アルガルヴェ2日目の1級山岳フィニッシュはクライマー勢によるスプリントに。落車を免れたダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)が勝利し、チームの今季初勝利に貢献するとともに総合首位に立った。



マリンスポーツも盛んなアルブフェイラをスタートするアルガルヴェ2日目マリンスポーツも盛んなアルブフェイラをスタートするアルガルヴェ2日目 photo:CorVos
ポルトガル最南部アルガルヴェ地方を舞台にするヴォルタ・アン・アルガルヴェ2日目は、リゾート地アルブフェイラから軍事レーダーのあるフォイア山に向かう182.4km。残り24kmから2級山岳(10km)を登り、下ってからフィニッシュ地点のある1級山岳フォイア峠(距離7.7km/平均6.7%)を駆け上がる。フォイア峠は平均勾配7%を越えない緩斜面であるため、この日はメイン集団が人数を残したままゴール勝負へとなだれ込むことに。

今大会最初で最後の1級山岳が設定されているため、総合優勝を狙う上でこの日と第4ステージの個人タイムトライアルが大きな鍵となる。平地での主戦力であるティム・デクレルク(ベルギー)が腹痛のため棄権したクイックステップ・アルファヴィニルは、2020年大会でフォイア峠を制したレムコ・エヴェネプール(ベルギー)での勝利を目指してプロトンを引く。それから最大4分差をつけて山岳賞ジャージを着るジョアン・マティアス(タブフィール・モルターグア・オヴォス・マティナドス)を含む5人が逃げ集団を作った。

ティム・デクレルク(ベルギー)を失うも序盤からプロトンの主導権を握ったクイックステップ・アルファヴィニルティム・デクレルク(ベルギー)を失うも序盤からプロトンの主導権を握ったクイックステップ・アルファヴィニル photo:CorVos
終盤に入ったプロトンはジェイ・ヴァイン(オーストラリア)で勝利を狙うアルペシン・フェニックスが牽引して逃げを吸収。山頂フィニッシュに向け本格的な登坂に入ると、前日勝者のファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)ら重量級スプリンターがグルペットを作って遅れていった。

この大会で若手のアシスト役に徹するゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を先頭に2級ピコタ峠をクリアし、いよいよフィニッシュが用意されたフォイア峠に突入する。しかし積極的な動きを見せるチームが現れないままハイペースを維持した集団は、約20名まで人数を減らしてフラムルージュ(1km)を通過した。

膠着状態を打ち破ったフレデリコ・フィゲィレード(ポルトガル、グラスドライブQ8アニコロルノ)のアタックを冷静に捉え、勝負は16人によるスプリントに持ち込まれた。最後から2つ目の右コーナーからサムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)が仕掛け、その外側からノルウェー王者のトビアス・フォス(ユンボ・ヴィスマ)と僅か4日前にコロンビア選手権を制したばかりのセルヒオ・イギータ(ボーラ・ハンスグローエ)が猛然と加速した。

最終右コーナーを、イン側からバティステッラ、ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)、フォス、イギータの順でスプリント。アウト側に膨らみ過ぎたフォスとイギータの前輪が接触して地面に叩きつけられ、その横を最短ラインでゴデュが突き進む。混乱に陥る後続勢を尻目に、ゴデュが右手を突き上げた。

サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)を先頭に最後から2つめのコーナーに突入するサムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン)を先頭に最後から2つめのコーナーに突入する photo:CorVos
フィニッシュ手前50mで落車したセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)とトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)フィニッシュ手前50mで落車したセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)とトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
混沌とした最終盤を抜け出し勝利したダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)混沌とした最終盤を抜け出し勝利したダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:CorVos
「チャンスを待ち続け、前の2人が最終コーナーで膨らんだのでインを攻めた。落車が発生した瞬間にはすでに先頭に立っていたので、落車がなくても勝利は僕のものだったよ。これはチーム力で掴んだ勝利だ。彼らに感謝を伝えたい」と、ステージ優勝と共に総合でもトップに立ったゴデュは語った。

ユンボ・ヴィスマのリリースによれば、落車したフォスは肘の打撲と擦過傷を負ったものの軽症。また、スプリントステージではないため落車救済措置が適応されず、36秒遅れでフィニッシュしたイギータは「最後は完璧な位置から勝利を掴めると思ったのだが、不運にもフォスに触れられ落車してしまった。あの時点まで完璧なレースをしていただけに残念だよ」と悔やんでいる。

セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)の手に触れ謝罪したトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ)セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)の手に触れ謝罪したトビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
総合首位に浮上したダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)総合首位に浮上したダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:Volta ao Algarve
ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2022第2ステージ結果
1位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) 4:50:51
2位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザフスタン) 0:01
3位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)
5位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
6位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
7位 ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
8位 ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
9位 トニー・ガロパン(フランス、トレック・セガフレード)
10位 スヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
個人総合成績
1位 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ) 9:47:20
2位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) 0:01
3位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
4位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
5位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)
6位 ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
7位 スヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
8位 トニー・ガロパン(フランス、トレック・セガフレード) 0:08
9位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) 0:17
10位 ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) 0:18
その他特別賞
ポイント賞 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップ・アルファヴィニル)
山岳賞 ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)
ヤングライダー賞 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos