2022/03/28(月) - 06:17
強豪勢多数出場の第84回ヘント〜ウェヴェルヘムを制したのはビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)。4名のスプリントを制し、アフリカ人選手初の優勝者として歴史に名を刻んだ。
1週間後に控える「クラシックの王様」ロンド・ファン・フラーンデレンを前に、石畳セミクラシックの中で最も格式高いヘント〜ウェヴェルヘム(1.UCIワールドツアー)がベルギーのフランドル地方を舞台に開催された。
ロンドやパリ〜ルーべに比べれば歴史は浅いものの、今年で84回目と長い歴史を誇る同レース。生活道路や農道を組み合わせたコース全長は248.8kmとモニュメント以外では最長距離を走り、後半には9の登坂区間と、3の未舗装区間が組み込まれている。
後半30kmは平坦基調とスプリンターにも勝機があるが、コース変更が行われたため、近年大集団ゴールで決したのは2014年(ジョン・デゲンコルブ)が最後。以降は独走、多くても30名程度の小集団スプリントと続いており、昨年はワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が7名の争いを制した。
多くのチームがクラシックハンターとスプリンターという2段構え布陣を敷き、その中には先日のE3サクソバンク・クラシックを圧倒した昨年覇者ファンアールトやファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)といった強豪勢も。さらには体調不良者の穴埋めをすべく、急遽新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もミラノ〜サンレモ覇者マテイ・モホリッチ(スロベニア)と共にE3からの連戦を果たしている。
イープル市街中心部にある、第一次世界大戦で戦死した兵士を弔う戦争記念碑「メニン門」でスタートが切られ、暫く時間を置いてイェーレ・ワライス(ベルギー、コフィディス)やニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)を含む7名が逃げ体制に持ち込んだ。
北海から吹き付ける風が例年鍵を握る大会だが、薄曇りの下で催された今年はレース展開に大きな影響を与えることはなかった。100km以上を残してバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団のペースアップを開始し、ユンボ・ヴィスマが加担したことで逃げグループとの差を急速に縮めていく。この日3度登る名物登坂「ケンメルベルグ(登坂距離1510m/平均6.5%/最大23%)」の初回ではファンアールト自らペースアップを図った。
この加速によって集団が絞り込まれ、頂上通過後のアタック合戦の中でおよそ20名が抜け出すことに成功する。モホリッチやマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、カスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が逃げた一方、ファンアールトは集団内に留まることを選んだ。
ただしトタルエネルジーが必死の追走を試みたことで、残り52km地点にある2回目のケンメルベルグを前に引き戻される。20%を超える登坂区間で決定的な動きは生まれず、ここから各チームのエース/サブエース級選手を含むアタック合戦が長く続くこととなる。
別ルートから登る3度目のケンメルベルグではファンアールト自らアタックしたものの、E3の再来を防ぐべくアスグリーン、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が食らいつき、フィニッシュまで30km続く平坦路に入ってもファンアールトのアタックを防いでいく。千切れていた後続グループが徐々に合流する中、それを嫌うようにクリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)が加速した。
ラポルトを追って飛び出したのはギルマイとヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、そしてドリス・ファンゲステル(ベルギー、トタルエネルジー)の3人。4人は25秒という僅かなリードを得て逃げ体制に持ち込んだ。
後続グループではグルパマFDJが牽引を担ったものの、これまでの消耗戦によって次第に力を失い、タイム差は残り15kmで30秒に拡大。残り10kmを切って他チームがようやく加担したものの、モチベーション高く逃げる4人との差は最後まで縮まらなかった。
最終盤に入ってリードを削られながらも、4人は逃げ切りを決め、ホームストレートに到達した。ギルマイがロングスプリントを仕掛け、ラポルトがスリップストリームに入ったものの、軽快なダンシングで踏み続けるギルマイに並びかけることができない。10秒以上踏み続けたギルマイが先頭でフィニッシュラインを越え、両手で頭を抱え込んだ。
昨年途中にアンテルマルシェに加入し、先日のE3で初めてフランドルクラシックを走った21歳が歴史あるクラシックレースで勝利。「アンビリーバブルだ。凄いことが起こった。全く予想できなかったよ。金曜日に予定変更してこのレースに臨み、チームとしていい結果を狙っていた。ただただ信じられない」。初めてヘント〜ウェヴェルヘムを制したアフリカ人選手となったギルマイは優勝インタビューで話す。
「最初の石畳は上手く走れなかったし、気分も良くなかった。でもセクションを越えるたびに走り方が分かった。最後は全員がファンアールトを見ていたので、攻める側としては少し楽だったんだ。もちろん調子は良かったけれど、強力なメンバーと共に逃げていたので怖かった。でも残り250mで自信を持ってスプリント。この先のアフリカ人選手の未来を変える結果になったと思う」。大きな大きな勝利を掴んだギルマイは、ヘルメットを被ったまま、笑顔を見せながらインタビューに答えた。
1週間後に控える「クラシックの王様」ロンド・ファン・フラーンデレンを前に、石畳セミクラシックの中で最も格式高いヘント〜ウェヴェルヘム(1.UCIワールドツアー)がベルギーのフランドル地方を舞台に開催された。
ロンドやパリ〜ルーべに比べれば歴史は浅いものの、今年で84回目と長い歴史を誇る同レース。生活道路や農道を組み合わせたコース全長は248.8kmとモニュメント以外では最長距離を走り、後半には9の登坂区間と、3の未舗装区間が組み込まれている。
