2022/06/07(火) - 07:33
ドーフィネ2日目に逃げ切り発生。5名のスプリント勝負をアレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー)が制し、ステージ優勝とマイヨジョーヌを射止めた。
ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)を先頭にスタートラインに並ぶ photo:A.S.O.
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2日目のコースは大きなアップダウンの連続。170kmコースには山岳ポイントが合計4ヶ所設定されており、それぞれの難易度こそ難しくないものの、中盤からの2級山岳は登坂距離11.6km。獲得標高が3,000m弱に達する中級山岳コースで、逃げ切りを目指すアタッカーが躍動した。
20km弱に及ぶアタック合戦を経て逃げたのはアントニー・ドゥラプラス(フランス、アルケア・サムシック)を含む6名。うちフランス勢が3名、UCIワールドチーム(ファーストディビジョン)とUCIプロチーム(セカンドディビジョン)所属選手が3名ずつという、バランスの取れた逃げメンバーが4分台のリードを得てアルデシュの山岳地帯を駆け抜けた。
逃げグループを構成した6名
オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ)
アンネシュ・スコーシェス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー)
アントニー・ドゥラプラス(フランス、アルケア・サムシック)
クサンドレス・フェルフローゼム(ベルギー、ロット・スーダル)
ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM)
5分リードで逃げるケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM)たち photo:A.S.O.
2級山岳コル・ド・メジアックで、徐々にメイン集団のペースが上がる photo:A.S.O.
イネオス・グレナディアーズがペースメイクする後方ではフルーネウェーヘンが脱落 photo:A.S.O.
この日2つ目のカテゴリー山岳コート・ド・サンアグレヴを越え、続く登坂区間に入るタイミングで「今日は再びスプリンターにとってのチャンス」とスタート前に話していたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)が体調不良によってリタイア。続く2級山岳コル・ド・メジアックでは徐々にペースアップする集団からディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が脱落を喫した。
今大会数少ないチャンスを狙うフルーネウェーヘンを引き上げるべく、バイクエクスチェンジはアシスト4名を降ろして追走を試みた。しかしイネオス・グレナディアーズが段階的にペースを引き上げるメイン集団に対し、KOMポイントを越え、スプリントポイントが設定された頂上を越えるまでに遅れは1分半に達し、ゲームオーバー。ツール・ド・フランスの準備を重ねたいフルーネウェーヘンは2日連続で勝負を逃すことになってしまった。
下部育成チームから昨年ワールドツアーチーム昇格した22歳フェルフローゼムが遅れ、5名となった逃げグループの持ちタイムは残り40kmで1分40秒。「10km1分の法則」に則れば限りなくチャンスはゼロに等しいと思われたものの、下り基調に少しだけ登り区間がミックスされたレース終盤のコースレイアウトは逃げグループに味方することとなった。
逃げグループを引き戻すべくユンボ・ヴィスマがコントロール photo:A.S.O.
最後の4級山岳(残り9km地点)を越えたタイミングでのタイム差は30秒。しかしメイン集団では、それまで牽引に力を使っていたトレック・セガフレードやEFエデュケーション・イージーポストがユンボ・ヴィスマにコントロールを一任したことでやや牽制状態に陥ってしまう。そんな状況を尻目に全速力でダウンヒルを飛ばした5名がフィニッシュラインが用意されたブリーヴ=シャランサック市街地に現れた。
逃げ切りを確信し、ゴールスプリントに向けて牽制を開始した先頭5名。フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が猛追するのを尻目にルガックが残り300mからロングスパートを仕掛けた。
3,4車身ほどのリードを稼いで突き進んだルガックだったものの、フィニッシュラインが近づくにつれ勢いを失い、ヴィエルモの追い上げを許してしまう。軽快なスプリントでルガックをパスし、スコーシェスの追い上げを抑えたヴィエルモが勢いよく両手を突き上げた。
逃げグループのスプリントを制したアレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) photo:A.S.O.
2年前の骨盤骨折からの完全復活に成功したアレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) photo:A.S.O.
自身初のリーダージャージを手にしたアレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) photo:A.S.O.
