2022/05/19(木) - 17:59
長野県小諸市で、3年ぶりとなる車坂峠ヒルクライムが開催された。小諸から高峰高原を目指して伸びるチェリーパークラインに多くのサイクリストたちが集まった様子をレポート。
長野県小諸市と群馬県嬬恋村の境に位置する車坂峠。小諸市から浅間山の西側に広がる高峰高原へとつながるチェリーパークラインを舞台とするヒルクライムイベントが車坂峠ヒルクライムだ。
今年で18回目となる老舗イベントで、初回大会からファンを増やしてきた車坂峠ヒルクライム。残念ながらコロナ禍による影響で昨年、一昨年と大会は中止に。コロナ対策の転換もあり、2019年以来、3年ぶりとなる大会が開催された。
大会当日、小諸ICから車で10分ほど、チェリーパークラインのふもとにサイクリストたちが集まってくる。今年はフィニッシュ会場となるアサマ2000スキーパークにおいて、ゴール後にランチパーティーや表彰式などが行われることもあり、アサマ2000に車をデポする方が多く、続々と荷物を背負ったサイクリストたちが降りてくる。
下りとなるが事前にコースの確認も兼ねることができるし、下山用荷物の中身を考える必要も無く、また走り終えて疲れた体でダウンヒルする必要も無いため、なかなか理にかなった方法だ。そうして今年、この場所に集まったのは380名の参加者たち。
受付を済ませ、まずスタートラインについたのは計測の無い「エンジョイクラス」のみなさん。タイムを気にせず登るクラスということで、トレーラーを引いた方もいればE-BIKEで参加される方もおり、なかなか楽しそうな雰囲気だ。
和やかな空気の中出発していったエンジョイクラスの皆さんの後ろには、3ウェーブに分かれて一般クラスが並んでいく。途中、山頂から降りてくる路線バスが少し遅れたために、スタート時間が後ろにずらされるというハプニングもありつつもスタートを待つ皆さんはアットホームな雰囲気で、リピーターが多いというのも納得できる。
そして10時40分、スタートの号砲が鳴り第1ウェーブの参加者が一斉にスタート。標高1,025mのスタート地点から、1,975mのフィニッシュ地点へ向かう11kmのレースが始まった。
このチェリーパークライン、平均勾配は約8%と数字だけ聞くと、わりと他のヒルクライムでもありそうなスペックなのだが、実は休みどころが少ないのが特徴だ。最大斜度も控えめな一方で、目立った平坦区間や下りが途中に挟まることも無いというのは意外に珍しいのではないだろうか。
林の間を走っていく序盤は直登区間が多く、人によってはリズムをつかみづらいだろう。標高を上げるにつれ、ワインディングが増えていく。これでちょっとは登りやすくなるかと思いきや、行く先との標高差が一目見てもかなり大きいヘアピンもあり、これはこれでなかなか心を折ってくる(笑)
そんな難コースに挑むのだから、皆さんベテランサイクリストばかりなのかと思いきや、構えたカメラのレンズの先には小学生がなかなかの勢いで登っていく姿も。ちなみに今回最年少の参加者は9歳で、なんと1時間少しで登り切ったのだとか。未来の山の神の幼少期を撮影できたのかもしれない、などと思いつつ先へ進んでいくと視界が開けてきた。
といっても森林限界を越えたわけではなく、伐採されたと思しき区間なのだけれども、これがなかなかの絶景ポイント。エイドステーションも設置されており、路面にはALLEZ!とチョークで応援メッセージも書かれている。
皆さん応援と絶景、そして水分に元気をもらったようで、ペダルを踏み込む足に力が戻ってきた様子。ここまでくれば全行程の7割程度を消化したあたりで、目指す高峰高原はあと4km程度。
標高が高く気温が低いおかげか、沿道にはまだ桜が咲いている。5月中旬に花見が出来るとは思っていなかっただけに、嬉しいサプライズ。だんだんと行く先に山の稜線が見えるようになり、終点が近いことが察せられる。
ゴール手前、ラスト1kmの看板が掲げられたカーブミラーを通過すればフィニッシュはもう目の前、と言いたいところだがここから更に勾配が増していく。美しい佐久平を眼下に望む区間を走り抜ければ、ゴールはもうすぐ。
高峰高原ホテルの前では皆さん大きな声援を送ってくれている。その声に引き寄せられるように、そして背中を押されるようにして最後の右コーナーを曲がればフィニッシュラインは目の前だ。
梅雨前線が迫る中、一滴の雨に降られることなく無事にフィニッシュラインを越えた後は、ランチパーティー会場のアサマ2000パークへ。地元でとれた野菜をふんだんに使ったサラダ、そしてあったかい手作りカレーを頂けば疲れた体も休まろうというもの。一息ついた後には、高峰高原の澄んだ空気を味わいながら芝生でゴロゴロする方も。
リザルトが出そろえば、表彰式が執り行われる。3年ぶりの本大会を制したのは松下成章さん。38分2秒という、前回大会の優勝タイムを1分22秒上回る好タイムを叩きだし、見事総合優勝を果たした。
表彰式後にはジャイアントのクロスバイクを目玉とした抽選会も行われ、フィニッシュ会場は盛り上がる。車をフィニッシュ地点に置いている人が多いため、暖かい服装に着替えている方も多く、気温を気にせず催しを楽しめたようだ。
参加者数が2000人を超えるような大型大会ではないものの、魅力的なコースとホスピタリティによって、固い支持層を築いている車坂峠ヒルクライム。新鮮なコースを楽しみたいと考えているヒルクライマーにはぜひ訪れてみてほしいイベントだ。
