2021/11/21(日) - 11:29
イタリアを拠点とするハイパフォーマンスウェアブランドのカステリ。定評のあるジャケットラインアップにGORE-TEX SHAKEDRY生地を使用したIDRO 3シリーズが加わっている。軽量で防水性に非常に優れるアウターを試してみた。
カステリの雨天用ジャケットと言えばGABBAシリーズは外せない。優れたプロテクション性能と通気性、着心地の良さを実現したGABBAは、カステリのサポート外のプロ選手も自費で購入し、レースでロゴを塗りつぶして着用するほどのプロダクトとして非常に高い支持を得た。
レインジャケットの金字塔となったGABBAと派生モデルのPERFETTOシリーズは、今もハイパフォーマンス・アウターウェアとして世界中のレーサーから愛されている。そのラインアップに新型ジャケットIDRO 3シリーズが加わる。
IDRO 3シリーズのトピックは、GORE-TEX SHAKE DRY生地を採用していること。GABBAとPERFETTOはカステリがGORE社と共同開発した独自のGORE-TEX INFINIUM生地であるのに対し、新素材を使うことでカステリのシェルラインアップの充実度が高められている。
GORE-TEXの生地は表地とメンブレン、裏地の3層構造であることが基本とされているが、SHAKE DRYではメンブレンと裏地の2層のみで構成されることがポイント。防水、防風、透湿性を担うメンブレンの機能はそのままに、表地を排除することでウェア全体を軽量に仕上げつつ、表面の汚れなどによる撥水性の低下、そしてそれに伴う通気性の悪化を防ぐ画期的なファブリックだ。
IDRO 3シリーズも例外ではなくカステリのアウターラインアップで最軽量のプロダクトとなっている。一方で高性能の要となるメンブレンが露出するため、バックパックなどを背負うなどでの擦れなどに弱いことには注意したい。
IDRO 3には風でのバタつきを最小限に抑えるタイトフィットのIDRO PRO 3と、若干ゆとりをもたせたIDRO 3の2種類が用意される。前者はピタリとした着用感を作り出すために、脇と袖の一部に伸縮性を備えたGORE-TEX Topoを配置しており、背中に2分割のポケットが備えられている。レースで一日中雨に打たれる時に活躍してくれる一着として仕上げられた。
対してレギュラーフィットのIDRO 3は袖や脇はSHAKE DRY生地だが、腰部分をTopo生地とすることで胴体部分の柔軟性とフィット性を向上させている。この腰部分にはスリットが入れられており、内側に着ているジャージのポケットにアクセスすることが可能だ。
コンパクトに折りたたむこともできるため、持ち運びも苦にはならないだろう。年間通して優れた防水性のプロテクション性能を求める方にはうってつけの1着だ。
インプレッション
普段よりカステリのウェアを着用しているCW編集部の高木がインプレッションを担当。シリアスライダー目線での使用感をお届けしよう。
―IDRO PRO 3を試してみて、どのような印象を持ちましたか?
高木:GORE-TEX SHAKE DRYを使ったウェアを初めて着るので、試す前はウィンドブレーカーのように薄い生地で防水されるのか正直不安でしたが、それは杞憂に終わりました。
降雨量が13mm~17mmほどの中で試してみたところ、表地は若干滲みましたが、それが内側まで到達することはありませんでした。ライドを通して水分がウェア内に侵入せず、防水性の高さを実感しました。走り終わった後確認してみるとウェアの内側は汗で濡れていたのですが、ライド中は全く気が付かず、快適に走れたので、透湿性も優れていると感じます。
―透湿性についてどのような場面で感じられましたか?
