2019年以来3年ぶりのチャレンジサイクルロードレースが、日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットで開催された。男子エリートのMEクラスは、最終周回を単独で逃げ切ったトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が優勝。女子のWEクラスは小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝した。



山桜の谷間を流れていく集団山桜の谷間を流れていく集団 photo:Satoru Kato
観覧スタンドが撤去されたホームストレート観覧スタンドが撤去されたホームストレート photo:Satoru Katoレース未経験者や初級者を対象に行われたライディングスキル・レッスン 2列でのスラロームレース未経験者や初級者を対象に行われたライディングスキル・レッスン 2列でのスラローム photo:Satoru Kato

春の定番レースとして知られる「チャレンジサイクルロードレース」は、今年45回目の開催。2020年は修善寺の日本サイクルスポーツセンター5kmサーキットが東京五輪のMTB・XCの会場に決まったことから、別会場での開催が予定されていた。しかし折からのコロナ禍により中止。五輪の延期を受けて2021年も別会場での開催が予定されていたが、再び中止となっていた。そして五輪終了後の復帰作業が終了したことから、今年3年ぶりに日本サイクルスポーツセンターで開催されることになった。

今回は4月9日(土)から10日(日)の2日間開催とされ、初日は男女ジュニア以下とマスターズの計5クラス、2日目は男子U23、女子エリート+U23、男子エリートの3クラスのレースが行われた。

雪が残る富士山を遠くに望む(写真は男子U23)雪が残る富士山を遠くに望む(写真は男子U23) photo:Satoru Kato
2日間共に朝から青空が広がり、遠方に雪が残る富士山が見えるレース日和。桜の花に春を感じる一方で、最高気温は20℃を超える初夏の陽気の中でのレースとなった。



トマ・ルバがレースを主導 最後は独走で締めくくる

トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が序盤からペースを上げていくトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が序盤からペースを上げていく photo:Satoru Kato
男子エリートのレースは、ホームストレートをスタートして秀峰亭にフィニッシュする14周69km。国内トップチームやJBCF(全日本実業団自転車競技連盟)のE1で走るチームや選手、一部大学生など計106名が出走した。

レース中盤に形成された5名の先頭集団レース中盤に形成された5名の先頭集団 photo:Satoru Kato
スタート直後から1周8分を切るハイペースが続いた3周目、集団が3つほどに分断される。この動きで、およそ半数まで絞られた先頭集団を、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)がさらにペースアップ。その中から、7周目に5名が先行する。メンバーは、トマ・ルバ、井上文成(シマノレーシング)、渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム)、宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)、谷順成(那須ブラーゼン)。

先頭を追う横山航太(シマノレーシング)と石原悠希(那須ブラーゼン)先頭を追う横山航太(シマノレーシング)と石原悠希(那須ブラーゼン) photo:Satoru Katoチャレンジロード優勝経験のある入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)今回は単騎参戦チャレンジロード優勝経験のある入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)今回は単騎参戦 photo:Satoru Kato

後続集団との差は一気に30秒以上まで開く。横山航太(シマノレーシング)、石原悠希(那須ブラーゼン)、入部正太朗(弱虫ペダルサイクリングチーム)、沢田時(チームブリヂストンサイクリング)らが追走の動きを見せるものの足並みが揃わず、終盤にかけて差は1分以上まで開いていく。

終盤、4名になった先頭集団終盤、4名になった先頭集団 photo:Satoru Kato最終周回 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が単独先行最終周回 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が単独先行 photo:Satoru Kato

残り1周を逃げ切ったトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が優勝残り1周を逃げ切ったトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)が優勝 photo:Satoru Kato
9周目、井上が遅れて4名となった先頭集団は、それでも後続集団より約10秒早いラップタイムを維持して周回を重ね、逃げ切りを確定的にする。最終周回に入るとルバのアタックにより先頭集団は崩壊。宮崎と渡邊が追うもののルバが独走逃げ切りで優勝を決めた。

男子エリート 表彰式男子エリート 表彰式 photo:Satoru Katoトマ・ルバ コメント
「朝からヤル気満々でこのレースに臨んだ。今年最初のレースで暑くてハードだったけれど、このコースは好きだし、天気も良くて勝てて良かった。コロナ禍で多くのレースが中止になってきたので、全てのレースが重要。アップダウンが繰り返されるこのコースでのレースは得意とするところだし、最大の目標であるツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・熊野に向けて良い機会になったと思う」
チャレンジサイクルロードレース 男子エリート(ME)結果 69km


女子 小林あか里が優勝

女子 1周目で早くも半分ほどに絞られた集団女子 1周目で早くも半分ほどに絞られた集団 photo:Satoru Kato
女子 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が登り区間でペースを上げていく女子 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が登り区間でペースを上げていく photo:Satoru Kato女子 樫木祥子(株式会社オーエンス)ら4名の先頭集団が最終周回へ女子 樫木祥子(株式会社オーエンス)ら4名の先頭集団が最終周回へ photo:Satoru Kato

