2010/07/04(日) - 13:26
ツール2010のプロローグはオランダ・ロッテルダム8.9kmで行われ、ジャスト10分で駆け抜けたファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)が圧勝。同時にマイヨ・ジョーヌに袖を通した。
いよいよ開幕したツール・ド・フランス2010。5回目のオランダでのグランデパールとなる今大会のプロローグに選ばれたのは港湾都市ロッテルダム。8.9kmのコースに起伏と言えるものは無く、純粋に独走力の問われるプロローグとなった。
雨がぱらつく生憎のコンディションとなったが、ロッテルダムには地元の自転車ロードレースファンが大勢押し掛け、グランデパールにふさわしい歓声のもと、選手たちは1分置きにスタートを切る。
序盤にスタートした選手の中で、目覚ましいタイムを叩き出したのは11番スタートのトニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)。直前のツール・ド・スイスの個人タイムトライアルで優勝をかざり好調のマルティンは、10分10秒と頭ひとつ飛び抜けたタイムでホットシートについた。
51番目にスタートを切ったのは日本の新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)。ジロに続くグランツール連戦だが、日本の期待は大きい。このプロローグは11分22秒でゴール。最終的に区間174位となった。明日からのステージで見せ場を作ってくれるはずだ。
序盤のマルティンのタイムがあまりに良く、また雨がちで不安定な天候と路面状態からマルティンを脅かす選手が現れない。パーシュートの北京オリンピック金メダリストの若きトラックスター、ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が10分23秒で暫定2位に食い込む走りを見せる。
トーマスとパーシュートではチームを組むブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は、10分56秒の77位と大きくタイムを失うプロローグになった。
次に上位に食い込んだのはまたもイギリスのスピードマン。2000年にはツールのプロローグを制すたこともあるデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)がマルティンから10秒遅れの10分20秒で暫定2位に躍り出る。
次第に総合成績を狙うオールラウンダーたちもゴールしていくが、この日の区間成績争いに加わるようなタイムを誰も出せない。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ)が38秒遅れの20位、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)が39秒遅れの23位、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が51秒遅れの56位、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)が55秒遅れの72位でそれぞれこの日を終えた。
総合争いで注目のシュレク兄弟(サクソバンク)は出遅れた。兄フランクは57秒遅れの79位、弟アンディに至っては1分9秒遅れの122位に沈んだ。
総合成績を狙う2大巨頭、ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)とアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)は早くもこのプロローグから火花を散らした。アームストロングが力強い走りで中間計測でコンタドールを1秒上回ると、ゴールではその差を5秒まで広げることに成功。
最終的にアームストロングは10分22秒で区間4位、コンタドールは10分27秒の区間6位とコンディションの良さを見せつける結果となった。とりわけ、昨年の個人TTではコンタドールを上回ることのなかったアームストロングにとってこの結果はよい兆候だと言えそうだ。
区間優勝の行方は最後から2番目に出走したTT世界チャンピオン、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)の走りに委ねられた。ここまで多くのライバルの追撃をかわしてきたマルティンだが、最後の最後で万事休す。圧倒的なまでのカンチェラーラの走りはマルティンをさらに10秒上回るものだった。
カンチェラーラはこれが3度目のツール・ド・フランスのプロローグ勝利。昨2009年も第1ステージの個人TTで勝利しており、4度目の初日勝利と、4回目のマイヨ・ジョーヌ獲得を成し遂げた。
惜しくも破れたマルティンだが、新人賞ジャージマイヨ・ブランを獲得。ポイント賞はカンチェラーラの手に落ちている。
翌第1ステージはロッテルダム〜ブリュッセル間の223.5km。平坦基調だが、この地方特有の強風がレースを激しいものにする可能性は高い。平凡な平坦ステージにはならないだろう。
ツール・ド・フランス2010プロローグ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 10'10"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア) +10"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +20"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) +22"
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +23"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +27"
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +28"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +28"
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +32"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +35"
17位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +36"
19位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +38"
20位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ) +38"
22位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +39"
26位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +40"
70位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム) +54"
72位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +55"
74位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +56"
77位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +56"
79位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +57"
122位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'09"
174位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 10'10"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア) +10"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +20"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) +22"
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +23"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +27"
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +28"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +28"
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +32"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +35"
17位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +36"
19位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +38"
20位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ) +38"
22位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +39"
26位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +40"
70位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム) +54"
72位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +55"
74位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +56"
77位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +56"
79位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +57"
122位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'09"
174位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)15pts
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)12pts
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)10pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)10'10"
2位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)+13"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)+22"
チーム総合成績
1位 レディオシャック 31'25"
2位 チームHTCコロンビア +01"
3位 ガーミン・トランジションズ +02"
text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano,Kei Tsuji
