「厳しいレースだった」と皆が口を揃えるほど過酷を極めた今年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ。モニュメント初制覇となったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)や、落車直後のアラフィリップの様子を語るバルデなどの言葉を通して、激戦を振り返ります。



1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)

ベルギー人として11年振りの優勝を果たしたレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)ベルギー人として11年振りの優勝を果たしたレムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos
信じられない。夢だったリエージュでの勝利を、まさか初出場で叶えられるなんて!今日は自転車人生で最良の日だ。いつも僕を信じ、困難な中でも僕を支えてくれたチームやチームメイト、家族、友人に感謝したい。

今朝目覚めた時から「今日は僕の日になる」と思っていた。レースは厳しかったものの、素晴らしいチームのおかげでストレスフリーに走ることができた。そのおかげで終盤にフレッシュな状態でいることができたんだ。ジュニア時代からよく知っている道だったことも勝てた大きな要因だろう。特にラ・ロッシュ・オ・フォーコンの下りは全力で駆け下りた。登りの後は向かい風に苦しんだが、ベストを尽くし踏み続けた。

今日はウルフパックの精神を見せることができた。成功の春とはならなかったものの、たくさんの勝利を挙げ、不運のなかでも決して諦めなかった。フィニッシュラインで待っていてくれた家族と喜ぶことができ、完璧な1日となった。今日という日を僕はいつまでも忘れないだろう。

2位 クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)

シクロクロス界からクイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)という新たなスター選手誕生となるかシクロクロス界からクイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)という新たなスター選手誕生となるか photo:A.S.O.
自分自身、大きな驚きがある。2位を争う集団にいること自体が驚きなのにもかかわらず、スプリントで先着するなんて本当に驚いたよ。ワウトのことはよく知っているので(スプリントで)彼の背後を取った。彼に競り勝てる感覚があった。春のクラシックシーズンをこんな形で終えることができるなんて思ってもいなかったよ。

3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

登坂で先頭集団に食らいつき、表彰台に上がったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)登坂で先頭集団に食らいつき、表彰台に上がったワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
今日掴むことのできた最大限の結果だろう。クライマーたちに食らいつき、最終登坂の頂上で脚は限界に達していた。最後は表彰台を目指して全力でスプリントした。瀕死の白鳥のごとくもがき、なんとか表彰台に上がる順位を手に入れた。ベルギーチャンピオンジャージで走る限り、どうしても表彰台に上がりたかったんだ。

今シーズンの目標であるモニュメント制覇は逃したものの、直面した様々な問題を考えれば、結果と自分の走りには満足しているよ。とても良い、成功と言える春になっただろう。

4位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:INEOS Grenadiers
とても厳しいレースだった。今朝目覚めた時の体調は悪く、レースが始まってからもリズムが掴めなかった。腹痛のためチームカーにサポートを求めなければならなかった。しかし厳しいレース展開や落車などによるストレスを除けば、登りでの感覚は最高だった。ライバルのアタックに全て反応できるほどにね。

ラ・ロッシュ・オ・フォーコンではメカトラに見舞われ、その時既にレムコがアタックを決めていた。だから他のチームが追走体制を整えるのを待たなければならなかったんだ。そのままレムコは強さを見せ、追いつくことはできなかった。

5位 セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)

位置取り争いが激しい厳しいレースだった。積極的なレースをしたかったので最後の登り(ラ・ロッシュ・オ・フォーコン)でアレックス(ウラソフ)と共に仕掛けたが、残念ながら引き戻されてしまった。最後のスプリント勝負では位置取りが上手くいかず、まともなスプリントができなかった。勝利こそ掴めなかったものの、モニュメントで5位という結果は嬉しいよ。

6位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)

積極的にメイン集団を牽引したディラン・トゥーンス(ベルギー)を擁するバーレーン・ヴィクトリアス積極的にメイン集団を牽引したディラン・トゥーンス(ベルギー)を擁するバーレーン・ヴィクトリアス photo:CorVos
勝利を狙っていたので、もちろんこの結果には満足していない。だが僕たちは強いチーム力を見せることができた。最後の登りで何度か仕掛けてリードを奪うことができたものの、勝利には結びつかなかった。協力してレムコを追ったが叶わず、最後のスプリントしたが5位だった。

9位 マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)

長く厳しいレースだった。調子は良かったものの、レムコのアタックを捕まえるなんて不可能だった。ハイスピードでの落車が起こったが、皆の無事を祈っている。幸運にも先頭集団に位置することができ、こんな展開のレースは痛みにどれだけ屈せずにいられるかが全てなんだ。いまは回復に努め、来週のツール・ド・ロマンディ(4月26日〜)に備えたい。

10位 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)

マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)	マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) photo:Israel - Premier Tech
リエージュのスプリントでは誰にだってチャンスがある。今日の僕も脚がなかったわけではない。だが、この脚は残りのシーズンのために取っておこう。

落車直後のアラフィリップの様子を語るロマン・バルデ(フランス、チームDSM)

下り区間で発生した落車に巻き込まれたジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)下り区間で発生した落車に巻き込まれたジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:A.S.O.
まるで悪夢のようだった。トーマス・ピドコックとトタルエネルジーの選手が目の前で落車し、僕も巻き込まれた。僕自身に怪我はなく、5〜6メートル下にジュリアンの姿があった。ひと目でただ事ではない状態だと分かり、ショックを受けながらも真っ先に彼の元へと急いだ。彼は身体を動かすことのできない緊急を擁する状態にで、呼吸もままならない様子だった。

意識はあったが話すことのできる状態ではなく、その後チームのメカニックとメディカルスタッフが駆けつけた。彼の無事を心から祈っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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