2022/03/31(木) - 10:02
ロンド最後の前哨戦、ドワーズ・ドール・フラーンデレンを制したのはマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)。ティシュ・べノート(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)を下し、本戦優勝候補筆頭に名乗りを挙げた。
ロンド・ファン・フラーンデレンを4日後に控えた3月30日(水)に開催されたのが、名だたるセミクラシックレースの一つであるドワーズ・ドール・フラーンデレン(UCI1.ワールドツアー)。ロンド前最後の前哨戦であり、「フレミッシュ・アルデンヌ」を縦横無尽に駆け巡るレースに多数の有力選手が顔を合わせた。
コースはベルギー北西部フランドル地方のローセラーレからワレヘムを経由し、ベルギークラシックでお馴染みのターイェンベルグやノケルベルグといった13の急勾配区間と6の石畳区間をクリアし、再びワレヘムに戻ってくる184km。
E3を制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)はスキップしたものの、そのライバルであるミラノ〜サンレモ3位、そして2019年大会覇者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)やグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)といったクラシックハンターが多数集結。ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)やマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)といった面々もローセラーレに集ったほか、連勝街道を突き進むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)も自身初の石畳クラシックレース参戦を果たした。
再び急遽石畳クラシック出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)を含むプロトンが曇り空のローセラーレを出発。この日は30kmを走ったタイミングでニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やヨハン・ヤコブス(スイス、モビスター)を含む5名が逃げを決め、メイン集団が最大5分のリードを許して追いかける展開で距離を消化していった。
フィニッシュまで100kmを残し、メイン集団を動かしたのはアルペシン・フェニックスだった。アシスト選手を消耗させつつ本格的なペースアップを行い、ファンデルプール自身も踏みを入れる。「調子もほぼ100%まで戻ってきているし、ロンド本戦よりも距離は短いけれど有力選手が多いので面白いレースになる」と事前に話していたファンデルプールたちの加速でメイン集団が活性化を遂げた。
鍵になったのは113km地点に控え、ロンド本戦にも登場する「ベルグ・テン・ホーテ(登坂距離1100m/平均6%/最大21%)」だった。イネオス・グレナディアーズが一気にペースアップを仕掛け、勢い良く頂上通過したベン・ターナーとトーマス・ピドコック(共にイギリス)にはファンデルプールたちが合流。こうして有力候補6名による追走グループが生まれた。
メイン集団から抜け出した6名
トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
ティシュ・べノート(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)
シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)
今季のクラシックレースで良いところのないクイックステップ・アルファヴィニルが追撃を試みたものの散発的なペースアップに終わり、協調してローテーションを回す6名が一気に加速した。ペースが上がらないメイン集団からは「アタックが決まる前の落車で足止めされタイミングを逃してしまった」と言うポガチャルが単騎飛び出して追撃を試みた。
ファンデルプールグループは当初からの逃げグループに合流し、20秒後ろをひたすら追走するポガチャルにはファンアーヴェルマートやヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)、ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)といった面々が合流。ローテーションを回す2グループは30〜40秒差で追走劇を繰り広げたものの、最後までポガチャルたち第2グループが追いつくことはなかった。
第1グループの優勝争いが本格化したのは残り10kmを切ってから。まずはキュングが飛び出し、続いて58Tという巨大なチェーンリングを付けたカンペナールツが独走に持ち込むも不発に終わる。もう一度仕掛けたカンペナールツにはべノートが同調したものの、この動きも残り2kmで引き戻され、更なるカウンターでべノートとファンデルプールが飛び出した。
残り1.6kmで仕掛けたべノートとファンデルプールが反応できなかったライバル勢を突き放した。躊躇することなくローテーションを回し、残り300m地点の右コーナーを回った2人が追手が来ていないことを確認。真っ先に踏み込み、べノートを一切寄せ付けずにファンデルプールがフィニッシュラインを駆け抜けた。
「ものすごく追い込んだよ。調子は良かったけれど、先頭グループの中で最強ではなかった。最後は2回追走を強いられたけれど、結果的にパーフェクトなタイミングで仕掛けることができたんだ。ベルグ・テン・ホーテで抜け出してからのペースは速く、誰も協調して逃げる僕たちを捕まえることは不可能だった」と、2019年に続く大会制覇を遂げ、一躍ロンド本戦の優勝候補筆頭に名乗りを挙げたファンデルプールは言う。「でもロンドとの最大の差は距離の長さだ。今日僕は好調だったけどベストじゃない。休息をしっかり取って日曜日に望みたい」と加えている。
ファンデルプールたちを逃したライバル勢のスプリントを制したのはピドコック。長らく追走を続けていたポガチャルは同グループの2位でフィニッシュし、10位にランクイン。「動きが生まれた時にもっと前にいる必要があることを学んだ。最初の逃げが決まるまでもとても混沌としていたし、色々な意味でいい経験になった。日曜日が楽しみだ」と、ロンドや、石畳が控えるツール・ド・フランスに向けて好感触を掴んだようだ。
ロンド・ファン・フラーンデレンを4日後に控えた3月30日(水)に開催されたのが、名だたるセミクラシックレースの一つであるドワーズ・ドール・フラーンデレン(UCI1.ワールドツアー)。ロンド前最後の前哨戦であり、「フレミッシュ・アルデンヌ」を縦横無尽に駆け巡るレースに多数の有力選手が顔を合わせた。
コースはベルギー北西部フランドル地方のローセラーレからワレヘムを経由し、ベルギークラシックでお馴染みのターイェンベルグやノケルベルグといった13の急勾配区間と6の石畳区間をクリアし、再びワレヘムに戻ってくる184km。