いよいよ開幕したツール・ド・フランス2010。5回目のオランダでのグランデパールとなる今大会のプロローグに選ばれたのは港湾都市ロッテルダム。8.9kmのコースに起伏と言えるものは無く、純粋に独走力の問われるプロローグとなった。
雨がぱらつく生憎のコンディションとなったが、ロッテルダムには地元の自転車ロードレースファンが大勢押し掛け、グランデパールにふさわしい歓声のもと、選手たちは1分置きにスタートを切る。
序盤にスタートした選手の中で、目覚ましいタイムを叩き出したのは11番スタートのトニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)。直前のツール・ド・スイスの個人タイムトライアルで優勝をかざり好調のマルティンは、10分10秒と頭ひとつ飛び抜けたタイムでホットシートについた。
51番目にスタートを切ったのは日本の新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)。ジロに続くグランツール連戦だが、日本の期待は大きい。このプロローグは11分22秒でゴール。最終的に区間174位となった。明日からのステージで見せ場を作ってくれるはずだ。
序盤のマルティンのタイムがあまりに良く、また雨がちで不安定な天候と路面状態からマルティンを脅かす選手が現れない。パーシュートの北京オリンピック金メダリストの若きトラックスター、ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が10分23秒で暫定2位に食い込む走りを見せる。
トーマスとパーシュートではチームを組むブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は、10分56秒の77位と大きくタイムを失うプロローグになった。
次に上位に食い込んだのはまたもイギリスのスピードマン。2000年にはツールのプロローグを制すたこともあるデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)がマルティンから10秒遅れの10分20秒で暫定2位に躍り出る。
次第に総合成績を狙うオールラウンダーたちもゴールしていくが、この日の区間成績争いに加わるようなタイムを誰も出せない。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ)が38秒遅れの20位、カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)が39秒遅れの23位、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が51秒遅れの56位、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)が55秒遅れの72位でそれぞれこの日を終えた。
総合争いで注目のシュレク兄弟(サクソバンク)は出遅れた。兄フランクは57秒遅れの79位、弟アンディに至っては1分9秒遅れの122位に沈んだ。
総合成績を狙う2大巨頭、ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)とアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)は早くもこのプロローグから火花を散らした。アームストロングが力強い走りで中間計測でコンタドールを1秒上回ると、ゴールではその差を5秒まで広げることに成功。
最終的にアームストロングは10分22秒で区間4位、コンタドールは10分27秒の区間6位とコンディションの良さを見せつける結果となった。とりわけ、昨年の個人TTではコンタドールを上回ることのなかったアームストロングにとってこの結果はよい兆候だと言えそうだ。
区間優勝の行方は最後から2番目に出走したTT世界チャンピオン、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)の走りに委ねられた。ここまで多くのライバルの追撃をかわしてきたマルティンだが、最後の最後で万事休す。圧倒的なまでのカンチェラーラの走りはマルティンをさらに10秒上回るものだった。
カンチェラーラはこれが3度目のツール・ド・フランスのプロローグ勝利。昨2009年も第1ステージの個人TTで勝利しており、4度目の初日勝利と、4回目のマイヨ・ジョーヌ獲得を成し遂げた。
惜しくも破れたマルティンだが、新人賞ジャージマイヨ・ブランを獲得。ポイント賞はカンチェラーラの手に落ちている。
翌第1ステージはロッテルダム〜ブリュッセル間の223.5km。平坦基調だが、この地方特有の強風がレースを激しいものにする可能性は高い。平凡な平坦ステージにはならないだろう。
ツール・ド・フランス2010プロローグ結果
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 10'10"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア) +10"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +20"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) +22"
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +23"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +27"
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +28"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +28"
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +32"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +35"
17位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +36"
19位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +38"
20位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ) +38"
22位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +39"
26位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +40"
70位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム) +54"
72位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +55"
74位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +56"
77位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +56"
79位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +57"
122位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'09"
174位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) 10'10"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア) +10"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ) +20"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) +22"
5位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +23"
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) +27"
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +28"
8位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +28"
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +32"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム) +35"
17位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +36"
19位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +38"
20位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ) +38"
22位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +39"
26位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +40"
70位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム) +54"
72位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +55"
74位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +56"
77位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +56"
79位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +57"
122位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +1'09"
174位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) +1'22"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)15pts
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTCコロンビア)12pts
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)10pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)10'10"
2位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)+13"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)+22"
チーム総合成績
1位 レディオシャック 31'25"
2位 チームHTCコロンビア +01"
3位 ガーミン・トランジションズ +02"
text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano,Kei Tsuji
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