イタリアで開催された山岳レース「ジロ・デル・アッペンニーノ」でルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が独走勝利。自身7年ぶりの勝利を収めている。



ジロからの連戦に挑んだアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ジロからの連戦に挑んだアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
ジロ・デル・アッペンニーノ(UCI1.1)は、その名の通りジェノヴァ市街地北部にそびえるアペニン山脈を舞台にした伝統の山岳ワンデーレースだ。長い峠を合計5つ(うちカテゴリー山岳は4つ)越え、総獲得標高は3,000mオーバー。83回目となった2022年大会には3つのUCIワールドチーム(イスラエル、アンテルマルシェ、UAE)に加え、イタリアのプロチーム/コンチネンタルチーム勢が多く揃った。

この日レースをコントロールしたのはアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ勢。後半戦に入ってから最後から2つ目の山岳「ピエトララヴェッツァラ(距離6.2km/平均7.7%/最大19%)」で当初からの逃げグループを捉え、ここからイタリアワンデーレースらしい激しいアタック合戦が勃発した。

打ち合いの末に生まれた12名の先頭グループ内に、アンテルマルシェはジロ・デ・イタリアで連日逃げたロレンツォ・ロータ(イタリア)を含めて4名を入れることに成功。続く最終山岳「マドンナ・デッラ・グアルディア(距離6.9km/平均7.8%/最大21%)」ではルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)や、ジロで活躍したナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)が激しくアタックを仕掛けたものの決まらず、ダウンヒル後のジェノヴァを目指す平坦区間でサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)など遅れていた選手たちが合流。8名となった先頭グループがフィニッシュラインを目指した。

小集団スプリントに持ち込まれるかと思われたものの、ローテーションが回らないふとしたタイミングを突いたのがメインチェスだった。「まだ脚が残っていたし、チームメイトが追いついてきたことで有利になった」と振り返るメインチェスは残り7km地点で猛然とアタック。出遅れたライバル勢は唯一複数メンバーを揃えていたアルケア・サムシックに追走を一任したこともあり、一目散に逃げるメインチェスとの差は一気に広がった。

残り7km地点の平坦アタックを決めたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)残り7km地点の平坦アタックを決めたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
追走グループの2番手となったゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)追走グループの2番手となったゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
30秒リードを手にしたメインチェスは、そのままジェノヴァ旧市街のフィニッシュ地点へとフィニッシュ。2020年にNTTプロサイクリングから現チームに合流した30歳が、実に自身7年ぶりとなる勝利を挙げた。

「少し予想していない勝利だったぶん格別だ。アンドラでの高地合宿を含め、ここ数週間はずっと自分のコンディションを上げるために努力していたんだ。僕のためにたくさんの人が努力してくれたこともモチベーションに繋がった。次戦のドーフィネにも弾みがついた」と話すメインチェス。アンテルマルシェはジロでのステージ2勝以降、既にシルキュイ・ワロニー(パスクァロン)、ツアー・オブ・ノルウェー第6ステージ(クリストフ)に続く3勝をマーク。シーズン後半戦突入を前に、昨年の勝利数(9勝)を大きく上回る活躍ぶりを見せている。

自身7年ぶりの勝利を挙げたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)自身7年ぶりの勝利を挙げたルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
ジロ・デッラ・アッペンニーノ2022結果
1位 ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 4:56:30
2位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ) +1:37
3位 ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
4位 サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
5位 アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・サムシック)
6位 ポール・ドゥーブル(イギリス、Mg.kヴィズカラーフォーピースVPM)
7位 アレッシオ・マルティネッリ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
8位 イバン・モレノ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)
9位 ミヘル・リース(ルクセンブルク、アルケア・サムシック)
10位 アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +4:42
text:So.Isobe
photo:CorVos