。
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第74回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)の第6ステージは、総合争いの山岳ステージ前最後の逃げ/スプリンター向けコース。
何度もツール・ド・フランスのスタート/フィニッシュ地点となってきたギャップの街を目指す196kmコースの中間地点を挟んで2級山岳が2ヶ所設定されているものの、残り50km地点からは緩やかな登り基調。終盤にはノンカテゴリーの登坂を越える必要があるが、距離3.2kmで平均勾配2.8%とピュアスプリンター(=フルーネウェーヘン)でも耐えられる難易度だ。
ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)が膝痛によって、19歳のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が発熱と胃腸炎でリタイアを選んだこの日は、ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)が今大会3度目のエスケープ。2つ目の山岳ポイント「コート・ド・グランググール」を先頭通過したロランは山岳賞ランキングのリードを積み重ねることに成功した。追従したワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)を含め、この日は7名が逃げを決めることとなる。
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7名中6名がフランス人選手という、いかにもドーフィネらしいエスケープは、ユンボ・ヴィスマがコントロールするメイン集団から4分台のリードを得て山岳コースを逃げ続ける。結局ロランは逃げて以降全ての山岳地点を先頭通過し、山岳ポイントを17ptsから29ptsまで上積みした。
残り50km地点を過ぎて、メイン集団の牽引役に加わったのはトレック・セガフレードとアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ。特にヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)で勝利を狙うトレックはフルメンバー体制でメイン集団先頭に立ってペースを上げる。先頭グループを引き戻すべく加速する中でディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が一時遅れかけたものの、チームメイトの介抱を得て辛くも集団復帰に成功している。
タイム差は残り40km地点で2分45秒まで縮まったものの、ギアを切り替えて逃げる先頭グループは残り30km地点でも、残り20km地点でもタイム差をそのままキープ。山岳ステージに向けて体力温存を図るユンボ・ヴィスマはワウト・ファンアールト(ベルギー)が逃げ吸収を考えなかったこともリードを維持する要因となった。
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UAEチームエミレーツやバイクエクスチェンジ・ジェイコなども逃げ吸収を目指してアシスト勢を送り込んだが断続的なものに終わり、結局足並みが揃わないまま先頭グループの逃げ切りを許してしまう。ファンアールトはこの時の状況を「他チームが追いかけ始めたものの時すでに遅し。ただし僕たちはプリモシュとヨナスの山岳に集中しているので、ステージ優勝のチャンスを逃したことに後悔はしていない」と振り返っている。
6名となっていた逃げグループは、リードを失いながらも最後の登坂区間をクリアし、軽い牽制状態のままフラムルージュを通過する。すると隊列最後尾からタイミングを伺っていたヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー)が「スプリントでは分が悪く、牽制状態を見てチャンスだと思った」と一気に加速した。
フィニッシュまで700mを残してのロングスパート。勢いよく逃げるフェロンに対し、まだ距離を残していたことも重なって他メンバーは追走を躊躇してしまう。前に出される形となったアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)の追走も、フェロンを引き戻すまでには至らなかった。
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ブラケットポジションでもがき続けたフェロンは、みすみす勝利を取りこぼすことになった他メンバーを引き離して勝利。2019年にトタル入りした24歳がキャリア通算2度目の勝利となる大金星を掴み取った。
「とてつもなく大きな勝利だ。たくさんの努力が報われた。毎日勝利を目指して走っているけれど、滅多にないワールドツアーの勝利。やり遂げることができてすごく満足しているよ」とキャリア最大の勝利を掴んだフェロンは言う。「今年のチームの流れはとても良く、多くの選手がその流れに乗っている」とも。フェロンは復調を目指すペテル・サガン(スロバキア)らと共に、今年は人生初のツール・ド・フランス出場を見据えている。トタルにとっては第2ステージのアレクシー・ヴィエルモ(フランス)に続く今大会2度目の逃げ切り勝利となった。
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メイン集団はエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー)を先頭に32秒遅れでフィニッシュ。翌日はコース後半の超級山岳を下ってから2級山岳山頂に登り返す総合優勝争いの予選会とも言えるレイアウト。ここまで息を潜めてきたクライマー勢の戦いに注目だ。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2022第6ステージ結果
1位 | ヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー) | 4:22:17 |
2位 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) | +0:03 |
3位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | |
4位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
5位 | ジョフリー・ブシャール(フランス、AG2Rシトロエン) | |
6位 | ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) | |
7位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、トタルエネルジー) | 0:32 |
8位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
9位 | マティス・ルーヴェル(フランス、アルケア・サムシック) | |
10位 | ジョルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) |
個人総合成績
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | 21:27:20 |
2位 | マティア・カッタネオ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) | +1:03 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:06 |
4位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:32 |
5位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +1:36 |
6位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:49 |
7位 | タオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:55 |
8位 | マッテオ・ヨルゲンセン(アメリカ、モビスター) | +2:00 |
9位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | +2:10 |
10位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:11 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) |
ヤングライダー賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
チーム総合成績 | ユンボ・ヴィズマ |
text:So Isobe
photo:A.S.O.,CorVos
photo:A.S.O.,CorVos
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