JCXシリーズ第2戦として幕張クロスが開催され、C1では序盤から他の選手を圧倒した織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が大会3連覇を達成。CL1では石田唯(早稲田大学)がJCXシリーズ初優勝を果たした。



幕張新都心のオフィスビルを横目にレースが繰り広げられた幕張新都心のオフィスビルを横目にレースが繰り広げられた photo:Itaru Mitsui
11月7日、今年も千葉県千葉市の幕張メッセに隣接する幕張海浜公園にて幕張クロスがJCXシリーズの第2戦として開催された。10月に行われたJCXシリーズの開幕戦となった「ルノーつくば presents 茨城シクロクロス第2戦取手ステージ」から約1か月。12月に土浦で行われる全日本選手権に向けて、これから4週連続で続くJCXシリーズ戦の最初のレースとなった。

終日晴れ間が続く好天の中開催された幕張クロス。来場者には事前に健康チェックシートの提出が義務付けられ、入場にあたっても検温が実施されるなど、感染症対策も実施。同日には千葉公園でのMTB全日本選手権や、栃木県ではJCL(ジャパンサイクルリーグ)のレースが開催されるなど、イベントが多数開催されていた中でも、トップカテゴリーとなるC1レースが開始される頃には多くの観客が観戦に訪れていた。

コースは例年同様"忍者返し"と呼ばれるテクニカルセクションやシケインなどテクニックで差がつくエリアと、芝生エリアのハイスピードエリアを組み合わせた、テクニックもパワーも要求される全長2.5kmのコースだ。

多くの協賛メーカーがブースを並べる多くの協賛メーカーがブースを並べる photo:Itaru Mitsuiラバッジョ が今年も洗車サービスを提供ラバッジョ が今年も洗車サービスを提供 photo:Itaru Mitsui

C1でホールショットを決める小坂光(宇都宮ブリッツェン)C1でホールショットを決める小坂光(宇都宮ブリッツェン) photo:Itaru Mitsui
メインレースとなるC1には85名の選手が出走。同日、千葉公園にてMTB XCCの全日本選手権が開催された関係で、全日本チャンピオンの沢田時(チームブリヂストンサイクリング)らのエントリーはなかったものの、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や小坂光(宇都宮ブリッツェン)といったトップライダー達がスタートラインに並んだ。

1周目こそ団子状態で進むが、2周目に実力差を見せつけるように抜け出したのは織田だった。後方では小坂と斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)がパックを組み、さらに後方スタートだった副島達海(Limited Team 846)が他の選手をごぼう抜きする形で小坂、斎藤のパックに追い付く。関東では名前を聞かない副島だが、昨シーズンまでジュニアカテゴリーでJCFの強化指定に選ばれており、U-23に昇格した今シーズンは先日行われた関西シクロクロス開幕戦富田林でいきなりC1初優勝を果たした選手だ。

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がリードを奪う織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)がリードを奪う photo:Itaru Mitsui
バニーホップでシケインを越える織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)バニーホップでシケインを越える織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Itaru Mitsui2位パックを形成する小坂光(宇都宮ブリッツェン)と斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)2位パックを形成する小坂光(宇都宮ブリッツェン)と斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) photo:Itaru Mitsui


織田が軽快に飛ばす中、2位争いは周回ごとに順位を入れ替える形で、目まぐるしく順位が入れ替わった。6周目に副島が小坂、斎藤から若干遅れ、7周目に斎藤もコース中盤の"忍者返し"セクションでパンクさせて2位争いから脱落。小坂は単独2位で最終周を迎えた。

織田は最後までミスすることなく安定したレースを展開し、2位小坂とは1分以上差をつけ、フルラップ完走は28名までに減らす圧倒的な力でJCXシリーズ2連勝、そして大会3連覇を飾った。2位はこちらも終始安定したレースを見せた小坂が入り、3位にはJCX初表彰台となる副島が入った。

「忍者返し」を駆け上る織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)	「忍者返し」を駆け上る織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Itaru Mitsui素晴らしいパフォーマンスを見せた副島達海(Limited Team 846)素晴らしいパフォーマンスを見せた副島達海(Limited Team 846) photo:Itaru Mitsui

3連覇となった織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)3連覇となった織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Itaru Mitsui
「沢田選手が不在の中でのレースだったので、今回は勝たなければならないレースだと思っていて、無事に勝てて良かったです。今日のレースはトレーニングプランの中に入れていたので、しっかりと追い込めて良かったです」と振り返る織田。喜ぶというよりも、勝てて安堵するような様子がそこにはあった。

「全日本ロードの後にオフを取ってしまったので、今はコンディションを作り直している段階。シクロクロスの全日本に向けてコンディションを上げていきたい」と、12月の全日本選手権に向けて織田は語ってくれた。



