2021/12/27(月) - 11:35
超重馬場のパワーレース。マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)とトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)を下し、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が今季W杯2勝目を挙げた。
ナミュール城塞の過酷なアップダウンコースから1週間。シクロクロスのトップ選手たちはベルギーのオースト=フランデレン州に位置するデンデルモンデへ。郊外に敷設された特設コースでUCIワールドカップ第12戦が開催された。
何と言っても注目は、CXシーズンインが遅れていた世界王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)の登場。これにより男子エリートレースには屈強なCX選手たちはもちろん、ライバルのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、そしてトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の3人が出揃った。
人工斜面を使ったキャンバーや砂区間が数カ所用意された平坦コースながら、折からの雨でコース上はヘビーマッド。「路面はとても重く、ランニング区間も限られているのでパワー勝負になるだろう」とエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が予想した通り、大柄なパワー系選手が先頭争いを繰り広げた。
タレント選手が揃い踏みした女子(エリート+U23)レースでホールショットを奪ったのは元世界王者のマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)だった。やがてデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が先頭に立ち、ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は普段通り10番手前後から追い上げを目指していく。
ベッツェマやフォス、徐々にコンディションを上げるセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)、マノン・バッカー(オランダ、IKOクレラン)、若手注目株のシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)らが先頭グループを組み、全5周回中の2周目にはブラントやパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)、カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)たちも合流。すると3周目突入と同時にアルカンシエルのブラントが一気にペースアップを仕掛けた。
「序盤は埋もれ、何度かラインを塞がれたり耐えるレースだったけれど、強い選手だけが前に残れると自分に言い聞かせて走った」と言うブラントは、得意の勝ちパターンに持ち込むことに成功。ベッツィマやフォスを寄せ付けず、ファステストラップを叩き出しながらリードを広げていった。
ブラントの背後ではクララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド)が猛然と追い上げ、ベッツィマやフォスを次々とパス。最終周回後半にはブラントを視界に捉えるも、わずかに追い上げ届かずフィニッシュラインへ。ブラントが勝利し、ホンシンガーが「あと5分レースが長かったらチャンスがあった」と4秒届かず2位。「パワーのある2人に次ぐ3位は満足」と言うベッツィマが表彰台の一角に滑り込んでいる。
三つ巴の戦いをファンアールトが制す
注目の男子エリートレースではトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がホールショットを決め、3列目スタートのマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はホームストレートの最後まで踏み切り一気に勝負の最前線へ。積極的にペースを上げるアールツが抜け出し、やがてファンデルプールとワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が追いついた。
バイク交換によって付かず離れずの距離を保ちつつ、先頭グループの3人は、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や、W杯ランキングリーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)ら後続選手たちを寄せ付けず互いの勝負に徹する。脚力を吸い取るような重たい路面で、中盤戦まで3人の力は拮抗した。
その中からまず脱落を喫したのはアールツだった。「ワウトが主導権を握り始め、一度は追いついたけれどその後もう一度引き離されてしまった」と言うアールツはミスと追走によって消耗し、脱落。ベルギーチャンピオンジャージを着るファンアールトは、時間を空けずにファンデルプールをも切り離した。
独走態勢を築いてもなおペースを落とさないファンアールトのリードは、全8周回中の6周回終了時点で24秒、7周回終了時点で41秒にまで拡大。危なげなく、そして力強く最終周回を走りきったファンアールトが、フィニッシュライン上でW杯2勝目を表し、そして両手でガッツポーズ。注目選手が全て出揃った重馬場レースで、世界選手権を目指す順調な仕上がりぶりをアピールした。
「最高レベルのW杯で得た美しい勝利。2回目の攻撃でアールツとファンデルプールから抜け出すことができたのでよかったよ。今日は(コロナ禍で)一般観客なしになったのが残念。大切なクリスマスシーズンでの勝利は嬉しいし、クロスシーズン序盤ですでに結果を出せてとても嬉しい。このままリズムを維持していきたい」とファンアールトはコメント。フィジカルが重視される重馬場レースでの強さを今一度証明してみせた。
ワールドカップを走り終えた選手は、足早にヒュースデン・ゾルダーへ。世界選手権も含め、これまで名勝負を生み出してきたゾルダーサーキットでのスーパープレスティージュ第6戦への連戦に挑む。
