ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)のアタックにティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)が敗北。登りでアタックし、下りでライバル勢を突き放したキンタナが今季2つめの総合優勝を挙げている。



風光明媚なコートダジュールの海岸線をスタート風光明媚なコートダジュールの海岸線をスタート photo:CorVos
3日間に濃密な山岳コースが詰め込まれたツール・デ・ザルプ=マリティーム・エ・デュ・ヴァール(UCI2.1)も最終日。スタート直後からいきなり前日登場のエズ峠(距離9.8km/平均勾配4.8%)を別ルートから登り、その後もニース内陸部の山々を駆け巡る112.6kmのショートステージで各チームの思惑が激しく交錯した。

逃げグループに入ったのは1分27秒遅れの総合8位アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー)や、ツール・ド・フランスに向けてコンディションを上げるティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)を筆頭にした10名以上。逆転総合優勝を目論むナイロ・キンタナ(コロンビア)のアルケア・サムシックとギヨーム・マルタン(フランス)のコフィディスは2名づつを逃げグループに送り「前待ち」作戦を実行。対する首位ティム・ウェレンス(ベルギー)擁するロット・スーダルはメンバー全員がメイン集団のコントロールに力を費やした。

チームメイトに守られて走るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)チームメイトに守られて走るティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVos
小さな下りを2ヶ所挟みつつ、およそ20km以上にも及ぶこの日最後のカテゴリー山岳コル・ド・サンロックで、メイン集団から最初に仕掛けたのはマルタンだった。続いてチームメイトのニコラ・エデ(フランス)と共にキンタナが飛び出してマルタンに追いついたものの、「誰もが僕のことをマークしていたので脚がいっぱいいっぱいだった」と言うウェレンスは対応できず。キンタナとマルタンが、序盤から逃げていたヴィエルモやマイケル・ストーラー(オーストラリア、グルパマFDJ)を捉えつつ頂上を越え、長いダウンヒルに入った。

ヘアピンコーナーが続くダウンヒルで、モナコに住み周囲の道を知り尽くしたキンタナが飛ばしに飛ばす。マルタンたちを振り切り、最後まで逃げていたピノに合流し、そして置き去りに。防戦一方となったウェレンスも地元の地の利を活かしてダウンヒルを攻めたものの、2番手グループに追いつくのがやっとだった。

20km弱のダウンヒルを味方につけ、ハイペースでフィニッシュ手前の登坂を2ヶ所クリアしたキンタナがブロサスクの街にやってくる。実に1分半リードを稼ぎ出し、ツール・デ・ザルプ最終日のステージ優勝と逆転総合優勝を手に入れた。

後続を1分半引き離してフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)後続を1分半引き離してフィニッシュするナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) photo:Le Tour 06-83
ツール・デ・ザルプ=マリティーム・エ・デュ・ヴァール2022総合表彰台:キンタナが2レース連続で総合優勝を達成ツール・デ・ザルプ=マリティーム・エ・デュ・ヴァール2022総合表彰台:キンタナが2レース連続で総合優勝を達成 photo:CorVos
「コンディションが良く、それを最大限活用しようと思ったんだ。この周囲でトレーニングをしているので道は知り尽くしていたし、チームも素晴らしい働きをしてくれた。距離を残したアタックだったが、チームがウェレンスを孤立させてくれたんだ。ワールドツアー昇格という目標に向けて年々結束力も高まっている。チームやスポンサーにとっても価値ある勝利になった。」プロヴァンスに続く2レース連続総合優勝に成功し、アルデーシュクラシックを経てパリ〜ニースに向かうキンタナは話している。

また、逃げを試みた中根英登(EFエデュケーション・イージーポスト)はグルペットでフィニッシュ。「先週に引き続き、今週も応援有難うございました」とSNSにメッセージを綴っている。
ツール・デ・ザルプ=マリティーム・エ・デュ・ヴァール2022第3ステージ結果
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) 2:55:17
2位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) +1:21
3位 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) +1:30
4位 アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー)
5位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)
6位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、グルパマFDJ) +1:37
7位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) +2:25
8位 オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン)
9位 レミ・メルツ(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソース WB)
10位 ロマン・コンボー(フランス、チームDSM)
84位 中根英登(EFエデュケーション・イージーポスト) +22:31
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) 10:56:01
2位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) +1:30
3位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) +1:48
4位 ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) +2:50
5位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +2:52
6位 アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、トレック・セガフレード) +2:55
7位 アレクシー・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) +2:57
8位 アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル) +3:52
9位 ジェームズ・ショー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) +3:56
10位 ケヴィン・ジェニエ(ルクセンブルク、グルパマFDJ) +3:58
その他の特別賞
山岳賞 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)
ポイント賞 ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)
ヤングライダー賞 アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・スーダル)
チーム総合成績 グルパマFDJ
text:So Isobe