チェーン落ちに泣いたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が今季初の黒星。トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)との高速バトルを制した。
湖畔の大きなキャンバーを上り下りするフルストの特設コース photo:CorVos
1月1日のGPスヴェンネイスを走り終えたシクロクロッサーたちは、休みを取ることなくオランダのフルストで連続開催されるUCIワールドカップ第13戦ヘ。湖畔の坂と平坦区間、そしてキャンバーを組み合わせたコースで再戦を果たした。
今季ベルギー/オランダでは多くのレースが泥コンディションだったものの、この日は意外にも100%ドライ。高さ10m以上もある激下りや、そこからの登り返しなども用意された舞台でハイスピードバトルが繰り広げられることとなった。
女子:猛然と追い上げたブラントが今季15勝目を射止める
マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)とフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
ホールショットを決めたマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:CorVos
ボトルネックのキャンバー区間で大渋滞が発生 photo:CorVos
UCIワールドカップのみを転戦するマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)のホールショットが決まった女子レースは、やがてU23ランキングリーダーのパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)が独走を開始する。連勝街道邁進中のルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は、「スタート後はリズムを掴めなかった」と、ピーテルスから離れた地点からの追い上げを目指した。
中盤以降も後続グループ内で走ったブラントは連勝ストップの気配すら漂わせていたものの、レース開始後30分が経ったあたりから猛然とチャージ。一気に2番手グループの先頭に立ち、約1周回を費やしてピーテルスの背中を捕まえ、そして攻めのライン取りでパス。「ルシンダのペースに合わせたかったけれど、彼女にパワー負けしてしまった」というピーテルスは2位転落を喫した。
レース中盤を過ぎて、猛然と追い上げたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
序盤から終盤までレースをリードしたパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) photo:CorVos
今季15勝目を挙げたルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第13戦 女子表彰台 photo:CorVos
2番手以降との差を見る間に広げたブラントは、そのまま最終周回を走りきって今季15勝目を達成。「そんなに勝っただなんて不思議な気分。今日ピーテルスはとても強く、彼女に追いつくためにはギアを切り替えなければいけなかった」とレースを振り返っている。
男子エリート:ピドコックがイゼルビットとの高速バトルを制す
レースから離れているマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のコンディションが心配される中、男子エリートレースは、ヨーロッパチャンピオンジャージを着るラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)のホールショットで動き出す。すると、すぐ後ろを走っていたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がチェーン落ちに見舞われた。
欧州王者ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)のホールショットが決まる photo:CorVos
レース先頭に立つエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
メカトラで40番手からの追走を強いられたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
チェーンが深く噛み込み、復帰に時間を要したファンアールトは先頭から約40秒遅れの40位前後で再乗車。格の違いを見せつけるかのように次々と選手をパスしていったものの、もとより抜きどころの少ないハイスピードコースゆえ、先頭グループとのタイム差は1分から縮まることはなかった。
バイク交換無しのドライレースで、やがて先頭グループから抜け出したのはトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の2人だった。レース前インタビューでイゼルビットが「ピドコックや僕向きのコース」と話した通り、体重50kg台の身軽な2人が主導権を握った。
イゼルビットを引き離し、独走するトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
今季2勝目を挙げたトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第12戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
先頭グループでは五輪金メダリストのピドコックがイゼルビットを突き放し、独走を開始した。「リードを得ることができたものの、差は数秒止まり。エリからのプレッシャーを強く感じていた」と言うピドコックは、最終周回にアウターチェーンリングに変速できないメカトラブルに見舞われたものの、リードを守りきってフィニッシュ。12月中盤のW杯ルクフェンに続く今季2勝目を掴み取った。
「ピドコックと同じペースで走れていたけれど、ランニング区間で差がついてしまった。ただしコンディション自体には満足しているよ」と言うイゼルビットが2位に入り、「世界選手権に向けてコンディションが上がっている」と振り返るファンデルハールが久々の表彰台を獲得。2日連続でトラブルに見舞われたファンアールトは4番手までポジションを上げたものの、表彰台には遠く手が届かなかった。

