2022/02/15(火) - 15:14
埼玉県自転車競技連盟が主催する「川島町小見野クリテリウム大会」が、2月13日(日)に埼玉県川島町の公道コースで2年ぶりに開催された。大会の模様のレポートとあわせ、公道レース開催について考える。
ロードレースがオフシーズンとなる12月から翌年2月にかけて、埼玉県自転車競技連盟が主催するクリテリウムのシリーズ戦が開催される。埼玉近県のベテランホビーレーサーには「埼玉クリテリウム」と言った方が馴染みがあるかもしれない(ちなみに、「さいたま市」が開催するツール・ド・フランスのイベントは、ひらがなで「さいたまクリテリウム」と表記するのでお間違いなく)。
埼玉県内で場所を変えながら20年以上続けられており、最大の特徴である公道コースを使用してのレースという「伝統」を守りつつ、オフシーズンのトレーニングレースとして定着している。
クラス分けは、マスターズに当たる50歳・60歳以上のクラスから、高校生を中心としたジュニアクラス、未登録レーサーがこの大会に限り選手登録して出場出来る臨時登録クラス、JBCFのE1以上に相当するエリートクラスなど、年代別、実力別に計10クラスに分けられる。また、日本学生自転車競技連盟(学連)が主催する「全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ」が併催されるが、女子のクラスは学連と合同のレースとなる(表彰は別)。
2017年度からは、埼玉県幸手市の幸手工業団地内の道路と、川島町内2ヶ所で全4戦の開催となり、2018年度からは4戦参加者を対象にステージレース形式で累積タイムによる総合首位を決定する方式を採用した。
しかし2020年以来続くコロナ禍により、2020年度(2020年12月から2021年2月)に予定されていた全4戦が中止。2021年度も全4戦が予定されていたが、12月と1月に予定されていた3戦は中止が決定。開催地との調整を続けた結果、2月に1レースのみが開催されることになった。
今回の会場は、川越市の北に位置する川島町の小見野地区。旧小見野小学校前をスタート・フィニッシュとする1周3.3kmのコースは、見渡す限り田んぼの中を走るフラットコース。自動車1台分ほどの狭い農道と直角コーナーの組み合わせが続き、登りが無いからとナメてかかるとストップ&ゴーの繰り返しで徐々に脚を削られ、あっという間に集団後方に追いやられてしまう。脚力以外にも消耗を少なく走るテクニックも求められる。
また、冬の関東平野部は「からっ風」と呼ばれる強い西風が吹き荒れるので、横風に対応した集団走行の練習の場にもなる。幸いにも(?)今回はほぼ無風の1日だったが、日本国内でそうした練習ができる場は数少ないのではなかろうか。
この日は天気の悪化が予想され、午後には埼玉県南部では雨が降り始めていたものの、学連大会を含む全てのレースが終了するまで雨が落ちてくるこなく、終始ドライ路面でレースが行われた。
今大会は新型コロナウィルス感染拡大防止のガイドラインに沿い、無観客開催とされた。表彰式は行われず、リザルトはインターネット上での発表のみで会場に掲示せず、極力密集が起きないような対策が取られた。
しかし感染者数が拡大傾向にある社会情勢や、同日に「大磯クリテリウム」が開催されていたことも影響してか、残念ながら各クラス共に参加者数は少なくなってしまった。それでも、最上位クラスとなるエリートでは、本拠地の東松山市が近いエカーズのメンバーらが中心となってハイスピードなレースを展開して見せた。
コロナ禍で難しくなる公道レース開催 参加者もご協力を
今大会に限らず、コロナ禍により公道レースの開催が一層難しくなってきている。埼玉県内のレースでは秩父市で開催される「秩父宮杯」が、2020年、2021年と、2年連続で中止となっている。
開催地の自治体やコース周辺住民の理解を得ることは公道レース開催には不可欠だが、緊急事態宣言が発令されていない状況であっても、不特定多数が地域外から集まることに不安や抵抗を感じる地域もあり、それにより開催を断念したという話は少なくない。
また、今回の小見野地区のコースのように、交通量の少ないように見える農道であっても、周辺住民が生活道路として日常的に使用している場合もあり、予想以上に自動車が通る道もある。たとえ1日であっても、地元の方々に不便を強いてレースを開催させてもらっていることを忘れてはならない。
特に、コロナ禍に関係なく全ての公道レースで言えることだが、レース開催日以外でのコースの試走や練習は、開催地自治体や主催者への苦情の原因となり、大会継続に関わる問題となるので絶対に避けて欲しい。貴重な公道レースを継続するためにも、厳にお願いしたい。
