2021/12/31(金) - 16:14
2021年の海外主要レースを振り返る後編は、6月のツール・ド・フランスから熱狂の東京五輪、ブエルタ・ア・エスパーニャから世界選手権へ。そして2年振りに戻ってきたパリ〜ルーベをプレーバック。
2度の大規模落車で幕を開けた第108回ツール・ド・フランスは、初日にメイン集団先頭を走っていたトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が沿道の観客が持つサインボードと衝突。後続の選手たち60〜70名が次々に地面に叩きつけられ、このニュースは世界中を駆け巡った。この後のステージでも落車の連鎖は続き、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を含む多くの選手たちが途中棄権する波乱の大会となった。
そんな不穏な空気を驚きと共に吹き飛ばしたのが、昨季は引退も考えたというマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の完全復活だ。第4ステージで2016年以来の勝利を飾るとそのまま区間4勝を挙げ、エディ・メルクスのステージ通算最多勝利数である34勝に並ぶとともにマイヨヴェール(ポイント賞)を獲得した。
また今大会でロードレース界の常識を覆したのが、前日の集団スプリントで2位に入りながらもモンヴァントゥーを2度登る難関山岳ステージで優勝したワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)。ファンアールトは最終日前日の個人タイムトライアルとパリ・シャンゼリゼ決戦も制し、山岳/平坦/個人TTのそれぞれで勝利する偉業を打ち立てたのだった。
マイヨジョーヌはアルプス初日の第8ステージで掴むと、そのまま最終日まで手放さなかったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2年連続の獲得。ポガチャルは終盤戦のフレンチピレネー2連戦を制し、隙のない強さでマイヨアポワとマイヨブランをも再び独占した。
ツールの熱狂から6日後、東京都府中に世界トップ選手たちが集結して行われた東京2020オリンピック男子ロードレース。日本の風光明媚な自然が世界へと映し出された総距離234kmの戦いは、最大勾配18%の三国峠で形成された精鋭グループの中から残り25km地点でアタックし、さらに残り6km地点で独走に持ち込んだリチャル・カラパス(エクアドル)が金メダルを掴み取った。
一方、富士スピードウェイを発着する44.2kmで争われた男子個人タイムトライアルは、直前のツールを負傷で去ったログリッチが優勝。2位のトム・デュムラン(オランダ)や3位のローハン・デニス(オーストラリア)に1分以上の差をつける大差で、4年に一度の「時計との戦い」で栄冠に輝いた。
五輪の勢いそのままに、ログリッチが初日の個人TTを制し開幕したブエルタ・ア・エスパーニャ。大怪我から復帰したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がポイント賞を獲得して感動を届けると、チームではアストゥリアスの難関山岳で安定した登坂力を見せたジーノ・マーダー(スイス)やジャック・ヘイグ(オーストラリア)が総合3位に入ったバーレーン・ヴィクトリアスが躍動した。
ブエルタらしい激坂を含む山岳ステージでライバルたちからコンスタントにタイムを稼いだログリッチは、超級山岳ラゴス・デ・コバドンガのクイーンステージで独走勝利。最終日サンティアゴ・デ・コンポステーラでの個人TTで総合優勝を決めると、大聖堂の前で3年連続となるマイヨロホに袖を通した。
新城幸也も単騎で参戦したベルギー・アントワープで行われたロード世界選手権は、アタックに次ぐアタックの末、17.5kmに及ぶ単独走を成功させたジュリアン・アラフィリップ(フランス)が2年連続の世界チャンピオンに輝く。また男子エリート個人TTではファンアールトを5秒差で上回ったフィリッポ・ガンナ(イタリア)が、2年連続アルカンシェル獲得を果たしている。
モニュメント最終戦の1週間前に、昨年はコロナ禍で中止され、今年は10月に延期されたパリ〜ルーベが2年振りに開幕。悪天候によるマッドコンディションで文字通り「北の地獄」と化したレースは、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)をスプリントで退けたソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が、自身初のモニュメント制覇を達成した。
そしてイル・ロンバルディアでは終盤積極的に動いたポガチャルが、共に逃げたファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を余裕のスプリントで下し、自身2度目のモニュメント制覇で最高のシーズンを締めくくった。