女子 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が初優勝女子 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が初優勝 photo:Satoru Kato
女子は5周24kmのレースに20名が出走。前半に半数まで絞られた集団は、後半にかけてさらに絞られ、樫木祥子(株式会社オーエンス)、小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、太郎田水桜(法政大学)、梅山良子(Team Ashiviva)の4名となって最終周回に入る。フィニッシュへ向かう最後の登りで小林が抜け出し、後続を引き離してフィニッシュ。チャレンジロード初優勝を決めた。



男子U23 明治大学が1-2フィニッシュ

伊豆ベロドロームを背に進む男子U23の集団伊豆ベロドロームを背に進む男子U23の集団 photo:Satoru Kato
男子U23 レース中盤に形成された4名の先頭集団男子U23 レース中盤に形成された4名の先頭集団 photo:Satoru Kato男子U23 1分以上離されたメイン集団は弱虫ペダルサイクリングチームが中心となって牽引男子U23 1分以上離されたメイン集団は弱虫ペダルサイクリングチームが中心となって牽引 photo:Satoru Kato

男子U23 宇佐美颯基を先頭に明治大学が1-2フィニッシュ男子U23 宇佐美颯基を先頭に明治大学が1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato
91名が出走した男子U23は、13周64kmのレース。序盤のアタック合戦を経て、レース中盤に神村泰樹(早稲田大学)、宇佐美颯基、林原聖真、村上裕二郎(以上明治大学)の4名が抜け出す。11周目に村上が遅れるものの、明治大学の2名は優位にレースを進め、最終周回を前に神村を切り離すことに成功。積極的な動きを見せた宇佐美を先頭に林原が続く形でフィニッシュし、明治大学が1位と2位を独占して見せた。
女子・男子U23 結果
女子(24km)
1位 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム※) 46分24秒
2位 太郎田水桜(法政大学※) +5秒
3位 梅山良子(Team Ashiviva) +7秒
4位 樫木祥子(株式会社オーエンス) +17秒
5位 安藤沙弥(TeamSHIDO) +23秒
6位 石田 唯(早稲田大学※) +47秒
※印=U23
男子U23(MUクラス 64km)
1位 宇佐美颯基(明治大学) 1時間46分41秒
2位 林原聖真(明治大学) +2秒
3位 神村泰輝(早稲田大学) +12秒
4位 篠﨑蒼平(東京大学) +1分8秒
5位 中野楚樂(日本大学) +1分46秒
6位 内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1分47秒


4月9日(土)開催クラス

男子U 17優勝 中尾涼介(VC AVANZARE)男子U 17優勝 中尾涼介(VC AVANZARE) photo:Satoru Kato女子ジュニア 序盤から平子結菜(朝明高校)と日吉愛華(岐阜第一高等学校)の2名が先行女子ジュニア 序盤から平子結菜(朝明高校)と日吉愛華(岐阜第一高等学校)の2名が先行 photo:Satoru Kato

男子ジュニア優勝 中山竜一(豊田工科高校)男子ジュニア優勝 中山竜一(豊田工科高校) photo:Satoru Kato男子マスターズ 雑賀大輔(湾岸サイクリングユナイテッド)がトップでフィニッシュ男子マスターズ 雑賀大輔(湾岸サイクリングユナイテッド)がトップでフィニッシュ photo:Satoru Kato
4月9日開催分 結果
男子U15(14km)
1位 武西憲進(エキップuレーシング) 25分17秒
2位 松村拓弥(群馬県自転車競技連盟) +10秒
3位 佐武清亮(AVENTURA VICTORIA RACING) +11秒
男子U17(19km)
1位 中尾涼介(VC AVANZARE) 32分28秒
2位 齋塲時大(名古屋高校) +0秒
3位 三浦一真(湘南工科大学附属高等学校) +2秒
男子ジュニア(39km)
1位 中山竜一(豊田工科高校) 1時間8分22秒
2位 綿貫遙人(和歌山県自転車競技連盟[0]) +2秒
3位 篠島瑠樹(福井県立科学技術高校) +3秒
女子ジュニア(24km)
1位 平子結菜(朝明高校) 50分58秒
2位 日吉愛華(岐阜第一高等学校) +2秒
3位 大関奏音(会津工業高校) +43秒
男子マスターズ30-39(34km)
1位 佐藤 駿 1時間0分40秒
2位 石川哲章(Leap Hamamatsu Cycling Team) +2分4秒
3位 齋藤光一(F(t)麒麟山Racing) +2分6秒
男子マスターズ40-49(34km)
1位 雑賀大輔(湾岸サイクリングユナイテッド) 1時間0分34秒
2位 早川祐司(VC福岡) +1分30秒
3位 高木友明(MGM GROMA RACING TEAM) +1分37秒
男子マスターズ50-59(34km)
1位 山本裕昭(BONDS静岡サイクルRT) 1時間0分59秒
2位 大原 満 +2分55秒
3位 戸田裕一(MGM GROMA RACING TEAM) +4分9秒
男子マスターズ60-(34km)
1位 増田謙一(パインヒルズ90) 1時間11分26秒
2位 濱野貞義(大福屋) +2分2秒
3位 赤塚 宏(なるしまフレンド) +2分17秒

text&photo:Satoru Kato