text&photo:Satoru Kato
ロードレースがオフシーズンとなる12月から翌年2月にかけて、埼玉県自転車競技連盟が主催するクリテリウムのシリーズ戦が開催される。埼玉近県のベテランホビーレーサーには「埼玉クリテリウム」と言った方が馴染みがあるかもしれない(ちなみに、「さいたま市」が開催するツール・ド・フランスのイベントは、ひらがなで「さいたまクリテリウム」と表記するのでお間違いなく)。
埼玉県内で場所を変えながら20年以上続けられており、最大の特徴である公道コースを使用してのレースという「伝統」を守りつつ、オフシーズンのトレーニングレースとして定着している。
クラス分けは、マスターズに当たる50歳・60歳以上のクラスから、高校生を中心としたジュニアクラス、未登録レーサーがこの大会に限り選手登録して出場出来る臨時登録クラス、JBCFのE1以上に相当するエリートクラスなど、年代別、実力別に計10クラスに分けられる。また、日本学生自転車競技連盟(学連)が主催する「全日本学生ロードレース・カップ・シリーズ」が併催されるが、女子のクラスは学連と合同のレースとなる(表彰は別)。
2017年度からは、埼玉県幸手市の幸手工業団地内の道路と、川島町内2ヶ所で全4戦の開催となり、2018年度からは4戦参加者を対象にステージレース形式で累積タイムによる総合首位を決定する方式を採用した。
しかし2020年以来続くコロナ禍により、2020年度(2020年12月から2021年2月)に予定されていた全4戦が中止。2021年度も全4戦が予定されていたが、12月と1月に予定されていた3戦は中止が決定。開催地との調整を続けた結果、2月に1レースのみが開催されることになった。
今回の会場は、川越市の北に位置する川島町の小見野地区。旧小見野小学校前をスタート・フィニッシュとする1周3.3kmのコースは、見渡す限り田んぼの中を走るフラットコース。自動車1台分ほどの狭い農道と直角コーナーの組み合わせが続き、登りが無いからとナメてかかるとストップ&ゴーの繰り返しで徐々に脚を削られ、あっという間に集団後方に追いやられてしまう。脚力以外にも消耗を少なく走るテクニックも求められる。
また、冬の関東平野部は「からっ風」と呼ばれる強い西風が吹き荒れるので、横風に対応した集団走行の練習の場にもなる。幸いにも(?)今回はほぼ無風の1日だったが、日本国内でそうした練習ができる場は数少ないのではなかろうか。
この日は天気の悪化が予想され、午後には埼玉県南部では雨が降り始めていたものの、学連大会を含む全てのレースが終了するまで雨が落ちてくるこなく、終始ドライ路面でレースが行われた。
今大会は新型コロナウィルス感染拡大防止のガイドラインに沿い、無観客開催とされた。表彰式は行われず、リザルトはインターネット上での発表のみで会場に掲示せず、極力密集が起きないような対策が取られた。
しかし感染者数が拡大傾向にある社会情勢や、同日に「大磯クリテリウム」が開催されていたことも影響してか、残念ながら各クラス共に参加者数は少なくなってしまった。それでも、最上位クラスとなるエリートでは、本拠地の東松山市が近いエカーズのメンバーらが中心となってハイスピードなレースを展開して見せた。
コロナ禍で難しくなる公道レース開催 参加者もご協力を
今大会に限らず、コロナ禍により公道レースの開催が一層難しくなってきている。埼玉県内のレースでは秩父市で開催される「秩父宮杯」が、2020年、2021年と、2年連続で中止となっている。
開催地の自治体やコース周辺住民の理解を得ることは公道レース開催には不可欠だが、緊急事態宣言が発令されていない状況であっても、不特定多数が地域外から集まることに不安や抵抗を感じる地域もあり、それにより開催を断念したという話は少なくない。
また、今回の小見野地区のコースのように、交通量の少ないように見える農道であっても、周辺住民が生活道路として日常的に使用している場合もあり、予想以上に自動車が通る道もある。たとえ1日であっても、地元の方々に不便を強いてレースを開催させてもらっていることを忘れてはならない。
特に、コロナ禍に関係なく全ての公道レースで言えることだが、レース開催日以外でのコースの試走や練習は、開催地自治体や主催者への苦情の原因となり、大会継続に関わる問題となるので絶対に避けて欲しい。貴重な公道レースを継続するためにも、厳にお願いしたい。
text&photo:Satoru Kato
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