1月1日のGPスヴェンネイスを走り終えたシクロクロッサーたちは、休みを取ることなくオランダのフルストで連続開催されるUCIワールドカップ第13戦ヘ。湖畔の坂と平坦区間、そしてキャンバーを組み合わせたコースで再戦を果たした。
今季ベルギー/オランダでは多くのレースが泥コンディションだったものの、この日は意外にも100%ドライ。高さ10m以上もある激下りや、そこからの登り返しなども用意された舞台でハイスピードバトルが繰り広げられることとなった。
女子:猛然と追い上げたブラントが今季15勝目を射止める



UCIワールドカップのみを転戦するマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)のホールショットが決まった女子レースは、やがてU23ランキングリーダーのパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)が独走を開始する。連勝街道邁進中のルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は、「スタート後はリズムを掴めなかった」と、ピーテルスから離れた地点からの追い上げを目指した。
中盤以降も後続グループ内で走ったブラントは連勝ストップの気配すら漂わせていたものの、レース開始後30分が経ったあたりから猛然とチャージ。一気に2番手グループの先頭に立ち、約1周回を費やしてピーテルスの背中を捕まえ、そして攻めのライン取りでパス。「ルシンダのペースに合わせたかったけれど、彼女にパワー負けしてしまった」というピーテルスは2位転落を喫した。




2番手以降との差を見る間に広げたブラントは、そのまま最終周回を走りきって今季15勝目を達成。「そんなに勝っただなんて不思議な気分。今日ピーテルスはとても強く、彼女に追いつくためにはギアを切り替えなければいけなかった」とレースを振り返っている。
男子エリート:ピドコックがイゼルビットとの高速バトルを制す
レースから離れているマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)のコンディションが心配される中、男子エリートレースは、ヨーロッパチャンピオンジャージを着るラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)のホールショットで動き出す。すると、すぐ後ろを走っていたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)がチェーン落ちに見舞われた。



チェーンが深く噛み込み、復帰に時間を要したファンアールトは先頭から約40秒遅れの40位前後で再乗車。格の違いを見せつけるかのように次々と選手をパスしていったものの、もとより抜きどころの少ないハイスピードコースゆえ、先頭グループとのタイム差は1分から縮まることはなかった。
バイク交換無しのドライレースで、やがて先頭グループから抜け出したのはトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)の2人だった。レース前インタビューでイゼルビットが「ピドコックや僕向きのコース」と話した通り、体重50kg台の身軽な2人が主導権を握った。



先頭グループでは五輪金メダリストのピドコックがイゼルビットを突き放し、独走を開始した。「リードを得ることができたものの、差は数秒止まり。エリからのプレッシャーを強く感じていた」と言うピドコックは、最終周回にアウターチェーンリングに変速できないメカトラブルに見舞われたものの、リードを守りきってフィニッシュ。12月中盤のW杯ルクフェンに続く今季2勝目を掴み取った。
「ピドコックと同じペースで走れていたけれど、ランニング区間で差がついてしまった。ただしコンディション自体には満足しているよ」と言うイゼルビットが2位に入り、「世界選手権に向けてコンディションが上がっている」と振り返るファンデルハールが久々の表彰台を獲得。2日連続でトラブルに見舞われたファンアールトは4番手までポジションを上げたものの、表彰台には遠く手が届かなかった。
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第13戦 女子結果
1位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 49:14 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス) | +0:05 |
3位 | アンマリー・ワースト(オランダ、777) | +0:11 |
4位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) | +0:14 |
5位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:26 |
6位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | +0:37 |
7位 | デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:43 |
8位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:08 |
9位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777) | +1:46 |
10位 | アリシア・フランク(ベルギー、プロキシマス・アルファモーターホーム・ドルチーニCT) | +1:52 |
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第12戦 男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:03:49 |
2位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:12 |
3位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:33 |
4位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +1:09 |
5位 | トーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:30 |
6位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:41 |
7位 | クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンス・サーカスCXチーム) | +1:48 |
8位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:57 |
9位 | ヴィンセント・バスタンス(ベルギー、CXチームデスシャフト・グループヘンス・マースコンテナーズ) | +2:08 |
10位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:11 |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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