ナミュール城塞の過酷なアップダウンコースから1週間。シクロクロスのトップ選手たちはベルギーのオースト=フランデレン州に位置するデンデルモンデへ。郊外に敷設された特設コースでUCIワールドカップ第12戦が開催された。
何と言っても注目は、CXシーズンインが遅れていた世界王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)の登場。これにより男子エリートレースには屈強なCX選手たちはもちろん、ライバルのワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)、そしてトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の3人が出揃った。
人工斜面を使ったキャンバーや砂区間が数カ所用意された平坦コースながら、折からの雨でコース上はヘビーマッド。「路面はとても重く、ランニング区間も限られているのでパワー勝負になるだろう」とエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が予想した通り、大柄なパワー系選手が先頭争いを繰り広げた。
タレント選手が揃い踏みした女子(エリート+U23)レースでホールショットを奪ったのは元世界王者のマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)だった。やがてデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が先頭に立ち、ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は普段通り10番手前後から追い上げを目指していく。
ベッツェマやフォス、徐々にコンディションを上げるセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・フェニックス)、マノン・バッカー(オランダ、IKOクレラン)、若手注目株のシリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)らが先頭グループを組み、全5周回中の2周目にはブラントやパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・フェニックス)、カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス)たちも合流。すると3周目突入と同時にアルカンシエルのブラントが一気にペースアップを仕掛けた。
「序盤は埋もれ、何度かラインを塞がれたり耐えるレースだったけれど、強い選手だけが前に残れると自分に言い聞かせて走った」と言うブラントは、得意の勝ちパターンに持ち込むことに成功。ベッツィマやフォスを寄せ付けず、ファステストラップを叩き出しながらリードを広げていった。
ブラントの背後ではクララ・ホンシンガー(アメリカ、キャノンデール/シクロクロスワールド)が猛然と追い上げ、ベッツィマやフォスを次々とパス。最終周回後半にはブラントを視界に捉えるも、わずかに追い上げ届かずフィニッシュラインへ。ブラントが勝利し、ホンシンガーが「あと5分レースが長かったらチャンスがあった」と4秒届かず2位。「パワーのある2人に次ぐ3位は満足」と言うベッツィマが表彰台の一角に滑り込んでいる。
三つ巴の戦いをファンアールトが制す
注目の男子エリートレースではトーン・アールツ(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がホールショットを決め、3列目スタートのマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はホームストレートの最後まで踏み切り一気に勝負の最前線へ。積極的にペースを上げるアールツが抜け出し、やがてファンデルプールとワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が追いついた。
バイク交換によって付かず離れずの距離を保ちつつ、先頭グループの3人は、トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や、W杯ランキングリーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)ら後続選手たちを寄せ付けず互いの勝負に徹する。脚力を吸い取るような重たい路面で、中盤戦まで3人の力は拮抗した。
その中からまず脱落を喫したのはアールツだった。「ワウトが主導権を握り始め、一度は追いついたけれどその後もう一度引き離されてしまった」と言うアールツはミスと追走によって消耗し、脱落。ベルギーチャンピオンジャージを着るファンアールトは、時間を空けずにファンデルプールをも切り離した。
独走態勢を築いてもなおペースを落とさないファンアールトのリードは、全8周回中の6周回終了時点で24秒、7周回終了時点で41秒にまで拡大。危なげなく、そして力強く最終周回を走りきったファンアールトが、フィニッシュライン上でW杯2勝目を表し、そして両手でガッツポーズ。注目選手が全て出揃った重馬場レースで、世界選手権を目指す順調な仕上がりぶりをアピールした。
「最高レベルのW杯で得た美しい勝利。2回目の攻撃でアールツとファンデルプールから抜け出すことができたのでよかったよ。今日は(コロナ禍で)一般観客なしになったのが残念。大切なクリスマスシーズンでの勝利は嬉しいし、クロスシーズン序盤ですでに結果を出せてとても嬉しい。このままリズムを維持していきたい」とファンアールトはコメント。フィジカルが重視される重馬場レースでの強さを今一度証明してみせた。
ワールドカップを走り終えた選手は、足早にヒュースデン・ゾルダーへ。世界選手権も含め、これまで名勝負を生み出してきたゾルダーサーキットでのスーパープレスティージュ第6戦への連戦に挑む。
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第12戦 女子結果
UCIシクロクロスワールドカップ2021-2022第12戦 男子エリート結果
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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