2021/11/07(日) - 21:30
JCLプロロードレースツアーの今シーズン最終戦となる第10戦那須塩原クリテリウムが栃木県那須塩原市のJR那須塩原駅西口駅前大通りで開催され、有力チームによるゴールスプリント勝負を制した沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が2勝目となる優勝。年間ランキングは個人が山本大喜(キナンサイクリングチーム)、チームは宇都宮ブリッツェンがそれぞれ初代王者に輝いた。
前日惜しくも2位に終わったホストチームの那須ブラーゼンはメンバーを入れ替え必勝体制でレースに臨む photo:Nobumichi Komori
駅前の好立地とあり、朝から多くの観戦客が会場に訪れた photo:Nobumichi Komori
代わる代わる選手たちがアタックを繰り返しハイペースでレースが進むも、決定的な逃げは決まらない photo:Nobumichi Komori
ハイペースを刻み続ける展開に後方の選手たちが次々に振るい落とされていく photo:Nobumichi Komori
今年産声を上げたJCLプロロードレースツアーも、いよいよ最終戦を迎えた。会場となる栃木県那須塩原市のJR那須塩原駅西口駅前大通りは、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催するJプロツアーで2017、18、19年の3回開催実績がある馴染みのあるコース。3つある180度コーナーでのストップ&ゴーが選手たちの脚をじわじわと削るコースで、逃げ集団が逃げ切る展開も多い。
25周45kmで争われるレースは、各賞ジャージ着用選手を先頭に1周のパレード走行の後に正式スタートが切られると、いきなりのアタック合戦に。各チームともに積極的にアタックを仕掛け合う展開が続くが、逃げ切りも多いコースということもあってか決定的な逃げが決まらないままハイペースで周回を重ねていく状況が続いた。
残り10周を切るとキナンサイクリングチームが集団先頭でコントロールを開始 photo:Nobumichi Komori
90度コーナーをクリアしていく選手たち photo:Nobumichi Komori
折り返しを過ぎても逃げが決まらずレースはハイペースのまま photo:Nobumichi Komori
キナンサイクリングチームのハイペースなコントロールに有力チームのみが残って勝負はゴールスプリントへ photo:Nobumichi Komori
折り返しを過ぎても逃げ集団が形成されず、ハイペースのままで進んでいったレースだが、残り10周を切る段階になるとキナンサイクリングチーム勢が先頭を固めてコントロールを開始。今シーズン圧倒的な強さを見せたキナンサイクリングチームが刻むハイペースによって集団はタテに伸び、後方では堪えきれなくなった選手たちが1人、また1人とこぼれ落ちていき、残り5周を切るとキナンサイクリングチーム、スパークルおおいたレーシングチーム、チーム右京相模原、宇都宮ブリッツェンが複数人残し、単騎では本多晴飛(VC福岡)が残るのみというサバイバルな展開になって最終局面を迎えることになった。
最終周に入ると、宇都宮ブリッツェンがポジションを上げ始め、それに呼応するように各チームの隊列がポジション争いをしながら残り距離を消化していき、最後の180度コーナーをクリア。アシスト陣から発射されたエーススプリンター同士の火花散るバトルで圧倒的な伸びを見せた沢田が、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)や中島康晴(キナンサイクリングチーム)を退けて第4戦広島トヨタ広島クリテリウムに続く2勝目となる優勝を飾った。
会心のスプリントを見せた沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)が優勝をシーズン最終戦で2勝目をマーク photo:Nobumichi Komori
表彰式 photo:Nobumichi Komori
1回目の中間スプリント賞を黒枝咲哉(スパークルおおいたレーシングチーム)、2回目と3回目を山本大喜(キナンサイクリングチーム)が獲得した photo:Nobumichi Komori
敢闘賞は単騎で踏ん張りスプリントに挑んだ本多晴飛(VC福岡)が獲得 photo:Nobumichi Komori
「このコースは過去のJBCFのレースでもそうだったように、逃げで勝負という展開もあるレイアウトなので、前半はチーム全員で前、前で展開して溢れることがないようにということを話し合ってレースに臨みました。中盤からはキナンさんがコントロールを開始したので、ウチはその後ろを(孫崎)大樹さんが取ってくれて1番良い位置でレースを走れたのかなと思います」とレースを振り返った沢田。