テクニックが勝負を分けたCL1 石田唯がJCX初勝利

CL1でホールショットを決める石田唯(早稲田大学)CL1でホールショットを決める石田唯(早稲田大学) photo:Itaru Mitsui
もう一つのメインレースであるCL1には19名の選手が出走。10月に行われたJCX開幕戦を制した渡部春雅(明治大学)や、昨シーズンのJCXランキングで2位に入っている中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)らがスタートラインに並んだ。

1周目から渡部と福田咲絵(AX cyclocross team)や石田唯(早稲田大学)、中島が抜け出すと、2周目には渡部が単独先行を開始。2位パックには福田、石田が入り、中島は3名から遅れてしまう。

CL1 1周目で形成されたトップグループCL1 1周目で形成されたトップグループ photo:Itaru Mitsuiパンクして福田と石田に追い付かれる渡部春雅(明治大学)パンクして福田と石田に追い付かれる渡部春雅(明治大学) photo:Itaru Mitsui


順調にレースを展開するかと思われた渡部だが、3周目のコース中盤にある"忍者返し"セクションでタイヤをパンクさせてしまい、2位パックの福田、石田に逆転されてしまう。フィジカルで勝る福田と、テクニックで勝る石田は、それぞれ得意なエリアで前に出るが、お互いを突き放すまでには至らず、パックでのレースが続く。

そんな中、最終周に入る前のコース後半にある"忍者返し"セクションで、同セクションを乗車でクリアする石田に対して、福田は降車してしまい、若干の差が生まれた。懸命に石田を追う福田だが、一度ついてしまった差を取り戻すことはできず、石田が独走でJCXシリーズ初優勝を飾った。

CL1をリードする福田咲絵(AX cyclocross team)と石田唯(早稲田大学)CL1をリードする福田咲絵(AX cyclocross team)と石田唯(早稲田大学) photo:Itaru Mitsui
JCXで初優勝となった石田唯(早稲田大学)JCXで初優勝となった石田唯(早稲田大学) photo:Itaru Mitsui
「芝生エリアではフィジカル的に福田選手の方が、未舗装路では自分の方が得意だったので、芝生エリアで千切られないように我慢して最後までいけたので、理想的な展開だったかなと思います」と石田はレースを振り返る。

「シクロクロスでは次のレースが全日本選手権になります。大学の近くでシクロクロスの練習ができる場所があるので、テクニック面はそこで練習しようと思っています。フィジカル面はトラックの全日本選手権に向けて仕上げていくつもりなので、そこで合わせられればと思います」と、同日開催となるトラックとシクロクロスの全日本選手権を両方出る意欲を石田は見せた。

※トラックの全日本選手権は4日間開催で、出場種目によってはシクロクロスの全日本選手権へも出場可能な可能性がある



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CM1で優勝した太田好政(Rapha Cycling Club)CM1で優勝した太田好政(Rapha Cycling Club) photo:Itaru MitsuiC2で優勝したアレクサンダー・ジェームス(Nil)C2で優勝したアレクサンダー・ジェームス(Nil) photo:Itaru Mitsui

CJで優勝した永野昇海(イナーメ信濃山形)CJで優勝した永野昇海(イナーメ信濃山形) photo:Itaru Mitsui
C3で優勝した田渕君幸(TRYCLE.Ing)C3で優勝した田渕君幸(TRYCLE.Ing) photo:Itaru MitsuiCL2+3で優勝したのは現ロードレース全日本王者の植竹海貴(Y'sRoad)CL2+3で優勝したのは現ロードレース全日本王者の植竹海貴(Y'sRoad) photo:Itaru Mitsui

C4Aで優勝した影森信一郎(多摩ポタ)C4Aで優勝した影森信一郎(多摩ポタ) photo:Itaru MitsuiC4Bで優勝したのは昨年限りでプロを引退した椿大志(Champion System Japan Test Team)C4Bで優勝したのは昨年限りでプロを引退した椿大志(Champion System Japan Test Team) photo:Itaru Mitsui

U17で優勝した澤井千洋(SNEL)U17で優勝した澤井千洋(SNEL) photo:Itaru MitsuiU15で優勝した松村拓弥U15で優勝した松村拓弥 photo:Itaru Mitsui

CK3表彰式CK3表彰式 photo:Itaru MitsuiCK2を制した渡井健太(AVENTURA CYCLING ESTRELLA)CK2を制した渡井健太(AVENTURA CYCLING ESTRELLA) photo:Itaru Mitsui

CK1表彰式CK1表彰式 photo:Itaru Mitsui
CM2で優勝した佐々木正(CICADA UNITED)CM2で優勝した佐々木正(CICADA UNITED) photo:Itaru MitsuiWM表彰式WM表彰式 photo:Itaru Mitsui