E3を制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)はスキップしたものの、そのライバルであるミラノ〜サンレモ3位、そして2019年大会覇者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)やグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)といったクラシックハンターが多数集結。ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)やマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)といった面々もローセラーレに集ったほか、連勝街道を突き進むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)も自身初の石畳クラシックレース参戦を果たした。
再び急遽石畳クラシック出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)を含むプロトンが曇り空のローセラーレを出発。この日は30kmを走ったタイミングでニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)やヨハン・ヤコブス(スイス、モビスター)を含む5名が逃げを決め、メイン集団が最大5分のリードを許して追いかける展開で距離を消化していった。
フィニッシュまで100kmを残し、メイン集団を動かしたのはアルペシン・フェニックスだった。アシスト選手を消耗させつつ本格的なペースアップを行い、ファンデルプール自身も踏みを入れる。「調子もほぼ100%まで戻ってきているし、ロンド本戦よりも距離は短いけれど有力選手が多いので面白いレースになる」と事前に話していたファンデルプールたちの加速でメイン集団が活性化を遂げた。
鍵になったのは113km地点に控え、ロンド本戦にも登場する「ベルグ・テン・ホーテ(登坂距離1100m/平均6%/最大21%)」だった。イネオス・グレナディアーズが一気にペースアップを仕掛け、勢い良く頂上通過したベン・ターナーとトーマス・ピドコック(共にイギリス)にはファンデルプールたちが合流。こうして有力候補6名による追走グループが生まれた。
メイン集団から抜け出した6名
トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
ティシュ・べノート(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)
シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)
今季のクラシックレースで良いところのないクイックステップ・アルファヴィニルが追撃を試みたものの散発的なペースアップに終わり、協調してローテーションを回す6名が一気に加速した。ペースが上がらないメイン集団からは「アタックが決まる前の落車で足止めされタイミングを逃してしまった」と言うポガチャルが単騎飛び出して追撃を試みた。
ファンデルプールグループは当初からの逃げグループに合流し、20秒後ろをひたすら追走するポガチャルにはファンアーヴェルマートやヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)、ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・KTM)といった面々が合流。ローテーションを回す2グループは30〜40秒差で追走劇を繰り広げたものの、最後までポガチャルたち第2グループが追いつくことはなかった。
第1グループの優勝争いが本格化したのは残り10kmを切ってから。まずはキュングが飛び出し、続いて58Tという巨大なチェーンリングを付けたカンペナールツが独走に持ち込むも不発に終わる。もう一度仕掛けたカンペナールツにはべノートが同調したものの、この動きも残り2kmで引き戻され、更なるカウンターでべノートとファンデルプールが飛び出した。
残り1.6kmで仕掛けたべノートとファンデルプールが反応できなかったライバル勢を突き放した。躊躇することなくローテーションを回し、残り300m地点の右コーナーを回った2人が追手が来ていないことを確認。真っ先に踏み込み、べノートを一切寄せ付けずにファンデルプールがフィニッシュラインを駆け抜けた。
「ものすごく追い込んだよ。調子は良かったけれど、先頭グループの中で最強ではなかった。最後は2回追走を強いられたけれど、結果的にパーフェクトなタイミングで仕掛けることができたんだ。ベルグ・テン・ホーテで抜け出してからのペースは速く、誰も協調して逃げる僕たちを捕まえることは不可能だった」と、2019年に続く大会制覇を遂げ、一躍ロンド本戦の優勝候補筆頭に名乗りを挙げたファンデルプールは言う。「でもロンドとの最大の差は距離の長さだ。今日僕は好調だったけどベストじゃない。休息をしっかり取って日曜日に望みたい」と加えている。
ファンデルプールたちを逃したライバル勢のスプリントを制したのはピドコック。長らく追走を続けていたポガチャルは同グループの2位でフィニッシュし、10位にランクイン。「動きが生まれた時にもっと前にいる必要があることを学んだ。最初の逃げが決まるまでもとても混沌としていたし、色々な意味でいい経験になった。日曜日が楽しみだ」と、ロンドや、石畳が控えるツール・ド・フランスに向けて好感触を掴んだようだ。
ドワーズ・ドール・フラーンデレン2022結果
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) | 4:05:39 |
2位 | ティシュ・べノート(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +0:01 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:05 |
4位 | ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル) | |
5位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | |
7位 | ケランド・オブライアン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
8位 | ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:12 |
9位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:08 |
10位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
text:So.Isobe
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