平均勾配7%の登坂フィニッシュでアントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム)がライバルたちを圧倒。ラスト100mでヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)を制し、プロ初勝利と共に総合首位に立った。



繰り下げでポイント賞ジャージを着用するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)繰り下げでポイント賞ジャージを着用するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
ツアー・オブ・オマーンの総合争いが動き出す第3ステージは、スルタンカブース大学を出発してクライヤトの岩山を駆け上がる。山間の平坦な砂漠地帯を進む183kmコースの最後は、距離2.7km/平均勾配7.0%の登りが待ち受ける。

砂漠に囲まれた幹線道路でアクチュアルスタートが切られると、すぐさまアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオとプロチームによる6名の逃げが決まる。そこにエウスカルテル・エウスカディとノボノルディスクも3日連続で選手を送りこんだ。

メイン集団はルイ・コスタ(ポルトガル)で勝利を狙うUAEチームエミレーツと、ファウスト・マスナダ(イタリア)を擁するクイックステップ・アルファヴィニルのコントロール下に置かれる。時折横風も吹き付けたが、積極的に分断作戦を決行するチームは現れず、昨日勝利を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)も笑顔を見せる和やかな雰囲気で距離を消化していった。

ケヴィン・ファンメルゼン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ら6名による逃げ集団ケヴィン・ファンメルゼン(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)ら6名による逃げ集団 photo:CorVos
幹線道路を駆けるプロトン幹線道路を駆けるプロトン photo:CorVos
最後まで逃げていたルイス・ブラーウェ(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)を残り13kmで飲み込んだメイン集団は、ガスプロム・ルスヴェロとバイクエクスチェンジ・ジェイコを先頭にクライヤトの登坂を開始する。

頂上まで1.8kmを残したタイミングで最初に動いたのは、オマーンで表彰台に何度も立ちながら勝利のないコスタだった。もちろんこの動きはライバルたちは即座に反応。一気に激しさが増す集団から、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールのレイン・タラマエ(エストニア)がアタックし、ヤン・ヒルト(チェコ)が飛び出す波状攻撃を繰り出した。

一気にリードを奪ったヒルトをアントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム)とエリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック)が追う。残り200mでジェベールがダンシングでヒルトとの距離を詰めると、その後ろについたチャーマがジェベールをかわし、ラスト100mでヒルトも抜き去いてフィニッシュに飛び込んだ。

バイクエクスチェンジ・ジェイコが先頭に人数を集めクライヤトの登りに突入するバイクエクスチェンジ・ジェイコが先頭に人数を集めクライヤトの登りに突入する photo:CorVos
登坂スプリントを制したアントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム)登坂スプリントを制したアントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム) photo:CorVos
「これがプロ初勝利かつUCIのロードレースでも初めての勝利だ。ウノエックスで勝つのが今シーズンの目標だったので、今日は記念すべき日になった。ステージを通してチームメイトはモーターバイクに跨るかのごとく僕をサポートしてくれた。感謝したい」。デンマーク出身23歳の若きクライマーのチャーマは、これでヤングライダー賞と共に総合順位でもトップに立った。

プロチーム昇格初年度のウノエックス・プロサイクリング チームは早くもシーズン3勝目。更に同日に行われたトルコのツアー・オブ・アンタルヤ(2.1)第3ステージでもヤコブ・ヒンズガールマッセン(デンマーク)が区間優勝を挙げ、4勝目(しかも全て異なる選手)と順調なペースで勝利を重ねている。

ツアー・オブ・オマーン2022第3ステージ結果
1位 アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 4:19:30
2位 ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
3位 エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) 0:02
4位 ファウスト・マスナダ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) 0:04
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
6位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベール)
7位 ヘンリ・ファンデンアベーレ(ベルギー、チームDSM)
8位 マルティン・ロペス(エクアドル、アスタナカザクスタン) 0:07
9位 デニス・ネクラソフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
10位 マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル)
個人総合成績
1位 アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム) 11:46:55
2位 ヤン・ヒルト(チェコ、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) 0:04
3位 エリー・ジェベール(フランス、アルケア・サムシック) 0:08
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 0:12
5位 レイン・タラマエ(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベール) 0:14
6位 デニス・ネクラソフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) 0:17
7位 マルティン・ロペス(エクアドル、アスタナカザクスタン)
8位 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)
9位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)
10位 フィリッポ・ザナ(イタリア、バルディアーニCSFファイザネ)
その他特別賞
ポイント賞 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ヤングライダー賞 アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリング チーム)
チーム総合成績 アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos