2021/11/08(月) - 08:06
千葉市中心部で開催されたUrban MTB Festival in 千葉公園。MTB全日本選手権XCC(ショートトラック)で沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が北林力(DreamSeekermtbracingteam)をスプリントで下し勝利。女子エリートは川口うらら(日本体育大学)が勝利して全日本チャンピオンジャージを手にした。そして山本幸平のラストレースだ。
千葉公園で2日間に渡り開催された「Urban MTB Festival in 千葉公園」。初日のXCE(エリミネーター)に続き2日目はXCC(ショートトラック)レースだ。
イベントの大トリとなる最終メインレースは日本のトップライダーが集うマウンテンバイク全日本選手権XCCだ。当初無観客開催がアナウンスされていたが感染状況により直前になって有観客開催に踏み切った。千葉公園は散歩に訪れた家族連れや子どもたちの姿も多く、道すがらレースの観客となる。
イチョウの紅葉色づく公園コースは昨年のものより3分の1ほどがカット短縮され園内の舗装路と広場とその斜面を使ったオフロードのミックスによる、よりクリテリウム的な設定に。周回数も増え、観客にとってはすぐに選手が戻ってくるという設定に変更された。
競技時間は予選、決勝ともエリートで30分。周回数は予め決められ、大きく遅れるとラップされないうちにレースから除外されるのは昨日のエリミネーター的でもある。エリート男子は午前の予選2レースで勝ち上がった10名づつ、合計20名で午後の決勝レースとなる。決勝含めて30分のレースを2本走るスタミナも要求され、そのペース配分とマネジメントも必要になってくる。
東京五輪XCO出場のオリンピアン山本幸平(DreamSeekermtbracingteam)のラストレースが話題だ。山本は昨年の覇者だがキャリア最大の目標であった五輪を終えてから2ヶ月、このレースを最後のレースに選んだのはレース主催者がDreamSeekerのチームスポンサーだから。スタート前に笑顔が見える山本はチームメイトの北林力のアシストに回ると見るのが順当だろう。
スタートの先陣を切ったのはシクロクロス的ホールショットを決めた沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)。これに北林力と山本幸平(ともにDreamSeekermtbracingteam)、宮津旭(PAXPROJECT)、高本亮太(立命館大学)が追従した6人の先頭グループが5周目には後続との差を開いた。
先頭を切る沢田は山本のアタックを警戒しながら進む。昨年2位の北林は山本のアシストを受けつつも攻撃的な走り。山本が動いたのはラスト5周を切ってから。大きなアクションでスピードを上げるもそれを逃さない沢田と宮津。執拗にアタックを繰り返した山本が遅れると、3人が抜け出してラストの攻防へ。
沢田が登り区間の舗装路でアタックして先行し、北林が追従するもテクニカルなコースに前に出ることができず、最終コーナーを立ち上がってのスプリントマッチは沢田がそのままフィニッシュへ先行し、初出場でのXCC日本王者となった。
2週間前の全日本選手権ロードでは落車して遅れたもののロードレースでも好走が目立った今シーズンの沢田。現シクロクロス日本チャンピオンがXCC日本チャンピオンにもなった。
「決まりにくいコースでした。幸平さんのアタックは予想していたけど、やはりキレキレではなかったので、リキ(北林)の様子に注意しながら走っていました。アタックしたのはあそこで仕掛ければ先頭固定で最後までコーナーで抜かれない自信があったからで、最後まで踏み抜きました。ロード、シクロクロスをやってきた経験が生きた。とくにロードレースで人の動きを読む力が上がりました」と言う沢田。次は本業とも言えるMTBクロスカントリーとシクロクロスの2つの全日本選手権が続く。
「30分のレースで力の出し入れが多く、キツイがここで勝てないとクロカンでも勝てない。続く2つの全日本に向けて大きな自信になりました」とも。沢田は今年、じつに4種目の全日本選手権にチャレンジすることになる。
ラストレースを終えた山本幸平には兄の和広さんとチームスポンサーの渡邉俊太郎氏が花束を手渡して長年のキャリアの労をねぎらった。この日は山本目当てで来場したファンも多く、観客たちからも温かい拍手を浴びた。
ユース混走の女子エリートは6人のレース。川口うらら(日本体育大学)、小林あか里 (信州大学)、矢吹優夏(Team B.B.Q)の3人がパックを形成してレースを進める。少し遅れて松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)が追う。
アタックを掛け合いながらハイスピードを保って進む3人だが、矢吹が激下りでクラッシュして顔面から地面に落ちた。幸い大きな怪我はなかったが遅れてしまい、かつメカトラも抱えたようで1周を追走した後にリタイヤとなってしまう。
ディフェンディングチャンピオンの小林。川口は昨年のレースでは先行しながらも落車して3位に終わっている。川口がアタックを繰り出し、小林も昨年覇者のプライドを掛けてアタックで返すバトルに。勝負は最後までもつれたがスプリントで川口が先行し勝利した。
2週間前の全日本選手権ロードで先頭3人に残りU23チャンピオンになった川口がXCCチャンピオンジャージに袖を通した。
「一周目から小林さんがアタックを掛けてきましたが、お互い冷静にアタックを掛け合う展開でした。大きくは2回アタックしてそれが利いたと思います。2週間前の全日本ロードですごく調子が良かったので今回少し落ち気味だったんです。少し不安はありましたが、そのなかでもうまくまとめて勝つことができたので自信につながりました。2週後の本命のXCO全日本でも勝ちたいと思っています」。
この日はXCCユース、マスターズ、チャレンジ、アドバンス、U14、小学生学年別の各クラスでレースも開催され、熱戦を繰り広げた。男子マスターズは岡本紘幸(EXLUBproject)が前日のXCEとのダブルタイトルを獲得し、2年連続でXCE・XCC両種目を制するという快挙。
男子ユースは最近のレースで連戦連勝を続ける高校1年生の高橋翔(Cycleclub3UP.)が3人のマッチスプリントを制して貫禄の勝利。男子アドバンスはスプリントで加藤直仁(Team Nipopo)が優勝。男子チャレンジは根本悠司 (シマノドリンキングXC)が制した。
千葉公園で2日間に渡り開催された「Urban MTB Festival in 千葉公園」。初日のXCE(エリミネーター)に続き2日目はXCC(ショートトラック)レースだ。
イベントの大トリとなる最終メインレースは日本のトップライダーが集うマウンテンバイク全日本選手権XCCだ。当初無観客開催がアナウンスされていたが感染状況により直前になって有観客開催に踏み切った。千葉公園は散歩に訪れた家族連れや子どもたちの姿も多く、道すがらレースの観客となる。
イチョウの紅葉色づく公園コースは昨年のものより3分の1ほどがカット短縮され園内の舗装路と広場とその斜面を使ったオフロードのミックスによる、よりクリテリウム的な設定に。周回数も増え、観客にとってはすぐに選手が戻ってくるという設定に変更された。
競技時間は予選、決勝ともエリートで30分。周回数は予め決められ、大きく遅れるとラップされないうちにレースから除外されるのは昨日のエリミネーター的でもある。エリート男子は午前の予選2レースで勝ち上がった10名づつ、合計20名で午後の決勝レースとなる。決勝含めて30分のレースを2本走るスタミナも要求され、そのペース配分とマネジメントも必要になってくる。
東京五輪XCO出場のオリンピアン山本幸平(DreamSeekermtbracingteam)のラストレースが話題だ。山本は昨年の覇者だがキャリア最大の目標であった五輪を終えてから2ヶ月、このレースを最後のレースに選んだのはレース主催者がDreamSeekerのチームスポンサーだから。スタート前に笑顔が見える山本はチームメイトの北林力のアシストに回ると見るのが順当だろう。
スタートの先陣を切ったのはシクロクロス的ホールショットを決めた沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)。これに北林力と山本幸平(ともにDreamSeekermtbracingteam)、宮津旭(PAXPROJECT)、高本亮太(立命館大学)が追従した6人の先頭グループが5周目には後続との差を開いた。
先頭を切る沢田は山本のアタックを警戒しながら進む。昨年2位の北林は山本のアシストを受けつつも攻撃的な走り。山本が動いたのはラスト5周を切ってから。大きなアクションでスピードを上げるもそれを逃さない沢田と宮津。執拗にアタックを繰り返した山本が遅れると、3人が抜け出してラストの攻防へ。
沢田が登り区間の舗装路でアタックして先行し、北林が追従するもテクニカルなコースに前に出ることができず、最終コーナーを立ち上がってのスプリントマッチは沢田がそのままフィニッシュへ先行し、初出場でのXCC日本王者となった。
2週間前の全日本選手権ロードでは落車して遅れたもののロードレースでも好走が目立った今シーズンの沢田。現シクロクロス日本チャンピオンがXCC日本チャンピオンにもなった。
「決まりにくいコースでした。幸平さんのアタックは予想していたけど、やはりキレキレではなかったので、リキ(北林)の様子に注意しながら走っていました。アタックしたのはあそこで仕掛ければ先頭固定で最後までコーナーで抜かれない自信があったからで、最後まで踏み抜きました。ロード、シクロクロスをやってきた経験が生きた。とくにロードレースで人の動きを読む力が上がりました」と言う沢田。次は本業とも言えるMTBクロスカントリーとシクロクロスの2つの全日本選手権が続く。
