2021/10/22(金) - 19:16
「コンディションに自信はありませんでしたが、気持ちで負けないように走った」と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は振り返る。天国の人たちを想いながら走った37歳が、2大会連続のタイムトライアル全日本チャンピオンに輝いた。
エリート男子優勝 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
小刻みにアップダウンとコーナーを繰り返す広島県中央森林公園の12kmコース。男子エリートの個人タイムトライアル選手権、つまり日本最速の男を決める戦いが、定期的に旅客機のエンジン音がこだまするこのアップダウンコースを3周回する36.0km(獲得標高333m)で争われた。
午前中の肌寒さは姿を消し、暖かな太陽の下で開催された男子エリートの全日本選手権タイムトライアル。強豪選手がひしめく第2ウェーブの中盤以降は風が吹きつけたものの、勝敗を左右するほどには繋がらず。ほぼイコールコンディションの下、タイムトライアルとしては起伏に富む「攻めがいのある」コースでチャンピオンジャージの着用者が決まった。
第1ウェーブの中、好タイムを刻んだのはベテラン阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)。中盤以降ペースアップする走りでそれまでリードを得ていた大町健斗(eNShareRacingTeam)を2周目の中間計測で上回り、前走者の石橋学(CIEL BLEU KANOYA)を抜き、徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)を視界に捉えながらフィニッシュに飛び込んだ阿部。51分12秒89で第2ウェーブ勢の走りを見届けることとなった。
エリート男子 1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Makoto AYANO
エリート男子2位 山本大喜(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru Kato
最終周回の後半は増田成幸よりも速いペースだった中根英登(EF Education-NIPPO) photo:Satoru Kato
少々のインターバルを挟み、スタートを切った実力者集結の第2ウェーブ。そして、あるいはやはり、強さを見せつけたのはその先頭でスタートを切った増田成幸(宇都宮ブリッツェン)だった。
増田は1周回完了時点で第1ウェーブ勢を軽く上回る16分33秒を叩き出す。岡篤志(NIPPOプロヴァンスPTSコンチ)は16秒遅れの16分49秒で、そして中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)は13秒遅れで2周目へ。コースの3箇所にスタッフを配置し、後続選手のタイムを頭に入れながら走った増田が1番時計を更新しながら逃げ、それを他選手が追いかけ続けた。
「最後尾だったら人のタイムを聞いて調整できるんですが、今日は指標となるタイムがなかったので飛ばしました。試走は4周したし、動画でもずっと予習していました」と言う増田。「広島逆周りコースはテクニカルでタイムロスしたコーナーもありますが、大きなミスもせずペース配分もうまくできました」と振り返る山本大喜(KINAN Cycling Team)や、「日曜のロードの前に一度負荷を上げておくことが目的だったものの、意外と踏めたので最終周はしっかり追い込んでみた」と言う中根が好走したものの、スムーズなリズムを刻み続ける増田には届かなかった。
異次元のペースで走り切った増田成幸(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
3位のタイムでフィニッシュしたものの、失格となった小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA) photo:Makoto AYANO
エリート男子4位 岡篤志(NIPPO-Provence-PTS-Conti) photo:Satoru Kato
5位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
エリート男子6位の石原悠希(Team UKYO SAGAMIHARA) photo:Makoto AYANO
エリート男子7位 風間翔眞(シマノレーシング) photo:Makoto AYANO
増田は周回ごとにラップタイムを上げ、全選手中の唯一となる40分台、49分25秒40でフィニッシュ。後続選手全員のフィニッシュを待ち、増田の2019年6月以来となる2連覇が決まった。
「アップダウンコースが僕にとってプラスでした。登りはしっかり踏み、下りはあまり得意でもないですしレスト(脚休め)。メリハリを持って走りました」と言う増田。圧勝と形容できる走りだったものの、大一番である東京オリンピック以降はモチベーション維持が難しく、追い込む練習があまりできていなかったと振り返る。
それでも、と加えた増田。「ここ最近、砂川会長(チーム運営会社会長だった故砂川幹男氏)やチーム関係者、義理の母など大切に想っている方々が何人も亡くなって悲しい思いをしていたのですが、天国で見てくれるその人たちのためにも、気持ちでは絶対に負けないようにしようと走った」と話す。
個人TT男子エリート表彰 優勝は増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、 2位山本大喜(KINAN Cycling Team)、3位中根英登(EFエデュケーション・NIPPO) photo:Makoto AYANO