text:Sotaro.Arakawa
2度の大規模落車で幕を開けた第108回ツール・ド・フランスは、初日にメイン集団先頭を走っていたトニー・マルティン(ドイツ、ユンボ・ヴィスマ)が沿道の観客が持つサインボードと衝突。後続の選手たち60〜70名が次々に地面に叩きつけられ、このニュースは世界中を駆け巡った。この後のステージでも落車の連鎖は続き、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を含む多くの選手たちが途中棄権する波乱の大会となった。
そんな不穏な空気を驚きと共に吹き飛ばしたのが、昨季は引退も考えたというマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の完全復活だ。第4ステージで2016年以来の勝利を飾るとそのまま区間4勝を挙げ、エディ・メルクスのステージ通算最多勝利数である34勝に並ぶとともにマイヨヴェール(ポイント賞)を獲得した。
また今大会でロードレース界の常識を覆したのが、前日の集団スプリントで2位に入りながらもモンヴァントゥーを2度登る難関山岳ステージで優勝したワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィスマ)。ファンアールトは最終日前日の個人タイムトライアルとパリ・シャンゼリゼ決戦も制し、山岳/平坦/個人TTのそれぞれで勝利する偉業を打ち立てたのだった。
マイヨジョーヌはアルプス初日の第8ステージで掴むと、そのまま最終日まで手放さなかったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が2年連続の獲得。ポガチャルは終盤戦のフレンチピレネー2連戦を制し、隙のない強さでマイヨアポワとマイヨブランをも再び独占した。
ツールの熱狂から6日後、東京都府中に世界トップ選手たちが集結して行われた東京2020オリンピック男子ロードレース。日本の風光明媚な自然が世界へと映し出された総距離234kmの戦いは、最大勾配18%の三国峠で形成された精鋭グループの中から残り25km地点でアタックし、さらに残り6km地点で独走に持ち込んだリチャル・カラパス(エクアドル)が金メダルを掴み取った。
一方、富士スピードウェイを発着する44.2kmで争われた男子個人タイムトライアルは、直前のツールを負傷で去ったログリッチが優勝。2位のトム・デュムラン(オランダ)や3位のローハン・デニス(オーストラリア)に1分以上の差をつける大差で、4年に一度の「時計との戦い」で栄冠に輝いた。
五輪の勢いそのままに、ログリッチが初日の個人TTを制し開幕したブエルタ・ア・エスパーニャ。大怪我から復帰したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)がポイント賞を獲得して感動を届けると、チームではアストゥリアスの難関山岳で安定した登坂力を見せたジーノ・マーダー(スイス)やジャック・ヘイグ(オーストラリア)が総合3位に入ったバーレーン・ヴィクトリアスが躍動した。
ブエルタらしい激坂を含む山岳ステージでライバルたちからコンスタントにタイムを稼いだログリッチは、超級山岳ラゴス・デ・コバドンガのクイーンステージで独走勝利。最終日サンティアゴ・デ・コンポステーラでの個人TTで総合優勝を決めると、大聖堂の前で3年連続となるマイヨロホに袖を通した。
新城幸也も単騎で参戦したベルギー・アントワープで行われたロード世界選手権は、アタックに次ぐアタックの末、17.5kmに及ぶ単独走を成功させたジュリアン・アラフィリップ(フランス)が2年連続の世界チャンピオンに輝く。また男子エリート個人TTではファンアールトを5秒差で上回ったフィリッポ・ガンナ(イタリア)が、2年連続アルカンシェル獲得を果たしている。
モニュメント最終戦の1週間前に、昨年はコロナ禍で中止され、今年は10月に延期されたパリ〜ルーベが2年振りに開幕。悪天候によるマッドコンディションで文字通り「北の地獄」と化したレースは、マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)をスプリントで退けたソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が、自身初のモニュメント制覇を達成した。
そしてイル・ロンバルディアでは終盤積極的に動いたポガチャルが、共に逃げたファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)を余裕のスプリントで下し、自身2度目のモニュメント制覇で最高のシーズンを締めくくった。
text:Sotaro.Arakawa
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