中根英登(EFエデュケーション・イージーポスト)が出場する南フランスを舞台にしたミニステージレースが開幕。初日にカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が勝利を挙げている。



コロナ陽性明けのペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)が今季初参戦コロナ陽性明けのペテル・サガン(スロバキア、トタルエネルジー)が今季初参戦 photo:CorVos
南フランスの風光明媚な観光地、コートダジュールとその周辺の山々を舞台にした「ツール・デ・ザルプ=マリティーム・エ・デュ・ヴァール(UCI2.1)」が開幕した。

その名の通り、アルプ=マリティーム県とヴァール県を舞台にした3日間のステージレースであり、今年で開催54回目。初開催の1969年(第1回勝者はマチュー・ファンデルプールの祖父レイモン・プリドール)から2008年まではワンデーレースだったが、2009年から2日間のステージレースとなり、そして2019年からは3日間開催と変化してきた大会だ。

直近のプロヴァンスで総合優勝を挙げたナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)直近のプロヴァンスで総合優勝を挙げたナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック) photo:CorVosバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) photo:CorVos


フランスチームのシーズン序盤定番レースとして知られ、UCIカテゴリー1クラスながら2022年大会(通算54回)にも多くのトップ選手が集った(UCIワールドチームの参加数は8)。コートダジュールを取り囲む山々が舞台となっているだけにオールラウンダーが多く集まり、2019年大会覇者ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)がゼッケン1をつけ、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)、クリス・ハミルトン(オーストラリア、チームDSM)といった面々が集結した。

また、コロナ陽性明けのペテル・サガン(スロバキア)がトタルエネルジー移籍後初レースとして参戦。初日と3日目は展開次第で集団スプリントの可能性もあるため、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)やナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)といったトップスプリンターも顔を揃えた。4日前にスペインレース3連戦を終えたEFエデュケーション・イージーポストの中根英登も参戦中だ。

コートダジュールの青い海を横目に走るコートダジュールの青い海を横目に走る photo:CorVos
初日はヴァール県のサン=ラファエルからラ・セーヌ=シュル=メールを目指す175kmオーバーのレイアウト。合計3ヶ所用意されたカテゴリー山岳の難易度はいずれも低いものの、ラスト1つ(登坂距離5.5km/平均勾配3.2%)がフィニッシュ手前13km地点に用意されていることがポイントだ。予想通り、アタッカーと、集団スプリントに持ち込みたいチームの戦略が交錯した。

パリ〜ルーベの逸話で知られるエヴァルダス·シシュケヴィチュス(リトアニア、ゴースポーツ、ルーベリールメトロポール)らの逃げは最後の3級山岳で飲み込まれ、スプリンターを抱えないグルパマFDJのケヴィン・ジェニエ(ルクセンブルク)がアタックした。コロナ明けのサガンが遅れる中、ジェニエは20秒リードを稼いだものの、道幅の広い下り区間で吸収。ユアンが山岳区間を耐え抜いたため、サプライズアタックを防ぐべくロット・スーダルの組織的なコントロールによってフィニッシュまでの距離を減らしていった。

スプリントに向けて突き進む集団。前方に中根英登(EFエデュケーション・イージーポスト)の姿もスプリントに向けて突き進む集団。前方に中根英登(EFエデュケーション・イージーポスト)の姿も photo:CorVos
スプリントで圧勝したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)スプリントで圧勝したカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
輝く地中海を横目に、ユアンを従えたロットトレインは他チームを抑えて集団戦闘を爆走する。ティム・ウェレンスとフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー)がリードアウトを繋ぎ、ユアンが先に仕掛けたアントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー)を冷静に捉え、軽々と抜き去った。

テュルジスやブアニを寄せ付けず、「僕自身山岳を生き残れるかわからなかったけれど、実際調子がとてもよく、チームの素晴らしい助けもあって勝負に加わることができた」と言うユアンが勝利。サウジツアー初日に続く今季2勝目をマークした。

また、中根はメカトラブルの影響を受けながらも36秒遅れの68位でフィニッシュ。「今日の第1ステージ、先週末に続いてとても調子は良く、今日最後の山岳ポイントも先頭付近で通過したものの、ラスト3kmくらいでチェーントラブルで集団から若干遅れてしまったのは残念。Jamesがトップ10圏内の9位に入りました。明日の第2ステージも引き続き頑張ってきます」とSNSに綴っている。
ツール・デ・ザルプ=マリティーム・エ・デュ・ヴァール2022第1ステージ結果
1位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 4:14:44
2位 アントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
4位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
5位 アレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)
6位 ケヴィン・ジェニエ(ルクセンブルク、グルパマFDJ)
7位 アントニー・マルドナド(フランス、サンミシェル・オベール93)
8位 アレクシー・ルナール(フランス、コフィディス)
9位 ジェームズ・ショー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 ダミアン・トゥゼ(フランス、AG2Rシトロエン)
68位 中根英登(EFエデュケーション・イージーポスト) +0:36
個人総合成績
1位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) 4:14:44
2位 アントニー・テュルジス(フランス、トタルエネルジー)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)
4位 アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)
5位 アレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)
6位 ケヴィン・ジェニエ(ルクセンブルク、グルパマFDJ)
7位 アントニー・マルドナド(フランス、サンミシェル・オベール93)
8位 アレクシー・ルナール(フランス、コフィディス)
9位 ジェームズ・ショー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
10位 ダミアン・トゥゼ(フランス、AG2Rシトロエン)
その他の特別賞
山岳賞 トリスタン・ドラクロワ(フランス、ニース・メトロポール・コートダジュール)
ポイント賞 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
ヤングライダー賞 アレクシー・ルナール(フランス、コフィディス)
チーム総合成績 ロット・スーダル
text:So Isobe