2位の山本大喜(KINAN Cycling Team) photo:Makoto AYANO
高すぎたため規定違反となった小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)のハンドル photo:Makoto AYANO
「持てる力を全て出しきりたかった。その結果、勝てた。天国から大切な人たちが見守ってくれたんだと思います。ほっとしました」と、少しだけ目を潤ませて話した増田。37歳のベテランが、白地に赤のチャンピオンジャージに袖を通した。
「自分としては他の選手を意識し過ぎずに自分の走りをしようと考えて走りました。上位に入ることは狙っていましたが、周りの選手とのタイム差も聞かずにベストを尽くして走りました。増田さんが強かった」と、勝者を称える山本大喜は2位に。「ロードとTTをどちらも狙っていた」と言う山本は、日曜日のロードレースで兄元喜など強豪揃いのチームと共にもう一つ上の順位を狙うこととなる。
またこの日、小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)は山本から約11秒遅れの3番時計でフィニッシュしたものの、フィニッシュ後の車検において車両の規定違反が発覚し、4位の中根が繰り上げに。スタート前の検車はコロナ禍において審判不在の自主検車となっており、見落としの可能性のある状況になっていた。
個人TTエリート男子3位になった中根英登(EFエデュケーション・NIPPO) photo:Makoto AYANO
「思ったよりもいい順位でした。プレッシャー無く、リスクを負うこと無くライン取りも集中して走れたので良かったですね。後からは序盤ももっと踏めたな、という気もします(笑)。今日いい感じで追い込めたので、ロードはリラックスして臨めればと思います」と言う中根が銅メダルとともに表彰台に登壇。日曜日、上り調子をアピールした唯一のワールドツアー選手へのマークはより一層厳しいものになりそうだ。
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小刻みにアップダウンとコーナーを繰り返す広島県中央森林公園の12kmコース。男子エリートの個人タイムトライアル選手権、つまり日本最速の男を決める戦いが、定期的に旅客機のエンジン音がこだまするこのアップダウンコースを3周回する36.0km(獲得標高333m)で争われた。
午前中の肌寒さは姿を消し、暖かな太陽の下で開催された男子エリートの全日本選手権タイムトライアル。強豪選手がひしめく第2ウェーブの中盤以降は風が吹きつけたものの、勝敗を左右するほどには繋がらず。ほぼイコールコンディションの下、タイムトライアルとしては起伏に富む「攻めがいのある」コースでチャンピオンジャージの着用者が決まった。
第1ウェーブの中、好タイムを刻んだのはベテラン阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)。中盤以降ペースアップする走りでそれまでリードを得ていた大町健斗(eNShareRacingTeam)を2周目の中間計測で上回り、前走者の石橋学(CIEL BLEU KANOYA)を抜き、徳田優(TEAM BRIDGESTONE Cycling)を視界に捉えながらフィニッシュに飛び込んだ阿部。51分12秒89で第2ウェーブ勢の走りを見届けることとなった。
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少々のインターバルを挟み、スタートを切った実力者集結の第2ウェーブ。そして、あるいはやはり、強さを見せつけたのはその先頭でスタートを切った増田成幸(宇都宮ブリッツェン)だった。
増田は1周回完了時点で第1ウェーブ勢を軽く上回る16分33秒を叩き出す。岡篤志(NIPPOプロヴァンスPTSコンチ)は16秒遅れの16分49秒で、そして中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)は13秒遅れで2周目へ。コースの3箇所にスタッフを配置し、後続選手のタイムを頭に入れながら走った増田が1番時計を更新しながら逃げ、それを他選手が追いかけ続けた。
「最後尾だったら人のタイムを聞いて調整できるんですが、今日は指標となるタイムがなかったので飛ばしました。試走は4周したし、動画でもずっと予習していました」と言う増田。「広島逆周りコースはテクニカルでタイムロスしたコーナーもありますが、大きなミスもせずペース配分もうまくできました」と振り返る山本大喜(KINAN Cycling Team)や、「日曜のロードの前に一度負荷を上げておくことが目的だったものの、意外と踏めたので最終周はしっかり追い込んでみた」と言う中根が好走したものの、スムーズなリズムを刻み続ける増田には届かなかった。
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増田は周回ごとにラップタイムを上げ、全選手中の唯一となる40分台、49分25秒40でフィニッシュ。後続選手全員のフィニッシュを待ち、増田の2019年6月以来となる2連覇が決まった。
「アップダウンコースが僕にとってプラスでした。登りはしっかり踏み、下りはあまり得意でもないですしレスト(脚休め)。メリハリを持って走りました」と言う増田。圧勝と形容できる走りだったものの、大一番である東京オリンピック以降はモチベーション維持が難しく、追い込む練習があまりできていなかったと振り返る。