最終局面も「大樹さんが司令塔になって(小野)寛斗も(宮崎)泰史もしっかり働いてくれて、後ろから来るチームの動きもしっかりチェックすることができていたので最高の位置でスプリントすることができました。完璧な勝利だったんじゃないかなと思います」と満面の笑みを見せた。
シーズン後半に続いた熱戦の中でジャージを守ったレッドジャージの山本元喜(キナンサイクリングチーム)、イエロージャージの山本大喜(キナンサイクリングチーム)、ブルージャージの小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、宇賀隆貴(チーム右京相模原)の4選手 photo:Nobumichi Komori
独自開催となった全10戦に、UCIレースの「三菱地所おおいたいこいの道クリテリウム」と「三菱地所おおいたアーバンクラシック」のポイント付与対象レースふたつを加えた12戦で争われた年間ランキングは、個人は山本大喜、チームは宇都宮ブリッツェンが1位となり栄えある初代王者となった。
個人ランキング1位の山本大喜は「(前日の)大田原ロードレースまでランキング1位を確定させることができずプレッシャーもありましたが、守り抜くことができ、ジャージを獲得することができて凄くうれしいです」と喜びを率直に口にした。
今シーズンは、JCLプロロードレースツアーはもちろんのこと、5月のTOJでも好成績を残すなど、年間を通して安定感のある走りが光った。その要因を尋ねると「今シーズンは自分の中でも“人生を変えよう!”という意識改革があって。練習量も練習内容もこれまで以上に厳しいものを取り入れましたし、家族を含めてたくさんの方が支えてくださって自転車に集中できる環境を整えられました。成績を出すために生きていたと言ってもいいくらい集中できた1年だったからだと思います」とのことだった。
チームランキングは4勝を挙げた宇都宮ブリッツェンがトップに photo:Nobumichi Komori
地元での開幕2連戦で連勝を飾ってスタートダッシュを決め、その後も2勝を積み重ねてチームランキング1位を守り切った宇都宮ブリッツェン。清水裕輔監督は「最終戦で勝って華を添えられなかったのは悔しいですが、チームランキングで1位になったことは素直にうれしいです」と喜びのコメント。
今シーズンはキャプテン増田成幸の東京五輪出場というビッグイベントもあった中でのチームランキング1位となったが「中盤以降はコンディション不良の選手が出てきたこともあり、台所事情としては非常に厳しかった。その部分で後手を踏むレースもありましたし、どうしても増田と小野寺に頼らざるを得ないレースが多くなってしまいました。逆に言うと、小野寺の成長が実感できたシーズンだったな、と。ロードレースで勝つことはできませんでしたが、どのレースでも勝てる位置にいたことは評価してあげたいと思います」と若きエースの働きを讃えた。
その他の各賞ジャージは、スプリント賞のブルージャージは小野寺が、山岳賞のレッドジャージは山本元喜(キナンサイクリングチーム)が、新人賞のホワイトジャージは宇賀隆貴(チーム右京相模原)がそれぞれ獲得している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当初のスケジュール通りの開催とはいかなかった1年目のJCLプロロードレースツアー。とはいえ、無事に1シーズンを走り終えたことで、国内ロードレース界に新しい潮流を生む下地ができたようにも見える。
2022年シーズン、どのような動きになっていくのかにも注目だ。
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今年産声を上げたJCLプロロードレースツアーも、いよいよ最終戦を迎えた。会場となる栃木県那須塩原市のJR那須塩原駅西口駅前大通りは、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が主催するJプロツアーで2017、18、19年の3回開催実績がある馴染みのあるコース。3つある180度コーナーでのストップ&ゴーが選手たちの脚をじわじわと削るコースで、逃げ集団が逃げ切る展開も多い。
25周45kmで争われるレースは、各賞ジャージ着用選手を先頭に1周のパレード走行の後に正式スタートが切られると、いきなりのアタック合戦に。各チームともに積極的にアタックを仕掛け合う展開が続くが、逃げ切りも多いコースということもあってか決定的な逃げが決まらないままハイペースで周回を重ねていく状況が続いた。