CM1では太田好政(Rapha Cycling Club)が2位パックを形成する生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス)、山本誠一(DEVOTION)、田崎友康(ToyoFrame)を突き放して優勝。C2では1分前スタートしたジュニアカテゴリのトップに迫る快走を見せたアレクサンダー・ジェームス(Nil)が優勝を飾った。

来週11月13日および14日は、4週連続となるJCXシリーズの2戦目(シリーズとしては3戦目)としてRaphaスーパークロス野辺山が開催。2年ぶりの開催となるRaphaスーパークロス野辺山は、2日目となる14日のレースをUCIレースとして開催する予定だ(1日目はJCXレースとして開催)。
幕張クロス2021 C1(2.5km×8Laps)
1位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 57分40秒398
2位 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +1分17秒468
3位 副島達海(Limited Team 846) +1分28秒449
4位 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) +2分1秒464
5位 島田真琴(ペダル) +2分32秒781
6位 加藤健悟(臼杵レーシング) +2分47秒531
CL1(2.5km×6Laps)
1位 石田唯(早稲田大学) 49分37秒179
2位 福田咲絵(AX cyclocross team) +21秒000
3位 渡部春雅(明治大学) +1分20秒140
4位 中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム) +2分28秒953
5位 西形舞(TRC PANAMA REDS) +3分43秒726
6位 西山みゆき +4分48秒254
C2(2.5km×5Laps)
1位 アレクサンダー・ジェームス(Nil 38分52秒835
2位 神村泰輝(かみたい) +11秒027
3位 山田拓海(早稲田大学) +37秒914
C3(2.0km×4Laps)
1位 田渕君幸(TRYCLE.ing) 25分48秒472
2位 橋本優樹(SNEL) +19秒680
3位 ティム・ステルツァー(Boulder Junior Cycling) +21秒367
C4A(2.0km×4Laps)
1位 影森信一郎(多摩ポタ) 26分37秒913
2位 久野田匠(MIVRO) +10秒918
3位 篠崎蒼平 +26秒246
C4B(2.0km×4Laps)
1位 椿大志(Champion System Japan Test Team) 26分2秒530
2位 権田歩人(Avenir Yamanashi Yamanakako) +5秒286
3位 小川正樹 +52秒993
CL2+3(2.0km×4Laps)
1位 植竹海貴(Y'sRoad) 28分54秒191
2位 金子尚代(Rapha Cycling Club) +7秒878
3位 小林慧美(SUBARU・CYCLING・CLUB) +1分1秒824
CM1(2.5km×5Laps)
1位 太田好政(Rapha Cycling Club) 38分53秒601
2位 生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス) +16秒418
3位 山本誠一(DEVOTION) +28秒922
CM2(2.0km×4Laps)
1位 佐々木正(CICADA UNITED) 26分7秒792
2位 山本敦(竹芝サイクルクロスレーシング) +19秒766
3位 日向隼人(SBC Vertex Racing Club) +21秒473
CM3(2.0km×4Laps)
1位 中島由裕 26分54秒687
2位 田口樹紀(サイクルボーグ@TAG) +1分27秒117
3位 岡部健太(TEAM montagna) +1分36秒984
WM(2.0km×4Laps)
1位 安藤沙弥(SHIDO-WORKS) +28分11秒753
2位 森知多(SNEL) +3分39秒375
CJ(2.5km×5Laps)
1位 永野昇海(イナーメ信濃山形) 39分44秒577
2位 藤本元貴(NAMIBIA PROJECT Cycling Team) +3分29秒750
U17(2.0km×4Laps)
1位 澤井千洋(SNEL) 24分51秒245
2位 石川太郎(TEAM AGRI withAST FOREST) +1分2秒793
3位 室伏碧透(AVENTURA VICTORIA RACING ) +2分56秒305
U15(2.0km×4Laps)
1位 松村拓弥 25分59秒527
2位 山田駿太郎(Team GRM) +4秒414
3位 佐竹清亮(アラスカワークス) +44秒390
CK3(ショートコース×4Laps)
1位 三上将醐(アスリチューン・コラッジョU-19) 13分54秒366
2位 成瀬謙汰 +29秒082
3位 横田壮一郎(イオンバイクJr.レーシング) +1分2秒457
CK2(ショートコース×4Laps)
1位 渡井健太(AVENTURA CYCLING ESTRELLA) 14分24秒093
2位 飯島大也 +44秒394
3位 成瀬奏音 +1分5秒059
CK1(ショートコース×4Laps)
1位 飯島花怜 17分32秒023
2位 宮崎暖大(イオンバイクJr.アカデミー) -1Lap
3位 吉川結和(イオンバイクJr.アカデミー) -1Lap
text&photo:Itaru Mitsui

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