2022/05/22(日) - 08:12
最初から最後まで猛スピードで駆け抜けたジロ第14ステージ。山岳区間で生まれた精鋭グループから抜け出したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクチェンジ・ジェイコ)が今大会2勝目を挙げ、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)がマリアローザを奪取。総合成績が大きく動いた。
ジロ・デ・イタリアはイタリア北部のピエモンテ州を駆け抜ける。現存する世界最古のレース(ミラノ〜トリノ)が開催されるなど自転車競技と密接に関わるトリノを目指すコースは、まさにノコギリの歯のようにギザギザの連続だ。
スタートから3級山岳を越え、74kmから2つの2級山岳を含む37kmコースを2周半。2級山岳スペルガ(距離5.1km/平均8.2%)は最大勾配14%、2級山岳マッダレーナ峠(距離5.1km/平均8.2%)は最大20%の急勾配区間が登場する。147kmという今大会最短距離に合計3,167mに及ぶ登りが含まれ、ステージ難易度は5つ星中の4つ星。見るからに逃げ向き、そして総合成績も動く可能性を含んだこの日、やはりスタートからアタック合戦が激化した。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)が37歳の誕生日を迎えたこの日、積極的にアタックを仕掛けたのはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)だった。大会序盤戦を思い起こさせる走りでブレークを目指したものの、次から次へとアタックと合流、吸収、カウンターアタックが連続したため思うようには決まらなかった。
逃げが確定しないまま、あっという間に20km、30km、そして40kmを消化する。膝故障から復活したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)など強者も動く中、マリアアッズーラのディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)は43km地点の第1山岳ポイントを先頭通過(+9pts)している。
第1山岳のダウンヒルではローザやイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、グルパマFDJ)、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、アスタナ・カザフスタン)、アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)といった11名が逃げグループを形成。レース1/3を消化したタイミングでようやく逃げらしい逃げが形成されたものの、メイン集団では更なる動きが掛かった。
逃げと3分差がついたタイミングで加速したのは、総合4位にジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)を、総合8位にエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)をつけるボーラ・ハンスグローエだった。「早いタイミングから加速し、総合ライバルを篩い落とす」というオーダーのもと隊列を組んでペースアップし、一気にメイン集団の選別にかかった。
登坂区間で20名ほどにまで絞られたメイン集団からは総合5位ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)や総合6位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が脱落。先行していた逃げグループをフィニッシュまで70km地点でキャッチし、ミラノ〜トリノの名物峠スペルガ峠とマッダレーナ峠を含む周回コースに入った。
ボーラが人数を減らしながらハイペースを刻む先頭集団に残ったのは、ラスト1周の鐘を聴いた時点(残り35km地点)でたった12名。リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)、ヒンドレー、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)といった総合勢に加え、マリアローザのフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)もこの中にしっかりと残った。
直後のスペルガ峠ではカラパスが仕掛け、これに食らいついたのはニバリとヒンドレー、そしてロペスという4名だけ。一度ペースを落としたことでペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)やアルメイダ、ポッツォヴィーヴォといったメンバーが再合流を果たしたものの、再びカラパスが仕掛けたタイミングで、苦しみながらも粘り続けていたマリアローザがついに脱落。スペルガ峠通過後も必死に単騎追走を試みたものの追いつかず、この日限りで10日間に及ぶマリアローザに別れを告げることとなった。
強力なライバルを抑え、カラパスは一人スペルガ峠頂上を越え、下りをこなし「ようこそ地獄の入り口へ」の横断幕が掲げられたマッダレーナ峠へと差し掛かる。まさに壁と言える序盤の20%区間では後続グループの中からニバリが加速し、ヒンドレーだけが食い下がり、距離をあけてイェーツが追走。全盛期を思わせて登るニバリだったものの、やがてヒンドレーの抜け出しをを許してしまった。
激坂区間を越え、カラパスとヒンドレー、ニバリ、そしてイェーツが再合流を果たした。後続アルメイダとポッツォヴィーヴォを15秒引き離してマッダレーナ頂上を越え、ダウンヒルもクリア。するとフィニッシュを目指すアップダウン区間で「ようやく自分の本来あるべきコンディションが戻ってきた」と言うイェーツがアタックした。
残り4.5km地点でカラパスたちを振り切って、続く下り区間を飛ばしに飛ばした"スーパーサイモン"。カラパスとヒンドレーは総合成績で大きく遅れているイェーツを見送り、フィニッシュ地点のボーナスタイム争いに注意を移すこととなった。
第2ステージの個人タイムトライアルで驚きの区間優勝を挙げるも、最初の頂上フィニッシュとなったブロックハウスで膝の痛み、そして暑さに苦しんで遅れたイェーツ。すっかり総合争いから脱落していたイェーツが、お手本のようなアタックを成功させてフィニッシュに戻ってくる。ジロの自身通算6勝目となるステージ優勝を挙げてみせた。
ジロ・デ・イタリアはイタリア北部のピエモンテ州を駆け抜ける。現存する世界最古のレース(ミラノ〜トリノ)が開催されるなど自転車競技と密接に関わるトリノを目指すコースは、まさにノコギリの歯のようにギザギザの連続だ。
スタートから3級山岳を越え、74kmから2つの2級山岳を含む37kmコースを2周半。2級山岳スペルガ(距離5.1km/平均8.2%)は最大勾配14%、2級山岳マッダレーナ峠(距離5.1km/平均8.2%)は最大20%の急勾配区間が登場する。147kmという今大会最短距離に合計3,167mに及ぶ登りが含まれ、ステージ難易度は5つ星中の4つ星。見るからに逃げ向き、そして総合成績も動く可能性を含んだこの日、やはりスタートからアタック合戦が激化した。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル)が37歳の誕生日を迎えたこの日、積極的にアタックを仕掛けたのはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)だった。大会序盤戦を思い起こさせる走りでブレークを目指したものの、次から次へとアタックと合流、吸収、カウンターアタックが連続したため思うようには決まらなかった。
逃げが確定しないまま、あっという間に20km、30km、そして40kmを消化する。膝故障から復活したサイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)など強者も動く中、マリアアッズーラのディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ)は43km地点の第1山岳ポイントを先頭通過(+9pts)している。
第1山岳のダウンヒルではローザやイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、グルパマFDJ)、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、アスタナ・カザフスタン)、アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)といった11名が逃げグループを形成。レース1/3を消化したタイミングでようやく逃げらしい逃げが形成されたものの、メイン集団では更なる動きが掛かった。