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最終周に入ると、宇都宮ブリッツェンがポジションを上げ始め、それに呼応するように各チームの隊列がポジション争いをしながら残り距離を消化していき、最後の180度コーナーをクリア。アシスト陣から発射されたエーススプリンター同士の火花散るバトルで圧倒的な伸びを見せた沢田が、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)や中島康晴(キナンサイクリングチーム)を退けて第4戦広島トヨタ広島クリテリウムに続く2勝目となる優勝を飾った。
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最終局面も「大樹さんが司令塔になって(小野)寛斗も(宮崎)泰史もしっかり働いてくれて、後ろから来るチームの動きもしっかりチェックすることができていたので最高の位置でスプリントすることができました。完璧な勝利だったんじゃないかなと思います」と満面の笑みを見せた。
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個人ランキング1位の山本大喜は「(前日の)大田原ロードレースまでランキング1位を確定させることができずプレッシャーもありましたが、守り抜くことができ、ジャージを獲得することができて凄くうれしいです」と喜びを率直に口にした。
今シーズンは、JCLプロロードレースツアーはもちろんのこと、5月のTOJでも好成績を残すなど、年間を通して安定感のある走りが光った。その要因を尋ねると「今シーズンは自分の中でも“人生を変えよう!”という意識改革があって。練習量も練習内容もこれまで以上に厳しいものを取り入れましたし、家族を含めてたくさんの方が支えてくださって自転車に集中できる環境を整えられました。成績を出すために生きていたと言ってもいいくらい集中できた1年だったからだと思います」とのことだった。
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地元での開幕2連戦で連勝を飾ってスタートダッシュを決め、その後も2勝を積み重ねてチームランキング1位を守り切った宇都宮ブリッツェン。清水裕輔監督は「最終戦で勝って華を添えられなかったのは悔しいですが、チームランキングで1位になったことは素直にうれしいです」と喜びのコメント。
今シーズンはキャプテン増田成幸の東京五輪出場というビッグイベントもあった中でのチームランキング1位となったが「中盤以降はコンディション不良の選手が出てきたこともあり、台所事情としては非常に厳しかった。その部分で後手を踏むレースもありましたし、どうしても増田と小野寺に頼らざるを得ないレースが多くなってしまいました。逆に言うと、小野寺の成長が実感できたシーズンだったな、と。ロードレースで勝つことはできませんでしたが、どのレースでも勝てる位置にいたことは評価してあげたいと思います」と若きエースの働きを讃えた。
その他の各賞ジャージは、スプリント賞のブルージャージは小野寺が、山岳賞のレッドジャージは山本元喜(キナンサイクリングチーム)が、新人賞のホワイトジャージは宇賀隆貴(チーム右京相模原)がそれぞれ獲得している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当初のスケジュール通りの開催とはいかなかった1年目のJCLプロロードレースツアー。とはいえ、無事に1シーズンを走り終えたことで、国内ロードレース界に新しい潮流を生む下地ができたようにも見える。
2022年シーズン、どのような動きになっていくのかにも注目だ。
那須塩原クリテリウム 45km 結果
1位 | 沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム) | 1時間4分35秒 |
2位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | |
3位 | 中島康晴(キナンサイクリングチーム) | +1秒 |
4位 | 石原悠希(チーム右京相模原) | |
5位 | 本多晴飛(VC福岡) | |
6位 | 孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム) |
JCL 年間ランキング
個人(イエロージャージ) | 山本大喜(キナンサイクリングチーム) |
スプリント賞(ブルージャージ) | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) |
山岳賞(レッドジャージ) | 山本元喜(キナンサイクリングチーム) |
新人賞(ホワイトジャージ) | 宇賀隆貴(チーム右京相模原) |
チーム賞 | 宇都宮ブリッツェン |
photo&text: Nobumichi Komori
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