高木:走行中はウェア内側が暑くなりすぎることもなく至ってストレスフリーで、その通気性の高さは信号での待ち時間にも感じられました。カステリのGABBAやPERFETTOは停車するとウェアから熱と汗が排出されていると如実にわかるのですが、IDROの場合はウェア内に熱を残しつつ、湿気を外に逃がしているようでした。
ただ一般的なウィンドブレーカーのように熱がこもる感じもなかったので、いい塩梅の透湿性を備えていると感じました。
―GABBAとPERFETTOの話がでましたが、それらと比較するとIDROはどのような製品で、どう使い分ければ良いでしょうか。
高木:GABBA、PERFETTOシリーズとIDROの違いは、防水性等の性能は置いておくとして、生地の厚みにあります。GABBAなどは厚手生地のため、それ自体に温かさを感じるウェアですが、IDROは薄手なので内側に着用するウェアで温度調整を行うような印象があります。
使い分けについては、IDROの場合であればシチュエーションに応じて着脱するような使い方が適していそうです。対してGABBAなどは一日中通して着用し続けるウェアで、天候の変化を気にせず突き進みたいときには適しているでしょう。もちろん防水性はIDROの方が良い感触があるので、一日中雨の場合はIDROが良いと思います。
IDROはコンパクトに折り畳んで持ち運べることも魅力の一つで、バックポケットやツールボトルに収めて持ち運べば天候や気温の変化に対しても対応できます。ウィンドブレーカーとして着ても良いですしね。何でも防いでくれる心強さはあると思います。
―IDROにはタイトなフィットのIDRO PRO 3とレギュラーフィットのIDRO 3が用意されています。それぞれにどのような良さがあると思いますか。
高木:それぞれの違いはフィットだけではなく、脇にGORE-TEX Topoを使っているか否かにもあります。IDRO PRO 3は脇部分に伸縮性に優れたTopoが使用されているおかげで、胴回りは普通のジャージのようなフィット感があり、風でバタバタとしませんし、ダンシングで生地が突っ張ることもありません。
レースやトレーニングではアウターに補給食を収納しておきたいので、IDRO PRO 3にバックポケットが備えられていることも納得です。IDRO PRO 3はモデル名の通りプロユースが考慮されていて、ライドにだけ集中できる細かい作りが施されたカステリらしいウェアという印象です。
一方でTopoを胴回りのみに配置し、バックポケットも設けていないIDRO 3は、より軽量性と携行性を重視したウエアという位置づけなのだと思います。SHAKE DRYに比べると、Topoは少し厚手で嵩張ってしまいますので、使用面積の少ないIDRO 3の方がコンパクトに畳めます。普段のライドから持ち運び、GORE-TEX SHAKE DRYのオールマイティな機能を活かしたい場合はIDRO 3が適していそうです。
どちらも非常に高価なジャケットですが、価格に見合った性能を備えていると思います。不安定な天候のライドでは欠かせない存在となってくれるIDROは、様々なシチュエーションでアクティブにサイクリングを楽しむ方にオススメです。
カステリ IDRO PRO 3 JACKET
生地:GORE-TEX SHAKEDRY、Topo
フィット:レースフィット
重量:178g
サイズ:S、M、L、XL、XXL、3XL
価格:54,000円(税込)
カステリ IDRO 3 JACKET
生地:GORE-TEX SHAKEDRY、Topo
フィット:レギュラーフィット
サイズ:S、M、L、XL、XXL、3XL
価格:42,000円(税込)
カステリの雨天用ジャケットと言えばGABBAシリーズは外せない。優れたプロテクション性能と通気性、着心地の良さを実現したGABBAは、カステリのサポート外のプロ選手も自費で購入し、レースでロゴを塗りつぶして着用するほどのプロダクトとして非常に高い支持を得た。
レインジャケットの金字塔となったGABBAと派生モデルのPERFETTOシリーズは、今もハイパフォーマンス・アウターウェアとして世界中のレーサーから愛されている。そのラインアップに新型ジャケットIDRO 3シリーズが加わる。
IDRO 3シリーズのトピックは、GORE-TEX SHAKE DRY生地を採用していること。GABBAとPERFETTOはカステリがGORE社と共同開発した独自のGORE-TEX INFINIUM生地であるのに対し、新素材を使うことでカステリのシェルラインアップの充実度が高められている。
GORE-TEXの生地は表地とメンブレン、裏地の3層構造であることが基本とされているが、SHAKE DRYではメンブレンと裏地の2層のみで構成されることがポイント。防水、防風、透湿性を担うメンブレンの機能はそのままに、表地を排除することでウェア全体を軽量に仕上げつつ、表面の汚れなどによる撥水性の低下、そしてそれに伴う通気性の悪化を防ぐ画期的なファブリックだ。
IDRO 3シリーズも例外ではなくカステリのアウターラインアップで最軽量のプロダクトとなっている。一方で高性能の要となるメンブレンが露出するため、バックパックなどを背負うなどでの擦れなどに弱いことには注意したい。
IDRO 3には風でのバタつきを最小限に抑えるタイトフィットのIDRO PRO 3と、若干ゆとりをもたせたIDRO 3の2種類が用意される。前者はピタリとした着用感を作り出すために、脇と袖の一部に伸縮性を備えたGORE-TEX Topoを配置しており、背中に2分割のポケットが備えられている。レースで一日中雨に打たれる時に活躍してくれる一着として仕上げられた。
対してレギュラーフィットのIDRO 3は袖や脇はSHAKE DRY生地だが、腰部分をTopo生地とすることで胴体部分の柔軟性とフィット性を向上させている。この腰部分にはスリットが入れられており、内側に着ているジャージのポケットにアクセスすることが可能だ。
コンパクトに折りたたむこともできるため、持ち運びも苦にはならないだろう。年間通して優れた防水性のプロテクション性能を求める方にはうってつけの1着だ。
インプレッション
普段よりカステリのウェアを着用しているCW編集部の高木がインプレッションを担当。シリアスライダー目線での使用感をお届けしよう。
―IDRO PRO 3を試してみて、どのような印象を持ちましたか?