「30分のレースで力の出し入れが多く、キツイがここで勝てないとクロカンでも勝てない。続く2つの全日本に向けて大きな自信になりました」とも。沢田は今年、じつに4種目の全日本選手権にチャレンジすることになる。
ラストレースを終えた山本幸平には兄の和広さんとチームスポンサーの渡邉俊太郎氏が花束を手渡して長年のキャリアの労をねぎらった。この日は山本目当てで来場したファンも多く、観客たちからも温かい拍手を浴びた。
女子エリート
ユース混走の女子エリートは6人のレース。川口うらら(日本体育大学)、小林あか里 (信州大学)、矢吹優夏(Team B.B.Q)の3人がパックを形成してレースを進める。少し遅れて松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED)が追う。
アタックを掛け合いながらハイスピードを保って進む3人だが、矢吹が激下りでクラッシュして顔面から地面に落ちた。幸い大きな怪我はなかったが遅れてしまい、かつメカトラも抱えたようで1周を追走した後にリタイヤとなってしまう。
ディフェンディングチャンピオンの小林。川口は昨年のレースでは先行しながらも落車して3位に終わっている。川口がアタックを繰り出し、小林も昨年覇者のプライドを掛けてアタックで返すバトルに。勝負は最後までもつれたがスプリントで川口が先行し勝利した。
2週間前の全日本選手権ロードで先頭3人に残りU23チャンピオンになった川口がXCCチャンピオンジャージに袖を通した。
「一周目から小林さんがアタックを掛けてきましたが、お互い冷静にアタックを掛け合う展開でした。大きくは2回アタックしてそれが利いたと思います。2週間前の全日本ロードですごく調子が良かったので今回少し落ち気味だったんです。少し不安はありましたが、そのなかでもうまくまとめて勝つことができたので自信につながりました。2週後の本命のXCO全日本でも勝ちたいと思っています」。
その他一般レース各クラスの熱戦
この日はXCCユース、マスターズ、チャレンジ、アドバンス、U14、小学生学年別の各クラスでレースも開催され、熱戦を繰り広げた。男子マスターズは岡本紘幸(EXLUBproject)が前日のXCEとのダブルタイトルを獲得し、2年連続でXCE・XCC両種目を制するという快挙。
男子ユースは最近のレースで連戦連勝を続ける高校1年生の高橋翔(Cycleclub3UP.)が3人のマッチスプリントを制して貫禄の勝利。男子アドバンスはスプリントで加藤直仁(Team Nipopo)が優勝。男子チャレンジは根本悠司 (シマノドリンキングXC)が制した。
MTB全日本選手権XCC 結果
エリート男子 | |
1位 | 沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling) |
2位 | 北林力(DreamSeekermtbracingteam) |
3位 | 宮津旭(PAXPROJECT) |
4位 | 山本幸平(DreamSeekermtbracingteam) |
5位 | 高本亮太(立命館大学) |
6位 | 竹之内 悠(ToyoFrame) |
7位 | 佐藤誠示(SAGE'S STYLE) |
8位 | 門田基志(TEAM GIANT) |
9位 | 詫間啓耀(NESTO Factory Team) |
10位 | 小笠原崇裕 |
女子エリート | |
1位 | 川口うらら(日本体育大学) |
2位 | 小林あか里 (信州大学) |
3位 | 松本璃奈(RIDE MASHUN SPECIALIZED) |
女子ユース | |
1位 | 石川七海 (Champion System Japan Test Team) |
男子マスターズ | |
1位 | 岡本紘幸(EXLUBproject) |
2位 | 石川正道(Champion System Japan Test Team) |
3位 | 山崎雅典(EndureLife) |
男子アドバンス | |
1位 | 加藤直仁(Team Nipopo) |
2位 | 橋本賢毅 (Team0909ヤマ) |
3位 | 酒井嶺 (Endurelife) |
男子チャレンジ | |
1位 | 根本悠司 (シマノドリンキングXC) |
2位 | 長塚良介 (B.B.Q) |
3位 | 片岡武 (片岡自転車) |
男子ユース | |
1位 | 高橋翔(Cycleclub3UP.) |
2位 | 遠藤 紘介(Sonic Racing) |
3位 | 古江昴太(TEAM BG8) |
text&photo:Makoto AYANO
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