それでも、と加えた増田。「ここ最近、砂川会長(チーム運営会社会長だった故砂川幹男氏)やチーム関係者、義理の母など大切に想っている方々が何人も亡くなって悲しい思いをしていたのですが、天国で見てくれるその人たちのためにも、気持ちでは絶対に負けないようにしようと走った」と話す。
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「持てる力を全て出しきりたかった。その結果、勝てた。天国から大切な人たちが見守ってくれたんだと思います。ほっとしました」と、少しだけ目を潤ませて話した増田。37歳のベテランが、白地に赤のチャンピオンジャージに袖を通した。
「自分としては他の選手を意識し過ぎずに自分の走りをしようと考えて走りました。上位に入ることは狙っていましたが、周りの選手とのタイム差も聞かずにベストを尽くして走りました。増田さんが強かった」と、勝者を称える山本大喜は2位に。「ロードとTTをどちらも狙っていた」と言う山本は、日曜日のロードレースで兄元喜など強豪揃いのチームと共にもう一つ上の順位を狙うこととなる。
またこの日、小石祐馬(Team UKYO SAGAMIHARA)は山本から約11秒遅れの3番時計でフィニッシュしたものの、フィニッシュ後の車検において車両の規定違反が発覚し、4位の中根が繰り上げに。スタート前の検車はコロナ禍において審判不在の自主検車となっており、見落としの可能性のある状況になっていた。
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「思ったよりもいい順位でした。プレッシャー無く、リスクを負うこと無くライン取りも集中して走れたので良かったですね。後からは序盤ももっと踏めたな、という気もします(笑)。今日いい感じで追い込めたので、ロードはリラックスして臨めればと思います」と言う中根が銅メダルとともに表彰台に登壇。日曜日、上り調子をアピールした唯一のワールドツアー選手へのマークはより一層厳しいものになりそうだ。
全日本選手権タイムトライアル2021男子エリート結果
1位 | 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) | 49分25秒40 |
2位 | 山本大喜(KINAN Cycling Team) | +47秒37 |
3位 | 中根英登(EFエデュケーション・NIPPO) | +1分00秒31 |
4位 | 岡篤志(NIPPOプロヴァンスPTSコンチ) | +1分34秒75 |
5位 | 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) | +1分47秒49 |
6位 | 石原悠希(Team UKYO SAGAMIHARA) | +2分03秒27 |
7位 | 風間翔眞(シマノレーシング) | +2分30秒18 |
8位 | 大町健斗(eNShareRacingTeam) | +2分30秒84 |
9位 | 加藤達也(PARABOLA・イワイ・シーガル) | +2分50秒24 |
10位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | +2分55秒63 |
H3
パラサイクリング種目
パラサイクリング男子 クラスC1-3
順位 | 名前(チーム) | クラス | タイム | 係数タイム |
---|---|---|---|---|
1位 | 藤田征樹(藤建設株式会社) | MC3 | 18分50秒82 | 18分50秒82 |
2位 | 川本翔大(大和産業株式会社(ヤマトライス) | MC2 | 19分57秒91 | 19分11秒79 |
3位 | 多田尚史(acu-power Racing Team) | MC3 | 25分51秒87 | 25分51秒87 |
4位 | 三井隆汰 | MC1 | 32分51秒06 | 30分22秒24 |
パラサイクリング 男子ハンドサイクル・クラス MH2-3
順位 | 名前(チーム) | クラス | タイム | 係数タイム |
---|---|---|---|---|
1位 | 田中祥隆(アイ工務店) | MH3 | 31分7秒21 | 31分7秒27 |
2位 | 村田成謙(株式会社ベリサーブ) | MH3 | 43分32秒68 | 43分32秒68 |
パラサイクリング男子 トライシクル・クラスT2
順位 | 名前(チーム) | クラス | タイム | 係数タイム |
---|---|---|---|---|
1位 | 福井万葉(株式会社バタフライ・エフェクト) | MT2 | 29分21秒21 | 29分12秒21 |
パラサイクリング女子 クラスC2-3
順位 | 名前(チーム) | クラス | タイム | 係数タイム |
---|---|---|---|---|
1位 | 杉浦佳子(VC福岡エリート) | WC3 | 21分37秒61 | 21分37秒61 |
2位 | 藤井美穂(楽天ソシオビジネス株式会社) | WC2 | 27分50秒77 | 26分46秒44 |
パラサイクリング男子 クラスC5
順位 | 名前(チーム) | クラス | タイム | 係数タイム |
---|---|---|---|---|
1位 | 梶 鉄輝(JPF) | MC5 | 18分58秒02 | 18分58秒02 |
2位 | 吉井常浩 | MC5 | 22分1秒53 | 22分1秒53 |
3位 | 沼野康仁(usplav.VC SPLENDOR) | MC5 | 29分13秒80 | 29分13秒80 |
text:So Isobe
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