高木:GORE-TEX SHAKE DRYを使ったウェアを初めて着るので、試す前はウィンドブレーカーのように薄い生地で防水されるのか正直不安でしたが、それは杞憂に終わりました。
降雨量が13mm~17mmほどの中で試してみたところ、表地は若干滲みましたが、それが内側まで到達することはありませんでした。ライドを通して水分がウェア内に侵入せず、防水性の高さを実感しました。走り終わった後確認してみるとウェアの内側は汗で濡れていたのですが、ライド中は全く気が付かず、快適に走れたので、透湿性も優れていると感じます。
―透湿性についてどのような場面で感じられましたか?
高木:走行中はウェア内側が暑くなりすぎることもなく至ってストレスフリーで、その通気性の高さは信号での待ち時間にも感じられました。カステリのGABBAやPERFETTOは停車するとウェアから熱と汗が排出されていると如実にわかるのですが、IDROの場合はウェア内に熱を残しつつ、湿気を外に逃がしているようでした。
ただ一般的なウィンドブレーカーのように熱がこもる感じもなかったので、いい塩梅の透湿性を備えていると感じました。
―GABBAとPERFETTOの話がでましたが、それらと比較するとIDROはどのような製品で、どう使い分ければ良いでしょうか。
高木:GABBA、PERFETTOシリーズとIDROの違いは、防水性等の性能は置いておくとして、生地の厚みにあります。GABBAなどは厚手生地のため、それ自体に温かさを感じるウェアですが、IDROは薄手なので内側に着用するウェアで温度調整を行うような印象があります。
使い分けについては、IDROの場合であればシチュエーションに応じて着脱するような使い方が適していそうです。対してGABBAなどは一日中通して着用し続けるウェアで、天候の変化を気にせず突き進みたいときには適しているでしょう。もちろん防水性はIDROの方が良い感触があるので、一日中雨の場合はIDROが良いと思います。
IDROはコンパクトに折り畳んで持ち運べることも魅力の一つで、バックポケットやツールボトルに収めて持ち運べば天候や気温の変化に対しても対応できます。ウィンドブレーカーとして着ても良いですしね。何でも防いでくれる心強さはあると思います。
―IDROにはタイトなフィットのIDRO PRO 3とレギュラーフィットのIDRO 3が用意されています。それぞれにどのような良さがあると思いますか。
高木:それぞれの違いはフィットだけではなく、脇にGORE-TEX Topoを使っているか否かにもあります。IDRO PRO 3は脇部分に伸縮性に優れたTopoが使用されているおかげで、胴回りは普通のジャージのようなフィット感があり、風でバタバタとしませんし、ダンシングで生地が突っ張ることもありません。
レースやトレーニングではアウターに補給食を収納しておきたいので、IDRO PRO 3にバックポケットが備えられていることも納得です。IDRO PRO 3はモデル名の通りプロユースが考慮されていて、ライドにだけ集中できる細かい作りが施されたカステリらしいウェアという印象です。
一方でTopoを胴回りのみに配置し、バックポケットも設けていないIDRO 3は、より軽量性と携行性を重視したウエアという位置づけなのだと思います。SHAKE DRYに比べると、Topoは少し厚手で嵩張ってしまいますので、使用面積の少ないIDRO 3の方がコンパクトに畳めます。普段のライドから持ち運び、GORE-TEX SHAKE DRYのオールマイティな機能を活かしたい場合はIDRO 3が適していそうです。
どちらも非常に高価なジャケットですが、価格に見合った性能を備えていると思います。不安定な天候のライドでは欠かせない存在となってくれるIDROは、様々なシチュエーションでアクティブにサイクリングを楽しむ方にオススメです。
カステリ IDRO PRO 3 JACKET
生地:GORE-TEX SHAKEDRY、Topo
フィット:レースフィット
重量:178g
サイズ:S、M、L、XL、XXL、3XL
価格:54,000円(税込)
カステリ IDRO 3 JACKET
生地:GORE-TEX SHAKEDRY、Topo
フィット:レギュラーフィット
サイズ:S、M、L、XL、XXL、3XL
価格:42,000円(税込)
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