text&photo:Naoki Yasuoka
長野県小諸市と群馬県嬬恋村の境に位置する車坂峠。小諸市から浅間山の西側に広がる高峰高原へとつながるチェリーパークラインを舞台とするヒルクライムイベントが車坂峠ヒルクライムだ。
今年で18回目となる老舗イベントで、初回大会からファンを増やしてきた車坂峠ヒルクライム。残念ながらコロナ禍による影響で昨年、一昨年と大会は中止に。コロナ対策の転換もあり、2019年以来、3年ぶりとなる大会が開催された。
大会当日、小諸ICから車で10分ほど、チェリーパークラインのふもとにサイクリストたちが集まってくる。今年はフィニッシュ会場となるアサマ2000スキーパークにおいて、ゴール後にランチパーティーや表彰式などが行われることもあり、アサマ2000に車をデポする方が多く、続々と荷物を背負ったサイクリストたちが降りてくる。
下りとなるが事前にコースの確認も兼ねることができるし、下山用荷物の中身を考える必要も無く、また走り終えて疲れた体でダウンヒルする必要も無いため、なかなか理にかなった方法だ。そうして今年、この場所に集まったのは380名の参加者たち。
受付を済ませ、まずスタートラインについたのは計測の無い「エンジョイクラス」のみなさん。タイムを気にせず登るクラスということで、トレーラーを引いた方もいればE-BIKEで参加される方もおり、なかなか楽しそうな雰囲気だ。
和やかな空気の中出発していったエンジョイクラスの皆さんの後ろには、3ウェーブに分かれて一般クラスが並んでいく。途中、山頂から降りてくる路線バスが少し遅れたために、スタート時間が後ろにずらされるというハプニングもありつつもスタートを待つ皆さんはアットホームな雰囲気で、リピーターが多いというのも納得できる。
そして10時40分、スタートの号砲が鳴り第1ウェーブの参加者が一斉にスタート。標高1,025mのスタート地点から、1,975mのフィニッシュ地点へ向かう11kmのレースが始まった。
このチェリーパークライン、平均勾配は約8%と数字だけ聞くと、わりと他のヒルクライムでもありそうなスペックなのだが、実は休みどころが少ないのが特徴だ。最大斜度も控えめな一方で、目立った平坦区間や下りが途中に挟まることも無いというのは意外に珍しいのではないだろうか。
林の間を走っていく序盤は直登区間が多く、人によってはリズムをつかみづらいだろう。標高を上げるにつれ、ワインディングが増えていく。これでちょっとは登りやすくなるかと思いきや、行く先との標高差が一目見てもかなり大きいヘアピンもあり、これはこれでなかなか心を折ってくる(笑)
そんな難コースに挑むのだから、皆さんベテランサイクリストばかりなのかと思いきや、構えたカメラのレンズの先には小学生がなかなかの勢いで登っていく姿も。ちなみに今回最年少の参加者は9歳で、なんと1時間少しで登り切ったのだとか。未来の山の神の幼少期を撮影できたのかもしれない、などと思いつつ先へ進んでいくと視界が開けてきた。
といっても森林限界を越えたわけではなく、伐採されたと思しき区間なのだけれども、これがなかなかの絶景ポイント。エイドステーションも設置されており、路面にはALLEZ!とチョークで応援メッセージも書かれている。
皆さん応援と絶景、そして水分に元気をもらったようで、ペダルを踏み込む足に力が戻ってきた様子。ここまでくれば全行程の7割程度を消化したあたりで、目指す高峰高原はあと4km程度。
標高が高く気温が低いおかげか、沿道にはまだ桜が咲いている。5月中旬に花見が出来るとは思っていなかっただけに、嬉しいサプライズ。だんだんと行く先に山の稜線が見えるようになり、終点が近いことが察せられる。
ゴール手前、ラスト1kmの看板が掲げられたカーブミラーを通過すればフィニッシュはもう目の前、と言いたいところだがここから更に勾配が増していく。美しい佐久平を眼下に望む区間を走り抜ければ、ゴールはもうすぐ。
高峰高原ホテルの前では皆さん大きな声援を送ってくれている。その声に引き寄せられるように、そして背中を押されるようにして最後の右コーナーを曲がればフィニッシュラインは目の前だ。
梅雨前線が迫る中、一滴の雨に降られることなく無事にフィニッシュラインを越えた後は、ランチパーティー会場のアサマ2000パークへ。地元でとれた野菜をふんだんに使ったサラダ、そしてあったかい手作りカレーを頂けば疲れた体も休まろうというもの。一息ついた後には、高峰高原の澄んだ空気を味わいながら芝生でゴロゴロする方も。
リザルトが出そろえば、表彰式が執り行われる。3年ぶりの本大会を制したのは松下成章さん。38分2秒という、前回大会の優勝タイムを1分22秒上回る好タイムを叩きだし、見事総合優勝を果たした。
表彰式後にはジャイアントのクロスバイクを目玉とした抽選会も行われ、フィニッシュ会場は盛り上がる。車をフィニッシュ地点に置いている人が多いため、暖かい服装に着替えている方も多く、気温を気にせず催しを楽しめたようだ。
参加者数が2000人を超えるような大型大会ではないものの、魅力的なコースとホスピタリティによって、固い支持層を築いている車坂峠ヒルクライム。新鮮なコースを楽しみたいと考えているヒルクライマーにはぜひ訪れてみてほしいイベントだ。
text&photo:Naoki Yasuoka
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