逃げと3分差がついたタイミングで加速したのは、総合4位にジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)を、総合8位にエマヌエル・ブッフマン(ドイツ)をつけるボーラ・ハンスグローエだった。「早いタイミングから加速し、総合ライバルを篩い落とす」というオーダーのもと隊列を組んでペースアップし、一気にメイン集団の選別にかかった。
登坂区間で20名ほどにまで絞られたメイン集団からは総合5位ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)や総合6位ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が脱落。先行していた逃げグループをフィニッシュまで70km地点でキャッチし、ミラノ〜トリノの名物峠スペルガ峠とマッダレーナ峠を含む周回コースに入った。
ボーラが人数を減らしながらハイペースを刻む先頭集団に残ったのは、ラスト1周の鐘を聴いた時点(残り35km地点)でたった12名。リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)、ヒンドレー、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)といった総合勢に加え、マリアローザのフアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード)やヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)もこの中にしっかりと残った。
直後のスペルガ峠ではカラパスが仕掛け、これに食らいついたのはニバリとヒンドレー、そしてロペスという4名だけ。一度ペースを落としたことでペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)やアルメイダ、ポッツォヴィーヴォといったメンバーが再合流を果たしたものの、再びカラパスが仕掛けたタイミングで、苦しみながらも粘り続けていたマリアローザがついに脱落。スペルガ峠通過後も必死に単騎追走を試みたものの追いつかず、この日限りで10日間に及ぶマリアローザに別れを告げることとなった。
強力なライバルを抑え、カラパスは一人スペルガ峠頂上を越え、下りをこなし「ようこそ地獄の入り口へ」の横断幕が掲げられたマッダレーナ峠へと差し掛かる。まさに壁と言える序盤の20%区間では後続グループの中からニバリが加速し、ヒンドレーだけが食い下がり、距離をあけてイェーツが追走。全盛期を思わせて登るニバリだったものの、やがてヒンドレーの抜け出しをを許してしまった。
激坂区間を越え、カラパスとヒンドレー、ニバリ、そしてイェーツが再合流を果たした。後続アルメイダとポッツォヴィーヴォを15秒引き離してマッダレーナ頂上を越え、ダウンヒルもクリア。するとフィニッシュを目指すアップダウン区間で「ようやく自分の本来あるべきコンディションが戻ってきた」と言うイェーツがアタックした。
残り4.5km地点でカラパスたちを振り切って、続く下り区間を飛ばしに飛ばした"スーパーサイモン"。カラパスとヒンドレーは総合成績で大きく遅れているイェーツを見送り、フィニッシュ地点のボーナスタイム争いに注意を移すこととなった。
第2ステージの個人タイムトライアルで驚きの区間優勝を挙げるも、最初の頂上フィニッシュとなったブロックハウスで膝の痛み、そして暑さに苦しんで遅れたイェーツ。すっかり総合争いから脱落していたイェーツが、お手本のようなアタックを成功させてフィニッシュに戻ってくる。ジロの自身通算6勝目となるステージ優勝を挙げてみせた。
ジロ・デ・イタリア2022第14ステージ結果
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | 3:43:44 |
2位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:15 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
4位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン) | |
5位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +0:28 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:39 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:51 |
8位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
9位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:10 |
10位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | +4:25 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | 58:21:28 |
2位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:07 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:30 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:59 |
5位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | +1:01 |
6位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:52 |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:58 |
8位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、アスタナカザフスタン) | +2:58 |
9位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | +4:04 |
10位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | +9:06 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 238pts |
2位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 121pts |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 117pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ディエゴ・ローザ(イタリア、エオーロ・コメタ) | 92pts |
2位 | クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 69pts |
3位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 62pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 58:21:58 |
2位 | フアン・ロペス(スペイン、トレック・セガフレード) | +3:34 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | +11:17 |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 175:07:44 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +7:19 |
3位 | アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ | +8:05 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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