逃げメンバーを打ち負かし、メイン集団を5秒抑えたヴィエルモが2019年3月以来となる久々の勝利。メイン集団の先頭でフィニッシュしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)から、キャリアを通して自身初の特別ジャージとなるマイヨジョーヌを奪い取ることにも成功した。
「信じられないよ。2年前に骨盤骨折した後は苦しみ、選手を止める可能性もあった。でもカムバックしたいという強い思いがあったんだ」とヴィエルモは言う。「今日あまり逃げ切りのチャンスはないと思っていたけれど、何人か先行した時にチームメンバーがいなかったので僕が加わることにした。逃げている最中も捕まると思っていたけれど、チャンスを掴みにいったことが報われたよ。明日は難しいコースレイアウトなのでマイヨジョーヌを守るのは難しいかもしれないけれど、僕にとってこれ以上ない幸せな瞬間になりそうだ」と、インタビューで涙を見せたヴィエルモは加えている。
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クリテリウム・デュ・ドーフィネ2日目のコースは大きなアップダウンの連続。170kmコースには山岳ポイントが合計4ヶ所設定されており、それぞれの難易度こそ難しくないものの、中盤からの2級山岳は登坂距離11.6km。獲得標高が3,000m弱に達する中級山岳コースで、逃げ切りを目指すアタッカーが躍動した。
20km弱に及ぶアタック合戦を経て逃げたのはアントニー・ドゥラプラス(フランス、アルケア・サムシック)を含む6名。うちフランス勢が3名、UCIワールドチーム(ファーストディビジョン)とUCIプロチーム(セカンドディビジョン)所属選手が3名ずつという、バランスの取れた逃げメンバーが4分台のリードを得てアルデシュの山岳地帯を駆け抜けた。
逃げグループを構成した6名
オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ)
アンネシュ・スコーシェス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー)
アントニー・ドゥラプラス(フランス、アルケア・サムシック)
クサンドレス・フェルフローゼム(ベルギー、ロット・スーダル)
ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM)
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この日2つ目のカテゴリー山岳コート・ド・サンアグレヴを越え、続く登坂区間に入るタイミングで「今日は再びスプリンターにとってのチャンス」とスタート前に話していたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)が体調不良によってリタイア。続く2級山岳コル・ド・メジアックでは徐々にペースアップする集団からディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が脱落を喫した。
今大会数少ないチャンスを狙うフルーネウェーヘンを引き上げるべく、バイクエクスチェンジはアシスト4名を降ろして追走を試みた。しかしイネオス・グレナディアーズが段階的にペースを引き上げるメイン集団に対し、KOMポイントを越え、スプリントポイントが設定された頂上を越えるまでに遅れは1分半に達し、ゲームオーバー。ツール・ド・フランスの準備を重ねたいフルーネウェーヘンは2日連続で勝負を逃すことになってしまった。
下部育成チームから昨年ワールドツアーチーム昇格した22歳フェルフローゼムが遅れ、5名となった逃げグループの持ちタイムは残り40kmで1分40秒。「10km1分の法則」に則れば限りなくチャンスはゼロに等しいと思われたものの、下り基調に少しだけ登り区間がミックスされたレース終盤のコースレイアウトは逃げグループに味方することとなった。
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最後の4級山岳(残り9km地点)を越えたタイミングでのタイム差は30秒。しかしメイン集団では、それまで牽引に力を使っていたトレック・セガフレードやEFエデュケーション・イージーポストがユンボ・ヴィスマにコントロールを一任したことでやや牽制状態に陥ってしまう。そんな状況を尻目に全速力でダウンヒルを飛ばした5名がフィニッシュラインが用意されたブリーヴ=シャランサック市街地に現れた。
逃げ切りを確信し、ゴールスプリントに向けて牽制を開始した先頭5名。フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が猛追するのを尻目にルガックが残り300mからロングスパートを仕掛けた。
3,4車身ほどのリードを稼いで突き進んだルガックだったものの、フィニッシュラインが近づくにつれ勢いを失い、ヴィエルモの追い上げを許してしまう。軽快なスプリントでルガックをパスし、スコーシェスの追い上げを抑えたヴィエルモが勢いよく両手を突き上げた。
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逃げメンバーを打ち負かし、メイン集団を5秒抑えたヴィエルモが2019年3月以来となる久々の勝利。メイン集団の先頭でフィニッシュしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)から、キャリアを通して自身初の特別ジャージとなるマイヨジョーヌを奪い取ることにも成功した。
「信じられないよ。2年前に骨盤骨折した後は苦しみ、選手を止める可能性もあった。でもカムバックしたいという強い思いがあったんだ」とヴィエルモは言う。「今日あまり逃げ切りのチャンスはないと思っていたけれど、何人か先行した時にチームメンバーがいなかったので僕が加わることにした。逃げている最中も捕まると思っていたけれど、チャンスを掴みにいったことが報われたよ。明日は難しいコースレイアウトなのでマイヨジョーヌを守るのは難しいかもしれないけれど、僕にとってこれ以上ない幸せな瞬間になりそうだ」と、インタビューで涙を見せたヴィエルモは加えている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2022第2ステージ結果
1位 | アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) | 4:03:34 |
2位 | アンネシュ・スコーシェス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | |
3位 | オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ) | |
4位 | ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM) | |
5位 | アントニー・ドゥラプラス(フランス、アルケア・サムシック) | |
6位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +0:05 |
7位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
9位 | クレモン・ヴァンチュリーニ(フランス、AG2Rシトロエン) | |
10位 | アレクサンドル・リアブシェンコ(ベラルーシ、アスタナ・カザフスタン) |
個人総合成績
1位 | アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) | 8:40:55 |
2位 | アンネシュ・スコーシェス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリング チーム) | +0:03 |
3位 | オリヴィエ・ルガック(フランス、グルパマFDJ) | +0:04 |
4位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +0:05 |
5位 | ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM) | +0:07 |
6位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:09 |
7位 | アントニー・ドゥラプラス(フランス、アルケア・サムシック) | +0:11 |
8位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:12 |
9位 | マキシム・ブエ(フランス、アルケア・サムシック) | +0:13 |
10位 | ローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +0:14 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) |
山岳賞 | ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM) |
ヤングライダー賞 | ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、チームDSM) |
チーム総合成績 | アルケア・サムシック |
text:So Isobe
photo:A.S.O.
photo:A.S.O.
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