後半30kmは平坦基調とスプリンターにも勝機があるが、コース変更が行われたため、近年大集団ゴールで決したのは2014年(ジョン・デゲンコルブ)が最後。以降は独走、多くても30名程度の小集団スプリントと続いており、昨年はワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が7名の争いを制した。
多くのチームがクラシックハンターとスプリンターという2段構え布陣を敷き、その中には先日のE3サクソバンク・クラシックを圧倒した昨年覇者ファンアールトやファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)といった強豪勢も。さらには体調不良者の穴埋めをすべく、急遽新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)もミラノ〜サンレモ覇者マテイ・モホリッチ(スロベニア)と共にE3からの連戦を果たしている。
イープル市街中心部にある、第一次世界大戦で戦死した兵士を弔う戦争記念碑「メニン門」でスタートが切られ、暫く時間を置いてイェーレ・ワライス(ベルギー、コフィディス)やニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM)を含む7名が逃げ体制に持ち込んだ。
北海から吹き付ける風が例年鍵を握る大会だが、薄曇りの下で催された今年はレース展開に大きな影響を与えることはなかった。100km以上を残してバーレーン・ヴィクトリアスがメイン集団のペースアップを開始し、ユンボ・ヴィスマが加担したことで逃げグループとの差を急速に縮めていく。この日3度登る名物登坂「ケンメルベルグ(登坂距離1510m/平均6.5%/最大23%)」の初回ではファンアールト自らペースアップを図った。
この加速によって集団が絞り込まれ、頂上通過後のアタック合戦の中でおよそ20名が抜け出すことに成功する。モホリッチやマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、カスパー・アスグリーン(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル)、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が逃げた一方、ファンアールトは集団内に留まることを選んだ。
ただしトタルエネルジーが必死の追走を試みたことで、残り52km地点にある2回目のケンメルベルグを前に引き戻される。20%を超える登坂区間で決定的な動きは生まれず、ここから各チームのエース/サブエース級選手を含むアタック合戦が長く続くこととなる。
別ルートから登る3度目のケンメルベルグではファンアールト自らアタックしたものの、E3の再来を防ぐべくアスグリーン、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が食らいつき、フィニッシュまで30km続く平坦路に入ってもファンアールトのアタックを防いでいく。千切れていた後続グループが徐々に合流する中、それを嫌うようにクリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ)が加速した。
ラポルトを追って飛び出したのはギルマイとヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、そしてドリス・ファンゲステル(ベルギー、トタルエネルジー)の3人。4人は25秒という僅かなリードを得て逃げ体制に持ち込んだ。
後続グループではグルパマFDJが牽引を担ったものの、これまでの消耗戦によって次第に力を失い、タイム差は残り15kmで30秒に拡大。残り10kmを切って他チームがようやく加担したものの、モチベーション高く逃げる4人との差は最後まで縮まらなかった。
最終盤に入ってリードを削られながらも、4人は逃げ切りを決め、ホームストレートに到達した。ギルマイがロングスプリントを仕掛け、ラポルトがスリップストリームに入ったものの、軽快なダンシングで踏み続けるギルマイに並びかけることができない。10秒以上踏み続けたギルマイが先頭でフィニッシュラインを越え、両手で頭を抱え込んだ。
昨年途中にアンテルマルシェに加入し、先日のE3で初めてフランドルクラシックを走った21歳が歴史あるクラシックレースで勝利。「アンビリーバブルだ。凄いことが起こった。全く予想できなかったよ。金曜日に予定変更してこのレースに臨み、チームとしていい結果を狙っていた。ただただ信じられない」。初めてヘント〜ウェヴェルヘムを制したアフリカ人選手となったギルマイは優勝インタビューで話す。
「最初の石畳は上手く走れなかったし、気分も良くなかった。でもセクションを越えるたびに走り方が分かった。最後は全員がファンアールトを見ていたので、攻める側としては少し楽だったんだ。もちろん調子は良かったけれど、強力なメンバーと共に逃げていたので怖かった。でも残り250mで自信を持ってスプリント。この先のアフリカ人選手の未来を変える結果になったと思う」。大きな大きな勝利を掴んだギルマイは、ヘルメットを被ったまま、笑顔を見せながらインタビューに答えた。
ヘント〜ウェヴェルヘム2022結果
1位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 5:37:57 |
2位 | クリストフ・ラポルト(フランス、ユンボ・ヴィスマ) | |
3位 | ドリス・ファンゲステル(ベルギー、トタルエネルジー) | |
4位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
5位 | セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM) | + 0:08 |
6位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
7位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
8位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | |
9位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) |
text:So Isobe
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